ありふれた錬成師と空の少女で世界最強【完結】   作:傘ンドラ

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かき揚げこと四象瑞神が一気に人気コンテンツに……バブさん投げるヒマもねぇ。
そんなに君たちはメスガキおっぱいドラフが好きなのか?
シュバ剣欲しさにワンパンしまくってた頃を思い出します。

ここからはやや愚痴になりますが、特別訓練でシュバ剣完成品三本貰えて、
その上キャラも貰えるとは隔世の感があります。
特にリリィ貰えるのは羨ましいです、さらに訓練終了後にカタリナを貰えば
Aqours二年生組とで水属性については形になるので。



In The Backyard

 

 

「という次第でな、この婚儀お受けすることにした」

 

教室に据え付けられた異世界通信用のモニターの前ではにかむメルド、

その手にはグラスがある。

素面ではとてもとてもといったところであろうか。

 

「XX歳差かぁ」

「でも逆玉じゃんか、メルドさん王様になれるんじゃ」

「残念ながら臣籍降嫁って奴でな、王女は」

 

そこでリリィって読んであげなよ~と黄色い声が飛ぶ。

 

「そ、そうか、じゃあそのリ…リリィはだな」

 

今度は可愛い~という声が飛ぶ。

 

「摂政の地位こそこれまで通りだが、王位継承権については放棄することになる

そうそう上手くはいかんのだ」

 

なあんだあという声が主に男子から漏れる。

 

「オイオイなんだはないだろう?まるで俺が王位目当てで結婚するみたいじゃないか」

 

目を丸くしつつも笑顔で言い返すメルド、その包容力を感じさせる大らかな仕草に、

姫様はいい人を選んだなと思う女子たち。

香織に至ってはリリィ…良かったねとすでに涙ぐんでさえいる、が。

 

「……でもそれでは釣り合いが取れない、示しがつかない」

 

ユエの指摘に頷く一同、王国きっての強者にして騎士団長、

その人物に疑いを抱く者はほぼ皆無、とはいえど、

平民出のましてや侘しき官舎住まいの中年男に、

一国の姫を嫁がせるのは当人たちの意志はともかく周囲が眉を顰めるだろう。

身分違いの恋愛が物語として成立するのは、

それが現実には困難であるという証でもあるからだ。

 

「ま、お嬢の言う通り色々とあってな、このメルド・ロギンス

この度王国騎士団長職を辞し」

 

コホンと咳払いの後に続けるメルド。

 

「畏れ多くもロギンス辺境伯を拝命し、めでたく家を興すことになった」

 

そこからはとんとん拍子であった。

これぞ好機とばかりにジータを中心とした女子らの号令により、

内々とはいえ婚約祝いの、いや正直なところそれにかこつけた、

生者の未来を祝い死者の冥福を祈るパーティーの開催が、プログラムが決められ定まっていく。

パーティーのロケーションはそんな慶事なら一口乗らせてという、

リューティリスの厚意によりハルツィナ樹海の大樹の頂上と決まった、まさに絶好。

 

そしてパーティーといえば豪華な料理が付き物だが、

それについては王国側からは宮廷料理人が派遣され、

地球側からは洋食店を営む優花の両親がケータリングを買って出てくれた。

 

「父さんたら修行時代を思い出すなんて言っちゃてさ、もう何歳も若返ったみたい」

 

異世界の未知の食材、未知の料理に心ときめかせ、

腕まくる父親のことを優花は誇らしげにジータへと語ると

噂をすると何とやら厨房からその優花の父、園部博之が姿を現す。

 

「ああ、何せ地球代表だからな、料理人冥利につきるってものさ」

「ね、ホラこの通り」

 

いい年をしてとやや呆れ顔の優花ではあったが、

それでも父親の張り切る姿は娘としてはやはり誇らしいのが態度から見て取れる。

 

「そんなことより、お父さん」

 

続いて厨房から博之を促すように出て来たのは優花の母親である園部優理だ。

そうだったなと彼は頷くと、夫婦で頷きあいジータへと向き直る。

 

「蒼野さん、この場を借りて君に改めてお礼を言わせて頂く、ありがとう

娘を、優花を連れて帰って来てくれて」

「ちょっとお父さん……お母さんもそんな…今更」

 

ジータへと深々と頭を下げる両親の姿に口籠る優花。

 

「へ?いやいや私、そんな……」

「何を言うかね、君こそ最大の功労者だと優花もそうだが、天之河君や南雲君、

それに先生もおっしゃっている」

 

それは単に気恥しくってそう言ってるだけじゃ?と思いつつも、

何とかそれっぽい返しを口にしてみる。

 

「私だけの力じゃないです、生き残った全員の力、何より優花ちゃん自身の頑張りが

生を掴んだと私は思っています」

「だからそれを為し得たのは間違いなくジータ、君の力だと俺は言っている」

「過ぎた謙遜は人に恥をかかせることになるよ」

 

ジータが振り向いた先には光輝とミレディがいた。

 

「もしもジータ、君がいなければきっと俺はエヒトと戦う以前に南雲と戦うことになってた

世界よりも命よりもたかがプライドを自分のこれまでを守ることを優先して」

「だからそれも私じゃなく……」

 

言いかけて口籠るジータ、何故ならば光輝に戦うということの意味を、

使命を受けたる者の重さを自身の生き様を以って教示した少女は、

ハジメの力をしてでも容易には辿り着けぬそんな遠い遠い世界の住人、

安易にその名を出すわけにはいかない、かつて特別を作れぬと詰られた男にとって、

きっと初めての特別な存在なのだから。

 

「少なくとも俺はそう思ってる、南雲や愛子先生は照れて言ってるだけかもしれないけど」

 

いや、確かハジメも同じようなことを言っていたとジータは思い出す。

 

『お前がいなきゃ多分天之河と一悶着どころじゃないことになってたな』と。」

 

「ええと……じゃあ」

 

最大の功労者という言葉には戸惑ったが、お礼自体は言われ慣れてはいる。

 

「ありがとうございます」

 

いつも通りのノリで園部夫婦へと頷きつつジータは改めて周囲を見渡す、

どうやら準備の人数は足りているようだ。

 

「じゃあ私そろそろ行くね」

「ユエちゃん?」

「うん、発表会が近いからってね」

 

他にも香織は生徒会で、雫も大会に出る後輩らの為に指導の日々を過ごしている。

 

「愛ちゃんの車でそっち行くから」

 

最近購入したという愛子のミニバンなら、

途中の道々で合流予定のシアやティオたちらも含めて余裕で乗せることが出来る筈だ。

 

 

(んっ……また)

 

ジータが学校へと向かった頃、音楽室の窓から外をチラ見しユエは訝しげに眉を顰める、

その視線の先には歳の頃なら二十代半ばといった風の男の姿があった。

 

最初はまた自分らに余計なちょっかいを掛けにきた輩かと思ったのだが、

その男が時折姿を見せているのは自分ら生徒の通用門ではなく職員用の門であり、

それもじっとそこで待っているというわけではなく、

数分ほど姿を見せてはいずこかへと去り、そして時間を置いてまた数分といった風なのだ。

 

ユエに取ってその姿は、悪意というよりは何かの迷いを感じてならなかった……。

 

(じれったい……)

 

「では今日はこれでラストにしようか、では」

 

そこで部長の促しが入り、ユエは頷きつつそっとフルートを咥え

中国女(La Femme Chinoise)を奏で始めるのであった。

 

 

(行くか……戻るか……)

 

そうやって悩むだけ悩んで、結局戻ってしまう。

一体何度目だろうか?

家族には求職の為と説明しているが、交通費も宿泊費も正直馬鹿にならない。

それでもここまでようやく来れた。

最初は駅から外にすら出れず、結局そのままトンボ帰りしてしまったのだから。

 

(俺は…俺は…)

 

会議か補習かは知らないが、幾らなんでもそろそろ目的の人物は姿を現し帰路に就く、

そこで偶然を装う体でごく自然に出会えばいい。それだけだ、それだけでいいのだ。

知らぬ仲ではない、むしろ親しいと言ってもいい仲だ。

年賀状だってちゃんと毎年来てたし、送ってもいる。

別に問題はない、問題はない。

 

だがどうしてと男はまた思う、俺はその問題ない筈の行為に

何故にここまで怖れを抱いているのか?と。

スマホに忍ばせた二人で最後に取った写真にそっと目を移す、

もう十年以上も経っているにも関わらず全く変わってないな、と、目を細める男だったが、

その変わらぬ姿のままテレビの画面の中で熱弁を奮う姿が重なり始めると、

男は目を伏せ、スマホをズボンのポケットへと突っ込んでしまう。

変わってない、何も変わってない筈……きっとあの頃と同じようにと心の中で唱えながら。

 

だから偶然出会っても別に不思議じゃない、そりゃ少しは驚くのかもしれないが、

またあの夏の日のように笑顔を向けてくれる筈、あくまで偶然、偶然だ……いや?

そこでモノローグの男は自分が重大な齟齬を犯していることにようやく気付く、

勤務先の前までやって来ておいて、そもそも偶然を装うには怪しすぎるのではないか?

自然とはむしろ程遠い状況ではないのかと、これではまるで……。

 

(うん、そうだな、こんなとこで出くわしちゃまずい、うん帰ろう出直そう)

 

自分が撤収する理由を得、ほっと一息入れた所であった。

カランと自分の背後で空缶が転がる音に何気なく振り向くと、

そこにはぞっとするほど美しい、見惚れる前に畏怖すら覚える、

まるで精巧な氷細工のような金髪美少女が楽器のケースを抱え、西日を背にし立っていた。

確かこの子はユエとかいう異世界の……。

 

「ひ、あ」

 

そこから先は後とばかりに踵を返す男、

ちょっと前にもこんなことがあったなとだけは思う、あれも確かシアって名前の……

 

「何をしておる!」

 

その声と同時に視界が一瞬止まって反転する、クラクションと罵声が耳に入り、

自分が背後から襟首を掴まれ投げ飛ばされたのだと男は理解する。

だがそれに続く痛みはない、地面に叩きつけられる前に誰かがキャッチしてくれたのだろう。

 

「前を見て走らぬか!その先は車道じゃぞ!」

「あーっ、この人前にお店で見ました」

「どうしよう?連絡して引き渡す?」

 

香織の言葉にそれが何を意味するのかを理解し、男の口から息が漏れる。

が、香織の言葉をユエは制する。

 

「……きっと何か理由がある」

 

これまでの経験上、いわゆる興味本位や弱みを握ろうとしてうろつくような輩とは、

違うように思えたのだ。

それに今日は特別ということで日頃世話になっている護衛の殆どには休暇を取って貰っている、

わざわざこの程度では悪いだろう。

 

一方ジータは地面に落ちた男の免許証を拾う、この住所には聞き覚えがある、確か?

 

「愛ちゃんとこの……田舎の人ですか?……ええと、古川太一さん?

あ、すいません勝手に名前呼んでしまって」

 

古川太一なるその青年は俯きつつ頷くのであった。

 

 

こうしてジータがまた妙なトラブルに巻き込まれつつある頃、

店の方ではようやくハジメらが姿を現し。

と、やっと来たかとばかりに清水がハジメの元へと駆けよって来る。

 

「ああやっと来た、実はさ、折り入ってさ……」

「何だよ、相談事なら俺よりも適任がいるだろ」

 

ハジメは光輝の姿を親指で指し示す。

やっぱり小咄か諺の一つでも入れた方が?う~ん、話が長いのもダメだけど~

でも短すぎても相変わらずつまらない奴って思われますよなどと、

ミレディと相談しあう声が聞こえる、どうやらスピーチの内容についてのようだ。

 

「いや、今は見ての通りだし、それによ」

 

そこからは小声になる。

 

「天之河に話したらミレディさんの耳にも自動的に入るだろ……」

「恋愛絡みか?」

 

確かにそれは聞かれたくないなとハジメも思う。

名目上光輝の恋愛成就のために地球くんだりまでやって来たのに、

これでは全く本末転倒である。

 

「いいのか?俺だって結局ジータを頼るぞ?」

「ああ…まぁ致し方ないさ、そこはな」

「で、何だ?」

 

自分の周囲には確かに美少女が多いが、

だからといって別に恋愛上手ってわけではないのは分かってるよな?

と思いつつも、話くらいはと一応耳は傾ける、どうせ内容は分かっている、恐らく。

 

「……俺、愛子先生に愛ちゃんに……告白しようって思ってるんだ」

 

予想通りであったのでハジメは特に驚かない、むしろようやくかとさえ思ってしまう。

事実、帰還して以降の清水の愛子らへの献身は目覚ましいと言っても過言ではなく、

その行動の根幹には、ある種の感情があるのは明白であり、

それが何であるかは今更説明するのは野暮という物だろう。

 

「でもお前……」

 

だが、ハジメの疑問を遮るように清水は首を横に振る。

 

「いいんだ……むしろ俺がやらなきゃいけないのは、

あの人にちゃんと俺は出来ているってのを見せなきゃいけないことだと思う」

 

そしてその為にはと、遠い目をしながらも頼むとばかりにハジメへと何かを託すかのような、

そんな清水の表情はかつての教室での俯いた姿とは明らかに一線を隔しており、

成功体験という物はやはり人を変えるのかと改めてハジメは思わざるを得ない。

ともかく、いずれにせよ期待には応じるのが筋である。

 

(異なる世界のさらにゲームの世界……)

 

だが必ずと決意を新たにするハジメ、

どの道自分に取ってもカリオストロから課せられた宿題でもあるのだから。

 

(いつか、いや必ず来い!俺たちの世界へ、宿題だぞ!)

 

そしてそこに耳聡く聞きつけた玉井、仁村、相川ら護衛隊組が絡み始める

 

「ついにやる気になったのかよ!」

「護衛隊の絆は永遠だぜ!」

「骨は拾ってやるさ!」

「……最初から上手くいかない風になんて言うなよ」

 

そんな彼らを横目にしつつ、ハジメはそういえばといった風の表情を見せる。

 

(遠藤も何か話したいような感じだったな……)

 

 

その遠藤であったが、彼もやはりというか悩みを抱えていた。

何度目かの打ち合わせの際、内々にメルドから告げられたことについて……それは。

 

『浩介、お前は故郷で学問を修めた後はこっちに渡ると聞いてはいるが』

『はい、俺はそちらの世界で、獣人族のために尽くしたいと考えています』

『ならばその願い、少しだけ曲げてはくれないだろうか?』

 

メルドの口調が変わったのを察し、はっ、と遠藤はモニターの先のメルドの顔を凝視する。

こういう声、こういう顔の時の団長は……。

 

『浩介、もしもお前が何年か先、それでもまだトータスに渡ろうと、

その気があるのならその時は……俺の腹心として力を貸しては、

いや、単刀直入に言おう、俺に仕え俺の下で働いて欲しい』

 

辺境伯とはただの貴族ではない、国境に於いて周辺の領主らを統括する立場である。

決してやらかして田舎に左遷された貴族のことではなく、

有事の場合におけるその実権とそれに伴う責務は中央のそれをも凌ぐ。 

その配下に入るということは領地に、何より国事に従事するのが最優先となる

それによる多大な権限は得られるかもしれないが……。

 

(その分俺自身の自由は利かなくなる)

 

『でも俺なんかより強、いやずっと事情に通じてたり……とか』

『俺が買っているのはお前の力じゃない、お前の誠実さだ』

 

まだ先の話だ、俺もお前もこの先どうなるかなんて分らん内の話だとの、

メルドの言葉を心の中で繰り返しながら、彼は自問する。

 

(力と自由……俺が選ぶべきは)

 

 

そしてさらに岐路に立つ者は増える、その頃校長室では。

 

「畑山先生、ご決意は変わらないのですね」

「はい、私畑山愛子は彼ら帰還者クラスの卒業と共に」

 

校長、そして同席している理事らへと改めて愛子は頭を下げる。

 

「教職を辞させて頂きます」




前回今回と繋ぎ回です、本来前回と合わせて一話の筈でしたが
一万字超えたので分割させて頂きました。
と、色々と岐路に立つ人々が多い中、アフターにおける問題人物のご登場です。
確かに件の話におけるハジメの対応も褒められたもんじゃないですけど
それを差し引いても、この太一さんもかなりおかしな点が見受けられるんですよ
それにつきましては次回以降で……救済は恐らく出来ませんが
せめて成仏させてはあげたい次第。

ということでハジメよりもさらに厄介な女の子たちに捕まってしまった彼の運命やいかに。
それから辺境伯についての解釈はこれで正しいでしょうか?
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