剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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052話 文化祭編・開催1日目(02) 武道大会開催

 

龍宮神社に向かう途中の道中でなぜ刹那に武道大会を視察するのかを聞かれた。

まぁエヴァからの情報だから信憑性は高いだろうと思い俺は話すことにした。

 

「なに、今年の武道大会はなにやらきな臭いという情報が入ったのでな。なんでも情報では超の奴が裏工作をしたという情報もあり、それに先日の偵察機も彼女の仕業だとガンドルフィーニ先生に聞いたのでどういったものか見極めておきたいと思ってな」

「さすが士郎さんですね。もしかして士郎さんも武道大会に…?」

「いや、あくまで視察といったろ? なにか重大な事がない以上は静観しているつもりだ。ま、タカミチは出るだろうがな…」

「え!? それ、本当ですか士郎さん!」

「ああ。たぶん…ネギ君の成長を見たいだろうという思いで出場するのではないか? 前から戦いたがっていたし…」

「そっか…それじゃあたしも…………」

 

アスナがなにやらぶつぶつ言っているがここは放っておくのが懸命だろう。

しばらくして武道大会が開かれる会場である龍宮神社に到着した。

そこには様々な武道家が集まっているらしくごったがえしていた。

そしてネギ君と小太郎、綾瀬にも会ったのでこの賑わいは何かと聞いてみるとなんと優勝賞金が一千万だと聞く。

それに俺達は驚いているうちに、

 

『ようこそ! 麻帆良生徒及び学生及び部外者の皆様!! 復活した「まほら武道会」へ!!』

 

なぜか朝倉が司会を務めていてこの武道会を買収したという主催者の超鈴音を紹介した。

ルール説明の時に、『飛び道具及び刃物の使用禁止』。当然のルールだ。

だがそこまではよかったのだが、『呪文詠唱の禁止』という危険な単語が出てきて俺だけでなく他の面々も顔を驚愕させていた。

映像は記録されないというが確証を取れたわけではない。ガンドルフィーニ先生の言うとおり油断できないな。

 

…しばらくして説明が終わりまだ受付はしているというのでそこに現れた龍宮、楓、古菲も参加するそうだ。

そしてエヴァも出場するといって続いてタカミチが選出。それに感化されたアスナも選出。偵察のために刹那も出るとのことだ。

我ながら豪華なメンバーだなと思いつつ姉さんはランサーには出場は禁止を命じていた。

それにランサーは当然反論したが姉さんの説得に泣く泣く…泣いてはいないが参加はやめた。

そこにネギ君は、

 

「ま、まさか士郎さんも出場するわけではないですよね…?」

「ああ。俺はあくまで視察のつもりだからな」

 

それでネギ君は「よかったぁ…」と隠しもせずにホッとしていて反面小太郎はとても残念がっていたが俺はあまりこういうのは好かないから許してくれ。

しかし俺はある人物を選手の中に発見してしまった。

 

(あいつはクーネル・サンダース…いや、アルビレオ・イマ!? まさかこの大会に参加するのか!)

 

俺の視線に気づいたのかクーネルはフード越しから笑顔を浮かべながら俺に「あなたは出ないのですか…?」と挑発してきた。

…そうだな。奴の真意を知るのもいいかもしれん。

いいだろう、参加してやる。

 

「ネギ君…」

「は、はい? なんですか」

「前言撤回だ。俺もこの大会に出る理由が出来た。だから出場することにする」

「え、えええええ!?」

「本気なの、シロウ!?」

「ああ、すまない姉さん、ランサー。俺はある人物の真意を確かめるために出ることにした。今から手続きを済ませてくる」

「ずりーじゃねぇか!?」

「まぁそういってくれるな。俺も最初は出る気はなかったのだから…」

 

ランサーの文句を方耳で聞きながら俺はガンドルフィーニ先生へと連絡を取った。

 

『どうした衛宮?』

「いえ、自分も少し事情が出来まして偵察がてら武道会に出場しようと思いましたのでその報告を」

『高畑先生に続いて君もか。理由は聞いてはダメかい?』

「もちろん超鈴音の事も調べるつもりですが、それ以外に敵か味方か分からない奴が選手の中に紛れていたのでそいつを見張っていようかと…」

『そうか。わかった…ただしあまり派手に動くなよ? 超鈴音はなにを企んでいるかわからないからね』

「心得ています。武器は禁止されているのでそこまで本気は出すつもりはありませんから」

『了解した。明日のシフトも立て直しておこう』

「ありがとうございます」

『それではなにかわかったら報告を頼むよ』

「はい」

 

電話を切ったときにはまた超鈴音が話を始めていた。

 

「ああ、ひとついい忘れていた事があったネ」

 

それはまるでネギ君を大会に出場させたいという甘い蜜の言葉。

25年前にネギ君の父であるナギ・スプリングフィールドがこの大会に出場して優勝したというもの。

それでやはりネギ君の目の色が変わり急にやる気を出したみたいに出場を決意した。

父を追う…か。まるで俺のようだな。ネギ君には俺のようにはなってもらいたくないなと思いながらも手続きを済ませた。

 

 

 

そして予選大会は始まった。

D組は龍宮、古菲で確定だろう。木刀を使った選手もいたが刃物ではないので本戦時には俺もなにか使うかな?

E組も楓と小太郎が勝ち上がるだろう。分身対決していることからもう他の敵は相手になっていないようだし。

C組はアスナと刹那か。まぁ、あの勢いならまず負けはしないだろうな。二人で協力して殲滅しているし。

F組はタカミチとエヴァ。……まったく負ける要素が見つからん。すでにタカミチの居合い拳の独断場と化しておりエヴァは寛いでいる。

そしてB組はネギ君とクーネルが勝ち上がったようだ。ふむ、やはりきな臭い笑いを浮かべていて腹が立ってくる奴だ。

 

…さて、見物もいいがようやくH組である俺のステージも始めたようだな。

そしてふと気づくと集団の中に黒いローブを着て顔隠している女性が一人いるなと思いよく見てみるとその人物は高音・D・グッドマンだった。

ほんとうに参加者が多いなと思ったが一応話しかけてみることにした。

 

「高音…お前も出場するのか?」

「やはり衛宮先生には気づかれましたか。ええ、少しネギ先生にお灸を据えてあげようと思いまして…」

「ネギ君に? なにかあったのか?」

「はい。その話は後ほど…それより先生も偵察なのでしょう?」

「そうだ。ガンドルフィーニ先生にも許可はもらっているから安心していいぞ」

「そうですか」

「そうだな。では俺が片付けるから高音は打ち漏らしを叩いてくれ」

「いいのですか?」

「ああ、このステージには俺と高音以外は関係者はいないことは確認済みだからな。なぜかロボがいるがな…」

「わかりました。恩にきります」

「よし。では始めるとしようか」

 

俺は何名か話をしながらも捌いていたので周りには五名くらい気絶しておりそれにより残りは警戒して近寄ってこない。

なのでしかたがないので俺が一歩動いた。途端全員めがけてまるで打ち合わせをしていたのか? と言いたいほどに連携をして仕掛けてきた。

だが踏み込みと速さがまだまだ甘い。強化した腕で左右前方からの攻撃をすべて捌いてカウンターを仕掛けてタカミチほどうまくはいかないが全員に脳に衝撃を与えて各個撃破した。

 

 

『おおおおーーーーー! すごいすごい! H組の衛宮士郎選手! 高畑先生同様で先生でありながら大会出場の理由は不明だが『死の鷹(デスホーク)』の名に違わず次々と選手を潰していく! もうステージの上に残っているのは残り少ない!』

 

朝倉の白熱した実況が響いてきて少しやかましいと思いながらも最後の一人を目に捉えた。

…やはり、あれはロボだよな。

あちらもどうやら俺を敵と判別したらしくいきなり口を開くとそこから銃口が…、って!

 

「高音、すぐに横に飛べ!」

「は、はい!」

 

俺と高音がその場を横に飛びのいた瞬間、ロボの口からビームが放たれた。

それに俺と高音は驚き観戦客も声を上げて驚いていた。

そこに朝倉の声が再度聞こえてきて、

 

『情報が入りました。H組の田中選手は工学部で実験中の新型ロボット兵器・T-ANK-α3。愛称は『田中さん』だそうです。ちなみに他のブロックにももう一体出場している模様…さあ、そんなロボット相手に衛宮選手、いかなる戦い方を見せてくれるでしょうか!?』

 

朝倉の実況が情報を会場に伝える。つまりあれは茶々丸の兄弟機か。そのような情報を流していいのかと思い観客の反応が気になって窺うが、

 

「ほおー、ロボットなら納得だ」

「うんうん」

「なるほどー」

「……なんでさ。普通に納得するところが理解できない」

 

反対側に飛んだ高音に目をやる。さすがのビームに驚いて動きが固まっている。…俺だけでしとめるか。

田中が「LOCK ON」と言って両腕を構えたのでおそらく茶々丸と同じくロケットパンチなのだろう。

俺は高音に先行するといって、錬鉄魔法【風】を纏い足に魔力を溜めて瞬動し一瞬で田中の下に入り腕に魔力を流し腹からめり込むように打ち上げてやった。

当然田中は反応をしめす前に稼動限界を越えたらしく空中にて体が浮いていた。そしてそのまま地面に落ちて二度と起き上がってこなかった。

なにかバチバチ言っているがまぁ大丈夫だろう。

 

『おおっと! 衛宮選手のすさまじい突き上げからの拳! あまりの衝撃に田中さんは起き上がらない!? これでH組も予選の二名が決定!』

 

これによって俺と高音は本戦出場が決まったわけだがどうにもな…。

やはりこんなことに力を使うのは気が引けるな。だが出てしまった以上は最後までやり遂げよう。

そこで高音が話しかけてきて、

 

「さすがですね。高畑先生以上の実力の持ち主というお話も大概嘘ではないようです」

「よしてくれ。まだまだ俺も未熟さ。だからそんなに畏まらなくていい」

「ふふ…わかりましたわ」

 

『皆様、お疲れ様です。本選出場者16名が決定しました。本選は明朝8時より龍宮神社にて!』

 

朝倉の労いの言葉が会場に響いた。

 

『では、大会委員会の厳正な抽選の結果決定したトーナメント表を発表しましょう――――こちらです!!』

 

そしてトーナメント表が掲示されたのだが本当に厳正な抽選をしたのかどうか迷うところだな。

ネギ君をタカミチと一回戦から当てるのはなにかしら作為を感じる。

その証拠に「ええーーーーっ! タカミチ!? 無理だよ!!」とネギ君が叫んでいる。

そして俺の一回戦目の相手は…

 

「ふふふ…奇しくもお前と初戦だとはな…?」

「お手柔らかに頼むぞ、エヴァ」

「さて、どうしてやろうか…」

 

…エヴァである。いきなりどちらかを潰しにかかってくるとは…。やるな、超鈴音!

ちなみにトーナメント表はこうなった。

 

 

 

 

Aブロック

一回戦目  佐倉愛衣  vs 村上小太郎

二回戦目  大豪院ポチ  vs クーネル・サンダース

三回戦目  長瀬楓  vs 中村達也

四回戦目  龍宮真名  vs 古菲

 

Bブロック

五回戦目  田中(β)    vs 高音・D・グッドマン

六回戦目  タカミチ・T・高畑 vs ネギ・スプリングフィールド

七回戦目  神楽坂明日菜    vs 桜咲刹那

八回戦目  衛宮士郎  vs エヴァンジェリン・A・K・マクダゥエル

 

 

 

…と、なったのでやはり作為感が拭えなかった。Bブロックに戦力が集中していないか?

しかももう一体の田中は生き残ったらしく出場メンバーに含まれていた。俺が倒したのはαだったのか…。

まぁ、なにはともあれ予選会も終了して中夜祭に突入したらしく寮の近くの飲食店で寛いで姉さんやタカミチと話をしているとネギ君の方は色々な生徒に絡まれていた。

聞くにパトロール以外にも半分以上の生徒の出し物にも顔出しをしたらしい。

あの長谷川ともあんなに仲良くなって(?)…すごいな。

 

「さすがネギ君だね。格闘大会だけでなはなく生徒たちの出し物にも回るのを忘れていないなんてね。教師の鏡だよ」

「そうだな。俺ですらエヴァに引きずり回されても数箇所しか回れなかったからな」

「パトロールもしとるのによくやるわ」

 

俺とタカミチ、小太郎は素直にネギ君を褒めていたがなぜかネギ君はどうにも慌てている。一体どうしたのだろうか?

そして少しするとネギ君。それと一緒に小太郎は姿を消していた。

不思議に思いながらも学園祭一日目は終了した。

 

 

 




士郎とエヴァを速攻で当てました。

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