剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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062話 文化祭編・開催2日目(09) 超との対峙、謎のエミヤ?

 

 

学園長室に来るとすでにガンドルフィーニ先生にその他の魔法先生達が集合していた。

後来ていないのはタカミチにネギ君くらいだろう。

そしてその両名に刹那がやってきて会議が開かれた。

そこでまず超鈴音のやろうとしている事を知ることになる。

俺はなんとなく予想していたが初めて聞くネギ君はたまったものではないだろう。

なんせ自分の生徒が世界に魔法をばらそうと活動しているのだから。

 

「さらに高畑先生を地下に監禁していた」

「えっ!?」

「ネギ君は聞くのは初めてのようだな」

「士郎さんは知っていたんですか?」

「ああ、ネギ君に心配をかけさせまいという皆の意見で言わなかったが…」

「そんな…」

 

さらに春日とココネが地下施設で見たという巨大な兵器と起動兵器の大群。

聞くに巨大な兵器というのはかなり大きいと聞く。

そこで思い出されるのはスクナである。

あんなものが何体も暴れまわると思うとゾッとする。

と、そこにネギ君からあることが聞かされる。

 

「あ、あの! 超さんが退学してしまうそうです!」

『なに…!?』

 

それで全員がネギ君が超から受け取ったという退学届けに注目する。

 

「ふむ、なるほどの…。もう作戦成功後の逃走手段も確立していると見えるの。皆の衆は一刻も早く超鈴音の作戦を阻止し確保してくれい!」

『はい!』

「いずれ行動を起こすだろう…なにかあったらすぐに報告をするように。以上じゃ。解散してくれ!」

 

学園長の一言で会議は終了する。

そして退出後にネギ君は暗い面持ちで、

 

「僕、超さんと話してみようと思います」

「ネギ、それで止められなかったらリンシェンをどうするの?」

「説得します!」

「でもよ…それだけじゃあの娘っ子は止まらないと思うぜ? それでも会うっていうのか?」

 

ランサーの言葉にネギ君の表情はさらに引き締まる。

 

「でしたら、先生としての責任で僕が超さんの計画を阻止します」

「言い切ったな…」

「士郎さん…」

「わかった。では俺もついていこう。副担任とはいえ超は俺の生徒に代わりはない」

「ありがとうございます!」

「ああ、それに俺も問いかけたいことがあるからな…」

「シロウ、なにかあったらすぐに連絡するのよ?」

「わかっている、姉さん」

 

 

◆◇―――――――――◇◆

 

 

超が来る間、俺とネギ君はというと、

 

「と、ところで士郎さん」

「ん? なんだねネギ君」

「このお祭りで超さんと会いましたか?」

「そうだな…。武道会でちょっとばかし話をしたかな」

「そうですか」

「それがどうかしたかい?」

「いえ、僕も武道会以外だとちょっと飛行船であったくらいでしてどこにいたのかと思いまして…」

「あいつはなにか特殊な転移術を持っているようだからな」

「えっ?」

「なにやら懐中時計のようなもので転移した光景を目にした」

「!? そ、それってもしかしてこれのことですか?」

 

そしてネギ君が取り出したのは超が持っていたのと同じ懐中時計だった。

ネギ君から聞くにこれは懐中時計型のタイムマシン、名をカシオペアだという。

どうやらこれを使ってネギ君は生徒達の出し物を点々と向かっていたらしい。

 

「なるほど、だから一日目の時に慌てていたのか」

「はい。イリヤさんには士郎さんには内緒にしておけと言われていたので言わなかったんですけど、超さん関係では伝えといたほうが言いと思いまして」

「そうか。それなら超が一瞬で消えたカラクリも説明がつく。しかし時間旅行の魔法を科学で完成させていたとは…まさに天才だな」

「僕もそう思います。士郎さんはこれをどう思いますか?」

「どう、とは?」

「カシオペアです。何度も時間を遡っていますからズルですよね」

「いや? 別に悪用しなければいいのではないか?」

 

そう…。セイバーのようにやり直しを望まない限りはな。

 

「そうですか。ありがとうございます」

「しかし、となると超はなにをしようとしているのか…?」

 

と、そこにザッという足音。

いつの間にか超がそこに立っていた。

 

「ネギ坊主。話し合いをしたいとはなにカナ?…おや、エミヤ先生も一緒のようネ」

「なに。話し合いの邪魔はしない。しかし俺も聞きたいことがあるのでな」

「聞きたいコト?」

「一段落したら聞くさ。さ、ネギ君」

「はい…。超さん、僕…学園祭前日に魔法先生に追われていた超さんをかばいました。超さんは僕の生徒だからです」

「………」

「それに困っている僕にこれを貸してくれて…とても感謝しています」

 

ネギ君はカシオペアを掲げながら感謝の言葉を述べる。

 

「でも、教えてください! 何で突然退学届けなんかを? なんで悪いことを?」

「悪いコト…ネ。ネギ坊主、魔法先生達に話を聞いたカ?」

「タカミチを捕まえて地下に閉じ込めたり、魔法を世界にバラすなんていうのは悪い事です。僕は他の魔法先生から話を聞いただけだから、超さん自身から話を聞くまで信じません!」

「もしそれが本当だとしたらどうするネ?」

「本当ですか!?」

「事実ネ。私は世界に魔法をばらそうとしている。さて、それで聞くがネギ坊主はそんな私をどうしようと考えてるカ?」

「………止めます! あなたの先生として悪い事をしようとすることを止めなければいけません!」

「面白い。エミヤ先生、ネギ坊主はこう言てるがアナタはどうする?」

「その前に聞く。お前にとって歴史を変えることによるメリットを教えてほしい。お前が茶々丸の開発者だというならばおそらく俺の過去も茶々丸経由で知っているのだろう…?」

「うむ」

「お前はどこかしらあの子に似ている…もしかして君は…」

 

ある事を告げようとした時だった。

世界樹が盛大に発光した。

 

「ここまでネ、エミヤ先生。そして…これで私を止めることはかなり難しくなたネ」

「そうか…」

 

しかしあの落ち着きようはなんだ?

実力的にはもうネギ君のほうが上だろう。

そして魔法先生達に囲まれたときのような余裕の表情をしている。

 

「ネギ坊主、現実がひとつの物語だと仮定して君は自分を“正義の味方”だと思うかね?」

「!?」

 

なぜか俺は胸が締め付けられる思いになった。

 

「自分のことを…悪者ではないかと思たことは? エミヤ先生はそれに関してはもう十分自覚しているようネ」

「っ! 俺の過去を知っているからとヌケヌケと!」

「世に正義もあくもなく、ただ百の正義があるのみ…とまでは言わないが」

 

瞬間、超の姿が消え一瞬でネギ君の背後に回りこみ、

 

「思いを通すはいつも力ある者のみ…。正義だろうが悪だろうがネ」

 

ネギ君は瞬動を使いその場を離れるが今のは一体なんだ?

瞬動術でもない、完全な瞬間移動…?

そしてネギ君は戦いはしたくないというが、

 

「いいこと思いついたネ。理由を話そう。悪い事もやめるヨ。この勝負でネギ坊主が勝てたらネ」

 

そう言って超は構える。

 

「え?」

「そしてもしネギ坊主が負けたらこちらの仲間になてもらうネ」

 

そしてネギ君と超の打ち合いが始まる。

数回打ち合って、

 

「わかりました! 今の条件で戦います!」

 

ネギ君も構えて超に戦いを挑む。

 

「士郎さんも手を出さないでください!」

「わかった。だがまずいと思ったら乱入させてもらう」

「それは無理ネ」

「なぜ…、…ッ!?」

 

俺は即座に瞬動を使いすぐに離れる。

元いた場所には何本もの剣が打ち込まれていた。

 

「なんだと!?」

 

俺の目の前にはまるで俺と同じくらいの身長、白髪、褐色の肌とここまでは被っているが黒に変色している聖骸布の外套、極めつけは目を隠す黒い仮面。

まるで俺のコピーのような奴が無言で立っていた。

 

「なんだこいつは!?」

 

相手は考える隙も与えてくれずこれまた干将・莫耶を出して襲い掛かってくる。

 

「くっ!」

 

それを迎撃するがどうにも奴の動きが単調だ。

まるで機械仕掛けのようである。

干将・莫耶同士を打ちつけ、

 

「貴様は何者だ…?」

「■■■■■―――ッ!!」

「くっ、聞く耳持たずか! これではバーサーカーではないか!」

 

ズガァンッ!

 

「!?」

 

見ればネギ君が超に吹き飛ばされ瓦礫に身を沈めていた。

 

「いかん!」

「■■■■■―――ッ!」

「ええい、邪魔をするな!」

 

激しい剣戟でネギ君の近くに寄れない俺は高速で思考を展開する。

こいつの相手は手が折れる。

どうする!?

だが超とネギ君の間に刹那と楓が現れてネギ君を守っている。

あちらはあれでなんとか大丈夫か。

 

「刹那に楓! ネギ君を頼む! 俺はこいつの相手だけで手一杯だ!」

「はい!」

「わかったでござる!」

 

さて、ではこちらも力を上げていくか。

 

属性、付加(エレメントシール)“風王”(エア) ……魔力、装填(トリガー・オフ)――全魔力装填完了(セット)!!」

「■■■…ッ!?」

「オオオオオーーーーーッ!!」

 

風の刃を何度も浴びせて風の魔力を放出させ擬似魔力放出を再現し強化をかけて切りかかる。

奴は何度か持ちこたえるが脅威からしてランサーより格段に下。ならばどうにでもできよう。

だが…、奴は突然背中が機械のように展開し空に浮かび上がった。

空中で停止しなんと弓を構えてその手には、

 

偽・螺旋剣(カラド・ボルクⅡ)だと!? くっ!―――I am the bone of my sword(体は  剣で 出来ている)!!」

「■■■―――――ッ!!」

熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)――――!!」

 

衝突する二つの宝具。

だが、真名解放はされていないのでなんとか防いだが、それでもなんて威力だ!

奴が機械なのかサーヴァントなのか分からないがここまでしてくるとなるともう侮れない。

と、そこに楓の声が聞こえてきた。

 

「士郎殿、ここは一旦退くでござるよ!」

「了解した!」

 

俺はそれで剣をいくつも打ち出し弾幕を作り、さらにそれらすべてを爆発させ追撃させないようにする。

ネギ君と楓は先に行ってしまっているので並走して刹那に追いつきながら、

 

「刹那、いったいどうした?」

「わかりません、ですが今は楓を信じましょう」

「わかった」

 

そしてある屋上に到着するとそこかしこになにかの気配を感じる。

まさかここで決着をつける気か?

すると追いついてきたのか超が立っていた。

そこに龍宮と茶々丸も現れて戦闘になるかと構えた。

だがそこでネギ君が仲間になると言い出して刹那などは慌てているが楓が待ったをかけ「奥の手を出す」と言い出し一本の紐を引っ張る。

そして現れる3-Aの生徒達と姉さんとランサー。

もみくちゃにされていく超。

 

「なるほど…楓はこれを知っていたか」

「うむ、彼女にもこのような席は必要でござろう」

「しかし、人が悪いぞ姉さんとランサー。知っていたなら知らせてくれてもよかったものを…」

「まーそういうな。俺達もついさっき知ったようなもんだからな」

「ええ、そうね」

「ところでランサー…」

「なんだ?」

「率直に聞くがサーヴァントの気配はしなかったか?」

「? いや、そんなものは感じねぇが…どうした?」

「ああ。まるで俺と同じ姿をしているが外套も黒くなって仮面をつけた俺が現れた」

「「なっ!?」」

 

それで驚愕の顔をする姉さんとランサー。

 

「干将・莫耶と偽・螺旋剣(カラド・ボルクⅡ)も使ったことからエミヤなのは確定だと思うがどうにも機械の体らしく、しかし性質はバーサーカーのそれだった」

「リンシェンは、機械でサーヴァントを…エミヤを支配下に置いているって言うの…?」

「とんでもねー嬢ちゃんだな、おい…」

 

話し合っているとどうやらなにかプレゼントをしてよという言葉を振られてしかたなく俺はまだ消していなかった干将・莫耶を鞘も投影してプレゼントした。

 

「アヤー、思わぬプレゼントあるヨ。(まさか宝具を貰えるとは思ってなかたネ♪)」

 

それから超の涙を見るために超が作ったというくすぐり器で無理やり涙を出させられていた。

それと古菲が師匠からもらったという双剣をプレゼントしていた。

そして超の別れの挨拶。

 

「この二年間は思いの他楽しかたネ。それにこんな会まで開いてくれて…今日はちょっと感動してしまたヨ。

………ありがとうみんな。私はここで学校を去るが…みんなは元気で卒業してほしいネ」

 

挨拶が終わりそこかしこからワアー!という歓声が上がる。

そして食事中に佐々木が故郷のことを超に問いかけているので耳を傾ける。

どうしても知りたいという皆の要望で超は、

 

「なんと火星から来た火星人ネ!」

 

あまりに突飛な言葉に俺は内心こける。

ツッコミに刹那が混じっていたのは新鮮だった。

 

「いやいや火星人ウソつかないネ。今後百年で火星は人の住める星になる…私は未来からやって来たネギ坊主の子孫ネ」

 

その一言で生徒達はそんなわけあるかー!とか騒いでいるが少し下がったところで、

 

「やはり超鈴音は…」

「ええ、そうみたいね」

 

そして宴会も終了し大半のものが寝こけている中、起きているのは俺、姉さん、ランサー、超、ネギ君、刹那、楓…それと、気配からして綾瀬と長谷川。

長谷川が起きているということはこちら側のことを知ったのだろう。

 

「連日の徹夜にさすがの3-Aの猛者達も撃沈のようネ」

「さっきの話、アレは本当の…」

「ハハハ、あまりに突飛だと、信じてくれないものネ。…私は、『君達にとっての未来』『私にとっての過去』つまり、『歴史』を変える為にここへ来た。それが、本当の目的ネ」

 

やはりな…セイバーと感じが似ていると思ったのは間違いではなかったようだ。

 

「れ、歴史って!?」

「世界樹の魔力を使えば、それくらいのロングスパンも可能ネ。…そんな力が手に入ったら、ネギ坊主ならどうする?父が死んだ10年前、村が壊滅した6年前…不幸な過去を変えてみたいと思わないカ?」

「!?」

 

ネギ君はあきらかに動揺している。

そして超は今度はこちらに向き、

 

「エミヤ先生はどうかネ?」

「俺の過去を知っているお前なら分かっているだろう。俺は、置き去りにしてきた者のために自分を曲げることはしない。だから君の仲間になることは決してないだろう」

「ふふ…わかっていたヨ。…ネギ坊主、今日の午前中はまだ動かない。また会おう」

 

そう言って超は姿を消した。

 

「あの、士郎さんの過去って…なにがあったんですか?」

「知りたいかね、ネギ君…?」

「わかりません…でも、気になります」

「そうか。では無事この学園祭を終えたら見させてあげよう、約束だ」

「はい!」

 

ネギ君とそう約束した。

できればまだ子供のネギ君にあんなものを見せたくないが、エヴァの言うようにいずれは見せなければいけない時がくるからな…。

約束を無事に果たせればいいな…。

 

 

そんな事を思いつつ、こうして学園祭二日目は幕を閉じたのであった。

 

 

 




学祭二日目終了です。
謎のエミヤ(?)はなんでしょうね……。

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