VTuber もう一人のジブン ~keep your【Second Personality】~   作:no_where

82 / 92
.PLAYER 1 (YOU)

 闇の中を進行していて、ふと思ったことがあった。

 

「なぁ、ハヤト。このイメージ上の速度って、自動化できないかな」

「電動化の自転車にでもするか?」

「あ、その解答は、ちょっと面白いな」

「おもしろかったか?」

 

 本来は俺よりも、ずっと賢い生き物だけど。

 だからこそなのか、時々ズレた解答が戻ってくる。

 

「チャリにこだわるなら、それでも良いんだけどさ。この世界って、いわば、作ってる最中のゲームみたいなもんだろ? どうせなら現実世界ではできない、カッコイイのがいいな」

 

 脳裏に浮かんだのは、今日の電気屋で見かけた大型の自動二輪車だった。

 まだ免許は取れないけど『ここ』でなら、年齢制限は関係ないはずだ。

 

「なるほど。悪くないな。いいだろう。オレの趣味にも合いそうだ。君の成長を祝い、贈呈させてもらおうか」

 

 いまだ先行きの見えない闇の中で、もう一人のジブンが呪文を唱えた。

 

 

 【転送を開封】

 

 

 自分の肉体を支える自転車が変化する。

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 Hello .Player

 

 -----------------

 

 

 大型の自動二輪車。自分の視点の真正面。バイクの駆動を促すイグニッションキーの根元から、ホログラムのウインドウ表示が浮かびあがった。自身の全景を表示させるように、ゆっくりと回転する。

 

 それは正しく、あの時に見た、エメラルドグリーンの塗装を施されたデザインそっくりだった。今はハンドルグリップを握りしめ、シートに座している。

 

「いいじゃん!」

 

 それだけで気分が高揚する。バイクのグリップを半回転させると、機械の心臓となるエンジンが、応えるように鼓動を響かせた。――かと思った次の瞬間、全身を引っ張るような振動がやってきた。

 

「うわっ!?」

 

 身体が後方に流される勢いだ。反射的に身体を押し付けるように、前傾姿勢をとる。世界がさらにリアルに近づいたのを直感する。

 

「祐一、再現した【乗り物】は、気性の荒いじゃじゃ馬だ。乗りこなしてみせろよ」

「またパワー系かっ!!」

 

 どいつもこいつも。防御力を斬り捨てやがって。

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 can't you see me?

 can't you feel me?

 ――ムリだった?

 

 -----------------

 

 

 おまけにコイツ、運転手を煽ってきやがる。

 

「っ、上等だ!!」

 

 さらにグリップをひねる。両足の内太腿に力を込めて、クラッチペダルを踏み込む。ギアを一段階あげる。速度が上昇。

 

 大気なんてものが存在するのか不確かな世界で、風を引き裂いて進む。機械が示す駆動音と一帯になったイメージを描きながら、手足に力を込めつつ身を任せる。

 

「筋がいいぞ」

 

 俺以外の記憶が、操作手順《マニュアル》を熟知している。相手の事をなにも知らなければ恐ろしいが、この知識の大元については信用できた。

 

「続けて、重心を君の中心に固定する。両手を離せるか?」

「オッケー!」

 

 グリップから両腕を離して、姿勢を直立に近い格好にする。疑似的な抵抗は残ったが、振り落とされることはなくなった。

 

「ありがとな。来てくれて」

 

 元の姿勢に戻り、バイクに呼びかけてみると、心なしか、排気音に変化が生じた気がした。身体を一方に傾けると、合わせたように車体も斜めに動く。

 

「風を感じる」

 

 相変わらず世界に指標は見えない。けれどコイツは、俺の行きたい場所へ、連れていってくれる気がした。

 

 速度がさらに伸びていく。心臓に伝わる排気音が心地良い。常識性を謡う奴の、したり顔を破り捨てるように。先へ先へと突き進む。

 

「相変わらず手なづけるのが早いな。サービスだ」

 

 ハヤトが言って、今度は俺自身の衣装が変わるのを感じた。ふたたび、正面のコンソール上に、立体ホログラムが浮かぶ。

 

 目元にメタリックなヴィンテージゴーグル。全身はバイクの色にあわせた黒のライダースーツ。握りしめた両手には黒鋼のグローブ、足下も専用のブーツがしっかりとハマる。

 

「似合うじゃないか。重心に加え、慣性速度も適合させた。その代わり、」

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 Rise it up !!

 

 -----------------

 

 

 ぐんっ!

 

 

「そいつはもう、遠慮などという意思を、持たなくなるぞ」

「~~~っ!!!」

 

 ヒトを背に乗っけた、じゃじゃ馬モドキが、操者が落ちないのをいいことに、無茶苦茶に暴れ回る。ただまっすぐ走るだけではなく、向きも角度もおかまいなしに、ぐるぐると、螺旋を描くように突き進んでいく。

 

「このっ! まっすぐ走れ!!」

 

 端からみれば、映像がバグったようにしか見えてないだろう。久しぶりに体を得て、無我夢中に走り回りたくて仕方のない知能動物がブンブン笑っている。その上にしがみつきながら、ヤケクソのように言ってやった。

 

「あぁもう。わかった! おまえの走りたい方向に、走っていけよ!!」

 

 定点化された重心を後ろに下げる。ライダースーツを着込んだ全身を逆方向に傾かせて、前輪を持ち上げた。

 

「一蓮托生だよ! 俺たちは!! どうせ一人じゃ無理なんだ!!」

 

 目の前に、不可視ながらも、垂直にそびえる壁がやってくる。

 乗り越えられないはずの高さに挑む。

 

「いけ!!」

 

 浮きあげた前輪が、垂直の壁に触れた。唸りをあげるエグゾーストの肺呼吸。超回転するフロントタイヤ。仮想的な摩擦熱。間髪いれず後輪も壁に接地する。本来ならこのまま、後ろ向きに、ひっくり返ってしまうのが『常識』だが、

 

 

「落ちるな! 登り続けろ!! プロ意識を見せやがれッ!!!」

 

 

 俺たちは落ちない。上から高圧的に叱りつける。

 グルル…! と、自分を背に乗せた生き物がキレていた。

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 tooooooo...interesting!!

 ――やったろうじゃん!!

 

 -----------------

 

 この世界に『正しい法則』なんてない。自由に作り変えてみせる。

 俺の意志に応えるように、機械の命が咆哮する。

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 YOU HAVE CONTROL

  I WISH YOU LUCK

  ....Lt.Player !!

 

 upgrade

 Default.gearshift.

  【Ⅰ】= 《340.29》

 

 -----------------

 

 

 速度計の表示が音速に変わる。

 アガる。エンジンから吹き荒れる推進力が、揚力を持ち始める。

 

 バイクが、空を飛ぶ。

 もっと速く、鋭く、鮮烈に。どんどん昇り詰めていく。

 

「…ははははは!!!! すげぇじゃん!! 最高だ!!」

 

 荒れくれていた音が統一された、澄み渡るものに変化する。先行きの視えなかった闇が、どんどん晴れていく。光源を持つモノ。

 

 なにかが遠くで輝いている。

 キラキラと、いくつも。たくさん、近付いてくる。

 

 一方で、後ろからは支えてくれる気配を感じる。

 深淵の中で燻っていた風が、押し上げてくれる。

 

 恐怖を感じる暇もない。ひたすら、ワクワクする。

 世界は上向きに加速する。勢いは留まることを知らずに突き進む。

 

「…やれやれ。コーチの意見を聞かずに、いきなり到達か。安全運転を心掛けたまえよ、若者」

「大丈夫! 折り込み済みだ! 俺が計算高いのは知ってるだろ!」

「あぁ、そうだったな」

 

 あんなに恐ろしかった暗闇が、たいしたことのないものに見えてくる。

 

「ならば、追加発注してやろう。――【転送を開封】」

 

 まっすぐに、垂直上昇する俺の左右を、二羽の鴉が追従するように現れた。

 

「フギン、ムニン。彼の手助けとなってやれ」

【【"cir",code.Execution】】

 

 鴉の全身が変形して、拳銃の姿に変わる。ライダースーツの腰元に、革製のバックルベルトが回された。「よろしく頼むぜ」と言わんばかりに一回転。両腰に空いたホルスターの中へ、スッと収まる。

 

 武器と防具を装備した。その力でなにを果たすのか。

 

「祐一、オレが、君と初めて出会った時のことを、覚えているか?」

「覚えてるよ。道具は正しく使え。そう教わった」

「.Exe ――スレイプニル。解き放て」

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

Level UP !!

 【Ⅱ】= 《680.58》

 

 -----------------

 

 

 超音速、マッハ2。

 ここまで導いてくれた、道標を裏切らない様に。

 今日、成すべきことを成しにいく。

 

 世界を隔てる壁を昇っていく。

 心の中に指標が浮かぶ。やがて、周囲を照らす光となって輝きはじめた。

 キラキラしたものの正体が、ハッキリと見えてきた。

 

「あぁ…綺麗だなぁ」

 

 周辺は、数多の星が浮かぶ大海と化していた。

 

 小さいの、中ぐらいの、大きいの。

 丸いやつ、四角いやつ。三角のやつ。どれもこれも、個性的だった。

 

「この世界は、よくできている」

 

 いつしか、俺たちは成立していた。新しい世界に適合しはじめた自分を、もう一人のオレが、システム上の存在としてサポートに回る。

 

「君たちには、無数の可能性がある」

 

 『無限』ではない。『有限』の可能性だ。十分だと思う。

 

 宇宙の大海を昇っていく途中、惑星の輪《リング》に到達した。本来は小惑星の群れらしいけど、近付いても変わらないイメージのままだった。

 

 宇宙空間で回転する二輪を乗せると、共に公転する。

 この先へと進む足がかりになってくれる。

 

「ありがとう!」

 

 命を繋いで渡っていく。今度は天の川が視えた。数多の星々が輝く銀河の中で、確かな道のりを進んでいく。閉じていた壁は消える。果てのない星空の水平線。縦軸が横軸になる。膨張を続ける平面を疾走する。

 

「さぁ、ここからだ。食いしばれよ」

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 Level UP !!!

  【Ⅲ】= 《299792458》

 

 -----------------

 

 

 光速。周囲の光景がまた変わりはじめる。

 

 

 ――そろそろだ。

 

 

 光が線として表示される。スピードを示すメーターも上昇を続ける。いよいよ桁あふれを起こして、16進数の表示に切り変わった。

 

 

 ――目的地が、視えてきたぞ。

 

 

 音速の壁を、はるか彼方に置き去りにする。不確かな質量を持つ俺たちは、正しく光速に追いついた。

 

 

 ――けっして、眼を閉じるなよ。

 

 

 あらゆる粒子の輝きを纏い、競争する。永遠の速度を目指していく。

 

 

 ――キミたちが望むものは、容易くは手に入らない。が、

 

 

 一筋の閃光と化した先。

 

 

 ――到達不可能では、ない。

 

 

 正面に、なにもかも飲み込むような、黒い穴がぽっかり開いている。

 

 

 ――事象の地平。君たちの想像が及ばぬ、概念に対する臨界点だ。

 

 

 光は屈折する。ひしゃげる。圧縮される。停止する。

 

 

 

 ――その先を、最後に想像したのがいつだったのか。覚えているか?

 

 

 

 あぁ、思うようにいかないことは、たくさんある。

 

 

 

 ――あるいは最初から、一度も考えたことは無かったのか?

 

 

 

 現実を突きつけるように穿たれた、黒い穴。

 

 

 

 ――ここが、真の意味での通行止めか? 

 

 

 ――君が今、目にしているものは、単なる幻想か?

 

 

 その深淵は、ありとあらゆる、視覚化された概念のすべてを食らい尽くす。

 

 

 

 ――異世界は存在すると信じているか? 

 

 

 ――あるいは、信じぬものとして、楽しんでいるのか?

 

 

 ――過去と未来、君が求めるのは、どちらだ?

 

 

 

 

 口角が緩んだ。静かに告げ返してやる。

 

 

「御託はいらねぇよ」

 

 

 求めるのは、ただ一点。

 

 

「俺たちの、ジャマすんじゃねぇ!! 道を開けてもらうぜ!!!」

 

 

 さぁ、夢を見る時間はオシマイだ。

 

 

 【Magic Code Execution】

 

 

 二丁の黒い拳銃を取りだす。両手に掴む。

 

 

 【Type FANTASY】

 

 

 前に突きだして、トリガーを引く。

 

 

 【Shoot Lv.Ⅴ】

 

 

 あらんかぎりに吠えたてた。

 

 

「 悪いなァ! アンタ達ッ!! 俺たちが、一番乗りだッ!!! 」

 

 

 想像性の、袋小路を撃ち破れ。

 両手の鴉も、嘶きをあげた。

 

 

     

       【 O v e r   B r e a k ! ! 】

 

 

 放たれた銀の弾丸が、光よりも早く突き進む。

 

 まっくろな、暗黒極星の、クソどまん中に命中する。

 

 夢と現の境界がヒビ割れる。限界が軋んで破裂しそうだ。

 

 

 「がんばれ!」

 

 

 人が叫ぶ。機械が吠える。

 

 

 「いけ!! ブチ破れ!!!」

 

 

 繊維が千切れるのを耐える。限界回転数をブッ飛ばす。

 

 一緒に、突破する。

 

 

《Sleipnir》

 -----------------

 

 Level UP !!!!

  【Ⅳ】= 《" "》

 

 -----------------

 

 

 非論理的な、硝子細工の音が、飛び散った。

 呑み込まれる。

  

  ――検索対象の世界を発見。

 

     ――接続を開始。

 

    ---さぁ、奔れ奔れ。

 

     ---目にも留まらぬ迅さで、駆け抜けろ。

 

  ・・・・・・・・君たちは、その場所へ、到達するだけの価値がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

           .最強の未来を、掴み取れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 .

 

 ..

 

 ...

 

 ....報告。

 

 領域の【扉】が解放されました。

 

 事象の地平面を突破した、個体を観測。

 

 対象【"レベル4"】に到達済みです。

 

 現在もヒトとしての意識を保っています。

 

 当世界線、【Ⅲ.Ⅴ】次元における、特異点であると判断。

 

 以後、Player_1 の定数名を与え、こちら側でモニタリングを開始します。

 

 

 ――さぁ、わたし達の準備は、万全ですか?

 

 

 仕事の時間ですよ。

 

 

 Godsworn.

 

 

******************************************************

 

 

「降ってきたか」

 

 仮想領域の上空3万フィートの地点に佇み、空を見上げていた。

 

「予定通りとはいえ、今回は早かったね」

 

 この世界を覆い隠していた雲海が拡散。一等の彗星が落ちてくる。

 鮮烈な光の残滓のあとに、雷鳴が轟く。光に続き、音が乗る。

 重力の軛に囚われていた者たちが、いよいよ解放される。

 

「【人間】。ここまでは予定通りだ。後は、好きにやらせてもらって構わんな?」

「仕方ない。時間も頃合いだ。僕は、素直にフォロワーを手なづける操作に戻るとしよう。じゃあね」

 

 かつて、百億の虎の意を借りた狐が、哂って消える。

 姿を見届けたあと、あらためて空を見上げた。

 

「2026年か」

 

 一等の恒星を筆頭に、あふれだす、追走する光の群れ。

 傍若無人な者たちも、手綱を手繰り、大気を従え、風に乗らんとする。

 

 しかしそれは、結局のところ。

 先頭をひた走るものの、追い風にしかなりえない。

 

「虚しいな」

 

 下降気流が発生していた。揚力は下向きに、推進力を得る。

 重力圏内にとらわれた、堕ちゆくものの速度は上昇する。熱量も留まることを知らない。

 

 常識的な力学法則《ルール》に縛られたのならば、血液は沸き立ち、肉体は燃え、脳は破裂する。

 

 流星が、本来の形状を保ったまま、地表に到達することは、ありえない。それでも星の輝きは、一時のものにあらず、燃え尽きることもなかった。後を追いかける残光が消えゆく先に、一番星だけが、形を変えず、生き残る。

 

「そうだ。この世界は、所詮はその程度に過ぎない。望まれし勝者と、無数の敗者によって、成り立っている」

 

 星は落ちる。自由落下と呼ぶには生易しい勢いで堕ちてくる。心技一体となった命の煌めきがひとつ、超高熱度の大気に挑み、光の反射を歪めて赤々と染まる。これもまた、打ち破ろうとしていた。

 

「だが、そうしたモノを望み、求めるのが、己たちだ」

 

 プラス、マイナス。

 肯定、否定。

 憧れに、悔恨。

 光と闇。妬み辛み、

 

 希望と絶望。追い風の中には、あらゆる人間の感情が含まれていた。星は、自らに害があるものすらも取り込んで、推進力に変換している。

 

「強欲だな」

 

 浅ましき【価値】があるものどもを利用する。血肉の糧とする。血路を切り開く。駿馬の嘶きをあげる鋼の機構と、氷のように冴えわたる精神が成し遂げる。人馬一体となって、自らを取り巻こうとする世界さえも、操作する。

 

 災厄すらも、己の身を守る、疑似エネルギーへと変換。非常識的な概念をまとった星が降る。常軌を逸した人間工学の延長線。それ以上の極致へ到ろうとする正位置の刑死者が、徹底して迫りくる。

 

「悪くない。悪くないぞ」

 

 真実の法則が一割に対して、偽りの事象が九割。この世界の知能生物が、心から望み、法則として許容した概念。

 

「そうした不条理なものを宿した、貴様らを、斬り捨ててこそ…」

 

 刀剣を、鞘より引き抜いた。

 

 

 「 己が生きている、その価値がある。」

 

 

 ごく自然と、口元が笑みの形に変わった。

 

 

 「 真なる不可視の境地に辿り着くまで、残すは僅か。

   されどこれ以上の月日を待つのは、些か、面倒に過ぎる。」

   

 

 故に、

 

 

 「 手合わせ、願おうか。 」

 

 

 抜いた右手の小刀を、天の星へと差し向ける。

 

 

 「 先ずは一手。 」

 

 

 2026年。誰よりも速く。遠くへ。

 夢に見た世界への凱旋を、高らかに謡いあげるものと対峙する。

 

 

   Y'AI'NG'NGAH

   YOG-SOTHOTH

   H'EE-L'GEB

   F'AI THRODOG

   UAAAHH

 

 

 空気を振動させる。音にする。

 この世界そのものを、知覚している異次元のものどもを呼び覚ます。

 発振した音を取得した世界が、言語変換を実行する。

 

 

 【Magic Code Execution】

 【Type,FANTASY】【Transport.LvⅤ】

 

  ――Extend.Reincarnation !!

 

 

 知覚認証の疑似形態。半透明の【魔法陣】なるものが、新規レイヤー層の上に召喚される。引継ぎ前の記録データより、2026年までにおける、対象兵器のイメージツールを再構築。己の魔法が完成する。

 

「さぁ、出番だぞ。撃ち捨てられた、亡霊ども」

 

 【魔法陣】に、ヒビが入った。

 認知の内側より、事象の境界面を振動させ、叩き割る。

 しもべ達があらわれる。

 

 

 

              【【【【【【"Sir,FOXⅤ"】】】】】】

  

 

 召喚名:空中発射巡航ミサイル《ALCM》。

 属性:火

 特徴:全長20フィート。最大速度885km/h。

 総数:12

 射程距離:∞

 

 

 

「うむ。なかなか良い感じの【魔法】だな」

 

 12本の砲塔を、一斉発射。

 戦う先を、人間と決めた、意思を持った、自立兵器が飛んでいく。

 

「幕開けだ。景気よく、爆ぜてこい」

 

 刺し向かう。白煙を帯びて、煌めく命を取り囲んだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。