剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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018話 新学期、対真祖編(05) 麻帆良の森での出会い

 

あの後、ネギ君たちと別れて管理人室に向かうとそこには最近よく入り浸っている刹那と楓がいた。

刹那はいいとして楓はまた俺の作る食事狙いか?まあ食材は提供してもらっているから別に構わないが。

 

「どうしたんだ、今日は?」

「いやなに。士郎殿がいつもより遅いから気になっただけでござるよ」

「迷惑なら出て行きますよ、士郎さん?」

「いや、構わないよ。それで遅くなった理由なんだが楓はこっち関係だから話して大丈夫なのか?」

「ええ。構わないわ、シロウ。だから私も楓に私達のことを教えたんじゃない?」

「そうだったな。それでだが、実はネギ君とアスナが今日茶々丸と戦闘をしていてな」

「「「はい……?」」」

 

はてなマークが出ていたので詳しく教えてやった。

カモミールの力によって仮契約をアスナと結んで今はまだ戦えないうちに茶々丸だけでも倒してしまおうということ。

だが、ネギ君はその判断に納得がいかず魔法の矢を放ったはいいがやはりいけないと判断して魔法の矢を反転させたこと。

それで仕方がないので俺がそれをすべてガードしてやったなど。

 

「ネギ先生らしいですね。まだ甘いところがありますが」

「それにしてもアスナ殿と仮契約を結んだでござるか~」

「ああ。できれば一般人のアスナは巻き込みたくなかったが、こうなったらしかたがないだろう。なんだかんだでアスナはネギ君を心配している節があるから手は貸すと思うからな」

 

「そうでござるな」

「確かに……」

「そうよねぇ」

 

言い方は三者三様だがどれも同じ感想だということがよくわかった。

 

「で、あちらはまだ心配だが明日は休日だから心配ないだろう。ネギ君が逃げ出さない以上は、だが……」

「確かに今のネギは不安定だからマイナス思考気味だし」

「ま、アスナやカモミールもついているから大丈夫だろう。さて、では食事を作るとしようか」

「これが今日の材料でござるよ。新鮮な魚は鮮度が命でござるからな」

「お。毎回すまないな、楓」

「おいしいものが食べられるのならこれくらいお安い御用でござるよ。ニンニン」

「ふむ、岩魚か。そのまま焼いてもおいしいがこれは後日にとっておこう」

「なんででござるか?」

「前にもらった岩魚を俺特製のダシで何日か前から熟成しておいたんだ。山菜やきのこもそれを使うことにしよう。これは京都などでもよく使われるダシを使用しているから刹那の口にも合うと思うぞ」

「ありがとうございます」

「まあこれも世界の料理を旅先で直に体験していたシロウだからこそできる技法ね」

「では士郎殿は大抵の国の料理を作れるでござるか?」

「さすがに全世界とまではいかないが大抵は、な」

「それならお店でも開けそうですね?」

「さすがにそれは無理だろう?そこまでの技量は持ち合わせているつもりはないからな」

 

「いえ、普通に開けると思うんですが……」

「右に同じね」

「同感でござる」

 

「……今日はやけに三人とも息が合っているんだな」

 

「そんなことは……」

「ない……」

「でござるよ?」

 

「…………」

 

上から刹那、姉さん、楓と……絶対に口裏合わせているな? なんだ今のジェッ〇スト〇ーム並みのコンビネーションは? 刹那もまさか参加してくるとは思わなかった。

まあ別に気にはしないが……それよりさっさと作って食べるとしよう。

それから四人で食事を済ませた後、楓に明日修行に付き合ってもらえないかと言われたので刹那に聞いてみたが大丈夫だといったので明日は山奥までいくことになった。

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

それで翌日になって来てみたはいいんだが、なんだこのアインナッシュや富士の樹海みたいな森は?ほんとうにここは学園の近くの裏山なのか?

 

「なあ楓? ほんとうにここは裏山なのか? 富士の樹海と酷似しているぞ?」

「まぁまぁいいではござらんか? 修行できればそれでよしでござる」

「まあそうだが……」

「それより、そろそろいいでござるか?」

「ああ、荷物は置いたことだし始めるとしようか?」

 

楓は俺の言葉に即座に反応して姿を消した。

だがそう簡単に俺から隠れることなんて思わないほうがいいぞ?

 

「―――同調開始(トレース・オン)

 

俺はすぐに目を中心に身体強化を施し干将莫耶を投影して木の枝を足場代わりに使い瞬動をして楓を追った。

するとそこには15人以上の楓がいた。分身という奴か。

 

「刹那に習っていたと聞いていたがもう瞬動術を会得していたとはすごいでござるな」

「まあ、そこそこは努力したからな。それより一斉に喋るな。耳が痛いぞ」

 

そこから干将莫耶を左右に投擲して次々と楓の分身を切り裂いていった。

そして次は洋弓を構えて本体の楓の左右にいる分身体を射抜いた。

 

「勢いがよいでござるな。もしかして拙者も射抜こうとしているでござるか?」

「まさか。本体以外を潰しているだけだ。確かに楓の分身は高度な方だがまだまだ詰めが甘いところがある。ほら!」

 

ドスドスっという効果音とともに楓本体を木に縫い付けた、と思ったがそれは実体をもった分身。本命は、

 

「上か!」

 

読みどおり本体は頭上から迫ってきていた。そして左右から以前にくれてやった複製とともに本物の巨大手裏剣が迫ってきている。

ほう、14歳とは思えない鋭い手際だ。さすが甲賀忍者! だが、まだまだ!

俺は瞬時に三方向に向けて干将莫耶を計6本放ち、まず手裏剣を地面に落としまた投影して楓に瞬動で一気に接近した。

そしてクナイと干将とで鍔迫り合いになり、そこで動きは止まったが、

 

「―――鶴翼(しんぎ)欠落ヲ不ラズ(むけつにしてばんじゃく)

 

「…士郎殿? 今のは呪文でござるか?」

「さてな。それより俺ばかり構っていると夫婦剣の餌食になるぞ?」

「? ッ!? 先ほど放って打ち落とした剣が拙者に向かってくる!?」

 

楓が隙を見せた瞬間に俺は即座に手にある干将莫耶以外のすべての投影剣を破棄しのど元に切っ先を突きつけた。

それからしばらく時間が流れてやっと楓が白旗を揚げて降参した。

 

「最初は俺の勝利だな」

「いや、まいったでござるな。士郎殿の魔術はある意味反則気味でござるなぁ?っと、それより先ほどまだ拙者の分身に甘いところがあるとはいかに?」

「それか。何、簡単なことだ。一つは楓自身以外の分身に影が無い。そして分身体はこの森の中では一見惑わすなら有効手段だがわかるものにはわかるものがある。

なにかわかるか?」

「影が無い以外にもあるでござるか?」

「わからないか? では教えてやろう。

楓たちは先ほど木の枝を足場に使っていたが楓以外は全員枝の上に乗っても揺れ一つしていなかった。だからすぐに本体を突き止めまわりの分身を潰していったんだ」

「なるほど~勉強になったでござるよ。これからそこら辺も修行の一つに追加することにするでござる」

「まあしいていうなら先ほどは使わなかったが解析能力を駆使して戦闘すればどれが本体か丸分かりだからな」

「なんと! そこまで見極めることができるのでござるか、士郎殿の目は……? では拙者の分身は士郎殿には通用しないというわけか」

「いや? そんなことはないぞ。俺の目を持ってしても多分だがすべての見極めは不可能だ。実際15人いる内の楓を含めて4体くらいは同じくらいの質量を持っていたからどれを仕留めればいいか一瞬迷ったからな」

「ん~……それではもっと数を限定して分身の錬度を上げていけばいずれは士郎殿から一本取るのも夢ではないととるべきか」

「そういうことになるな。だがそう簡単に俺から一本を取れると思ったならそれこそ油断に繋がるから今のうちに戒めておけ」

「あいあい。では次は、っと……」

「誰かこの森に迷い込んだか?」

 

すぐに第二ラウンドを開始しようと俺と楓はエモノを構えたが、この森に俺達以外に人の気配がまぎれてきたのでいったん終了としてその気配を探っていった。

しばらくして森の中にある沼にその人物の気配がしたので歩んでみるとそこには水にぬれてボロボロの格好になったネギ君が力なく横たわっていた。

そして俺達の気配に気づいたのかこちらに顔を向けるとまるで神の助けと言わんばかりに飛びついてきた。

 

「長瀬さんに士郎さん!?」

「こんなところでどうしたんだね、ネギ君?」

「それが……う、うわぁぁ~ん……」

「よしよし、落ち着くでござるよ」

 

楓がネギ君を落ち着かせているうちにまわりにまた気配が無いか探ってみたがそれらしいものは見つけられなかった。

それで判断したことだが、どうやら昨日話していたことが当たっていたらしい。

怖くなって逃げ出してきたのだろう。

 

「それで、どうしたんだね?」

 

ネギ君がやっと落ち着いたところで話を振ってみた。

だが、話してはくれそうにない。事情を知らない楓がいる手前話ができないのか。

 

(楓、どうやらネギ君は楓がこっちの事情を知らないように思っているようだから話を合わせてくれ)

(了解でござるよ)

 

口言葉で楓に話して承諾を得た後、

 

「言いたくないなら聞かないでござるよ」

「すみません……」

「それよりここで会ったのもなにかの縁。ネギ坊主、よかったら一緒に修行しないでござるか?」

「修行、ですか?」

「まあもっぱら食材取りだろう?」

「そうとも言うでござるな」

 

それから俺と楓とネギ君で森の中でまずは川の中にいる岩魚を取ることになった。

楓はクナイを使い次々と仕留めていく。

だから俺も洋弓を使い次々と岩魚を仕留めていった。

 

「お? その矢は魚を焼くのに適しているでござるな?」

「確かに……いちいち突き刺す手間は省けるな」

「お二人ともすごいですねー…」

 

その後の楓の珍妙かつ正確な回転投げや背面投げなどでクナイを投げていた。正直どういう体をしているのか?

次に森の中に入ったら入ったですぐさま分身してどの楓も違うことを話しながら山菜やきのこを探っていた。

さっきの戦闘ではさして気にしていなかったがやはり東洋の神秘というのはすごいものがある。

その後、取ったもので昼食をとっていたがやはりネギ君は浮かない顔をしていたので、

 

「ネギ君、そんな顔はしないほうがいい。幸せが逃げていってしまうぞ?」

「でも、僕……」

「やはり昨日のことを引きずっているのか?」

「はい……」

「そうか。では……えりゃ!」

 

俺は、らしくもない声を出しながらネギ君の頭に手刀を叩き込んでいた。

当然いきなりなのでネギ君は目をぱちくりさせていたが、構わず何度か叩いて後、

 

「ネギ君、今のは俺なりの罰と思ってくれ。

昨日はしかることはしなかったが今日はその根性に喝を入れてやろう。と、言うわけで、おーい、楓?これから少しもっと奥に入ってみないかね?」

「いいでござるよー?」

「え? え?」

「では、いくとしようかネギ君」

「え……? うわあぁぁぁあああ!?」

 

それから俺はネギ君を片手で抱えて楓とともに山の中に駆けていった。

山登り、蜂の巣取り、熊から追いかけられる……などなど。

大いに一日を謳歌していった。

それで楓が用意したのかドラム缶の風呂があってもうへとへとであったネギ君を先に入れてやった。

 

「さて、ネギ君。今日一日なにもかも忘れて楽しんですっきりしたかね?」

「え? そ、そうですね……少しばかり気が晴れました」

「そうか。それならよかった」

「では、ネギ坊主も元気になったところで拙者も入るとするでござるよ」

「え……?」

「では俺は退散していよう」

 

阿吽の呼吸のごとく俺は楓のそのたった一言でなにをするのか理解しその場を離れることにした。

そしてネギ君の助けてくださいコールが聞こえてきたが俺では無理です。だから……合掌。

その後、結局ネギ君は楓のテントに泊まっていき、翌朝色々考えた末自信を取り戻したのか朝に修行をしていた俺に一言いって失くしていたらしい杖の在り処を目を閉じて、

 

杖よ(メア・ウィルガ)!」

 

唱えたと同時に杖がネギ君の手に戻ってきた。

 

「ありがとう、僕の杖」

「ほう、なかなかのものだな」

「ありがとうございます、士郎さん。僕、なんとかこの事件を前向きに解決していきたいと思います」

「そうか。ではなにかあれば俺を呼べ。力になろう」

「はい! それと長瀬さんにありがとうございますと伝えといてください」

「わかった、伝えておこう」

「それではまた明日学校で会いましょうね、士郎さん!」

 

そう言ってネギ君は杖にまたがり空を飛んで寮のほうへと戻っていった。

最悪の場合、俺が変わりに手を下そうとも思っていたが、これならもう心配はないだろう。

後はお互いの出方しだいということだな。

 

「ところで、わざわざ俺が伝える必要はないようだな、楓?」

「気づいていたでござったか」

「ああ。テントの中から起きる気配がしたからな。それよりネギ君は立ち直ったようだ。後はどう行動するかは見定めるとしようか」

「あいあい。それは兎も角、朝食が済み次第昨日やり損ねた修行をやるでござるよ?」

「了解だ」

 

そして二日目の朝から俺は楓と本気ではないが何合も打ち合いを重ねていった。

当然、全戦全勝してやったがな。まだまだこの程度で負けるわけにはいかないからな。

……そういえばネギ君が飛び去った後、木の上で見えなくなるまで見ていたが、なぜかアスナとカモミールが森の中をさ迷っていたがネギ君はもしかしてどこにも告げず出て行ったのか?

あれは一晩中探していたような疲れた顔だったと記憶する。

 

 

 

翌日、ネギ君はいつもの元気を取り戻してクラスのみんなに挨拶していたが、その手に持っている『果たし状』なる封筒はなにかね?

それで教室に向かうと、

 

「おはようございます! エヴァンジェリンさんはいますか?」

「おはようございます、ネギ先生」

「今日エヴァンジェリンさんは風邪で休みだって」

「そ、そうですか……よーし! ちょっと行ってきます!」

「あ! ちょっとネギ! どこにいくってのよ!?」

 

ネギ君はアスナの制止の声も耳に入ってないらしくHRもしないで家庭訪問にいったらしい。

しかたがなく俺が点呼を取ったがまさか一人で相手をしにいったのか?

それでHR後にカモミールが俺の肩に乗ってきて念話で話しかけてきた。

 

(なあなあ、士郎の旦那?)

(なんだ、カモミール?)

(なぜか昨日から兄貴が元気すぎていて逆に不気味なんだがなにかあったんすか?)

(さあ? ただ前向きな姿勢になったのはいいことではないか?)

(まあ、そうなんすけど……)

(そう心配するな。俺も今日は予定が済み次第で姉さんとともにエヴァの家に行ってみようと思っているからな。

カモミールはその間、アスナとともにクラスのみんなにはネギ君がいないのはなぜかとか聞かれたら誤魔化しでもなんでもしておいてくれ。

このクラスの連中のことだ。好奇心半分ネギ君目当て半分でエヴァの家に押し込むかもしれないから迷惑だろうしな)

(了解っす!いやぁ~、士郎の旦那は話がわかるぜ)

(褒めてもなにもやらんぞ?)

 

そしてカモミールとの会話を終了し、今日の予定の受け持ちの授業も終わらせた後、姉さんと合流してエヴァが住んでいるという家に向かっている途中で茶々丸と会った。

 

「あら、茶々丸さん。ここでなにをしていたの?」

「はい。マスターは風邪のほかに花粉症も患っていまして、ちょうど薬を切らしていましたのでツテのある病院まで薬を取りに行っていた帰りです」

「……エヴァは、ほんとうに吸血鬼なのか?」

「そうね。真祖とはまるで思えないわ」

「それはしかたがありません。マスターは登校地獄という呪いで普段は本当に10歳の少女となんら変わりませんから」

「そうなのか。しかし、登校地獄なんて……名前からしてふざけている魔法だな」

「まったくね」

「それより衛宮先生。この間はありがとうございました。おかげで場を脱出することができましたから」

「なにをいう。それならむしろネギ君にお礼をいうべきだぞ?」

「そうですね。そうします」

「それでいい」

 

それから三人で会話をしながらエヴァの家に着いたのだがログハウスとは珍しいな。

そんなことを思っているとエヴァの怒号の叫び声とネギ君の謝罪が入った声が聞こえてきて、

 

「あ、マスターが元気に……よかったです」

「いや、なにか論点がずれていないか?」

「まったくね」

 

とりあえず茶々丸に続いて家の中に入ってみると、所狭しとファンシーな人形などが並べられていて趣味がわかるようなものだった。

そしてそこではネギ君とエヴァが子供の喧嘩のようなやり取りを繰り広げていた。

 

「む? 茶々丸、帰ってきたか、って何故約二名余計な奴らがいるんだ!?」

「はい。近くで会いましたので衛宮先生も用があったらしいのでお連れしました」

「ちっ! 余計な痴態を見せてしまったな」

「ごめんなさい、エヴァンジェリンさん……」

「もういい。知られてしまったのは変わらんからな。ほら、保護者も迎えに来たことだしさっさと帰ることだな」

「これは余計な心配だったようだな」

「そうね。でもエヴァの面白い一面が見られて楽しかったわ」

「ぐっ! 衛宮イリヤ、実はかなり性格悪いだろう?」

「あら、そう?」

 

……とりあえずネギ君には長くなりそうなので先に帰っていいと言って帰らせておいた。

それからまた姉さんとエヴァによる小さな争いが勃発してため息をついていると部屋の窓際付近から不気味な笑い声が聞こえて行ってみると、そこには茶々丸に少しだけ似ているが背は二頭身くらいの人に恐怖を与えそうな表情をしたパペット人形が置かれていた。

 

「ヨオ、お前ガ衛宮士郎カ?」

「魂が宿っている人形か。魔力は流れていないが一応はエヴァの従者の一人という事か?」

「一目デ見破ルトハヤッパリヤルジャネエカ。益々オ前ト戦イタクナッタゼ」

「それは嬉しいことだな。だがその体ではろくに動けそうにないだろう? ちなみにお前の名前はなんというのだ?」

「チャチャゼロダ」

 

そこで姉さんと言葉の言い合いをしていたエヴァが後ろから教えてくれた。

話によるとエヴァが俺のことをチャチャゼロに教えたところとても興味を持ったとの事だ。

 

「それはそうと喜べ衛宮士郎。近々本気でぼうやと戦うことになるだろうからな」

「そんなことを俺に教えてもいいのかね?」

「ふんっ! 私をなめるなよ? 貴様ごとき少し本気を出せばすぐにでも殺せるということを覚えておくんだな?」

「ふっ。実に頼もしいお言葉だ。では期待しておこう。ダーク・エヴァンジェリン」

「私の強さに歓喜の涙を流すがいいさ。麻帆良ブラウニー」

「……ふふふ」

「……くくく」

 

お互いに罵倒しあいながら暗い笑みを俺とエヴァは浮かべていたらしいとその後に姉さんが教えてくれた。

そんなに暗かっただろうか?

 

「ケケケ、ジャ楽シミニシテオケヨ衛宮。アノ坊主ハ俺ニハ役者不足ダガ、オマエナラ本気ヲ出セソウダシナ」

「では俺の最初の相手はチャチャゼロということか」

「マ、最初デ最後トカイウ言葉モアルダロ?」

「それはお互いに言えることだな」

「チガエネェナ」

「では、そのときになったらまた会おう。エヴァに茶々丸、チャチャゼロ。では帰るとしようか姉さん」

「ええ、そうね。そうだわ、エヴァ。もし負けたらなぐさめてあげるわねぇ~」

「ええい! やかましい! さっさと貴様は帰らんか!」

 

最後は姉さんの挑発によってこの場は終了した。

……しかし、これは本当に戦う前の空気なのか疑問に思ってしまったのは俺だけだろうか?

 

 

 




イリヤがエヴァ弄りのアップを始めている。

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