剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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026話 修学旅行編 3日目(01) 剣製と狗神の出会い

 

 

 

修学旅行三日目、一般人生徒達は宮崎が賞品として仮契約カードをもらい皆から羨ましがられている中、休憩所ではアスナの怒声が響いていた。

まぁ、怒りたくもなる。姉さんの妨害がなければ俺は即座にでもカモミールに解体ショーを決行しているかもしれないから。

 

「まったく! ネギ、こんなにカードを作っちゃってどうするつもりなのよ!?」

「えぇー!? やっぱり僕のせいですか!」

「まぁ、士郎さんはイリヤさんに眠らされたって言うから仕方がないけどイリヤさんは反省しているんですか?」

「ええ。今回は私にも非があるから正直に謝るわ。でもコノカのことがどうしても放っておけなくてね」

「その件ですが、その、お嬢様は自分の意思で士郎さんの頬とはいえ……その、キ、キスをしたのですか……?」

 

刹那がそのことをもごもごと聞いてくる。しかし俺が眠らせられた後の話だから関与はできない。恥ずかしくもあるのでよって無言を通す。

 

「そうね。私が後押ししたからできたもののゲームに参加したのはコノカ自身の意思だからそうだと思うわ」

「そうっすよ。アスナの姐さん」

「あのときのこのかの真剣な目はすごかったわね~」

「朝倉とエロガモは黙ってなさい!!」

「エロガモ!?」

 

そこでアスナの怒声が再度上がった。これでは収拾がつかないので俺は話を移行するよう施した。

 

「まぁ、このかの件に関しては俺にも少なからず関係しているから何も言い訳しないが、厄介事には巻き込むなといっておこう」

「そうですね。お嬢様はこんな世界に入れたくはありませんから……」

「わかっているわよ、士郎さんに刹那さん」

「はい。でもそれをいうとアスナさんも一般人では……」

「今更そんなこと言う?」

 

そういってアスナはネギ君をこついていた。

確かに今更である。

それで納得したのかネギ君も宮崎や他の生徒達にはこちらのことは明かさないといっていた。

まぁ、それが当然の対応だな。

 

「それよりアスナの姐さんと士郎の旦那にはカードのコピーを渡しておくぜ」

「いらないわよ! どうせ通信できるだけでしょ?」

「いや……待て、アスナ。カモミール、これはもしかして以前刹那に聞いたがアーティファクトという道具を呼び出せるというものか?」

「お? さすが旦那は詳しいっすね。そうっすよ、“来れ(アデアット)”って唱えれば一昨日姐さんが出した武器も出せるぜ!」

 

そこでアスナは嫌そうな顔をしながらもカードを持ってアデアットと唱えた。

するとアスナの手にはハリセンが握られていた。

しかし、ふと疑問点が出てきた。

 

「なぁ、カモミール。ネギ君の本体の方のカードを見せてもらって構わないか?」

「……? いいっすけど」

 

カモミールとネギ君の了承を得て見せてもらったがやはりおかしい。

カードのアスナが持っている武器はハリセンではなく大剣だ。

そのことを聞いてみたが、

 

「確かにおかしいっすね?」

「まぁいい。アスナ、そのハリセンを見せてみろ」

「え?うん……」

「では…解析開始(トレース・オン)

「ちょ……シロウ、なにする気?」

「いや、このハリセンの機能はどうなっているのか調べてみる」

 

 

――創造の理念を鑑定

――基本となる骨子を想定

――構成された材質を複製

――制作に及ぶ技術を模倣

――成長に至る経験に共感

――蓄積された年月を再現

――全ての工程を凌駕して幻想を結び剣と成す

 

 

「――――全工程完了(トレース・オフ)

 

そして俺の手に握られていたのはハリセン………ではなくカード通りの大剣だった。

それに一同は驚いていた。

 

「やはり、このハリセンはアスナの現段階の能力によって仮の姿をしているようだ。その気になれば自由に変換可能だ」

 

このようにな、といって俺は剣をハリセンに変えてちょうどいいから鬱憤晴らしにカモミールを叩いておいた。

当然非難の声が上がったがスルーした。

 

「え? それじゃ私はまだ未熟だからってこと?」

「そうともいうな……」

「そんなぁ……」

「まぁそう落ち込むな。ハリセン形態でも下級の魔物と対決くらいはできるからな」

「それより…だとすると士郎の旦那のカードはなにを意味しているんすかね?」

 

そう、それが一番問題だ。俺のカードには、まぁ聖骸布姿の俺が描かれているのはいいとしよう。

しかし俺の背後に一緒に描かれているまるで夕焼けのような両刃の大剣はなにを意味しているのか?

 

「ねぇシロウ。とりあえず出してみたら?」

「そうだな。思案するより出して解析したほうが早い。アデアット」

 

そして出してみたはいいが変哲のないただの赤い大剣だった。……大きさはバーサーカーの剣並くらいあるが。

 

「お、大きいですね……」

「ああ。確かに大きいがなぜこんなに大きいのか…? とりあえず解析してみるか」

 

そして解析した結果、俺はその効果に驚かされた。

姿形はともかくこれは宝具に近いものがある。

…というより俺にエアサーフィンでもしていろというのか?

 

「どういった効果なの、シロウ?」

 

そこで姉さんに問いただされて意識を浮上させた。

 

「ああ、この剣は……そうだな。能力の一つは空を飛ぶ剣とでも言っておこうか」

「まじっすか!? なんだそのレアなアーティファクト!」

「どうやら持っているだけで浮遊の魔法がオートで稼動し一般人には見えないというオマケの効果もついている。だが、これは剣として使う分にはあまり大差ないが空を飛ぶという行為だけなら危険物だな」

「どうしてですか? 空を飛べるというのはそれだけでいいアドバンテージになると思いもいますが…」

「…手に持っているだけでも使えるが本来の使用は…例えるならサーフィンボードだ。それで突撃なんてしたらどうなる?」

 

みんなはどう想像したのか知らないが顔を青くしていた。

 

「確かに、危ないですね……」

「ボードの練習しておいた方がいいんじゃない? シロウ」

「そうだな。麻帆良に戻ったら特訓しておこう。ボードサーフィンなんて一度もしたことがないからな。

だから今回は浮遊だけは有意義に使わせてもらおう。

さて、ではそろそろみんなも普段着に着替えてこい。今日は自由行動でようやく本来の目的でもある本山にいくのだからな」

「はーい!」

 

カモミールにカードに戻す呪文も聞いたあと、ネギ君達は各自準備をしに部屋へと戻っていった。

だが、俺と姉さんはまだその場に残っていた。

事前に念話で知らせておいて正解だったようだ。

 

「それで、シロウ? まだ話していないことがあるってなに? アスナ達に話せない秘密がその剣にあるの?」

「ああ。この剣は実を言うとランクは低いが宝具に匹敵する代物だ」

「うそっ!? そんな感じはしなかったけど……」

「それがな。この剣はなぜ赤いのかよく調べてみたら俺の心象世界に繋がっていることが判明した。だから力を発揮すれば心象世界で燃え上がっている炎が現実に投影され熱を宿すものらしい……他にも効果は色々あるが」

「……あらためてこの世界の魔法のすごさを実感したわ……そんな特典がつくなんて元の世界じゃそれこそ封印指定ものね…」

「ああ。俺もつくづく規格外の存在だなと思い知った……ま、別に気にはしない。では姉さんも着替えてきたらどうだ? 俺も着替えてくるのでな」

「わかったわ」

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

それから俺はいつも通りの私服で黒のシャツとパンツを着てその上に聖骸布のコート(普段着用)を着用し一同の集合場所に向かった。

集合場所には姉さんをはじめネギ君、アスナ、刹那がいたのだがその場には一般人である残りの5班のメンバーもいて思わずなんでさ? と突っ込みたい衝動に駆られた。

 

「あれー? 今日も士郎さん私達と同じ班についてくんの?」

「いや。早乙女、俺は途中から抜ける予定なので実質は姉さんだけ着いていくことになっている」

「なにか野暮用があるですか?」

「そういうことだ。それより……」

 

俺は関係者一同を目で呼び出し小声で会話をした。

 

(おい、なぜ早乙女達がいる? このかはしかたがないとしてもネギ君とアスナは先に本山に向かっていると思ったぞ?)

(ごめんなさい、士郎さん。パルに嗅ぎつかれて捕まっちゃったのよ)

(…なるほど。早乙女は勘がいいからな。しょうがない、では俺達が気を逸らしておくから二人だけでも先に本山に向かえ)

(すみません、士郎さん…)

(なに……気にするな、ネギ君)

 

それから俺達は観光に向かった。

そしていくつか巡っているうちになぜかゲームセンターに立ち寄ったのでこれも記念ということで早乙女がプリクラを撮ろうと提案してきたので別に構わないので撮らせてもらった。

しかしなぜか俺は姉さんとこのかとの写真を多く撮られていた。

このかがすごい舞い上がっていたのは、まぁ……なんだ? 申し訳ないとしか言いようがない。

意識していなかったが俺が寝ている間にこのかにキスされたのだったな。

さすがに動揺はしないが気にかけていないといえば嘘になるな。いかんぞ、あくまで生徒と教師なのだから。しかもこれでは学園長の思う壺じゃないか!

だからさっさと邪念は振り去り仕事の方を考えることにした。

するとふとネギ君達がゲームをしている場所に普通の歩方ではない帽子をかぶったガクランの少年が近寄っていった。

悪意はないようなので傍観することにしたが、出て行くときに注意をしておいた。

「一般人に溶け込むのなら歩き方にも注意したほうがいいぞ」と、それだけで少年は敵意を剥き出しにしてきた。

 

「……兄ちゃん、なにもんや?」

「なに、しがない一教師だよ。それよりこの場でやりあう気はないのだろう?」

「そうやけど、別に今でもいいで? 兄ちゃんかなりできるんやろ? 見ただけでわかるで」

「さてな。俺はあくまで受けに回るつもりだが……そちらがそのつもりならいつでも相手をしてやってもいいぞ?」

「ええ度胸や。んじゃ戦うことがあったらいちいち名乗るのも面倒やから今名乗っておくわ。俺の名は犬上小太郎や」

「ほう……名乗られてはこちらも名乗らねばいかんな。俺の名は衛宮士郎だ」

「士郎の兄ちゃんか…気に入ったで!」

「それは結構。さて、ならばさっさといけ。今なら見逃してやる。だが次会うことがあるならば……相手をしよう」

「気前がええな! ますます気に入ったで! ほなまたな士郎の兄ちゃん」

 

小太郎を見送った後、俺もまだまだ甘いなと思った。見つけた敵を情けで見逃すとはな、と…。

それからネギ君とアスナもうまく抜け出せたようで俺も姉さんと刹那にこの場は任せて遠回りをしながらもネギ君達の後を追った。

 

 

 




士郎の仮契約カードがただの代物の訳がない。
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