剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ   作:炎の剣製

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更新します。


081話 記憶巡り編 とある視点で見る記憶 その8

 

 

 

 

過去の士郎さんが死の間際についにセイバーさんを召喚した時。

ドラマ性あっていいよね!

こんなにピンチの瞬間にはさすがの士郎さんもタイミングがばっちしの瞬間にセイバーさんを召喚するなんて……。

 

召喚されたセイバーさんに士郎さんはケガよりライダーを倒せと命令する。

セイバーさんは少し戸惑うけど、士郎さんの気持ちを汲んでライダーを倒しにいった。

士郎さんも慎二さんに向かって駆けていく。

 

…………だけど、セイバーさんが来た途端に形勢逆転でもされたかの如く士郎さんから逃げていく慎二さんのなんと情けない姿の事よ……。

そしてついに壁際まで慎二さんを追いこんだ士郎さんは慎二さんの首を絞めながら、

 

『結界を止めろ、慎二。でないとお前の息の根を止める』

『お前に出来るのかい……?半人前のくせに……』

『そうだろうな。だけどな、一つだけ教わった事がある……』

 

 

そう言って士郎さんは言った。

 

 

―――どんなに取り繕うと、魔術は自分を殺し誰かを傷つける術なんだと……。だから魔術師は魔術師を殺すことを一番初めに覚悟しなくてはいけない。それを、お前は誰にも教わらなかったんだな?

 

 

そう言って慎二さんの首を絞める力を強める。

でも、なんていうか。

 

「なんか、士郎さんが少し怖いです……」

 

そうのどかが言葉を発していた。

まぁのどからしい純粋な反応だけど、

 

「いや、こん時の士郎の兄ちゃんにしてはいい心構えやと思うで?俺らかてここまでされてただただ泣き寝入りなんて嫌やし」

「まぁ、そうアルな……。下手すれば生徒全員の命が絶えてしまうかもしれぬ瀬戸際アル」

「で、ござるな。慎二殿の命を天秤にかければどちらが軽いかは明白でござる。もちろん、慎二殿にも相応の罰を与えるべきでござるが、まずは情勢を見守るのがいいかと……」

「必要に応じて悪を行う……僕も、こういう切羽詰まった事態になる時が来たら判断をしないといけない時がくるのでしょうか……?」

「ネギ先生……」

「ネギ……」

 

夕映とアスナのネギ君に対する心配の声。

ネギ君も表情は少し怯えも含まれているけど、そっか。学園祭の時に夕映と真向に話し合ってネギ君は『悪を行う』決意もしたんだよね。

この中ではアスナ以上に理解者はいまのところは夕映かもしれないね。

のどか、まだそんな調子じゃネギ君に着いていくって決めてるのに夕映には距離を離されて行ってしまうよ?

 

そんな、親友二人の対比を確認しながらも、話は進んでいく。

 

慎二さんは士郎さんに恐怖を感じたのかライダーに向かって叫んだ。

結界を止めろ、と。

ライダーは素直に命令を聞いたのか赤い世界はすぐさまに元の色に戻っていった。

結界は消えた。

だけど、士郎さんはなお首を絞めながら令呪を捨てろと言う。

そうすればもう戦う必要はないと、サーヴァントに反撃されるのを恐れるなら教会に保護をしてもらえばいいと、説得する。

 

「……まぁ、まだ温情があるだけ士郎さんらしいよね」

『そうですね、朝倉さん……』

 

だけど、そこでライダーが先んじて動いた。

セイバーさんの懐を搔い潜り、慎二さんの元へと駆けていく。

士郎さんはなんとか避けたが、これでライダーに護られる慎二さんという構図が出来ていた。

慎二さんと少し話をしていたライダーはそこで思いもよらない行動を取った。

そう、自らの首に釘を刺したのだ。

 

「ひっ!?」

 

誰から漏れた声だったか分からないけど、まさか自害なわけでもない。

辺り一帯にライダーの鮮血が飛び散りながらも、飛び散った鮮血が次第に紋様のような魔法陣を形作っていく。

その魔法陣の中心に人の巨大な眼玉みたいなものが浮かび上がったと思った次の瞬間に、そこには真っ白い翼を広げるなにかの姿があり、光がその階一帯にまで及んで、士郎さんが気づいた時にはその階の教室はすべて壁が砕けていて地面も抉れに抉れていた。

 

「離脱用の、宝具ですか……?」

「にしては威力が高いよね。当たってたら士郎さんもセイバーさんもひとたまりもないと思うし」

 

それから士郎さんは気絶したあと、家に運ばれて遠坂さんに看病してもらったらしい。

だけど、ネギ君はそれだけで安心出来る玉ではない。

ネギ君も教師であるんだから他の見知らぬ生徒だろうと、心配するのが当たり前であり、

 

「士郎さん!それで学校で被害に遭った人たちはどうなったんですか!?藤村さんは!」

《落ちついてくれ、ネギ君。あれからすぐに教会の人達が来てフォローをして、魔術的事象というのは隠されてガス漏れで全員中毒になって病院に運ばれたけど命には別条はないという事になったらしい》

「それでは、誰も……?」

《ああ。結構な重症者もいたらしいけど、誰も死んでいない。それだけは確かな事実だ》

「そうですか……。よかった」

 

それで一応の安心を得たのか先ほどまで強張っていたネギ君の表情にも余裕が出来る。

それで、心にも余裕ができたのか、

 

「でも、そうですね……。サーヴァントに宝具……それだけでも脅威ですが、僕達の世界の魔法も威力だけは負けていません。ですからあんな使い方をされたら死者が出てしまうのは避けられないかもしれません」

《そうだ。だから魔術とか魔法とか関係なく人の為に使わなければいけない。使い方を知らないものが使えば大惨事になるし、故意に使うものがいればそれはもうただの心がない化け物と同義だ》

「だな。坊主も結構やんちゃなんだからよ。気を付けろよ?」

 

そう言ってランサーさんはネギ君の頭をこついていた。

まぁ、確かにそうだよね。

わたしも魔法を知る前からネギ君とはそれなりに接触しているからたとえばドッチボールの時とかくしゃみした時とか修学旅行の時とかネギ君の魔力が暴走しているみたいな光景をなんとなく目撃しているしねぇ……。

ドッチボールの時は鎌鼬か?というほどの威力だったし、くしゃみの時とかそういえば食らった士郎さんお腹抑えて痛がっていたよね?

無自覚のネギ君ほど恐ろしいものはないな、と……。

 

 

 

起きた士郎さんは遠坂さんにやはり咎められていて、セイバーさんにも謝りに行って、そこで士郎さんは素直に今度から一人じゃ戦わない、俺だけじゃ勝てない、力を貸してくれ……とセイバーさんに頼み込んでいた。

だけど、今までの行いまでは間違いじゃないと言って、セイバーさんが傷つくのはイヤだし、セイバーさんが戦うなら俺も戦うとそこだけは譲らなかった。

セイバーさんもいい加減士郎さんの性格と頑固さがわかってきたのか、士郎さんとようやくだがいい感じの仲になってきていた。

 

それと、遠坂さんが代わりの服を持ってきていた。

それはなぜかというと、強制召喚されると今まで着ていた服は飛び散ってしまうという。それはまた難儀な……。

遠坂さんもセイバーさんになんでそんな地味な服装を選ぶのか問うと、セイバーさんは幾分柔らかい笑みを浮かべながらも、

 

『シロウが似合うと言ってくれたから』

 

と言う。

なんていうか、

 

「うわ、甘ずっぺぇ!!」

「いや、女の子ならこうでねぇとな!俺っちも興奮してきやしたっす!!」

「可愛いですー!」

 

と、なかなか今まで笑みを見せなかったからか私の心からの言葉にカモ君含めて盛大に反応をしてくれましたよ!

 

 

 

 

そして、翌日。

士郎さんは藤村さんももう元気にしているという事に安堵しつつ、慎二さんと決着をつけると動き出していた。

遠坂さん達と作戦会議しつつ、ライダーの対策について話し合う。

結果、宝具を使われる前に倒す。

それが単純にして最短でもあるのは分かるねー。

 

士郎さん達は街に出て結界探しをしていた。

だけど、セイバーさんは急に士郎さんを休ませるように椅子に座らせると、士郎さんは急に疲れがどっと出たのか深い息をしていた。

それでもそんなにすぐに休むこともできないだろうとセイバーさんは辺りを見回して、ふと一組のカップルがしている事が目についたらしく、恥ずかしげもなく、膝枕をしようとしていた。

うん。不器用か?

当然、士郎さんもそんな恥ずかしい事などできるか!と椅子に頬杖をついてそのまま眠りについていた。

 

「士郎さん、せっかくのチャンスを逃すなんて……ヘタレですか?」

《うるさいぞ朝倉。黙って見ていなさい》

「はーい」

 

それから一時間ほど、士郎さんはようやく起きて、だけど休むなら他で休めばよかったな……と呟く。

それにセイバーさんは気づいて理由を聞くと、この公園一帯は昔は士郎さんが住んでいた場所だったという。

そういえば!

士郎さんは淡々と過去の事を話しているが、聞いているセイバーさんは目を見開いて驚いていた。

セイバーさんは問う。聖杯戦争の犠牲者だからこそ、同じ思いをしてほしくないのか?と。

それに士郎さんはもっと単純に、他の人も助けを求めていたのに俺だけが助けられて、だからこれからの事を防ぎたいという。

そこでセイバーさんも士郎さんの自己犠牲精神について納得の思いを感じたのだろう。どこか複雑な思いを抱いた顔になっていた。

 

そしていつまでもここにいてはいけないと、二人はまた街に入っていくと、セイバーさんが急にライダーの魔力を感じたのか近くのビルへと歩いていく。

そこでセイバーさんが士郎さんを守るように飛んでなにかを弾いた。

見るとビルの壁伝いにライダーが重力に逆らって立っていた。

いや、まるで蛇のように這っているかのようで……。

セイバーさんもそれでライダーを追うためにビルを跳んで登っていく。

 

士郎さんも士郎さんで屋上までのエレベーターを乗って昇っていくんだけど、途中でエレベーターが止まってしまい、仕方がなく降りて階段を登っていこうとしているんだけど、こういう時に士郎さんの視界だけじゃない周りの光景も見えるのが幸いしたのか、わたしは気づいてしまった。

 

「あの、士郎さんとは反対の影の方に、なんか恐怖を感じる巨体が立っていたように見えたんですけど……」

「あら。ハルナ、あなた目がいいのね?」

 

そこでわたしの言葉を待っていたのかイリヤさんがニッコリと笑みを浮かべている。

うわー……じゃぁこの後、そういう事になるのかなー?

 

そして士郎さん目線に戻ると、屋上までなんとか辿り着いた士郎さんの視線の先には、幻想種のペガサスに乗っているライダー……そして慎二さんの憎たらしい語りが聞こえてくる。

セイバーさんもこの狭い場では士郎さんを守り切れないと案じてか、宝具を開放するみたいで風が吹き荒れる。

相対してライダーも宝具を開放して吶喊してくる。

宝具の名は、

 

 

 

 

 

騎英の(ベルレ)─────手綱(フォーン)!!』

 

 

 

 

ペガサスに手綱を掛けて従わせてくる宝具。

そしてセイバーさんは言った。ライダーは悪鬼の類だって。

それじゃライダーの正体ってまさか!?

英雄・ペルセウスに倒されたあの有名な!

 

そして、セイバーさんの起こす風もどんどんとセイバーさんを中心に纏まっていき、

 

 

『ライダー……ここなら人目もつかないと言ったな?同感だ。ここならば、地上を焼き払う憂いもない!!』

 

 

次第に風が解けて、そこには光り輝く黄金の剣が姿を現した。

まさかここまでわたしの勘が当たっているなんてね……その剣の真名は、

 

 

 

 

約束された(エクス)─────勝利の剣(カリバー)ーーーッ!!』

 

 

 

 

黄金の極光が放たれてライダーをそのまま飲み込んでいった。

空はまるで昼間になったかのように明るくなり、それほどにその光は強烈だという事が物語っている。

そして、エクスカリバーの担い手と言えば、世界広しと言えども一人しか該当しない。

ネギ君がまるでうわ言かの様に、

 

「アー、サー、王……?セイバーさんが……?そんな……」

 

と呟いている。

そう。ネギ君は絶対に知っているブリテンの大英雄。

 

 

 

 

光が収まると、そこには令呪の本が燃えてしまっているのか隠れていた慎二さんが一目散に逃げていく。

士郎さんは追おうとしたが、おそらく魔力切れで倒れてしまったセイバーさんに意識が向いてしまい、慎二さんはそのまま逃げていってしまった。

 

「ここで逃がすのは惜しいね……」

「でも、セイバーさんが心配なのは分かるなぁ」

「安心して。もう彼の出番はこれ以降二度とないから」

「それじゃ……やはり」

 

イリヤさんの言葉が意味している事は、

 

「さっき、私が陰で控えているのを知っているのなら分かるでしょう?マスターはたとえサーヴァントを失っても令呪が残っている限り野良のサーヴァントとまた再契約できるという方法があるの。そんな一握りのチャンスを当時の私が見過ごすわけないじゃない?ただでさえ、マスターは例外なく殺すのが聖杯戦争のルール……」

「それじゃ、慎二さんは……」

「私が、私とバーサーカーが殺したわ……」

 

もう分かり切っていたイリヤさんのカミングアウトだった。

予想していなかったわけではないけど、普段あんなに優しいイリヤさんから真実を告げられるとやっぱり来るものがあるよねー。

 

「そうですか……。これが、聖杯戦争……。慎二さんも自業自得でしたが、それでも士郎さんの親友でしたのに……どこで歯車が狂ってしまったのでしょうね?」

《…………》

 

夕映の言葉が重しの様に圧し掛かってきたかのような錯覚を感じたわたし達なのであった。

そして士郎さんの気配もどこか寂しそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

……………

 

 

………………

 

 

 

 

 

重たい!

なんていうか、空気が重たい!!

まぁ、しょうがないって思うけどね!

でも、わたしはもう振り切った事にする。

もう聖杯戦争も中盤だろうし、おそらくこのまま次に来るのはイリヤさんと言う最大の山場だろう。

まだ士郎さんの投影魔術も解禁されていない。

強化フラグはどういう風になされるのか興味が尽きない!

さぁ、魅せてください士郎さん!

続きを!!

 

 

 

と、思っていると、

 

「嬢ちゃん、なんかこの場では不謹慎だが頭の中大丈夫か……?」

 

と、普段と全く変わらないランサーさんに指摘されてしまいました♪

 

 

 

 

 




オチはやはりハルナがつけるべきでしょうと。

次回、イリヤ編ですかね。
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