剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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更新します。


027話 修学旅行編 3日目(02) 二箇所の戦闘風景

 

 

 

 

Side 衛宮イリヤ

 

 

どうやらシロウはネギ達の方に無事向かったようね。

これなら一応一安心ね。でもネギ達の方はもう本山の入り口に着いている頃だからなにかしら妨害にあっているかもね。

そこで刹那の視線が伝わってきたので振り向くと、

 

(イリヤさん。どうやら現在ネギ先生達は西の刺客の一人に襲われているみたいです)

(そうなの。で、状況はどう?)

(正直言って芳しくありません。相手は近接戦闘に加えて符術士でもありアスナさんの動きも軽く避けているようです。ネギ先生も魔法障壁を抜かれて軽症を負った模様です。今はなんとか一時撤退することが出来ましたが状況は依然厳しいと思われます)

(そう…まったくシロウはなにをしているのよ?)

(それはしかたがないです。今ネギ先生達がいる千本鳥居の場所には無限ループの結界が張られていますから進入は困難なのでしょう)

(……わかったわ。セツナ、少し待って。シロウに念話でそのこと伝えた後、本気を出してもいいからと伝えておくから)

(ほ、本気ですか……?)

(そう、本気よ。結界なんてものはシロウにかかれば1秒もしないで破壊しちゃうんだから!)

(い、一秒……)

(あ…でも、もう平気みたい。シロウも中に進入したみたいだからすぐに追いつくって言ったわ)

(わかりました。先生たちにそのことを伝えておきます)

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side ネギ・スプリングフィールド

 

 

よし! 体勢は万全、後は相手が襲いかかってくるのを待つだけだ。

瞬間は一度、来た!

 

「風精召喚!剣を執る戦友!!迎え撃て!!」

「はは! やっと本気か!? だげどな、こんなもん、へでも…ッ!?」

「『魔法の射手・(サギタ・マギカ・)連弾・(セリエス・)雷の17矢(フルグラーリス)』!!」

 

よし、うまく乗せることができた。相手も乗ってくれたようでこれで今一番の魔法を撃てる!

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル……闇夜切り裂く一条の光、我が手に宿りて、敵を喰らえ……!」

 

受けてみて!

 

「『白き雷(フルグラティオー・アルビカンス)』!!」

「うがああああぁぁぁあ!!?」

 

白き雷の直撃を受けた少年はそのまま後ろに吹き飛ばされていった。

でも、それだけでやれるとは正直思っていない!

その証拠に土煙の中からすごいスピードで迫られて鉛を受けたような拳をもらっちゃった! いけない!?

アスナさんとカモくんも黒い狗のような影にとらわれて身動きができないでいる。

それから何度も拳や蹴りを受けてとても痛いけど今はまだ我慢できる範囲だ。

そして少年がとどめの一撃を決めようとした。

ここが、チャンス!

 

「契約執行0.5秒間、ネギ・スプリングフィールド……!」

 

即座に少年の拳を受け止め逆に殴り返して空中に上がっているところを下に回り再度詠唱をし、掌を少年の背中に当てて白き雷を放った。

少年は痺れて動けないようで顔だけこちらに向いている。

だから僕は大声で叫んだ。「これが僕の力だ!」と。

 

そこからすぐに形成を建て直して脱出する算段をしようとしたらまだ動けたようで立ち上がったと思ったら少年の体が変化した!?

カモ君がいうには獣化っていうけど人間じゃないの!?

でも、今は関係ないので再度自分に契約執行を施し挑もうとしたらそこにのどかさんが現れて次々と少年の攻撃先を読んでくれている。

あのアーティファクトの力なのかな?でもそろそろ僕も魔力が危ない。そこでふいに意識が揺らいでそこをついてか少年が特大の拳をあびせようとしてきた。やられる!?

そう思って目を瞑ってしまったが痛みはやってこなかった。だから恐る恐る目を開くとその拳は力強い人の手により止められていた。

 

「なっ!?」

「なかなかいい戦いぶりだった、ネギ君。だが最後に目を瞑ったのは反省点だな」

 

そこには獣化して力も上がっているのにまるで微動だにしない士郎さんの頼もしい姿があった。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 衛宮士郎

 

 

よかった。かなりの傷を負っているようだが重傷というわけではないようだな。

 

「すまない。遅れてしまったな……だが、後は俺が引き受けよう。宮崎は、まぁしょうがないから後ろに下がっていろ」

「は、はい!」

「…なんや士郎の兄ちゃん? 邪魔すんのか?」

「まぁそう邪険にするな、小太郎。ネギ君も今は限界のようだから選手交代だ」

「まぁええわ。士郎の兄ちゃんとも戦いたかったからええで!」

「結構結構。ではやるぞ」

 

俺は徒手空拳で構えをした。

 

「え、士郎さん。武器は出さないんですか?」

 

ちびせつなとアスナからそんな言葉が聞こえてきたが、

 

「相手もそうなのだから合わせてやるものだ」

「嬉しいこといってくれるやないか! それじゃお先に行かせてもらうで!」

「どこからでも来い。すべて受け止めてやろう」

 

俺は身体強化をかけて小太郎の接近を待った。

少し時間がたった時、ついに小太郎は動きを見せた。

するといきなり分身なんてことを仕掛けてきた。

だが、まだまだだ。

 

「まだまだ分身の錬度が甘いぞ。これならまだ楓の方が優秀だ。はっ!」

 

俺は分身の攻撃は全て避けて本体を掌底で吹き飛ばした。

 

「がっ!?」

「む……少し力を入れすぎたか」

「こなくそ!」

 

小太郎は吹き飛ばされたところから狗神を何体も放ってきた。

物量作戦で来たか。だが話にならん。

 

投影開始(トレース・オン)!」

 

そこで初めて俺は干将莫耶を投影してすべて瞬動でもって切り払った。

それに驚いた小太郎は俺が後ろに回ったことにも気づかずそのまま地面に沈めてやり完全に力を奪ってやった。

そして時間切れなのか獣化が切れたようだ。そこで俺は小太郎も刹那と同じ境遇の奴だとなんとなく悟った。

 

「く、くそぅ……兄ちゃん強すぎや!」

「そうでもない。俺の場合は経験がものをいっているからな。それに凡才の俺に比べお前には才能がある。一流の戦闘者としてのな。また会うことがあるのならば鍛えてやることもない」

「ほんまか!? ネギの奴にも勝てるようになれるんか!」

「それはお前次第だ。まぁ当分は謹慎を受けるだろうがいつか麻帆良に来れるときがあるだろう。その時は時間があればいつでも相手をしてやろう」

「へへ……嬉しいわ。今は気分がええ。だから脱出の仕方を教えてやるで?」

「それには及ばない。もう基点はわかっているからな。ではまたな小太郎」

「ああ。それと最後に聞いてええか?」

「なんだ?」

「兄ちゃん、何者や?」

「……なに、ただの魔術師だよ」

「……!」

 

小太郎はなにか感じたか知らないが固まっている。なので早々にみんなを連れてその場を立ち去った。

 

 

 

──Interlude

 

 

士郎達が立ち去った後、小太郎は仰向けになりながら気分に浸っていた。

 

「でも、士郎の兄ちゃんの一瞬見せた寂しげな目……あれはなんやったんやろな? あれは俺等と似たような感じやった。

でもいい兄ちゃんやったな。ネギやあの姉ちゃんもいるようやし謹慎がとけたらあっちにいってみるのもいいかもしれんかもな?」

 

だが、と小太郎は言葉を止め、

 

「ネギとの決着はまだついとらん。回復したら覚えとけよ、ネギ! 次は負けへんで!!」 

 

小太郎は声高らかに叫んだ。

その表情はとても晴れやかだった。いい好敵手と、近い将来に師匠と呼べるかもしれない人物ができたからだ。

小太郎にとって今回の事はかなりの収穫があったのは確かな事実だった。

 

 

 

Interlude out──

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 衛宮士郎

 

 

「ですが士郎さん、結界の解き方はわかるのですか?」

「ああ。少し待て。投影開始(トレース・オン)

工程完了(ロールアウト)停止解凍(フリーズアウト)全投影連続層写(ソードバレルフルオープン)!」

 

俺はある鳥居に10本ほどの剣を放ちそれは呪印が記されているところにすべて命中し最後に、

 

「アデアット。行け! 『剣製の赤き丘の千剣』!」

 

鳥居の門に向けてアーティファクトの剣を放ちそれは命令通りに結界の基点の中心に突っ込み爆発を起こした後、煙の中から回転しながら俺の手に戻ってきた。

すると周辺の歪みが元に戻り目の前には川が流れていて巨大な岩が出現した。

 

「え、えげつねぇな……士郎の旦那。そのアーティファクト、爆発の効果もあんのか?」

「まぁな。アベアット。さて、ではあそこで少し休むとしよう。ネギ君の手当てもしなくてはいけないからな」

「は、はい。でもやっぱり士郎さんって強すぎですね。アーティファクトももう使いこなしてますし」

「いや、まだ完全とは言えん。エアサーフィンの特訓もあるしなにより未知の部分がまだあるからな。それより俺が今気になっているのはなぜ宮崎がこの場にいたのかだな?」

 

そこではっとしたのか一同は一斉に宮崎に顔を向けた。

 

「そ、それは……ネギ先生とアスナさんがどこかいくのを見てどこいくのかな~と思っちゃって……」

「なるほど。それで鳥居に迷い込んで運良くネギ君達と合流できたわけか。まぁばれてしまったものはしかたがない。とりあえず一緒に連れて行ったほうが危険が少ないからいいだろう」

「そうっすね。しかし、のどかの姉ちゃんのアーティファクトも使い方によっては結構使えるぜ! いやー、これはいいパートナーにめぐり合えたもんだな!」

「こら! エロガモ、勝手に話を進めない!」

 

みんなが騒いでいる中、俺はちびせつなに話しかけていた。

 

「それで今そちらの状況はどうなっているんだ?」

「それは…ッ!?」

 

そこで突然ちびせつなの様子がおかしくなった。

どうやら本体の方が連絡ができないほどに緊急事態なのだろう。ちびせつなは式紙に戻ってしまった。

ここは姉さんと刹那が頼りだな。

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 衛宮イリヤ

 

 

まずいわね。シロウの方はどうにかなったみたいだけどこちらも動き出したわ。

セツナはもとから身体能力が高いからこれくらい走ってもどうということはないみたいだけどコノカとユエとハルナはさすがにきついみたい。

でも、やってくれるわ。こんな街中の中で堂々とエモノを放ってくるなんて。

私はシロウやセツナみたいに弾いたり掴むといった行為は魔術を大っぴらに使わないとできないから今はセツナだけに任せるしかない。

 

(どう、セツナ!? まだ追いついてきているの?)

(そうみたいです。くっ! 白昼堂々と!)

(愚痴ってもしかたがないわ。セツナ、ちょうどいいからあそこのシネマ村に逃げ込みましょう)

(わかりました! イリヤさんは、その、跳べますか……?)

(なめないでよね! シロウほどの跳躍は無理でも質量操作と重力制御の魔術を使えば跳べるわ! でも私はユエ達についているわ。万が一ってこともあるから。だから後ほど合流しましょう!)

(わかりました)

 

口での会話を済ませた後、セツナはコノカを抱えてシネマ村の中に入っていった。

コノカはCGとかいっているから暢気なものね。気づかれるよりマシだけど。

それから私は周りを警戒したけどどうやら相手はセツナしか標的にしていないらしく先ほどまでの気配は消えていた。

この様子だとシロウの話していたツクヨミって子なのかしら…?

だからとりあえずもうばてそうな二人を落ち着かせて私達もシネマ村に入ることにした。

 

「イ、イリヤさん……一体何事ですか?」

「そうですよ~。いきなり走り出すからなにが起こったのかとか」

 

そこでやっと息切れも回復してきたユエとハルナが話しかけてきた。

 

「ごめんね、私も説明できる状況じゃないわ。というよりなんで走っていたのかしら…? とりあえず私達もシネマ村に入りましょう。二人とはその時に合流できるでしょう」

「…そうですね。と、いうよりお金を払ってから入れです…」

 

ユエ……意外に適切なツッコミね。確かに考えてみればセツナ達は無断で侵入したのよね? 二人が狙われないことが分かっていたら私も跳んでおけばよかった……。

それはともかく中に入って少ししてセツナ達を発見した。

そこでシネマ村名物の仮装をしたカズミ達も現れて正直対応に困っているとカズミが小声で話しかけてきた。

 

(ねぇねぇイリヤさん。もしかして今現在進行形で敵に追われているとか?)

(…よくわかったわね。白昼堂々とセツナが言うには針状の突起物を放ってきたそうよ。それでこのシネマ村に逃げ込んだんだけど……)

(そうなんだ。ところで士郎さんはいないの?)

(シロウはネギ達の方へ遠征しているわ。あちらはかたが着いたようだけどこちらはまだ危険な状況ね。少しシロウと連絡をとってみるわ)

(それよりイリヤさん。なんか敵っぽい奴がこのか達の前に出てきたみたいだよ?)

(え!?)

 

はっとなりセツナ達がいる方へ振り向くと麗人が着そうな服装をしたツクヨミが馬車で現れてセツナに挑戦状として手袋を投げつけていた。

辺りが騒ぎ出している中、私はシロウに念話を決行していた。

 

《シロウ、こちらは先行きが怪しくなってきたわ。そっちに何人いたかわからないけどこちらは複数いるかもしれない》

《…そうか。そちらに式紙を使ってネギ君が向かったがよければ俺も向かうか? 今なら空をかっとんでいけるからな》

《ええ、任せるわ》

《了解した》

 

シロウとの念話を終わらせるとセツナ達と合流してなぜか私も仮装することになってしまった。

十二単というらしいけどどうにも動きがとりにくいわね。

 

「いやぁ~、イリヤさんってほんと似合ってるね!」

「本当ですわ。とても綺麗ですわよ、イリヤ先生」

 

カズミやセツナ達、それに一般客にも注目されてしまって正直恥ずかしいわ。

まぁいいわ。悪い気はしないから。途中で式紙のネギとも合流。そうして仮装集団となって歩いていると目的地に到着したのかツクヨミが橋の上に立っていた。

 

「ぎょーさん連れてきてくれはっておおきにー、刹那センパイ。でも士郎はんがいないんは寂しいですねー」

「ふん、貴様など士郎さんの手を煩わせることもなく倒してやる。そしてこのかお穣様は必ずお守りする!」

 

高らかに言い切ったセツナには感動したけど周りを考えてからものを言った方がいいわね、セツナ。

どうにも勘違い者が続出しているみたいだし。

なぜか私達も決闘に参加するはめになっちゃた。私はさすがに動きが取れないのでチサメとザジさんと一緒に観戦することにした。

 

「ツクヨミといったか? この人たちは…」

「心得ておりますー。ほかの皆さんには私の可愛いペットがお相手いたしますねぇ~?ひゃっきやこぉー♪」

 

するとツクヨミの周りから多種多様の妖怪が出現した。あれならガンド一発で楽勝ね。でもセツナは私にコノカを安全な場所に連れて行ってといわれたので見た目だけ実体化させてもらったニンジャ姿のネギと一緒にお城の方まで逃げていった。

そしてお城の中まで入ったところでコノカがさすがに不安がってきたのか、

 

「なぁなぁイリヤさんにネギ君。ほんまになにごとなん? あの人、なにか怖いしせっちゃんも本気の目をしていたし…」

「すみません、このかさん。今は話せません。だけどいつか…」

「そうよ。まずはここから抜け出すことが先決ね」

 

だけど頂上まで登った先には一昨日の符術師の女と謎の白髪の少年、それに幻想種の鬼が待ち構えていた。

 

「ふふふ……ようこそ、このかお嬢様。あら?女はともかくそこの坊やは今本山にいるはずやけどな? …読めたで、あんた実体ちゃうな?それじゃこのかお嬢様もお守りできひんな?」

「くっ!」

 

カモミールは実体だけどネギは分身といってもいいから悔しがっているわね。

でもね、私がいることを忘れてもらっては困るわ。

 

「あら、あなた。私がいることを忘れているのかしら?」

「あん? なんや、あんた? あの男のオマケが私達に敵うとでもおもい? はらはらおかしいわ」

「……いったわね? 久しぶりにカチンときたわ。だ・れ・がシロウのオマケですって…!?」

 

私は久しく起動していない体中に刻まれているアインツベルンの魔術刻印を起動させた。

それによって膨れ上がった魔力にこのかはともかく相手もネギ達も驚きの表情をした。

 

「ッ?」

「な!? なんやあんたその魔力は!」

「さぁね? でも、私をシロウのオマケっていった罰、受けてもらうわよ!」

 

私は指に魔力を集中させ一気にそれを解き放った。

ガンド。それは北欧の呪いの魔術で凛も使う『フィンの一撃』とも呼ばれるもの。

今の凛はどうかは知らないけど聖杯戦争時の凛以上の威力は秘めているといってもいいわね。

 

「ちぃ!?」

 

女は幻想種に防御の命令を下すがそんなもの、私の前では紙切れも同じ。敵が防ぐ回数より多く、そして強くマシンガンのようにガンドを放つ。

さすがに不利と感じたのか女は一度距離を取り幻想種の鬼にどでかい弓矢を構えさせた。

その行動は何の意味なのか怪訝に思ったとき、符術師の女は城下で今もなお戦っているセツナと私に向かって、少しでもおかしい動きをしたらコノカに矢を放つと脅迫してきた。

さすがの私もあんなものは防げないと判断し動きを止める以外に選択肢はなかった。

 

《姉さん大丈夫か!》

 

そこでちょうどいいタイミングでシロウから念話が伝わってきた。

ネギにもその意が伝わったのか幾分ホッとしているみたい。ピンチな状況なのは変わりないけど。

 

《どうやらピンチのようだな》

《ええ…今のこの状況、どうにかできる、シロウ?》

《宝具を使う…!》

《えっ!?》

《上空から弓を構えている幻想種を打ち貫こう》

《わかったわ。頼むわね、シロウ》

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

Side 衛宮士郎

 

 

姉さんからのGO!サインが伝わってきたため俺は『剣製の赤き丘の千剣』の上に立ち射法八節を組みそして、

 

投影、重装(トレース・フラクタル)―――I am the bone of my sword(我が骨子  は 捻じれ  狂う)!」

 

投影したるはケルト神話の英雄、フェルグスの宝剣『カラドボルク』。そしてそれを矢として改良して出来上がった柄から先まで捻じ曲がった螺旋剣。

それを弓に番え魔力を高めていく。それにいち早く気づいたらしい白髪の少年が2キロは離れているというのにこちらに振り向いたが、もう遅い!

 

「茶番は終わりだ! “偽・螺旋剣(カラド・ボルクⅡ)”!!」

 

弓から放たれた魔剣は瞬く間に亜音速で空間を貫き幻想種へと向かっていった。

結果はすでにわかっている。

否、防ごうとしてもそれごと見事に粉砕するだろう。

だが、そこでミスが生じた。俺が放つ直前に城の屋上には運悪く突風が吹き荒れネギ君達は多少だが動いてしまったのだ。

それで忠実に命令に従っていた幻想種はカラドボルクに貫かれる前に矢を放ってしまっていた。

 

――俺は残心がまだあったためすぐには動けない。

――姉さんも防ぐほどの魔術を今からでは生成するのは不可能。

――ネギ君は実体でないため魔法すらも使えない。

 

万事休すかと思われた次の瞬間、

 

このかの前に、盾となり貫かれた、刹那が、いた。

俺は恐らく刹那の名を叫んだのだろう。刹那はそのまま落下していった。しかもそれを追ってこのかも飛び降りた!?

俺の今の腕ではこいつを乗りこなすのは困難……また、助けられないのか!? と苦虫を噛んだが、このかが刹那を抱きかかえた瞬間すさまじい光が溢れた。

思わず俺は一瞬だが目を瞑ってしまったが、次に目を開けたときには二人は水面の上に浮かび上がっていて刹那の貫かれた傷も塞がっていった。

俺は、おもわず見とれていた。これが力を発揮したこのかの力なのかと。…しかし、同時に助かってよかったと安堵の息を吐いた。

それで安心した俺はすぐに行動を起こし屋上に残された姉さんをうまく回収し地面に降ろした後、姉さんに本山で合流しようとだけ伝え先にネギ君達とともに戻っていった。

その帰り途中、

 

「ネギ君、カモミール……奴らの中で一番の要注意人物がわかった。おそらく小太郎も入れればあれで全員だろうが白髪の少年だけは別格だろう」

「え? それはどういう……」

「俺が2キロも離れた場所から矢を放つ直前に彼だけは俺の矢に込められた魔力に敏感に反応し振り向いてきた。魔力を込めたのはほんの数秒だというのに、だ」

「まじっすか……!?」

「ああ。だから早く本山に向かった方がいい。危険な予感がする…」

「そうですね。刹那さん達が合流したらすぐに向かいましょう」

「ああ」

 

話がまとまったところで俺は速度を上げてアスナ達のいる場所へと戻っていった。

 

 

 




これにて二か所の戦闘は終了です。
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