剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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005話 2-Aと10歳の魔法使い

 

さて、イリヤに寮のことは任せて早めに来たが、学園長室にはすでにタカミチさんがもういた。

むぅ、さすが本職だな。少しずつ俺も時間を調整していかなければいけないな。

 

「やぁ、士郎君。来るのが早かったね、もっとゆっくり来てもよかったんだよ?」

「いえ、さすがに遅れてはまずいと思ったので早めに来ました」

「うむ、士郎君は真面目じゃな。さて、これが君達の偽造した戸籍書類じゃ。後で目を通しておいておくれ」

「もうできたんですか、学園長? 恩にきます」

「いやいや構わんよ。それじゃタカミチ君、士郎君。ネギ君を迎えにいってくれないかの?」

「わかりました」

 

それから俺とタカミチさんはネギ・スプリングフィールド君を迎えに門の前まで向かったが、途中でタカミチさんにネギ君のことを軽く聞かされた。

どうやらネギ君は『ナギ・スプリングフィールド』という今は生死は不明だが、10年前に死んでしまったという伝説的な英雄の人の子供らしい。

英雄か……。

 

「それではネギ君をここ麻帆良学園に来させたのは外敵から身を守るという役目も担っているというわけですか? 英雄と呼ばれるものの血族はなにかと裏のものから狙われる確率が高いですから」

「さすが、というべきかな? 確かにそれもあるが基本はやっぱり修行だからそんなに気を張らなくても大丈夫だよ」

「そうですか」

「なにか考え込んでいるようだが根をつめないようにね? そこらへんも僕達がフォローすればいいじゃないか」

「確かに」

「では僕のクラスは少々元気すぎる子が多いが、頑張ってフォローを頼むよ、士郎君」

「はい」

 

そうだな。くだらなくもないがそんな理由で未来ある少年が命を落とすなんてあってはならない。

俺達が守らなければいけないな。

しかし、タカミチさんの苦笑いはなにを意味するんだ?

 

「さて、ここまで来たがネギ君はっと? あ、いたようだね」

「あの子が……」

 

そこには赤髪で鼻の上にちょこんと小さい眼鏡をかけている少年がいた。

背中に背負っている杖が特に目立っているな。

そして確かにまだ幼い。

 

「しかし何か一方的な喧嘩に巻き込まれているように見えるのは気のせいですか?」

「ははは、ネギ君と一緒にいるのは刹那君と同じクラスで、神楽坂明日菜君に学園長の孫娘の近衛木乃香君だよ」

「余裕ですね? なんか頭を掴まれているように自分には見えますが?」

「おおっと。そろそろ助けたほうがいいね。いこうか士郎君」

「はい」

 

 

 

 

 

 

Side ネギ・スプリングフィールド

 

 

(突然なんだろうこの女の人は? ただ親切に教えてあげただけなのに……)

 

この乱暴な女の人に頭を掴まれていた僕はあわあわしながらされるがままだったけど、そこに知り合いの声が聞こえてきた。

よかった、助かった。この声はきっとタカミチだ。

 

「久しぶりだね、ネギ君」

「え゛!?」

 

僕を掴んでいた女の人は急にタカミチのいるほうへ向き「おはようございます!」って言っていたので、僕も同じように、

 

「お久しぶりタカミチー!」

 

と、いったら「え、知り合い!?」って女の人はこっちを睨んできたけどなにか変かな?

それとタカミチと一緒にいる白髪の男性は誰だろう?

 

「麻帆良学園へようこそ。ここはいいところだろう、ネギ先生?」

「え……先生?」

 

乱暴な女性と一緒にいた女の人が困惑しているようだ。

それはそうだよね。僕はまだ子供だから。だから、

 

「はい、そうです。この度、この学校で英語の教師をやることになりました、ネギ・スプリングフィールドです」

 

と、答えたまではいいんだけどなんかまた首を絞められた。うう~、僕なにも悪いことしてないのに……。

タカミチともう一人の男の人が説明してくれているがどうにも放してくれないよ。

それで僕をいつまでも掴んでいる女の人に対して腹が立ってきた。

反論しようと思ったらついくしゃみをしてしまいその風で女の人の服を飛ばしてしまった。

 

「だ、大丈夫か!?」

 

白髪の男の人がすぐに上着を女にかけていたがまだ僕は腹が立っていたのか怒ってしまっていた。

……思えば、最悪の第一印象だなと感じたのはまだ先の話なんだけど。

 

 

 

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

 

Side 衛宮士郎

 

 

……おいおい、いきなり魔力が感じたと思ったら神楽坂という少女の制服が突風で吹き飛んでしまったぞ。

タカミチは呆然としていたのでしかたなく俺はすぐに上着を神楽坂にかけてやった。

 

「大丈夫か?」

「あ、はいありがとうございます。って、あなた誰ですか?」

「すまない、いきなりこんな騒動になるとは思わなかったので紹介が遅れたが、俺は衛宮士郎。

ここにいるネギ君の補佐を今日からすることになった副担任だ。

それより風邪を引いてしまう。だから早く何か着たほうがいい。それまで俺の上着を羽織っていればいい」

「は、はい。私は神楽坂明日菜です、衛宮先生」

「士郎でいい。俺は正式な教師ではないからな、神楽坂。それともう一人はタカミチさんから聞いたが近衛といったな? 悪いが彼女の服を拾ってきてやってくれないか?」

「わ、わかりました」

「あ、いや。すまなかったね士郎君。本来なら僕の役目なんだが……」

 

近衛が神楽坂の服を慌てて拾いにいった後、そこでやっと正気に戻ったのか、タカミチさんはその言葉を言ってきた。

 

「いえ、今日から副担任ですからこれくらいできなくては。それで、君がネギ君だね?」

「あ、はいそうです」

「さっきも言ったと思うが俺の名は衛宮士郎。君の補佐をするものだ、これからよろしく頼むよ」

「あ、はい。よろしくおねがいします、衛宮さん」

「士郎で構わないよ」

「はい、では士郎さん」

 

そしてどうにか紹介が終わったが学園長室にいくまで体操着に着替えた神楽坂はネギ君をにらんでいた。

まぁ、それはそうだろう。原因はどうあれ神楽坂の服を吹き飛ばしてしまったんだから。

しかし、あれは俺の目で見てみた限りでは暴発したのか?

 

(タカミチさん、さっきのは暴発と考えていいんですか? しかも原因はくしゃみ……)

(そ、そうだね多分……)

 

やっぱり、か。まだネギ君は魔法を使いこなしていないということだろうか?

そして学園長室まで戻ってきたところで、

 

「フォフォフォ、君がネギ君かね。ワシは学園長の近衛近右衛門じゃ」

 

ネギ君が挨拶している途中で神楽坂が割り込んで、どういうことか追求していた。

確かに俺も最初は驚いたからなぁ……。

それから色々話し合いが続いていたがやっと話がまとまってきたのか、

 

「しかしまずは教育実習で3月までやってもらうことになるのう?」

 

なるほど、まずは教育実習からか。

しかし、いきなり孫を彼女に誘うのはどうかと思うぞ、学園長?

そして、なんだ!? あの近衛が学園長を叩いたトンカチは!? 本気で殴っても重症は決して負わないという概念を持っているぞ!

そんなどうでもいいことを考えていたら神楽坂が、

 

「大体、士郎先生ならともかく、子供が教師っておかしくありませんか!?」

「そこらへんは俺が言わせてもらう。俺はあくまでネギ君の補佐、副担任だ。それに一応は教師だが教員免許は持ってないからな。逆にネギ君はまだ見た通り少年だがちゃんと教員の訓練は受けているという話だ」

「むむぅ……」

「すまんな、悩ませるつもりはなかったんだが」

「いえ、士郎先生は気にしないでいいですよ?」

「そうか」

「いいかの?」

「はいどうぞ」

 

そして話は進み「はい、やらせてもらいます」とネギ君がいって一旦話は終了した。

そうだ、まだ二人には伝えていないことがあったな。

 

「神楽坂に近衛、ちょっといいか?」

「はい、なんでしょう?」

「学園長、一応俺の事も言っておいた方がいいと思います。急に寮で会ったら混乱させますから」

「む、そうじゃな」

「なんのことなん、じいちゃん?」

「いやの、士郎君はな、今は寮の方の仕事でここにはいないが、姉の衛宮イリヤ君という女性と一緒に昨日から管理人の仕事も兼任してもらっておるんじゃ」

「ええー!? そうなんか士郎先生?」

「ああ、姉さんと一緒に女子寮の管理人室に住んでいるからなにか困ったことがあるなら言ってくれ。それに男の俺が管理人でなにか不都合があるようだったら学園長に言ってくれ。すぐに変えさせてもらうからさ」

「いえ、士郎先生なら信用できそうだから大丈夫そうじゃないですか?」

「そうか。では後で姉さんも紹介するからいつでも来るがいいさ。

あ、そうそう学園長。昨日言い忘れたがなにか機械類で直してほしいものがあったらいってください。ここに来る前は修理業などもやっていたから大抵の機械類は直せる自信がありますから」

「わかったぞ。そうじゃ! このか、アスナ君。しばらくネギ君を泊めてやってくれんかの?」

「げ!?」

「え゛!?」

 

そしてまた神楽坂の怒声が響いてきた。

しかし、俺の話にうまく割り込ませたものだな。

学園長、俺のときといい実は確信犯ではないだろうか?

それから先に神楽坂と近衛は学園長室を出て行ったが、やはり、俺のことはネギ君に一応知らせるんだろうな?

 

「学園長先生、もう話は終わったんじゃないですか?」

「いやまだあるんじゃ。士郎君のことなんじゃが、木乃香達がいた手前、話せなかったんじゃが、一応こちらの関係者になる」

「え!? そうなんですか!」

「そうだよ、ネギ君。だからなにか困ったことがあったらすぐに相談に乗ってもらうといいよ」

「そうなんですか~、よかった。実はかなり不安だったんだよ、タカミチ」

「まあ、そういうことだから気兼ねなく相談に来てくれ、ネギ君。まだこっちは俺もそんなに詳しくないが力にはなるよ」

「はい! よろしくお願いします!」

「ああ、よろしく」

「それじゃもういいかの。しずな君、もう入ってきてよいぞ」

 

するとしずなという眼鏡をかけた女性教師が入ってきた。

どうやら指導教員の先生らしい。

話が終わった後、この部屋に呼んだことからきっと一般の教師なのだろう。

 

 

 

しずな先生に連れられて学園長室から出ると神楽坂達が待っていてくれたらしく、

 

「あ、お話は終わったんですか?」

「ああ、ではいくとしよう。しずな先生、案内お願いします」

「わかりました。ではいきましょうかネギ先生、衛宮先生」

 

 

そして教室まで移動中なのだが、やはり神楽坂とネギ君の関係はまだ悪いままだ。

どうしたものか……一応、近衛に相談してみるか。

 

 

(なあ、近衛? 神楽坂とネギ君の関係はどう思う?)

(そうやなぁ、朝のこともあるやろうしプチ喧嘩ってところやろうな? アスナ、意地っ張りなところあるし)

(……そうか。できれば仲良くしてもらいたいものだが)

(そうやねぇ)

 

「あの……」

 

お、どうやら話しかけるようだな?

だがやはり一筋縄ではいかないようだ。

 

「いーい!? あんたと一緒に暮らすなんて私はお断りよ!! いくよ、このか!」

 

(やっぱりまだダメか)

(そうやね。それじゃすまんけど士郎先生、また教室でな~)

(ああ)

 

さて、どうしたものか?

やはりここは慰めるべきだろう。

 

「ネギ君、そう落ち込むことはない。これから信用を得ていけばいいじゃないか」

「そうよ、ネギ先生。ほんとはアスナちゃんもいい子だからね」

「は、はい……」

「それよりこれがクラス名簿よ。授業のほうだけど緊張しないでいきましょうね。衛宮先生もいるんだから安心していきましょう?」

 

それでネギ君は一度クラス名簿と教室を交互に見渡して驚いているようだった。

確かにこれは俺も驚きだな。やはり女子だけの学校だけはあるな。

よし、なんとかだが全員の顔と名前はキャッチできたな。

 

「そ、それじゃいきます」

 

ネギ君は率先して教室に入ろうとした。

が、なにか俺の直感がよくないことがおきる前兆だと叫んでいるような?

む? あ! 扉を開ける隙間に黒板消しがある!

ぬうぅ、これはいかん! いきなりトラップとはさすがタカミチさんが苦笑いするほどだ。

止めようとしたがネギ君は扉を開けてしまった。

すまんネギ君、止められなかった不甲斐ない俺を、って!

ネギ君、いきなりだったとは言え黒板消しを空中で止めてはいけなーい!

だが、すぐ気づいたらしくそのまま黒板消しを受け、さらに足に紐がありそのまま引っかかって、お次は水の入ったバケツを被り、追加とばかりにゴムの弓矢が何発も命中しそのままネギ君は教壇まで突撃していった。

……なんて、巧妙に先の先を組まれたトラップだ。ほんとうに中学生の考えたものか?

雛見沢の某トラップマスターもびっくりものだ。……俺はどこの電波を拾っているんだ……?(ネギがトラップに引っかかってから約1秒)。

それより、

 

「ネギ君、大丈夫かね?」

「は、はうう……」

「「「「「子供!?」」」」」

 

それから一騒動あったが結果、しずな先生が静めた為なんとか自己紹介までこじつけたようだ。

 

「ええ、と……あの、あの……僕は……きょ、今日からこの学校でまほ……英語を教えることになりました、ネギ・スプリングフィールドです」

「そして俺はこのクラスでネギ君の授業の補佐として副担任をすることになった担当は同じく英語の衛宮士郎だ。よろしく頼む」

「…………」

 

どうやら皆俺はともかくネギ君のことで頭の処理が追いついていないようだ。

だがすぐに、

 

「キャアアアア――――!!」

「かわいい――――――!!」

 

と、まあネギ君はもみくちゃにされているようだった。

 

「今何歳!?」

「じゅ、十歳です」

「どこからきたの!?」

「ウェールズの山奥の……」

「今どこに住んでるの!?」

「い、今はまだどこにも……」

 

どうやら安心のようだ。さっきは魔法と言いかけて焦ったがなんとか自制できたようだ。

しかし、やはり俺にも質問の嵐はやってくるだろう身構えておくと。

 

「今何歳ですか!?」

「朝倉か、今は23だ。得意分野は昨日伝えたとおりだ。ちなみにもうこのクラスには俺の住んでる場所は伝わっているのか?」

「それはもちのろんですよ。衛宮先生」

「昨日も言ったとおり正式な教員ではないから士郎で構わない。ならもうみんな納得しているのか?」

「はい、まあ、そこそこは……」

「じゃあ俺の口からも一応言っておくか。もう身構えているようだしな」

「へ?」

 

朝倉が後ろを向くとネギ君をもみくちゃにしながらもこちらにも興味津々ですといった視線が飛んできていた。

 

「では、朝倉から伝わってると思うが俺はイリヤという姉とともに今は君達の女子寮の管理人室に暮らしている。

だからなにかあったらいつでも相談に来てくれて構わない。

それと朝に神楽坂達にも言ったがもし迷惑であるのならいつでも言ってくれ。

学園長に相談しすぐに場所はうつろう。

そしてなにか壊れたものがあればすぐにいってくれ。手入れはしてやるから。

俺のことは以上だが、なにか質問はあるかね?」

「特にはないと思いますよ? ただ、目的はあるでしょうが?」

「目的? それはなんだ、朝倉?」

「いえ、昨日の料理のことを話したらみんな目の色を変えてしまいまして。

士郎先生は和洋中さらにはデザートもなんでも作れるわ、あまつさえ軽く作ったといったものがあんな味をほんとうに出せるのかとか、料理を教えてほしいというものも何名か」

「ふむ、そうか。では近いうちになにかを作ってやろうか? 食材さえあれば何でも作ってやろう」

 

「「「「やった――――――!!」」」」

 

するとその言葉を待っていたが如く、大抵のものは叫んでいた。

ほんとうに元気なものだ。今ならあの虎の気持ちも少しは理解できるかもしれないな。

だが、ね。やっぱり平穏はもろくも崩されるものだ。

俺の話が終わったと同時に動いたのか神楽坂がもみくちゃ状態のネギ君を強引に引っ張り出してあろうことか、

 

「士郎先生の話が終わったから聞くけど、あんたさっき黒板消しになんかしなかった!?」

 

なかなか鋭いなぁ神楽坂は。あの一瞬で一般人が気づいたのはすごいと思うぞ?

 

「士郎先生もなにか変だと思いませんでしたか!?」

「いや? 俺は普通にネギ君がトラップに引っかかったくらいとしか見当はつかないが?」

「そうですか……でも! ほんとになにかしたでしょ、あんた!?」

「あうううう!」

 

やばいな、もうネギ君も限界のようだ。ここは俺が―――……

 

「おやめなさい!」

 

と、キッ!とした声が響いてきた。その声の主は確か出席番号29番の雪広あやかか。

委員長でもあるから当然の行動か。

 

「すまん雪広、先に止めてくれて」

「構いませんわ、士郎先生。それよりもうお名前を覚えていただいてもらって嬉しいですわ」

「ああ、先ほど名簿を見せてもらったからな」

「まぁ! さすがですわね。それで話は戻りますが、アスナさん? その手を離したらどう? もっともあなたのような凶暴なお猿さんにはお似合いのポーズでしょうけどね?」

 

……余計、火に油を注いでどうする?

結局、この場はしずな先生が止めたが三つわかったことがある。

一つ目は、神楽坂はタカミチさんの事が好きだということ。後、渋いおじさん系?

二つ目は、雪広はショタコンであること。なにか理由持ちではありそうだが。

そして最後の三つ目はこのクラスの半分以上はお祭騒ぎが好きな人種ということ。これでは虎が何人もいるようなものではないか!?

まあ特例として、何名かは桜咲を含めこちら側の人間というくらいか?

ロボットなんてのもいるしな。それが普通に授業を受けているなんてずいぶんハイテクな世界なことだ。

 

 

それで授業が始まってしばらくして神楽坂はまだ諦めていないのか消しゴムを何度もネギ君に飛ばしてきていた。

そしてまた雪広がネギ先生に神楽坂のよくない噂を吹き込もうとしていたらそこに筆箱ごと飛んできて、と。

また喧嘩が始まるのかとため息をつこうとしたその瞬間。

神楽坂の放った筆箱の中身のシャーペン一本が誰にも気づかれないように俺のほうに角度を変え飛び掛ってきた。

それを瞬時に指で掴み魔力の感じるほうに目だけ向けると一番後部座席に座っている少女。

出席番号26番のエヴァンジェリン・A・K・マクダゥエルがこちらを見て目で、

 

『ようこそ。歓迎するよ、衛宮士郎』

 

なんて言ってきた。上等ではないか。

見てみぬ振りを決め込もうと思っていたがやはりいずれはぶつかることになるだろう?

だから仕返しに、

 

『いい覚悟だ、吸血鬼。こちらからは仕掛けはしない。が、そちらが動いた時は……楽しみにしているがいい』

 

と、一瞬だけ威圧をこめて返してやった。するとエヴァンジェリンは本当に楽しそうな笑みを浮かべてそのまま顔を自然に逸らした。

 

 

 

そして授業は喧嘩が続く中でいつのまにか終了してしまい、ネギ君はがっかりしていたがなんとか慰めた。

 

その後、姉さんに連絡を取ろうとしたがなぜか不穏な視線を感じ振り向くが、そこにいたのは2-Aの近衛他クラス達数人だった。

なにかを仕掛けてくるのか? と思ったが、ある頼みでなぜか俺は抵抗もできず拉致される形でどこかに連行されてしまった。

そして到着したのはなぜが調理場がある教室、そしてそこにある余りある食材の数々。

 

……いいだろう。作れというのだな? ならば全員の舌をとろけさせてやるとしようか?

そして俺は教師から料理人へと変わるスイッチの撃鉄を落とした。

エプロンをかけ、調理道具を並べ、調味料を確認し、まわりすべてのもの(食材)に語りかけるようにある言葉を紡ぐ。

 

 

「いくぞ具材ども……鮮度の状態は新鮮か?」

 

 

戦いの火蓋は切られた。

なぜか俺を連れてきた生徒たちは顔を引き攣らせていたが、まあいい。

すぐにその顔を歓喜に変えて見せよう。

 




はい。最後にネタ発言ですね。

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