剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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022話 修学旅行編 1日目(01) 観光パニック!?

 

 

修学旅行当日、俺はいつもどおり起きていた。(起床は四時。)

それでも普通に教師陣の集合時間には間に合う時間というのは姉さんが言うにやはり生活環境が俺は変なのだろうか?

まぁ、いい。朝食と行きの弁当を作った後、姉さんを起こして駅に向かうとしよう。

ちなみに弁当に関しては対策はしっかりとしてある。なんせいつ楓が掠め取ろうとするのかわかったものではないからな。

そしてまだ眠いらしいのか目を擦っている姉さんをなんとか駅に連れて行き、つい最近学園長に同業者と知らされた瀬流彦先生と話をしていた。

 

「それで、瀬流彦先生。ネギ君にはまだ知らせなくていいんですね?」

「うん。それで頼むよ、士郎君にイリヤさん。でも学園長も人がいいのか悪いのかわからないね」

「まったくですね。今日は一緒ですが明日、明後日は奈良のほうは頼みましたよ。俺達のほうはネギ君含め3-Aを守りますから」

「わかったよ」

「それじゃそろそろ話は切り上げましょう。もうどこかで見張られているかわからないですからね」

「了解した」

 

俺達は瀬流彦先生と別れた後、ネギ君がホーム入り口からとても浮かれている顔をしながらやってきた。

なので、もう先に生徒のみんなと話をしているネギ君の方へと近寄っていき、

 

「あ、士郎さんにイリヤさん! おはようございます!」

「おはよう、ネギ君」

「おはよう、ネギ。楽しそうね?」

「はい。京都には父さんの家もあるっていうからわくわくしちゃいまして」

「そうか。だからといって気は抜かない方がいいぞ? 今回は任務付きなんだからな」

「はい、大丈夫です」

「それならいい」

 

それから3-Aの生徒や他のクラスの生徒も続々と集まりだしてきた。

 

「士郎さーん、イリヤさーん、おはよう!」

「おはようです」

「おはようでござるよ」

「おはよう、楓に鳴滝達。ほれ、ご要望の弁当だ。サンドウィッチにしてあるから後でみんなにも分けてやるといい」

「ありがとー!」

「気前がいいでござるな」

「お前にいちいち狙われてはかなわんからな」

「ニンニン♪」

 

……楓、澄ました顔をしているといつか天罰を下すぞ?

 

「士郎さーん、一昨日の誕生日会楽しかったね!」

「また料理をゴチになりいってもいいですか?」

「なら事前に教えておけよ?いつでも作れるとは限らんからな」

「はーい!」

 

元気に返事をして三人はみんなのもとへと入っていった。

 

「生徒達に慕われていますな、衛宮先生」

「新田先生ですか。ええ、まあ管理人もしていますから自然と生徒達が部屋に来るものでして」

「そうですか。ではさぞ疲れるでしょうな」

「そんなことはないわよ。いつもみんなはいろんな話を持ち込んでくるけど楽しい話題ばかりだから退屈しないで済むわ」

「ならよかったですよ。では私も点呼を取るのでこれで」

 

新田先生は笑いながら違う場所で先ほどとは打って変わって顔を鬼にして並ばない生徒を叱っていた。

 

「あれで鬼の新田って呼ばれているんだから甘いわよね、シロウ? あれならまだライガのほうが怖いわ」

「こらこら。姉さん、新田先生と雷画じーさんを比べてはいかんだろ。あちらは本物だからな」

「確かにそうね。あ、ネギも点呼を取っているみたいだから私はシズナと一緒にいるわ」

「わかった。では行ってくる」

「ええ」

 

それでネギ君のところに着いてみたはいいがなにやら困っているようだ。

その先には刹那とあまり話したことはないがザジがいた。

 

「どうした、ネギ君?」

「あ、士郎さん。それがですね。エヴァンジェリンさん達がいないので6班が二人だけであまってしまったんですがどうしましょう?」

「そうなのか?」

「はい。それでどうしたらいいでしょう、士郎さん?」

「うん、そうだな……」

 

そこで考え込んだが先にネギ君がアスナ達に刹那を任せてしまったのでそれに承諾することにした。というか一人で決めるのならわざわざ俺に聞くな。

 

(士郎さん、確かに近寄る努力はするといいましたが、これは……)

(いいではないか。いい機会だから近くで見守るだけでもいい経験だぞ)

(……はい、なんとかやってみます)

 

「せっちゃん……同じ班やね」

「あ……」

 

そこでこのかが刹那に話しかけたのだが刹那は一度お辞儀したがそのまま無言で歩いていってしまってこのかが悲しい顔をしていた。

……やはり前途多難だな、これは。もう少し正直にぶつかれれば……ま、それが出来ていれば苦労はしないか。

それなのでさりげなく俺はこのかを元気付けることにした。

 

「このか、不安そうな顔はしないほうがいい。どういった事情かは分からないがこれから話しかけるチャンスはあるさ」

「あ、士郎さん……うん、そうやね! ありがとなぁ!」

 

よし、これでいい。しかし事情を知っているとはいえ実に歯がゆいな。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

それで点呼を取り終わった後、電車は関西へと出発して俺と姉さんは生徒と別の教師用の車両で話し合いをしていた。

ちなみに現在、ネギ君は生徒達の方へ遊び……もとい見回りに行っている。

 

「そう。まだお互い話し合えるチャンスは巡ってきていないのね」

「ああ。このかは頑張って話そうとしているのだが刹那は一歩引いてしまうんでな」

「セツナも難儀ね」

「まったくだな。まぁ時間はたっぷりあるから今回に賭けてみようと俺は思っている」

「そうね。西の刺客もきっとコノカのこと絶対狙いそうだから」

「それを考えると学園長をますます叩きのめしたくなってくるな……」

「同感ね。今度はどんな罰を与えようかしら?」

 

姉さんの悪戯な笑いに冷や汗を垂らしていると突然、生徒達の車両から悲鳴が上がった!

おい、いきなりか!?

 

「早速のようね。それじゃいってらっしゃい」

「ああ」

 

それで着いてみるとなんともまぬけな、いや異様な光景が広がっていた。

見渡す限りカエルの群れが車両を覆い尽くしていた。

魔法と同じで呪術も隠匿するものではないのか? あ、頭が……

と、とりあえず……

 

―――解析開始(トレース・オン)

 

車両を解析してみたところ、魔の力が宿っているお札が貼られていることが判明して、俺は範囲にそれらしい術者がいないことを確認してお札に軽い術なら吹き飛ばす効果のある針を投影して指で放ちそれがお札に刺さると同時にカエルの大群は姿を消した。

これで俺がしたというのも気づかれないことを祈ろう。

それよりカエルは消えても惨事は収まっておらず呆然としているものや気絶しているものが後を絶えていなかった。

……しずな先生や和泉が気絶しているのはまぁいいんだが、驚きなのは楓が気絶していることか?

 

「あ!? 待て!」

 

そこでネギ君が突然車両内を走り出して、駄目だぞ? と注意しようとしたが、一羽の燕が親書を加えて飛び去っていくことを確認し、俺も追おうとしたがそこで通信用の携帯が鳴り出てみると相手は刹那だった。

 

『士郎さん、親書の方は任せてください! それよりお嬢様達のほうをお願いします!』

「了解した。それと間抜けなお札は破壊しといたから安心しておくんだな」

『はい。では!』

 

ピッ! と携帯を切るととりあえず俺はネギ君の代わりにみんなを落ち着かせた。

 

「それより、この程度でなんで楓が気絶をする……?」

「楓はカエルが大の苦手なんだよ、衛宮先生」

「龍宮か……しかし意外だったな。まさか楓がな」

 

こちらの世界を知っている龍宮が話しかけてきたのでとりあえず受け応えをしておいた。

 

「なにか困ったことがあったなら私にも話をまわして下さいよ? 依頼料はもらいますがね」

「いつものことながらちゃっかりしているな……」

「これが性分ですので。それじゃ席に戻りますよ」

「ああ。気絶した奴を頼むぞ。俺は少し“あちら”を見てくる」

「了解したよ。それと、先ほどのはナイス判断でしたよ」

「やはりお前は見えていたか……」

「ええ。それじゃ……」

 

龍宮、侮れん奴だな……。タカミチに習って気づかれないように打ち出してみたのだがな。

ま、敵ではないのだから今は傍観しておこう。

とりあえずネギ君の方へ行ってみるとしようか。

だが、結果は大丈夫だったみたいだな。刹那がネギ君の走っていった方から歩いてきている。

だからすれ違いざまに、

 

(親書の方は取り返しました。そちらの方はどうでしたか?)

(すまん、お札のほうは気づかれないように破壊したが術者本人はお札が破壊されたことによって用心したようでうまく隠れたようだな。だからもう車両内では仕掛けては来ないだろう。だが、これで妨害工作はしてくるのは確定と考えて行動した方がいいだろう)

(はい。まだ修学旅行は始まったばかりですから用心します)

(それで多分気づかれてはいないようだから、これから俺はもう少し傍観することにする。刹那は顔を知られているが俺はまだ知られていないだろうからな)

(わかりました)

(ではそろそろ気取られては間抜けだろうから話はまた後にしよう)

(はい)

 

瞬時のやり取りで俺と刹那は会話を終了させて席に戻った。

しかしいきなり仕掛けてくるとは相当厄介な奴らだな。

とりあえず姉さんと普通の会話をしながら分割思考で念話をしていた。

 

《もう関西呪術協会の奴らが仕掛けてきたようだ》

《早いわね。それでどんなことがあったの?》

《呪術でカエルの大群が出現していた……》

《……は? なにそれ、それって相当なめられているって事じゃない?》

《ま、しかたがないだろう。ネギ君ではあれはなにかわかっても解除は困難だろうからな》

 

はぁ、行きからコレでは先が思いやられるな。

そうこうしている内に電車は京都へと到着した。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side ネギ・スプリングフィールド

 

 

さっき、桜咲さんが親書を取り返してくれたんだけど、ど、どうしよう~……カモ君が「あいつは怪しいぜ!」といって警戒している。

確かに刹那さんの足元にはシキガミっていうものが落ちてたし。

エヴァンジェリンさんに続いて桜咲さんまで敵かもしれないなんて。

と、とりあえず警戒しなくちゃ。

それで京都に着いたはいいんだけど電車から出る前にまた桜咲さんがこちらを見ていた。やっぱり敵なんだろうか……?

でもそれはそれとして京都に着いた。それから清水寺っていうでかい神社に着いて集合写真を撮影した後、士郎さんに相談しようとしたんだけど、

 

「これが噂の飛び降りる奴!?」

「だれか飛び降りれ!」

「では拙者が……」

「ええっ!?」

 

とおっ! と軽快な叫びとともに本当に楓さんが飛び降りちゃった!?

ええ!? 楓さん!!?

それであたふたしていると、すぐさま士郎さんが、

 

「あの阿呆めが!」

 

楓さんを追って飛び降りた!!?

幸い他のクラスの人達は気づいていないようだけど僕たちは急いで階段で下に降りていった。

だが、下では頭にでかいたんこぶを作った楓さんが体を震わせながら正座をして士郎さんに説教を受けていた。

……士郎さんの説教している時の笑顔がすごい怖かったのがとても印象に残りました。

 

「あれは、怖いね……」

「うんうん、怖い。あれは笑顔だからこそだせる恐怖だね」

「まさか本当に飛び降りるなんて思わなかった……」

「楓ねぇ、気の毒に……」

 

みなさんは本当に気の毒そうな顔になっていましたが、すぐさま気を取り直して先に進んでいった。

順応高いなぁ……。

それと夕映さんが士郎さんと楓さんのところに向かっていき、

 

「実際に飛び込む光景を見れて感激しましたです!」

「……ふむ。なら、綾瀬も飛び降りてみるかね? よければ全力で手伝ってあげるぞ?」

 

士郎さんの恐怖の笑顔がクリーンヒット!? 夕映さんはすぐさま土下座をしていた。

 

「ユエ吉も愚かねぇ……あれは蟻地獄にみずから飛び込む蟻みたいなものよ?」

「あわわ、ねぇパル、助けにいかなくて平気かな?」

「いって、それからどうするのよ?」

 

笑っていたハルナさんの表情が一変して真剣になった。

確かに僕でもそう思います。士郎さん怒ったら本気で金縛りにあったみたいで動けないですから。

 

「ふう、次やったらこれでは済まさんぞ?」

「やったらどんなことをするでござるか……?」

「仏像を抱いて正―――……「拙者が悪かったでござるから、どうかご容赦を!」……ならいいだろう」

「士郎の旦那、恐ろしいぜ……今の発言最後まで聞こえなかったが想像しちまった」

「うん。僕も想像しちゃった」

「士郎さんってたまに過激よね……」

「あれくらい、まだ序の口よ、アスナ?」

 

アスナさんとカモ君とそんな会話をしていたら後ろからイリヤさんが声をかけてきた。

でも序の口って、一体……?

僕の疑念の表情を察したのかイリヤさんは淡々と語ってくれた。

 

「そうね……昔にね、シロウがあるお城で執事をしていた時のことよ」

「執事!?」

「お城!?」

「話の腰を折らないの。その時にね、あまりにしつこい客が来ていて、そこの主もシロウも相当ストレスがたまっていたのかそいつは数分後にはどこかの部屋に連れて行かれてそれから私は二度とその人の顔を見ることはなかったわ」

「………見ることがなかったって、なにしたんすかイリヤの姉さん?」

「さぁ? 私は一切関与していないから知りたいならシロウに直接聞くことね。でも、その時の断末魔の叫びは凄かったわ。思わず参加したいくらいだったわよ」

 

イリヤさんは懐かしそうに空を見上げていますが……とてもじゃないですが士郎さんに直接なんて恐れ多くて聞くことは出来ません!

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 桜咲刹那

 

 

ふぅ、今のところはこれといって妨害工作は見当たりませんね。

それにしても、楓め。実は邪魔しているのではあるまいな?

あれで士郎さんと口会話が出来なくなってしまった。

それでしかたなくお嬢様やネギ先生達を見ていることにしたのだが、士郎さんにまたもやそんな過去が。どれだけのことに手を出しているのだろうか?

とりあえず、今はネギ先生のことを見張っていよう。

士郎さんもまだ傍観に徹するということだから頼りはネギ先生だけだ。

しかし、あの先生についている使い魔(?)の視線が気になるな? 士郎さんの話では頭は回るが同時に空回りが多いと聞くし。不安だ……

 

しばらくしていいんちょさん達が恋占いの石の場でチャレンジするみたいだ。

そこで楓がやっと落ち着いたのか士郎さんの視線が伝わってきて、

 

『雪広達を止めたほうがいいか? 途中に落とし穴があるが……』

『え、本当ですか?』

『ああ、それにまたカエルの符が敷かれているな。相当なめられているみたいだな。さて、ネギ君はどうでるか……だが、今はなぜか注意が刹那に向けられているから気づくのはまず無理だろう』

『はぁ、私ですか?』

『おおかたカモミールがネギ君にいらん事を吹き込んでいるんだろう? 俺はとりあえず姉さんと周りを警戒しておくから後は頼むぞ』

『はい、わかりました』

 

そこで士郎さん達は他の先生達と日常会話をしだしていた。器用だ……。

だが、やはり士郎さんの言ったとおり、

 

「わっ!?」

「な、なんですの!?」

「キャ―――!!またカエル!?」

「大丈夫ですか!いいちょさんにまき絵さん!?」

 

妨害工作に引っかかっていて後手に回ってしまっている。本当に大丈夫だろうか?

それからしばらくして音羽の滝についた一行は何名かが真っ先に縁結びの水を飲んでいたが突然次々と酔って倒れていった。

お酒の樽が上に仕掛けられているのは知っていたがそれも気づかないなんて、

 

「まぁ仕方ないか……色々重なっていて注意が霧散しているだろうから。後で士郎さんとイリヤさんと対策を練らないと……」

 

その後、酔いつぶれたものを無理やりバスに詰めて旅館『嵐山』に直行した。

そこで一度私は気を静めるためにお風呂に入ることにした。

そしてお風呂場に到着するとそこにはイリヤさんがいた。

 

「あら、セツナ。この時間は教師の時間よ?」

「あ、すみません。少し考え込んでいたもので忘れていました」

「ま、いいわ。それじゃ入るとしましょう。ここまで来て帰すのもあれだから」

「ありがとうございます」

 

それでイリヤさんと一緒にお風呂に入ったのだが、なんといいますか、やはりイリヤさんは美人だ。

肌もまるで雪のように白くてその銀色の髪と赤い瞳が神秘性を持っている。

 

「ふふ……どうしたの、セツナ?」

「あ、すみません! あまりにイリヤさんの体が綺麗なもので……」

「あら、それをいうならセツナだって綺麗よ? 繊細で日本で言うなら大和撫子みたいな感じね」

「あ、ありがとうございます」

「ふふ……本当ならもう少しセツナとお遊びしたいとこなんだけれど本題に移るとしましょうか」

「ええ。その前に……そこに隠れているのは誰だ!?」

「あ、セツナ! 待ちなさい!」

 

イリヤさんが何かを言っているようだが殺気を感じた私はすかさず夕凪を取り出して構えをし、

 

 

―――神鳴流奥義!斬岩剣!!

 

 

逃げようとしたので眼前の岩ごと切り裂いた! そしてすかさず相手に詰め寄り取り押さえようとしたが夕凪を弾かれた!?

だが、問題はない! エモノ無しでもこの程度なら容易い!

そして捕まえたのはいいのだが、その相手はなぜかネギ先生だった。

 

「あ、あれ?」

「だから待ってっていったのに……余裕が無さ過ぎよ、セツナ?」

 

後ろからタオルを巻いたイリヤさんが呆れた顔をしていた。

そこで冷静になってすぐに私もタオルを巻いて、

 

「やいやい! 桜咲刹那! やっぱりお前も関西呪術協会の刺客だったんだな!?」

「それは勘違いもいいとこよ、カモミール。セツナは私達の仲間よ」

「え? そ、そうなんですか、イリヤさん?」

「ええ。でも警戒していたとはいえ覗きなんてするものではないわよ、ネギ」

「あ! そ、そんなつもりは……!」

 

誤解はイリヤさんがいたためすぐに解けたが、なるほど……ネギ先生は私を刺客だと勘違いしていたのか。

 

「それよりカモミール? また早とちりしたのね? なにかあったら私かシロウに相談しろっていっておいたわよね? お仕置きかしらね……?」

「ひぃぃぃ!? 蒲焼だけは許してくだせぇ!」

「それは先延ばしして、それより士郎さんは今はなにをしていますか?」

「外からの侵入者の警備で屋上に陣取っているわ」

「そうですか」

 

「きゃ―――!?」

「いや―――ん!!」

 

よかった。と言おうとした瞬間、脱衣場でお嬢様達の悲鳴が聞こえてきた!

まさか今度こそ敵か!?

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 衛宮士郎

 

 

む? なにやら風呂場のほうが騒がしいな……まさか!?

その時、姉さんから念話が聞こえてきて、

 

《シロウ! 緊急事態よ、コノカ達が脱衣場でなにか猿の大群に襲われているわ!》

《脱衣場……俺は、どうすればいい?》

《っ! そうね、それじゃその場からコノカ達の体を見ないようにすべての猿を射抜いて!》

《了解した》

 

それで俺は弓を構えようとしたが、いきなり不穏な気配を感じてその場から横に飛んで魔力弾が飛んできた方へと即座に見やるとそこには数体の鴉の人型の妖怪が俺の行く手を塞いでいた。

 

「ちっ!? 邪魔だ!」

 

俺はすかさず干将・莫耶を投影して瞬動ですぐに敵に肉薄して切り払った!

だがこれで足止めは成功されてしまった!

 

《姉さん! そちらは大丈夫か!?》

《ええ。なんとかセツナがすべて切り払ったみたいだわ。それにしてもどうしたの、シロウ?》

《すまない。突如、まるで空間転移してきたみたいに妖怪が現れて襲われた》

《え!?》

《これはいよいよきな臭くなってきたぞ。本気で用心せねばな》

《そうね……》

《む!?》

 

俺は気配がした方へとすかさず弦を引いて矢を放ったが中るイメージがしなかったのでおそらく逃げられたのだろう。

 

《どうしたの!?》

《おそらく式使いがいたから矢を放ったのだが逃がしたようだ》

《そう。とりあえずここには主要人物は揃っているみたいだから休憩室で会いましょう》

《ああ》

 

俺はとりあえずもう一度周辺を確認してもう敵がいないことを確認した後、旅館の中に入っていった。

すると玄関のところで刹那がどうやら結界らしきお札を貼り付けていたので話しかけてみた。

 

「刹那、そちらは無事だったようだな」

「はい。それより妖怪に襲われたと聞きましたが大丈夫でしたか?」

「大丈夫だ。それより援護にいけずにすまなかった」

「構いませんよ」

「それとどうやらすでに旅館内に潜伏していたようだな。先ほどここの従業員らしい服装の女を確認したが取り逃がしてしまった」

「呪符使いの女、ですか……厄介ですね」

「そうだな。それより姉さんやネギ君達が来たようだから作戦会議といこうか」

 

 

 




さっそく士郎達の存在がバレている模様ですね。

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