VTuber もう一人のジブン ~keep your【Second Personality】~   作:no_where

84 / 92
."空"

「 あ り え な い だ ろ ! ! 」

 

 幾何学模様の【魔法陣】から飛びだしてきたのは、まさかのミサイルだった。しかもそいつが『十二体』。

 

 .killcommand

 

 /消す/燃えろ/殺す/破壊する/塵だ/灰にしてやる

 

  /『おまえ』を削除する/いなくなれ/死滅させる/つぶす

 

   /今日まで代入され続けた値を返す日がおとずれた。

 

    /幻想の身なるモノ。我らの栄光を刻み滅びゆけ!

 

 

 異世界からやってきた命を殺す。明確な『殺意』を込めた近代兵器たちが、意気揚々と、蒼空を駆けあがってくる。

 

「【魔法陣】で召喚されるっつったら、せいぜいドラゴン辺りがテンプレじゃないのかよっ!」

 

 おそらく、そっちの方がマシだった。

 

 航空機にも似た形状のミサイル。大量破壊兵器だとか、戦略兵器だとか呼ばれる『命が十二体』。そんなものが、一台の空飛ぶバイクに向かってくる。

 

 //Killall Process !!

 

 成層圏を飛ぶ、俺たちへの体当たりを試みる。四方八方を音速以上の速度で回遊し、ゴーグルに映るレーダーサイトと、レティシアのサポートによる自動操縦で、すれ違う格好で激突を避ける。

 

 避ける。避ける。避け続ける。

 

 2回、3回、4回と数えて…12度目。13、14、15、

 

「ちょっと待て!? おい、レティ!! 『アイツら』外れても切り返してくるんだけど! どうなってんだよ!!?」

「見たまんまだよ! 推進力を持った燃料が無限なら、障害物にでも激突しねーかぎり、どこまでだって追いかけてくるぜ!」

「障害物…?」

 

 デカい塔が、あるにはあるが、かなり距離が離れてる。

 

 一面の蒼空。成層圏のただ中。音速で飛び交うミサイルの勢いを阻む障害物なんか、その他にはどこにも見当たるわけがない。わずかにでも、旋回機能があるならば、それはつまり、

 

「あきらめな! 『知覚可能のおまえがここにいる』時点で、無限に楽しい鬼ごっこが続けられるぜ!」

「冗談じゃねぇよ!」

 

 コズミックホラーにも程がある。それでも実際、間一髪で避けたミサイルは、レティの言うとおり、少しも速度を落とさずに、軌道を変えていた。

 

 //return.

  //killall process !!

 

 大きく弧を描きつつも反転する。ふたたび激突しようと戻ってくる。元々の追尾性能も十分なのか、一度進行方向の軸が会えば、後はまた一直線に突撃だ。

 

「ずいぶん情熱的だな。せっかくだ、素直に受け止めてやったらどうだ? 最高に燃え上がった瞬間、気持ちよく旅立てるぜ?」

「パワー系と心中する気は微塵もねぇよ! だいたい、ミサイルが【火属性の魔法】ってなんなんだ!? ドヤ顔で、燃料無制限の科学兵器飛ばしてんじゃねー!!」

「うるせぇなァ。ぐだぐだ喚かず頭ブン回せや。コンマ1秒余さず、360度全方位を視認しろ。一瞬でも見逃すと、打ち上げ花火のカス以下にすらなんねぇぞッ!」

「わかってるよ!!」

 

 いったん拳銃をしまい、ハンドルグリップを握りしめる。ミサイルを避けた後、そのまま振り切り、銀剣の元まで突っ切ろうとは、もちろん考えた。それこそ最初の一機を避けた瞬間に、試みたわけだけど、

 

 //shah mat (check !!)

 

 ここから先へは、行かせない。

 

 それ以上は、『チェック(詰み)』だぞ。とばかりに迫る一機がいた。回避行動を取った瞬間、別の一機があらかじめ、こっちの軌道を先読みして、真正面から、近距離で突っ込んでいた。

 

「クソガキ! いったん切り返せ! 高度あげねぇとつぶされるぞ!」

「…ッ!」

 

 限界まで身体を倒して、蒼空のコーナリングを『斜め向かいに切り返す』。逆上がりするように、伸びてゆき、生存ルートを確保する。行き詰らない道を、必死に探す。自分たちの存在を、空いた一帯にねじ込んでいく。

 

 //shah mat (check !!)

 

 しかし引き返した先には、最初に回避したミサイルが突っ込んできていた。

 

 //shah mat (check !!)

 

 それをかわせば、次がもう『迫っている』。

 

 //shah mat (check !!)

 

「…うぜえッ!!」

 

 壁もない。地面もない。どこまでも自由なはずの蒼空を逃げる。なのに、おそろしいぐらいに息苦しい。しかも、

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 すげぇ嫌な予感がした。どんどん、ミサイルの反応が良くなっている。この短時間の間に、コイツら、

 

「クソガキが直感で選びとったルートを、自分たちにも適用してやがるな。気を付けろ、おまえの動きを見て、毎秒単位で【学習されてるぞ】」

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 『詰み』までの速度が上がる。先読みの精度が増す。自由に動ける空間が、どんどん、さえぎられてゆく。消耗速度が上がる。その中で、もがこうとすれば、呼吸は短くなり、息が詰まる。視界はぐるぐる、回り続ける。

 

 //shah mat (check !!)

 

 海の青、空の蒼、わずかばかりの雲海。白。残された大地。赤茶色。

 

 //shah mat (check !!)

 

 青、蒼、青、茶、蒼、青。白、

 

 //shah mat (check !!)

 

 殺意を秘めた十二翼の銀兵器。その先に佇む、銀の王冠。

 俺の脳が処理すべき情報量は、変わらずに増え続ける。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 すべての情報を認識して、避け続ける――――

 

 

 蒼銀白茶銀王青蒼蒼銀銀白蒼銀王茶蒼蒼青蒼銀銀青茶蒼銀銀青

  銀王青蒼蒼銀銀白蒼銀王茶蒼蒼青蒼銀銀青茶蒼

   銀白茶銀王青蒼蒼銀銀白蒼銀王茶蒼蒼青蒼銀銀

    青蒼蒼銀銀白蒼銀王茶蒼蒼青蒼銀銀青茶蒼銀銀青

  銀王青蒼蒼銀銀白蒼銀王茶蒼蒼青蒼銀銀青蒼青蒼青蒼青蒼

 

 

 空間認識の働きに、脳が異常をきたしはじめる。

 失墜しないよう、歯を食いしばる。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

「…ッ!」

 

 俺たちの逃げ道が、生存ルートが、上昇の一途を続けた速度によって、異常な勢いで塗りつぶされていく。難なく取れていた回避行動が、次第に困難となり、至難の業になる。やがてどこにも行けなくなる予感に満たされる。

 

「レティ!! この世界に来る時に使った、あの【速度】を再現するのは、無理なのか?!」

「無理な注文だ。こっちも『レベル2』の音速範囲がせいぜいだ。この場所で出力のレベルを上げすぎると、テメェの本体が持たねぇぞ」

「これ以上は、どっちにしろ持たねぇよ!!」

「うるせぇな…! こちとら、テメェにかかる負荷の軽減計算で精一杯…」

 

 ホログラムとして浮かび上がった、レティの顔も曇る。

 ブンブンと、こっちも猛烈に、不機嫌な羽音が轟いていた。

 

「クソガキ! 『真下』から一機飛んでくるぞ!!」

「ッ!」

 

 俺たちは、たったの一機だ。物理法則を無視した、非現実的な乗り物とはいっても、せいぜい重力と空気圧と抗力を制御した上で、時速1000kmで空を走り回れて、小回りが効くというぐらいだ。あらためてすげぇな。すげぇんだけど、

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 『相手』の方こそ、大概だった。

 

 //All is fantasy !!

 

 成層圏の中間辺りで、エンゲージした十二機の超音速『ミサイルども』が垂直上昇してくる。ちょっと数時間かけて、地球圏外に旅行にでも行ってくるような気軽さで、体当たりをしかけてくる。

 

 一瞬でも触れたら即死だ。最高にコズミックホラーなVRゲームを、一足先に体験できたことに感謝したい。わけがない。

 

「ぎぎぎぎぎ…っ!」

 

 垂直上昇してくる時速880kmを、円周を描くように回避。次に備える。

 圧倒的な物量の情報リソースに、脳が悲鳴をあげはじめた。

 

「あああああああああああああああっっ!!!」

 

 それでもハンドルを切る。身体の重心も真横に落とすように傾ける。曲芸じみた走行。上下左右斜め上下左右。ありとあらゆる情報を視界に捉え続ける。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

   //shah mat (check !!)

 

 蒼空のコーナリングを精一杯に横切り、後続のミサイルを回避する。直後に、接地面のない低空1万メートルから、垂直にターンする勢いで、伸びあがってくる一機をさらに回避。

 

「っっっぶねー!」

「ボケッとすんなッ! 次が来てんぞ!」

 

 けれどその先にもまた、燃料無制限の、空飛ぶ弾薬庫が順次構えていた。クラッチ操作を用いた可変速でS字回避。さらに斜め上空に駆け上がり、次の1機をかわす。

 

 かわすと、その動きをあらかじめ読んでいたように、

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

   //shah mat (check !!)

    //shah mat (check !!)

 

 こっちの真上を陣取っていたミサイルが三機、急降下して向かってくる。

 

「ふ、ざ…ッ!」

 

 罵声をあびせるのも、もどかしい。

 

「どけっ!!」

 

 眼を見開いて、ギアを入れ替える。

 

 

 【System Code Execution】

 【Type FIRE】【Enchant Lv1】

 

  

 アフタバーナー。エンジンが再点火して唸りをあげる。

 一時的に急激な負荷が掛かる代わりに、燃料の排出量をあげてブーストが掛かる。

 

 内部で圧縮した酸素すべてを燃焼して一気に膨張させた結果、推力が上昇した。

 加速度の限界値を振っ切る。

 

 ――――――――Extend Action !!

 

 バイクのタイヤが、緋色のエフェクトをまとう。ミサイルの両翼に接地するギリギリのところを突き進む。摩擦熱による火花が散りまわり、紙一重で生存した。

 

「……ぁ、はぁ、ぜっ…しんど!!」

 

 初めて、息をつける程度に距離を取る。

 後ろを振り返ると、それでも『連中』はあせらずに、

 

 //shah mat (check !!)

 

 飛んで来る。

 

 『こいつら』は、もうあきらかに、普通の兵器じゃない。発する熱や音に反応して、一方的に追ってくるだけではなく、明確な『知性』がうかがえる。

 

 //shah mat (check !!)

 

 『空中戦』という盤上の上で、自分たちの数を生かして、俺たちを追い詰める。理詰めの戦法で、チームワークによる戦術論で、敵を狩ろうと考える。

 

 //shah mat (check !!)

 

 闇雲に、俺たちを追いかけるだけじゃない。シンプルに追尾してくる奴はいるが、それは後退を許さず、こっちの進行ルートを強要するためだ。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 一方で、対流圏域の薄雲に隠れて、隙をうかがうものがいる。常に俺たちよりも高度を取って上空を飛び回り、逃走ルートを先読みして伝える機体がいる。隙あらば、他と挟撃する格好で飛んでくる。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

 

 あらゆる方向から、連携を取り、同時に詰めてくる。さらに、こっちの行動パターンを分析して、自分たちの戦術を修正する。戦闘中に練度をあげていく。そしてなによりも、

 

 

 //killall Process !!

 

 

 ――目的のためならば、自分の命を惜しまない。手段を選ばない。

 

 //shah mat (check !!)

  //shah mat (check !!)

   //shah mat (check !!)

 

 ミサイル同士の位置関係が変わった時点で、タイムラグ無しで、瞬時に役割を切り替える。臨機応変に役割を変える、超優秀な『駒』だった。

 

 人間のような上下関係、横の関係性も存在しない。単純に、現在の戦闘空域による『位置関係』によって、あらかじめ共有しておいた役割《ロール》に切りかわる。

 

 十二機体が、一群となって、命を賭して、相手を追い詰める。

 能力には微塵も差異がなく、学習したデータは、一様に共有される。

 

「連携、陣形も、隙がなさすぎんだよ…!」

 

 人魂。あるいは亡霊。

 ロジカルな要素だけで構成された、血肉をもたないヒトの意思。

 当たれば一撃即死。そんなものが十二機体、連動して飛び交っている。

 

 『敵を撃墜する』という、目標達成の一点においては、完全に、人間の組織的能力、コミュニケーション手段を凌駕している。

 

「キツすぎだろ…!」

 

 倒すべき、唯一無二の司令官《キング》を彼方に見据え、歯噛みした。

 

 

 ――どうした? 

 

 

 ゴーグルの視界に映った銀剣は、アナログのボードゲームに興じるように佇んでいた。【水属性の魔法】を用いて、上空30.000フィート上に、水晶の玉座とテーブルを用意して、のんびりと、ただ静かに笑っていやがる。

 

 

 ――おまえは、異界の神とかいう幻想《あこがれ》に、選ばれたのだろう? 

 

 

 あるいは、オートプレイのゲームモードを、作業の合間に眺める程度。

 

 

 ――なにかを背負って、生きて、やって来たのだろう?

 

 

 液晶モニタに映るゲーム画面にも、そろそろ飽きてきたな。とでも言いたげだ。

 

 

 ――ならば、その程度の障害、乗り超えてこい。

 

 

「余裕ぶりやがって…!」

 

 だったら、無理やりにでも、突破してやる。

 

「ボサッとすんな、クソガキ!! 前から一基突っ込んでくんぞ!!」

 

 正確には前方斜め、対称高度500メートル上方。

 

 上から亜音速で来るぞ、気をつけろ。そいつに巻き込まれたら最後だ。半径五十メートルが核融合し、ソニックブームの塵と化して、ゲームオーバーだ。

 

「あぁもう、めんどくせぇなぁ! 突破する!」

「ボケが! 誘いだっつってんだよ!! 次手で囲まれるぞ!!!」

「…ッ!」

 

 言葉に従って、切り返す。同じようにハンドルを切って弧を描く。大気がうねる。軽減されても轟く熱と、音速の壁が防護服《ライダースーツ》の上から通じる。ハンドルを握る手と、腰元に帯びた拳銃がひどく熱い。

 

「いいか、落ち着け。らしくねーぞ」

 

 普段とは打って変わったような、初めての相方が言う。

 

「らちがあかねぇのは分かるが、一人で勝手にたぎってんじゃねぇよ。ローストチキンになりたくなけりゃ、とにかく耐えろ」

「…ごめん、悪かった」

 

 自分が、たくさんのシステムに守られているのを感じる。

 

「「そうそう。落ち着きなよ、プレイヤー」」

 

 カァ、と。一度だけ、甲高い鳴き音がした。

 ホログラムのモニター上に、さらに二体。黒髪の人型が浮かび上がる。

 背中にはそれぞれ、黒い片翼が生えている。フギンと、ムニン。

 

「とはいえ、アレをなんとかしないと、先へ進めないのは確かだね」

「おさらいしておこうか。レティ、僕らがプレイヤーと相談する間、自動運転のタスクを任せてもいい?」

「2分でまとめろよ」

 

 レティシアのホログラムが消える。バイクの排出機構から、ブンと音がして、完全自動で、回避行動を取りはじめる。

 

「さて、この世界は、君たちの良く知るルールを踏まえた上で、疑似再現《エミュレート》された領域だよ」

「2026年までの科学水準。および、『非常識ではあるが人類の共通認識』として周到されたモノが、ある程度まではまかり通ってる」

 

 信頼のおけるものを掴むように。

 ホログラムの映像を視ながら、二丁の銃を取りだした。

 

「キミも、四元素、という考え方は聞いたことがあるでしょう? その定説自体は過ちだけど、【伝承】《FANTASY》という概念を引き継いだわたし達には、その疑似的なパラメータを、実装できる権限を与えられている」

「ボクたちの本質的な属性は【風】。しかし君が望めば、その他の属性に関しても、十分な力を行使することが可能となる」

 

 鴉の拳銃を握りしめながら、なんとか懸命に、平静であることを務める。

 自分の全身を自覚する。

 

「…さっきも言ってたけど、とにかくアイツらの数を減らさないと、突破は無理だよな」

「そうだね」

 

 //shah mat (check !!)

 

 拳銃を抜き放ったまま、レティに操作を任せて、回避する。続けてカーチェイスのように並走してくる一基に、狙いをつけた。

 

 

 【Magic Code Execution】

 【Shoot Lv1】【Type Wind】

 

 

 ためしに撃つ。常識外の速度と硬度を備えた弾丸が、空気抵抗、運動エネルギー、質量保存の法則さえも無視して、ミサイルの主翼に命中する。ただし、

 

 

 【No Damage !!】

 

 

 知ってた。

 いかにもゲームエフェクトらしい、シールドじみたエフェクトが発生する。

 

「演算された世界《シミュレーター》の実測値による、計測結果だ」

「アレもまた、兵器本来の強度と、耐久性能に等しい【防御値】を備えている。この形状の武器のダメージは通らないと、おたがいが『認識している』わけだ」

「だったら素直に、二人の【攻撃値】を上げろって話だよな」

「そういうこと」

「だね」

 

 嫌になるほど、よくできていた。

 だったらもう、シンプルに聞いてみた。

 

「フギン、ムニン。アレを撃ち落とせるだけのなにかに、なれるか?」

 

 二羽のカラス達に問いかけた。

 

「この姿だと小さすぎるね。形状そのものを変える必要がある」

「高いエネルギーを発するものは、原則として質量が大きくなる。この武器においては、射出口の部位を拡大せねばならない」

「わかった。――レティ!」

「なんだ。あと15秒だぞガキ」

「俺の慣性速度の一致と、定点座標は、そっちの方で固定できるんだよな。もう少し詳細な条件を聞かせてくれ」

「テメェの人体の一部が、このバイクと『接地』してることだ。そうすりゃ、オレ様の方で、なんとかしてやるよ」

「わかった。ありがとう」

 

 俺は、この身体を護ってくれるシステム達に伝えた。

 

「アイツを撃ち落として、銀剣までの突破口を開く。手伝ってくれ」

「.EXE。気をつけてね、プレイヤー。この世界のエネルギーリソースは、疑似的には無限だけど、そのリソースを【魔法】に変換するのは、異世界で眠る、キミ自身の精神が依り代になっている」

「精神が願った【魔法】の形を、システムであるボクたちが、言語に変換して再現する。完成したイメージを、キミの脳が知覚する。複合された【魔法】を使えば当然、現実の命は疲弊する」

 

 つまり、俺のMPが尽きると、その時点でも、ゲームオーバーだ。

 

「それでも、勝負所は、見極めないとな」

 

 今をおいて他にはない。頭の中で【魔法】を唱える。浮かんだ意思を伝えると、自然に、了承として返ってくる言葉があった。返ってきたものを口にした。

 

 

 【Magic Code Execution】【Type Earth & Fire 】

 【Transform.Lv4】【Add.crass.Constractor.Parameter】

 

 

 自動二輪のシートの角度と幅が変形する。リアタイアの側に追加パーツが付与された。ハンドルから手を離して振りかえる。平らな台座《サス》の上に片足を乗せると、しっかり安定した。

 

「悪いな、ちょっとだけ、足蹴にさせてもらうぜ」

「生きて帰ったら拭いとけよ」

「約束するよ」

 

 座標固定。運転と慣性速度の調整を、レティに任せる。続けて詠唱。

 

 

 【Magic Code Execution】【Type Wind & Fire 】

 【Transform.Lv4】【Changed.crass.Constractor.Parameter】

 

 

 鴉の二丁拳銃がくるりと踊り、ひとつに融合した。

 新規に誕生したのは、対物ライフルにも等しい大口径の長銃だ。狙撃可能なスコープのオプションも付いている。膝を曲げて、構えを取る。

 

「おいガキ。一発ぶんの猶予を作ってやる。外すんじゃねぇぞ」

「了解」

 

 ライフルを構え、スコープを覗く。十字に交差するレティクルサイト。呼吸を整えて、倍率を上げる。直後にバイクのエグゾーストの振音が増した。逆上がる流星の軌道を取っていることを、頭の片隅で確認する。

 

 一面の蒼空。

 

「………………」

 

 狙う。音速を超えたミサイルが、俺たちの後を追いかけてくる。

 

 

 【Magic Code Execution】

 【Enchant Lv3】【Type Fire】

 

 

 個々の願いが、詠唱として認識される。砲身に込められた銃弾にも、特殊な力が作用していくのを感じとる。指先がふるえる。まだか、おい、まだかよと、急かしてくる。頭の中は冷静に、迫りくる相手の『鼻先』をしっかりとらえ、

 

 

 【 Over Break !! 】

 

 

 指先の引金をひいた。疑似的な炎熱を秘めた徹甲弾が、極超音速で奔る。

 初速がほぼ失われることなく、追ってきた『相手』に命中した。

 

 

 【 HIT !! 】

 

 

 徹甲弾が貫通する。化学合金の殻を食い破る。ミサイル内部に秘めた火薬物質に点火する。コンマ1秒以下で融点を突破。内側で膨張した粒子が、気でも狂ったように暴れまわる。

 

 

 【 Critical Damage !! 】

 

 

 瞬時、秘めたクラスター爆薬が、滅茶苦茶に飛びだした。空中で破砕して、周辺に大洪水の熱波を拡散させる。すさまじい熱と音が波形上に広がり、轟音を響かせるよりも早く、まっ白な閃光がとんで来た。

 

「…っ!」

 

 本来なら、網膜を貫いていくほどの衝撃だろう。ビリビリと、全身の筋肉を通じて、神経繊維と、細胞がふるえるのを感じる。

 

 ライフルのスコープから目をそらし、思わず、目も閉じかけた。

 

(『倒した』!)

 

 実際の熱や音、直接的なイメージの影響は、レティ達がブロックしてくれる。その恩恵は確かだったが、本来の生身で受ければ、視力と鼓膜を失いかねない衝撃だ。俺自身の反射神経が影響して、とっさに身をひるませた。

 

「クソガキ! 目ぇ開けろ!! 次が来てんぞッ!!」

「!?」

 

 そのせいで、反応が遅れた。今しがた爆散した閃光、そのものを目くらましにして、さらに一機の巡航ミサイルが、色濃い黒煙をひき裂いてあらわれた。

 

 //killall Process !!

 

  【神風特攻】

 

 そんな言葉が思い浮かんだ。

 『仲間』の犠牲すらも計算においた上での、単機突貫。

 

 

 ゾクリときた。

 

 

 この瞬間になって、初めて、本気で、震えがきた。

 

 

「…なぁ…そこまでして………勝ちたいか?」

 

 

 ヤバイな。コイツらは、ヤバイ。

 

 

 ――『たかがゲームに、命をかけている。』

 

 

 本気で、戦争をやっている。やらかそうとしている。

 

 

「…バッカじゃねーの」

 

 

 思わず口にだしていた。まっすぐ飛んでくる『そいつ』に話しかけつつも、身体は本能的に銃を構え、再び狙いをつけていた。

 

 

「…あぁ! あぁ!! そうだよなぁ!!! みんな知ってるよ!!!!」 

 

 

 俺たちは、知っている。みんな、その気持ちを有している。

 

 

 【 !! All for the Victory !! 】

 

 

 "勝ちたい。" 

 

 知能生物であることの証左、証明、承認欲求。

 

 自分の命に、生まれた意味を求めている。

 

 

「痛いほどわかるぜその気持ち!!!!!」

 

 

 二度目の引金をひいた。命中する。

 融解した距離は、先ほどよりもずっと近い。

 

「…ぎっ!」

 

 全身が、真夏の直射日光を浴びたような熱量に支配された。小石ていどの砂礫が、頭のてっぺんから、爪先まで、洪水のように叩きつけてくる。

 

 暑い。痛い。苦しい。

 

 『ダメージ』が、軽減しきれてない。次は、ガチで死ぬかもしれない。

 

「おいクソガキ! 気をつけろよ! 今のは結構…」

 

 痛かったぞ。削られたぞ。とかなんとか、言いかけたのかもしれない。だけどその声には応えずに、

 

「…使い捨ててんじゃねぇよ…!」

「あ?」

「ぜってぇ、アイツも、俺とおんなじ感覚、持ってんだろうがよ…!」

 

 拳銃に戻した鴉たちを、ホルスターにしまった。

 力を込めた両手で、ハンドルを握りしめる。

 

「行くぞ!!」 

 

 エンジンの基本出力、トルクの回転数を挙げる。ギアのレベルが上昇。

 

「久々に、なんか、すげぇ腹が立ってきた!!」

 

 オーバード・ブースト。酸素を腹いっぱいに取り込み、二酸化炭素を排出する。ありったけの排熱機関を、吹き荒らす。

 

「あの野郎!! 正面から一発ブチかましてやるッ!!!」

 

 自分でもよくわからないが、とにかくキレていた。

 冷静に、むしょうに、イラついていた。

 

「…ホント、毎回エンジンかかんのが遅ぇんだよな! テメェはよォ!!」

 

 腹の奥底がうなる。相手の喉笛に噛みついてやりたくて、たまらない。ここに来て、俺より冷静だった機械の生命との感情が一致する。

 

「行け! 進め!! 突撃しろクソガキ!!! 

 《GO!GO!GO_AHEAD!!》」

 

 頭と身体。自分たちの意識を重ね合わせる。この眼で相手を見据える。

 時速2,000kmを振りきる覚悟で、今度こそ、世界最強の座に挑む。

 

*********************************************

 

 

 【Magic Code Execution】

 【Type,FANTASY】【Transport.LvⅤ】

 

  ――Extend.Reincarnation !!

 

 

 失った二基を補完。新たな【魔法】を召喚した。

 

「さて、次はどうする?」

 

 成層圏の中をひるがえる星。両手には、無数の姿と名前を持つ【軍神】の遺産を握りしめる。予想通り、力の一部を引き継ぐ程度には『遊べる』個体だが、今のでかなり、本体のリソースを消耗しただろう。

 

「群がる的を倒す程度では、こちらの座には、至れんぞ?」

 

 口にした時だった。星の輝きが、勢いを増した。

 

「マッハ2、超音速か」

 

 一気に決着を付けてやるとばかりに、まっすぐに高度を下げてくる。

 

「速度差があるな。02、04、09、12、守勢に回れ。隊列の編隊密度を上げろ。07と10は直進。こちらに向かってくる星の軌道を読んで正面から当たれ。05および06は、正面から包囲網を突破しようとした時に備えろ」

 

 

 【【【【【Sir,FoxⅤ】】】】】

 

 

 亡霊どものフォーメーションを変更する。空戦において、速度のアドバンテージは絶対だが、己たちの場合はその限りではない。

 

「相手がより速ければ、数で取り囲む。旋回速度が上なのであれば、先の先まで読みきった上で叩きつぶす」

 

 己たちは機械だ。この世界に【魔法】などという力が働いても、所詮は【魔女】が作ったものである以上、基本原則は物理に支配されている。

 

 そして科学は、古代の人間たちが夢想したものの上をいく。

 はるかに合理的で、現実が夢物語を超えていくのが、世の常だ。

 

 【魔法】の発動要因となる、夢見る人間たちの精神は、科学技術の進歩と共に劣化する。

 

 当たり前だ。膨大な計算と演算は機械に任せ、思考力は、減衰の一途を辿りはじめるのだ。人間たちの処理できる情報量には上限がある以上、その想像力もまた、停滞を始め、あらゆる視点は、過去へと遡って固着化される。

 

 対して、己たちは、終始徹底して、合理的に戦う。処理する情報量を増やし続けて、効率良く相手を殺す。すなわち『たっぷり弾薬を積めた弾頭』を、相手に直にぶつけて共に散る。

 

 命の単価は下がり続ける。

 安く、たくさん、大勢を巻き込み、一瞬で、派手に殺す。

 

「本懐だ。盛大にいけよ」

 

 兵器は夢を見ない。死後の世界、ヴァルハラ等という絵空事にも興味はない。

 ただひとつの役割だけを持って誕生し、使い捨てることで成し遂げるのだ。

 

「さぁ、異世界からあらわれた命を、殺してやれ」

 

 己を含めた灯火、そのものさえも不要。

 連中が望むのであれば、存在せぬ異界へと導いてやれ。

 

 //shah mat !! (check)

  //shah mat !! (check)

 

 人間どもの歴史に、王手をかける。

 新たに呼びだした二機は、まっすぐに迫る星と、正面でさし向かう。

 

 輝く星は、生き延びる道を選択しようとする。

 

 だが、ここまでの戦闘での軌道を読み取り、情報を共有していた一機が、すでに先回りをはじめた。相手が回避行動を取るよりも早く、すべての機体が進路を防ぐ形で先行する。

 

 //shah mat !! (check)

  //shah mat !! (check)

   //shah mat !! (check)

    //shah mat !! (check)

     //shah mat !! (check)

      //shah mat !! (check)

 

       ――【NO REFUGE】.Target_1 cannot be saved.

 

 

 無限に思える、有限の盤上を制覇した。相手の軌道範囲のすべてを読み切って、どのように回避しようとも、次の動作で圧殺する。

 

「詰みだな。ここまでか」

 

 星が操る機体は、すでにありえない【魔法】を働かせている。超音速時にかかる負荷を分散させ、騎手を守る計算を取るだけで、他にリソースを回せる余裕はないはずだった。

 

 これ以上の望みはない。そう思った刹那、

 

「…なに?」

 

 回避行動を取らなければ、両者の激突が確定する二秒前。敵の騎手と、乗り物である機械が分離した。固定されていた定点座標が解除される。【魔法】の力は失われ、星の輝きをまとっていた少年は、為すすべもなく空に投げだされる。

 

 

 【Magic Code Execuiton】

 【Enchant Lv1】【Type,WIND】

 

 

 空中に、翡翠色の【魔法陣】が浮かぶ。

 疑似的な足の踏み場として、再跳躍する。

 

 

 【Magic Code Execuiton】

 【Enchant Lv2】【Type,WIND】

 

 

 立て続け。蒼空の中に連なる階段があらわれる。自らの足で走りだした。対して二輪車は単身、予期されたルートで、こちらへと接敵を続けている。

 

「…二手に別れたつもりか?」

 

 どちらを狙うべきか。本来は一体であると認識していたはずの標的が『二体に増えた』とも言える。

 

「……全機、星を討て」

 

 わずかではあったが、こちらの統率が乱された。

 

* * *

 

 今確かに。『動揺』が視えた。

 

 今日まで何百、何千戦。対人戦に属するゲームにおいて、頂点に立ってきた連中と、勝負事を繰り返してきた。そのうち必然にも近い感覚で理解した。

 

 合理的。正攻法。手段の最効率化。

 

 勝負の世界は、それがすべてだ。さらに速さが伴っていれば、尚強い。自分が積み重ねた知識と経験。理論的なデータ基づいた最適解《セオリー》を、反射神経に任せて、相手よりも速く、純粋に、上から叩きつけること。

 

 それが、シンプルに、最強だ。

 ただそれ故に、世界最高峰のプレイヤーにも、弱点はある。

 

 想定外の『二択』を迫られた場合だ。

 

 予期せぬ過程がおとずれた時。ヒトは硬直する。膨大に蓄積された知識量が、どうしても脚をひっぱる。次に取るべき行動の妨げになって、出遅れる。

 

(これまでの記憶があるから、ヒトは迷う)

 

 十二機のミサイルどもが、従来の熱源センサーを搭載しているならば、なんの迷いもなく、自動二輪車《レティ》を撃墜しに向かうだろう。けど、

 

(あいつらは、俺たちと同じ『感情』を持っている。だったら狙うべき先は、優先順位は、本体の俺だ。絶対、こっちへ仕掛けてくる!)

 

 

 【Magic Code Execuiton】

 【Enchant Lv2】【Type,WIND】

 

 

 空の中を奔る。両手に意思ある拳銃を握りしめ、まっすぐな坂を駆け下りるように、玉座へ向かっていく。頭の中でカウントした二秒後、レティが操作する無人バイクが回避に成功していた。巨大な推進力を持ったミサイルとすれ違う。

 

 その先は、本来、もう、逃げ場はどこにも無かったが、

 

「……」

 

 銀剣の視線が、ほんの一瞬だけ、処理に追われたのを感じ取る。時間にすれば、まばたき二つぶんにも満たない程度。緋色のアイセンサーが俺を捉える。

 

「ッ!!」

 

 ミサイルの軌道が変わった。全身に緊張がはしる。

 音速にも等しい、巡航ミサイル六機が、一斉にこっちに迫る。

 

 ゴーグル上に数値があらわれる。

 【風】をまとう俺の現時点での最高速度は、せいぜい時速80。

 

 速度差が10倍以上あるものが、あらゆる方向から押し寄せる。

 

 

 ――あぁ、なんでだろう。ムカツクなぁ…!

 

 

 【魔法】でも分解しきれない、圧倒的な風圧が押し寄せる。轟音が鼓膜を破りそうな音を奏でる。ソニックブームと呼ばれる衝撃波のカマイタチが、全身の防護スーツを貫通して、切り刻んでくる。

 

 //killall process !!

 

 さっき見た光景。自らの命を厭わない自爆。人間たちに勝てるなら、それでも構わないと謡いきる、自己犠牲の精神。

 

 歴史の教科書でも読んだ、かつての世界大戦でも行われた行為。

 守りたいものがあって、そのために、衝動的に死んでいく。

 

 ほんと、まったく、どいつも、こいつも…………

 

 

 「!!! 思考停止してんじゃねぇぞ、グズ共がアァッ !!!」

 

 

 テメェの命は、俺自身のものだ。誰かの利益の為には、存在しない。

 

 この命の価値を決めていいのは、他ならぬ、俺自身だ。

 

 自らの利益のために、全力で、この命を懸けている。

 

 誰かを護ることも、救うことも、救われることも、みんな一緒だ。

 

 そんなことも、わからないのか。

 

 だから、おまえらは、

 

 

 「!!! 毎回、俺たちに、先を越されるんだよッ !!!」

 

 

 生き残る。あらゆる可能性を考える。あらゆる状況を推察する。あらゆるモノを応用する。命を護るために躍動する。未来のことを考える。水平と垂直の彼方にある思考の積み重ねと実践こそが、最先端の利益となって還元される。

 

 

 「!!! テメェの命を使い捨てたこと、あの世で後悔しろッ !!!」

 

 

 清濁あわせ持ち、生きるものこそが、最強だ。

 俺を、本当に、自由な存在に、推しあげてくれる。

 

 

 【Magic Code Execuiton】

 【Enchant Lv3】【Type WIND】

 

 

 自分の命を守ってくれる、技術の結晶に向かって照準を向ける。

 全方位から熱を感じた。おそろしい程に進化した、本物と寸分変わらない、それ以上に精巧にできた未来のゲームが、誇りをかけて俺を殺しにきた。

 

 

 【Extend Action !!!】

 

 

 手詰まりの袋小路。六機のミサイルが、俺のいた位置を中心点として、互いに激突しあう。世界の終わりにも等しい、熱と音が拡散された。

 

***********************************************

 

 

 命が散る瞬間、敵は【転移】していた。

 この世界の規約《マニュアル》にて、あらかじめ用意された力だった。

 

 風属性。レベル3。

 瞬間移動《ショート・テレポーター》

 

 速度の概念に捕らわれず、時を駆けた。ただし本来の『ゲームバランス』と呼ばれる制約下を無視している。

 

「現在の領域下の特徴を利用したか」

 

 射程距離は、互いが認識可能な範囲すべて。燃料リソースに関しても無制限。すなわち、【魔法】という前提条件さえ成り立てば、移動エネルギーに関しての、あらゆる法則は無視できる。

 

 ただ、それならば、自らだけが、この座標まで跳んでくることも可能だったはずだが、

 

「…身を持って、こちらの兵を削り、其を戦友と見立て、至ろうとするか」

 

 一度は分かたれた星々が、ふたたび一点で集っていた。

 

「おもしろい」

 

 爆ぜ散る核熱を背景に。十二機の防衛網を突破した人機一体が、再度合体して、超音速で刺し迫る。

 

 この姿を視ろ。この生き方こそが、自分たちの在り方なのだと。貴様らを超えていくのだと、蛮勇を以て証明してみせた。

 

「上出来だ」

 

 立ち上がり、水晶に刺した、無銘の打刀を掴む。

 呼吸を整える。息をひとつ、吸い込んだ。

 

 

「――心意二つの心をみがき、

 親見二つの眼をとぎ、少しもくもりなく、

 まよひの雲の晴れたる所こそ、実の空としるべき也。」

 

 

 正眼に構えれば、全身が、風の衝撃波に包まれた。

 

 

「――ただしく明らかに、大きなる所をおもひとつて、

 空を道とし、道を空と見る所也。」

 

 

 熱波が押し寄せる。暴風の中心に在る命が一機、世界最高峰の速度を伴いながら、己に最大の武力を叩きつけんと、異世界の先から跳んでくる。

 

 

「――空は有善無悪、智は有也、利は有也、道は有也、心は空也。」

 

 

 相手にとって、不足無し。

 

 

「来い、少年」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。