『オリ主、ギルドやめるってよ』 作:abc
「あはははは!素晴らしい!もっと!もっと!泣きなさい!至高の御方に届くように!至高の御方が喜ぶように!聞こえていますか?これがあなた様に捧げる私からの供物です!ですから!必ずお戻りになってください!」
「いやぁああああ、お願いします!助けて!」
薄暗い折のような部屋で眼鏡を掛けスーツを着た悪魔「デミウルゴス」は、天井に縄で吊るされている女性に対して暴虐の限りを尽くそうとしていた。女性は死にたくない一心で必死の形相で許しを乞う。
「もっと泣き叫んでも構いませんよ。もしあのお方がご帰還成されればあなたの命も助かるかもしれまん。だから……だからもっと泣き叫びなさい!」
そう言って手に持って行った鞭を思いっきり女性の柔らかい肌に叩きつける。
ビッシイイイ!!
という軽快かつ残虐な音が薄すぎたない部屋に木霊する。
「――――ガァ!!」
あまりの痛みに声にすらならない叫び声を吐き出す。
悲鳴をさらに轟かせるためにデミウルゴスは更に二発、三発……と、鞭を振るっていく。女性の体は裂けていき、血が流れ出て無残な状態へと変化していった。
「あぁあああああぁああああああ!!」
女性は最後には自身の痛みを振り切るよう絶叫をあげる。それはまるで布を裂くような地続きの悲鳴であった。だがデミウルゴスはそれでも満足しない。この程度では、この程度の絶望ではきっと帰ってくることはない。
もっともっと『素晴らしい供物』を用意せねば。心から満足して楽しんでいただける、そんな素晴らしいものを作り上げなければ。
生きてはいるものの叫び疲れ完全に力尽きている女性は、宙につられながらぐったりとしている。デミウルゴスはもう用済みとは言わんばかりの表情で持っていたナイフで彼女の心臓を一突きした。
「また失敗か。あなたにはもう用はありません。死になさい」
「…………良かっ……た…………」
そう呟いてやっと楽になる女性。
デミウルゴスは用意していたカメラで力尽きた女性の写真を撮る。
「これでよし、次こそは必ず成功させて見せましょう……」
デミウルゴスは写真を懐にしまうと、とりあえず適当に呼んだ配下の悪魔たちに死体を運ばせる。
「いつになったらお帰りになられるのですか………」
ある日、至高の四十一人の一人が消えた。消える間際に彼は
『どこに行くかは言えないかな。それとやめる理由だけどアインズさんだけに有る訳じゃないから……まあ、各々で考えてよ。それじゃあ、さようなら』
と言ったらしい。
デミウルゴスも最初は他の守護者や従者同様に彼という存在を探していた。いくら至高の御方と言えどナザリックの索敵能力はかなりの精度を誇る。何かしら手掛かりが見つかる筈だろうと全員が考えていた。
だが何一つ、それこそ足跡すら見つからなかった。
何も見つからない状態が一年も続けば探す側の心も濁り始めるものである。おかしくなっていくアインズや守護者、従者たちを他所にデミウルゴスは必死に探すことを諦めなかった。だけどそれでも何も見つからない。
そしてデミウルゴスもついに濁る。デミウルゴスは考えを変えることにした。彼をこちら側が探すのではなく、あちらから彼を呼び出す方向に。それから世界にある様々な召喚術などを研究していくことになる。そして生贄となる人間の研究も。
今のデミルゴスはただひたすらに魔法の深淵にのめり込んでいる。
時には幼き少女の生き血を全て吸い出し、
時には若い青年を体を生きたまま切り刻み、
時には四人家族全員を殺し合わせたり、
全ては上質な生贄を作り出すために、生贄を至高の御方が喜ぶと信じて……。
これら全てはただ純粋に彼という、至高の御方の帰還を望んでのことであった。
デミウルゴスは自身の執務室に戻ると。書類で山盛りの机に座る。
机の上は事務用品ばかりであるが、唯一それらとは違う目を引くものがあった。
飾るように置かれているそれは一枚の写真と古びたポラロイドカメラである。
写っているのはデミウルゴス自身と彼の二人。
デミウルゴスはこの写真が撮られた時のことを思い返す。
◆
「写真ですか……?」
『ああ、さっき宝物殿で見つけたんだ。試しに取って見ようと思ってさ。忙しいなら無理にとは言わないけどどうだろう?』
「いえ、忙しいという訳ではないのですが……本当に私でよろしいのでしょうか?」
『……デミウルゴスはよく働いくれるから、きっとこれから先悩むこともたくさんあると思う。そんな時には俺と撮ったこの写真のことを思い出してほしいなって思ったんだ。大切なのは前を向いて歩くことを忘れて欲しくないから』
「なるほど……そういうことですか。是非取りましょう!」
考え方の指針をこうして写真として残すとは、さすが至高の御方であるとデミウルゴスは思った。彼のカメラはポラロイドと呼ばれるものであり、すぐに現像され写真として出てくるマジックアイテムである。
デミウルゴスは着ていたスーツのネクタイをキュっと締め直すと、少し緊張した様子で写真に写る準備をする。
『そんなに緊張しなくていいんだよ。楽な気持ちで、それでせっかくなら笑顔で撮ろうよ、笑顔で』
「こんな感じでしょうか?」
『あははは、そんな感じで良いんだよ!タイマーをセットしてっと……よしそれじゃあ撮るぞ』
「はい!」
二人は並ぶようにして立っている。
カシャっと無機質な音が鳴った後に、カメラが光を発する。そしてそのすぐ後にマジックアイテムであるポラロイドカメラから写真が出てきた。そこには笑顔のデミウルゴスと彼が並ぶようにして立っていた。
彼は何もない空間に手を突っ込みアイテムボックスを引き出す。そしてそこからシンプルなデザインの写真立てを取り出す先程撮った写真をそこに入れて、デミウルゴスに渡す。
「私が持っていて、よろしいのでしょうか?」
『……ああ、俺が持っていてもしょうがないからな。お前の働きに期待しているぞ。それとこのカメラもお前にプレゼントしよう。仕事ばかりでは疲れるだろう、趣味にでもすると良い』
「はっ!ありがとうございます!」
そう言ってデミウルゴスに写真とカメラを渡すと彼は部屋を出ていった。
デミウルゴスは受け撮った写真を机の上に飾るのだった。
それからデミウルゴスは写真というものを趣味にしていくことになる。
◆
今現在デミウルゴスが使っているカメラは、彼から賜ったものとは別の物である。あのカメラは大事な時にしか使わないと決めているからであった。
今日中に終わらせなければならない書類をさっさと済ませると、再び自身が経営する牧場に向けて転移をする。
休んでいる暇などない。一刻も早く彼に戻ってきてもらうために、生贄と召喚の儀式を完成させなくては。その強い思いがデミウルゴスにはあった。
「ふむ、今日はこれにしますか」
「いや!いや!離して!」
一匹の子供の選ぶと、デミウルゴスは慣れた様子で配下の悪魔にいつもの儀式の場所まで運ばせる。そして研究と儀式を始める。
まずはゆっくりと切り取り、
そのあとに少しだけ削って、
そして特定の部分を剥ぎ取る、
さらにそこを柔らかくなるように叩いていく。
いい感じに仕上がったところで儀式を発動させるが、また失敗に終わってしまう。死んだそれをよそに、それでもデミウルゴスはくじけない。
「……では写真を撮りますか」
デミウルゴスは儀式の結果を毎回写真に撮る。いつか彼が帰ってきてくれた時に、撮った写真をアルバムにして彼に送ろうと思っているからだ。
今日もデミウルゴスは再会を願って研究と虐殺と撮影を繰り返す。
どちらか迷っています
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ハッピーエンド
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バッドエンド