剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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更新します。


035話 エヴァによる魔法講座

 

 

家に連れて行かれエヴァによる魔法講座が開かれたので俺もいい機会だと思い話に参加した。

だがネギ君は先ほどのことを引きずっているのかルールーと涙を流して落ち込んでいる。

そこでエヴァは「人の話を聞け!」と吠えた。

それでようやく話に参加するようになったが依然落ち込んでいる。

エヴァはいい気味だと愚痴を零しながら講座を再会した。

それでなにやら詠春さんからの伝言があるらしいのでまずこのかから話を振られていた。

 

「まず詠春からの伝言だが、真実を知った以上魔法について色々教えてやってほしいとのことだ―――確かに京都での操られたとはいえあれだけの妖怪を召喚し、さらに士郎の死ぬのを待つしかないほどの傷すら癒したお前の力はもし望むなら偉大なる魔法使い(マギステル・マギ)を目指すことも可能だろう」

「マギ…なんとかってネギ君の目指しとる……?」

「ああ、その通りだ。お前の力は世のために役立つかもしれんから考えておくといい。それでもう一つ伝言だがこれは士郎宛にだな」

「俺にか…?」

「ああ、そうだ。なに、単純な話だ。士郎は木乃香と仮契約(パクティオー)を果たしている。よって木乃香が魔法を学ぶ場合、危険も伴うことが多いだろうということで従者としてだけではなくパートナーとして守ってやってくれとの事だ。それと刹那も同じようなことが書かれていた」

「お父様が…」

「長が私にも…」

「しかし、最後にお前がそれを断り契約も破棄しようと考えている場合、修学旅行前までの日常だけを生きていく生活を続けさせるために記憶処理もやむを得ないとも書いてあった」

「つまり俺の返答次第で刹那はともかくこのかは記憶を奪われるということか…」

「その通りだ」

「…………」

 

俺はある意味このかの将来の選択を詠春さんに託されたわけか。これは中途半端にしたら後が怖いな。

しかし、俺は二人を守りきることが出来るだろうか…?

そんなことを思っているとこのかが俺の袖を目に涙を溜めながら掴んでいた。

 

「ウチ、嫌や。やっとせっちゃんと仲直りできた言うのに…それに士郎さんとのことも忘れてしまうやなんてほんまに嫌や!」

「このか…」

「お嬢様……士郎さん、私に言ってくださった言葉を拝借させてもらいます。士郎さんはその手を振り払うことが出来ますか?」

 

ッ!? その手で来るとは…やれやれ、では俺も覚悟を決めなければいけないな。

 

「では覚悟を決める前に聞いておきたいことがある。俺は今まで何度も差し伸べられてきた手を振り払った事がある…そんな俺に二人は、ついてこれるか?」

「私はもとよりそのつもりです」

「ウチももし振り払われても何度でも士郎さんのこと捕まえる…!」

 

二人は即答で俺に覚悟のこもった返事を返してきた。ふぅ、まさかこれほどとは。

すると姉さんが近寄ってきて、

 

「シロウ? あなたの負けよ。今の二人はもう梃子でも動きそうにないわ」

「そのようだな。だが…」

「また失うのが怖いのね、シロウ…」

「ああ。正直に言えばそうだ…今まで何度も死闘を潜り抜けてきながらも姉さんは俺に文句を言わずについてきてくれたが、いつ失うかもしれない恐怖があった」

「お前の過去の話しか…興味があるな」

「エヴァ…しかしそれは…」

「わかっている。今この場で聞く気はない」

「感謝する…」

「士郎さんの過去の話? なにがあったん?」

「このか、そのことについては今は話すことは出来ない。まだ姉さんにも全部話したことはないのだから」

「そうなのですか、イリヤさん?」

「ええ。シロウも口が堅くてね…」

「だからいずれ俺も覚悟が出来たら皆に話そう。とりあえず今はこのかの魔法を教わる件については俺も賛成だ。だから安心しろ、このか」

 

袖をぎゅっと掴んでいたこのかの頭に手を乗せて安心させるように笑ってやった。

だがそこでなぜかネギ君とカモミール以外のみんなは顔を赤くしていた。なぜだろうか?

ネギ君はなにかわからないといった感じだが、カモミールに関しては「これが噂の落とす笑顔…」とか感心したような言葉を呟いていた。

 

「んー、おほん! で、ではこのかの件についてはもういいだろう。次はぼーやのほうだ」

 

エヴァは何度も咳払いをしながら次はネギ君へのこれからの方針について話を再会した。

その間、俺の隣にいるこのかは顔を少し赤くしてうっとりとしているがここは理由は聞かないほうがいいだろう?

少しして話が済んだのかエヴァはまだこのかに話があるのか下へと連れて行った。

その間、ネギ君は小屋の中で中国拳法の練習をしていた。

…ふむ、また成長しているな。動きがさらによくなっている。

 

「ふぅ、『魔法使い』と『魔法剣士』かぁ…竜を倒すには拳じゃ無理だし……アスナさんはどう思います?」

 

そこでなぜかこの場にはいないアスナの名を呼んで一度固まったと思ったらすぐに「そうだ、まだアスナさんを怒らせたままだったんだ!」と泣き声を上げた。

どうやら忘れていたから練習に集中できていたらしい。

そこに茶々丸とチャチャゼロ…それに一緒になぜか同クラスの葉加瀬聡美が部屋に入ってきた。

それで大丈夫なのかと聞いたら葉加瀬もこちらの関係者で実は茶々丸の生みの親の一人らしい。…ここにも天才が。

3-Aは関係者が多すぎだろうと思わず心の中で突っ込みを入れた。

そこでカモミールと目が合いなんとなく同じ事を感じていたみたいで、

 

「なぁカモミール。3-Aは絶対になにかしら曰くつきの生徒の集まりだろう?」

「そうっすね…俺っちも不思議に思ってきやした」

「俺の予想が正しければこれは一般の方にもなにかしら力を秘めている生徒はいそうだな。一人だけだが思い当たりはなくもない」

 

俺はそこで前に一度顔合わせで会った明石教授のことを思い出していた。彼も魔法先生らしいので明石裕奈も力は引き継いでいるだろうと予想する。

それとは別に今はなぜアスナとネギ君が喧嘩になったのか話し合いになっている。

葉加瀬は茶々丸が聞いていた内容をプリントアウトして俺も一緒に喧嘩の内容を読んでいた。

そしていくつか出てきた禁句ワードの中から導き出された答えは俺は答えなかったが全員一致で「パイ〇ン」と答えていた。

それで俺は苦笑いを浮かべることしか出来なかった。

変わりに他の一同がネギ君を慰めてネギ君も謝る気になったので一度外に出て行った。

それからしばらくして外からアスナの叫び声が響いてきた。

 

「なぁもしかしてネギ君。アスナの了解も得ずに召喚してしまったのか?」

「そうみたいね。おおかたお風呂に入っていたんでしょう?」

 

そしてダッダッダッと家へと駆けてくる音が聞こえたので俺は扉が開いた瞬間にアスナに投影した大き目の布を羽織らせてやった。

 

「わぷっ!? し、士郎さん!」

「とりあえずその布で体を覆っておけ。風邪を引くかもしれないからな」

「あ、ありがとうございます…」

「それよりなにがあったんだ? なんとなくだが検討はつくが…」

「はい! もうネギの奴…高畑先生の前で!」

「…なるほど、偶然居合わせたタカミチさんにも見られたわけか。とりあえず奥に行っていろ。俺が話をつけておく」

「……お願いします」

 

そして遅れてネギ君とタカミチさんがやってきた。

それにしてもタカミチさんはなんて間の悪い…

 

「やぁ士郎君」

「久しぶりですね、タカミチさん。海外から帰ってきていたんですか」

「まぁね。それより僕も間の悪いときに来ちゃったみたいだ」

「し、士郎さん…」

「ネギ君、とりあえず今日はアスナの機嫌はとても悪い…だから先に寮に帰っていてくれ。タカミチさん、久しぶりでなんですがネギ君の事、お願いしてもいいですか?」

「はい…」

「わかったよ。それじゃまた後で話をしようか」

「そうですね」

 

そういってカモミールも一緒に帰した後、家の中に戻るとアスナは俺の投影した布に包まりながら憤怒と羞恥の表情ですごいことになっていた。

エヴァは見ていて飽きないなと笑っているがここは無視の方針で。

 

「あー、アスナ。とりあえず災難だったな。タカミチさんはネギ君を連れてもう帰ったから大丈夫だぞ」

「ありがとう、士郎さん…」

「アスナー、大丈夫やった?」

「だめ…当分立ち直れそうにない。まさか高畑先生がいる場所でしかも裸で召喚されるなんて…」

「その様子だとまだ当分はネギの事は許す気はないのね?」

「…はい、イリヤさん。それより士郎さん、少しいい?」

「ん? なんだアスナ?」

「士郎さんもやっぱりネギと同じで私達がこちらの世界に入るのは反対?」

「む…また先ほどの話の蒸し返しみたいだな」

「さっきって…まさかこのかの事も反対したの?」

「いや、俺は特に反対はしない。…最初は俺もどちらかといえば関わりは持ってほしくはなかったのが本心だ。だが詠春さんの頼みでもあるし、このか自身また狙われるかもしれない…裏の世界は常に非情で死が付きまとう場所だからな。それで俺自身も色々考えた末、覚悟を決めてもしもの場合は全力で刹那とこのかを守ることにした。従者だとかそんなものは関係なく、な」

「「士郎さん…」」

「当然私のことも守ってくれるのよね、シロウ?」

「当然だ。今まで見捨てたことなど一度もなかっただろう?」

「ふふ…ありがとシロウ♪」

 

するとアスナは感心したような表情になり、

 

「やっぱり士郎さんは大人ねぇ。あの馬鹿ガキとは大違いよ」

「まぁそういってやるな。ネギ君だって裏の世界は危険だということは重々わかっているからなるべく一般人であるアスナを関わらせたくないのだろう?」

「それは……わかっているけど、やっぱり納得できないのよ。理屈とかそんなものは関係なくてただネギを見ていると危なっかしくて見ていらんないの。それは私は士郎さんやエヴァちゃん。茶々丸さん、イリヤさん、刹那さんに比べれば遥かに弱いけど、けどさ、ネギのこと心配なのよ。だからネギのこと守れるように、パートナーとして見て欲しくて…!」

 

必死になってネギ君のことを心配しているアスナを見て俺は不謹慎ながらも微笑を浮かべてしまっていた。

だがすぐに気づいてアスナは顔を赤くして怒鳴ってきた。

 

「いや、すまない。必死さが伝わってきて気持ちも理解できたのだがあまりにも真剣なのでな。微笑ましいとつい思ってしまった」

「うっ! 士郎さん、その笑顔は反則よ…」

 

後ろでうんうんと頷いている気配がいくつもあるが無視だ。

 

「だがそこまでの覚悟があるのならもう一度全力でネギ君と向き合ってみるがいい。納得しないのなら何度でも…そうすればネギ君もわかってくれるだろう」

「は、はい。はー、なんだかたまっていたものを吐き出したら少しすっきりしちゃった」

「そうか。ではもう遅いから部屋まで送ろう。いつまでも布一枚だけでは寒いだろう?」

「それで、やはりネギ先生とは…」

「まだ許してやらない…」

 

刹那が再度尋ねてみたが返事は同じだったので苦笑いを浮かべる以外できなかった。

 




外掘りも内も完全に埋まりつつある士郎。
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