そして御伽の国の王子は理想郷から追われ、ままならぬ現実へと
足を踏み出す。
時計台の秒針が一二時を差した瞬間、先に動いた、いや飛んだのは龍太郎だった。
身体能力をフルに生かし、まるで空中で数歩歩くようなステップを踏むと、
雄叫びと同時に、そのまま遠心力たっぷりの空中回し蹴りをハジメへと見舞う。
しかしそんな大振りの打撃がハジメに通じる筈もない、数歩後ずさって
簡単に避ける。
「その歩法、八重樫流だな」
避ける際のハジメのステップを目敏く龍太郎は指摘する。
「ああ、ジータと毎日のように組手やっててな」
ジータと毎日のように……という言葉にまた龍太郎の胸がチク、と痛むが、
それを振り払うかのように、彼はハジメの左側面、すなわち失った左腕の方へと
執拗に回り込もうとする。
それを卑怯だとは思わない、互いに了解した上で戦いの場に立った以上は全てが平等だ。
無論それを許すハジメでなく、龍太郎の動きとシンクロするかのように、
自らの正中線に彼の姿を捉えて離さない。
龍太郎の口から焦れたような息が漏れ、今度は無言で滑るように体重を移動させ、
ハジメの胸元へと肘を叩き込もうとする、が、それもハジメは触れることなくいなす。
(参ったな……)
心の中で舌を巻く龍太郎、今のを避けられるとは思わなかった。
「今の動きはどこで教わった?八重樫の動きじゃないぜ」
「ああ、他にも師匠がいたんだ、これが凄くてな、ここに連れて来たかったんだが」
雫に活を入れて貰っている光輝を視界の隅に入れながら、
シルヴァのことを思い出すハジメ、彼女ならば……。
(アイツのことも、もっと上手く扱えるんだろうな)
「じゃあ次はお前の番だ、来い」
防御の構えを取る龍太郎、その肉体が輝きを帯びる、"金剛"を使用したようだ。
(カウンター狙いか……いや)
右腕がブラブラとリズムを取るように揺れている、一瞬警戒するハジメだが、
考えを改める、狙いが何であれ全力でぶつかるのみだ。
これは決して驕りではない……礼儀だ。
「う……龍太郎……どうして」
そこで回復した光輝の目に映ったのはハジメと対峙する龍太郎の姿。
龍太郎の構えは迷宮で良く見せるカウンターの型だ。
そしてハジメはそれを知らずに、龍太郎の術中へと飛び込……。
そう思った瞬間、ハジメの姿が光輝の視界から消えた。
そして、衝撃音と同時に龍太郎の鳩尾に膝を突き立てているハジメの姿があった。
(見えなかった、バカなっ!俺は仲間の中で一番速い雫の動きでも追えるんだぞ)
ハジメの恐るべき戦闘力を、今度こそ否応なしに思い知らされ、
光輝はその整った顔面を驚愕に歪ませる。
「……こんだけ速けりゃカウンターもヘチマもないな……参ったぜ」
苦しい息を吐く龍太郎。
いかに戦いは数値ではないといっても、そもそもの数字が違い過ぎる、
恐らく体感ではケタ二つは違うような気がした。
「ずりぃぞ……あっちゅう間に追い越し……やがって」
「言う程簡単じゃなかったんだな……それが」
軽口を叩きつつも龍太郎の目は、ただ一点、ジータを捉えて離さなかった。
そのジータがハジメの勝利を確信した時の笑顔も……。
「きしょう……め」
崩れ落ちそうな身体をムリヤリ動かし、ハジメの身体を引き離す。
恋敵の胸の中なんぞで気絶など、まっぴらゴメンだ。
「龍太郎!オイ!大丈夫か!」
駆け寄る光輝へと心配ないと仕草を送ると、ゆっくりとその身体を
ちょっと困ったところもあるけれど、それでも自慢の親友へと預ける。
「オイ!どうして……オイ!」
「光輝……アイツは卑怯者でも、まして寄生虫でもねぇ、間違いなくあの強さは……
アイツ自身が得たものだ」
「……」
「認めろ、お前の、そして俺たちの……負けだ」
「ツッ……」
しかし、まだ光輝は負けを認められなかった。
どうしても行ってしまうのか……と、縋るように香織へと目を向ける。
「じゃあ……はっきりと言うよ」
少し躊躇いながらも、香織は光輝に向き合い話し始める。
「私は生き延びたいの、長生きしたいの、好きな人と結婚して子供たくさん産んで
孫に囲まれて大往生したいの、もしそれが叶わないならせめて……」
頬を赤く染めながら、香織はハジメの方を向き、力強く宣言する。
「最後は好きな人の傍で死にたいの、だから私はハジメくんに賭ける、
例えそれが光輝くんの言う正しさにそぐわなくっても、間違っていても私は
可能性の高い方に賭ける……ううん」
慎重に言葉を選びながら、続ける香織。
「少なくともこの気持ちだけは間違いだなんて言わせない、だから光輝くんとは
ここで暫くお別れ……ありがとう、あの時私が地の底に落ちそうになった時助けてくれて、
ごめんね、離せとかいって暴れたりして」
しかし、その丁寧な言葉は光輝には却って壁を、拒絶を感じさせる結果となった。
「それは……俺が弱いから、賭けるに値しないからってことか」
今日はどうして何もかも上手くいかない、おかしい……そんな憤りに拳を震わせる光輝。
「俺が弱いから……俺が正しくないからっ!俺の傍を離れるのか、俺を……」
(見捨てるのか)
「違うよ」
それについてははっきりと即答する香織。
「光輝くんはちゃんと頑張ってるよ、この世界の人々を救おうと
本気で願っていることは認めているよ、さっきはさ……
上手く行かなかったけど……でもね」
光輝の凍りついたかのような表情に一瞬逡巡するが、それでも香織は言葉を続けて行く。
「でも、それって私が一人離れただけで叶えられなくなったり、する気が無くなる願いなの?
世界を救うってそんなにぬるいことじゃないよね?」
「……」
「だからね、今度会った時は私がいなくってもちゃんと大丈夫な光輝くんを見せて欲しいな」
辛辣ではあっても暖かさを感じさせる香織の言葉であったが、
それはむしろ不安という名の錐となって深く光輝の胸を抉った。
消えていく……正しさが、去っていく……自信が、
天之河光輝の根幹を為したる物が己の中から離れて行く……。
このままではいけない、もっと、もっと正しくなければ……。
色々な何かが光輝の頭の中を過ってゆく、そして恐らく生きている限り、
忘れることは出来ないであろう、あのメルドによる処刑シーンが再生された時……。
光輝に、文字通りの電流が走った。
あるじゃないか……この世界の誰もまだやってない、この俺に、
勇者にこそ相応しい正しさを立証できる方法が。
「だったら俺がっ!俺がこの戦いを止めてみせるっ!」
「なっ……」
どうも脈絡を欠いているような光輝の叫びであったが、それでもジータは言葉を詰まらせる。
「俺が勇者なのはきっと何かの意味がある、それは……人間族と魔人族の手を取りあわせ、
この悲惨な戦争を終わらせることだっ!」
光輝は熱に浮かされたように叫びを続ける。
「俺なら、俺たちなら出来る!一緒に人間族と魔人族が手を取りあえる時まで、
共に平和を訴えよう!……皆でリリィやイシュタルさんにお願いに行こう!」
あまりにも現実を無視した、そんな理想論を宣い始める光輝、いや、それは理想ですらない。
ただ彼は自分にとって都合のいい綺麗な物だけを見つめて暮らしていたいだけなのだ。
「くだらない男、いこ」
清水や遠藤の慟哭に比べ何と薄っぺらい叫びなのだろうか?と、
汚物を見るような冷たい目でユエは光輝を一瞥し、ハジメたちにここを一刻も早く
立ち去るように促す、それもそうだなと彼らが頷きあった時だった。
無視出来ぬ言葉を光輝が放った。
「それに……そもそもこんなに長い間戦争が続くこと自体おかしい、いや、きっと、
この戦争を影で操る黒幕がどこかにいるんだ!」
やはりこの男、未熟だが鋭い、勇者に選ばれるわけだと、驚きつつ半ば感心するジータ。
苦し紛れの妄言に過ぎなくても、この世界の正鵠を図らずも射抜くのだから。
光輝の顔が妙な確信を得たような、そんな不気味な表情へと変わっていく。
とびきりのイケメンであるがゆえに、それが余計に異様さを覚えてならない。
「だから一緒に戦おう、この間違った世界を正し人々を戦乱から救お……」
そこで光輝の頬が鳴った。
「ふざけないで!」
「ジ……ジータ」
「こっちはねぇ!一杯一杯なのよ!これ以上面倒を起こさないで」
「め……面倒とは何だ!ジータ!君は俺よりもずっと強いじゃないか!なら……」
「顔も知らない誰かの為に力を振るう余裕なんてないわ!それから下の名前で呼ばないで」
「な!自分さえ、自分たちさえよければいいのか!」
また頬が鳴る。
「天之河くんがこの世界の平和を目指すならそうすればいい、けど私たちの目的は違う
私たちの目的はあくまでも皆といっしょに無事に一日でも早く故郷に、地球に帰ることだから」
ただいまは何も自分たちだけの話ではない、この目の前の男にだって、
誰にだって当然、それを言う権利はあるのだ、いかに確執を抱えていようが、
それだけで見捨てるという話はない……残念ながら自らその権利を放棄した奴もいるが。
「お父さんやお母さんの所に帰りたくないの?それに美月ちゃんのことはどうするのよ!」
「も……もちろん帰るさ、この世界も救って、そして……」
口籠りつつ目を泳がせ、ハジメの姿をまた探そうとする光輝、未だ変わらずの彼へと、
ジータはすかさず釘を刺す。
「ハジメちゃんのせいにしようとしてもムダだから、これは私が、私自身で決めたことだから」
ジータは、視線を逸らさせない様に、ぐいと光輝の襟首を掴んで引き寄せる。
決して教室では見られなかった光景に、クラスメイトたちからどよめきの声が漏れる。
「私たちは私たちの道を選んだ、それが天之河くんが私たちに勝てないことに、
繋がったとしても、それはもう仕方ないことなのよ、どうしようもなく現実的よ!」
尚も言い募ろうとした光輝だが……ジータの目に涙が浮かんでいるのを見て、
何も言えなくなってしまう。
「どうして……」
ジータは光輝を突き放し、ドンとその胸を拳で叩く。
「そんなやり方で私たちと張り合おうとするのよ!どうせ兄さんに勝ちたいだけのくせにっ!
そんなしみったれた心根で平和を説くなんて、それこそ……」
オスカーやミレディの言葉が、願いが、ブルックやウル、フューレンの人々の姿が頭を過る。
「この世界の人たちに……迷惑よ!」
そう言い捨てて踵を返すジータ、もうこれ以上話すことは何もない、
話すだけ時間の無駄だし、何より苛立って仕方がない。
ハジメらも同じ気分なのか、ジータの後ろに続いていく、
さらに何人かの……おそらく光輝に見切りをつけたであろうクラスメイトが、
フザけたことに近藤ら、小悪党組を先頭にして続こうとするが。
「駄目だよ」
意外な人物の、中村恵里の声に、彼らは、そしてハジメたちさえ足を止めてしまう。
「光輝くんに今まで散々頼っておいて失敗したらすぐに見捨てるの?
それにみんな教室で、そしてここで南雲君のことをどう思っていたの?
強くなったからこれまでは水に流して助けて下さいなんて……虫が良すぎるよ」
自分の表情を見られたくないのか、恵里は顔を伏せながら続ける。
それはまるで自分自身に言い聞かせているような、そんな印象があった。
「南雲君たちの所に行っていいのは……香織ちゃんと……」
「シズシズだけだよっ!」
横合いから口を挟む鈴、恵里の肩がピクンと跳ね上がる。
ともかく二人の言葉を受け、クラスメイトの目が雫に集まる、しかし……。
やはり雫は静かに首を横に振った。
(やっぱり私は……)
ここで光輝を見放せば彼は間違いなく壊れる、そういう危うさを雫は感じ取っていた。
(そして舵を取る者がだれもいなくなった船は……)
それに彼女もどうしていいのか分からないのだ、何しろ……。
こんな天之河光輝を見るのは初めてなのだから。
そう……まるで産声を上げる赤子を見てる様な感覚を、彼女は光輝に対して覚えていた。
雫はジータと香織にも、私に構わずに……と、今度は力強く首を横に振る。
(やっぱり私は光輝を……ううん、皆を放っておけない、だから……)
それは自分の目的を、戦場を定めたという意思表示だった。
決意を込めたその瞳を見てしまうと、もう二人は何も言うことが出来なかった。
だから……っと、大事な事を忘れるところだった。
「ハジメちゃん、あの刀」
ジータに促され、ハジメは"宝物庫"から黄金の鞘に入った刀、いや太刀を取り出し
ジータに手渡す、それを両手に抱えてジータは雫へと駆け寄り、太刀を彼女の掌に置いた。
「これは?」
「雫ちゃん、訓練の時から刀が欲しいって言ってたでしょ?だからハジメちゃんに、
作って置いて貰ってたんだ、それにさっきの戦いで剣折れちゃってたし」
「香織ちゃんもこっちに来ることになったしね……それから……
がるると今にも吠えだしそうな顔をしている光輝に、横目でステイステイと、
子犬をあやす様な、傍から見ると煽ってるとしか思えない仕草を見せつつ、ジータは続ける。
「アイツのお守の、せめてものお礼というか、ああでも刀というより太刀に近いけどね」
ウルでの戦いがあったあの日、空の世界とトータスが僅かな時間ではあったが繋がって以降、
ジータらにとっても、いくつかの変化があった、その一つが天星器の解放である。
本来、ジータらの扱う武器に関しては、メンテナンスはともかく、
ハジメの能力を以てしても、その完全な解析は不可能であり、
従って銃弾などのごく一般的な消耗品(それも互換品レベルだが)を除いて、
生産も当然不可能であり、またジータたち空の世界の力を宿す者以外が
装備しても、その能力を発揮することは無かった。
しかしこの天星器、"依代"と称される朽ち果てた武器に力を宿し錬成を重ねることで
完成し、ようやく本来の力を発揮させることが出来るようになるのだが、
この実体化され、完成した天星器、なんとハジメたちにも装備が可能だったのだ。
ただし、この天星器、またの名を十天武器、
十天というだけあって、槍・弓・斧・短剣・杖・拳・剣・刀・琴・銃と十種類があるのだが、
要求される工程、そして錬成するのに必要な素材・何より魔力が甚大なため、
完成させられるのはおそらく各種それぞれ一本が限界だった。
実際、錬成を終えたハジメは丸一日ベッドの上から起き上がることが、
出来なかったのだから。
「そんな貴重なものを……ありがとう大事に使わせて貰うね」
「正式な名前は八命切・蒼天って銘みたい、抜いてみて」
雫が、ジータに手渡された太刀を黄金の鞘からゆっくり抜刀すると、
蒼天の銘の通り、蒼く輝く刀身が現れた、その澄み切った光は文字通り
澄み切った曇りなき青空を彷彿とさせた。
すぅと息を吐き、雫は彼らの前で受け取った太刀を一振りしてみる、
それだけでも全体のバランスの良さと、風すら切り裂きそうな手応えを感じ取ることが出来た。
……まさしく驚嘆すべき業物である。
「凄い……それに」
「?」
「……感じるの、この太刀から……ううん、この刀本来の主の何かというか
そんな意思を」
そういえばハジメも似たようなことを口にしていた、この太刀を完成させた夜、
角を生やし、歌舞伎役者のような隈取を顔に付け、漆黒の陣羽織を纏った、
獅子の如き白髪の巨漢が現れ、天晴れ也、善き哉と褒められる夢を見たと。
「きっと雫ちゃんの……ううん、皆の守り神になってくれるよ」
宝物を手にするように笑顔で太刀を両腕に抱え持つ雫、その笑顔とそして決意が、
どれほどの業物であったとしても、たかが武器一本、釣り合うとは思えない。
しかしせめて託させて欲しい。
そして相も変わらずの険しい顔の光輝へ、いや、彼のみならず居並ぶ全員へと
ジータは叫ぶ。
「雫ちゃんを悲しませたら、今度こそ許さないからっ!」
それだけを口にして、ジータはハジメらを伴い足早に光輝らを置いて、
騎士団の詰め所へと向かう。本当に今度こそこんな所に長居は無用だとばかりに、
その背中に光輝の叫びが木霊する、誰も悪くないが故の行き場を失った、
正しさの残りカスが彼を叫ばせる、その響きは母の胎内という理想郷から、
ままならぬ現実へと生まれ出でた、まさに赤子の産声だった。
ただ、この世界の現実は、生まれたての赤子に取っては、あまりに残酷だった。
その事をそう遠くない日に彼は思い知ることになる。
「認めない……南雲、俺はお前を……」
光輝はハジメの背中を睨みつける、この叫びが生まれて初めての八つ当たりなのは、
流石の彼とて百も承知だ。
「俺はッ!俺の正義で必ずこの世界の戦争を止めて見せる、そして
お前から香織を!そしてジータを必ず取り戻す!」
「やめろ!お前の……俺たちの負けだ!まだわからねぇのか光輝」
「やめなさいっ、もう止めて」
ああ、無様だ、情けないと自分で思いながらも、何故か言葉が止まらない、
勇者としてリーダーとしてあるまじきことだと自覚していても、
生まれて初めての荒れ狂う感情の波に翻弄され、抗うことはままならない。
制止する龍太郎と雫に構わず、さらに光輝はユエたちにまでも言及する。
「君たちもだ!誰が正しいのか、その目で確かめさせてやるっ!」
ユエがメドゥーサの肩をポンと叩き、それを受けた彼女の目が輝きを放つ。
「ウッ!」
「ム……ムムムッ」
「うぐぐぐぐぐっ!」
光輝一人だけを固めるつもりだったが、少しやり過ぎてしまった。
龍太郎と雫までも石に包まれ、三人は呼吸が出来ずに三者三様の呻き声を上げる。
仕方ないなとメドゥーサは、ハンマーで三人の顔に空気穴を作ってやり、
「時間たったら元に戻るけど、あんまり苦しそうだったら砕いたげて
あんまり強く叩くとケガしちゃうかもだから、そっとね」
恵里にそれだけを伝えて、そしてまたハジメたちを追ってその場を去っていく。
そんな彼らの背中と、そしてぜーぜーと石の中で息を荒げている光輝を見比べる恵里、
顔を伏せたままの表情は未だ伺いしれなかったが、その手は小刻みに震えていた。
(ボクだって……ホントは)
騎士団詰所、その執務室内にてメルドは件の書類にサインをし、ジータへと手渡す。
彼の要望でハジメたちは外で控えている、つまり現在部屋にいるのは、
ジータとメルドの二人だけだ。
「これでもうお前らは騎士団の、引いては俺の下から完全に離れるわけだ
さて、その上で最初に頼みたいことがある」
一呼吸置いて、メルドはジータへと机越しに頭を下げた。
「頼む!お前さんだけでも残ってくれないか、光輝はもう……無理だ!」
その言葉は騎士団団長のそれではなく、弟を思う兄の叫びだった。
とりあえず残留を決めた雫ちゃんにちょっとしたプレゼント。
感想でも度々書いてはいるのですが。
光輝の原作終盤での数々の失態は、南雲は人殺しだから俺の方が正しいで
半ば思考停止してしまったのが遠因だと考えてます。
ですから本作では強制的に自身と向き合わせることにしました。
その結果、氷雪迷宮を先取りしてるかのような展開になっているようにも思えますが。