バカと歪んだ世界と変革者   作:キムキム

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作者 「大晦日の日にこの作品を投稿するにあたって、皆様に謝罪をしようと思います………




半年以上更新もしないで、申し訳ございませんでした‼︎」

ティ 「言い残したのはそれだけか?さらばだ」

キュイイイイッ←チャージ中

作者 「よすんだ!俺はまだ死にたくない!やめ…………」

ティ 「Bang☆Bang☆Bang☆Bang☆」

チュドーンッチュドーンッポーピーッチュードーンッ

作者だった者 「ぎゃあぁぁぁっ‼︎‼︎‼︎」

刹 「ティエリアは、どうしたんだ?」

明 「連載してから、ちょっとしか出てこないから、イライラしてるんだよ」

ロ 「まあ、1人だけそうだと寂しいよな」

ア 「僕もなんだけど…………」

刹&明&ロ 「あっ…………」

ティ 「…………は、いねぇか?」

刹&明&ロ&ア 「「は?」」」

ティ 「連載されているやつは、いねぇかぁぁぁっ‼︎」

明 「ひいぃぃっ!こっちに来たぁ!」

ロ 「とりあえず」

刹 「本編」

刹&明&ロ 「どうぞ!」

ア 「僕は、関係無いのに〜!」

作者の残骸 「俺を見捨てないで…………」


第三話兆候

ー人格連ー

静止衛星軌道ステーション

 

 

SIDE明久

 

「おい、明久。もうパーティーは、始まっちまってるぞ」

 

「待ってよ雄二。後、このボタンだけだから」

 

今日僕らは、人格連が所有している軌道エレベーター『天柱』で行われるパーティーで、要人護衛をするために来ている。そんな大切な日なのに服装を間違えてしまい、船に乗り遅れて、予定より大幅に遅れてしまった。(もちろん、鉄拳制裁は嫌というほどくらった)しかもその後、鉄人にフラッグで送ってもらってから、空中から突き落とされ(パラシュートは装備)、硬いコンクリートの地面に叩きつけられた(高度が足りなかった)。

 

「ったく。今日は何が起こるか分からねえから、早く来たはずなのによ。お前がセーラー服なんて来てくるから」

 

恨むぞ。寝ぼけていた僕の思考力!

 

「ごめんってばー。……っとこれで良し」

 

「行くぞ、明久少尉。先ずはあの人に挨拶しに行かないとな」

 

「了解です。坂本中尉」

 

久しぶりに、あの方にお会いしなければ。『ロシアの荒熊』の異名を持つあの方に。

 

 

SIDEロシアの荒熊

 

静止衛星軌道ステーション

 

 

「第二軌道エレベーター、通称『天柱』。そのステーション内で今、電力送信10周年を記念するパーティーが開かれており、ユニオン、AEU、人革連の各国要人が参加され華やかに行われております」

 

自分のすぐ近くで、人革連のキャスターが、カメラに向かってレポートしている。今日は、『天柱』の電力送信10周年記念パーティーだ。自分以外にもたくさんの軍人、政府関係者、有名俳優まで集まっている。

 

「遅いですねぇ……」

 

時計を見ながら部下の1人が、眉をひそめている。

 

「本当に来るのですか?フミズキからの特別派遣兵の2人は?」

 

かれこれ、30分は待たされている。他の兵も、待ちくたびれてイライラする気持ちもわかる。

 

「彼らは、必ず来ますよ。中佐」

 

「少しは信用したらどうよ、あなた達。彼らに失礼よ」

 

後ろから、急に声が聞こえたので振り返ると、我が軍のエースパイロットの2人が立っていた。

 

「しかしですね、約束の時間を大幅に過ぎていますし……」

 

「彼らは忙しいのよ」

 

「ほら、噂をすれば……」

 

彼が指さす方向を見ると、見覚えのある2人が中央エレベーターから出てきた。

 

「それでは、あの変わり者の2人組を迎えにいきますかな。中佐。我々が帰るまで、みんなと一緒に楽しんでいて下さい」

 

そう言って、2人は、彼らの方向に向かった。

 

 

 

SIDE明久

 

「うわ〜、広いね〜」

 

中央エレベーターから降りて扉をくぐると、メインの大会場に着いた。そこには、高そうなドレスやスーツを着た有名人や、政府関係者がたくさんいた。窓は360度ガラス張りで、外には無数の星と青く輝く地球が見える。

 

「旨そうな匂いもするなー」

 

会場には、良い香りのする料理が沢山並べてあった。バイキング形式となっており、自由に料理を取ることが出来るようになっている。昼飯を抜いておいて正解だったと思う。

 

「おっ旨そうだな。ちょっと一口……」

 

「ダメだよ雄二。ちゃんと挨拶しないと。失礼だよ」

 

つまみ食いを試みる雄二を、食べ物の手前で阻止する。

 

「なんだよ明久。一口ぐらいいいじゃねーか。毒味も兼ねてだよ。固いこと言うな……」

 

「相変わらず、食いしん坊だな。坂本中尉」

 

「お久しぶり、明久君。坂本君」

 

雄二と言い合っていると、聞き覚えのある声がした。声のする方には、側面床に軍服を着た懐かしい2人組がいた。

 

「根元君!それに小山さんも!」

 

彼らは、人格連に所属しているエースパイロットの『根元 恭二』君と、『小山 友香』さんだ。

 

「よお、吉井。久しぶりだな。元気だったか?」

 

側面床を蹴って、こちらに近づきながら根元君は言った。あっ。しまった!

 

「失礼しました。根元中尉。本日、文月より派遣されました。特別派遣兵の吉井 明久少尉です」

 

僕は少尉。彼は中尉だった。昔、雄二や、他のみんなで一緒に行動を共にしたとはいえ、階級をわきまえて行動しなければ。

 

「ははっ。吉井、そんなの気にすんな。前のように、名前で構わねえよ」

 

「そうよ。久しぶりに会ったのにそんな堅苦しいと、こっちが困るわよ」

 

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 

やっぱり良い人だな、2人とも。

 

「さてと……よお、久しぶりだな坂・本・中・尉さん」

 

僕と話し終えると、根元君は雄二の方を見て、雄二に話しかけた。……右手の中指を立てて『f◯ck you!』のサインを示しながら。

 

「ああ。久しぶりだな根元中尉。また会えてとっても嬉しいよ」

 

雄二も根本君を見て笑顔で左手で『k◯ll you!』のサインを送り返した。

 

「最近、霧島さんとの主従関係は進展したかな?坂本君?」

 

やっぱり、こうなった。出会った時からこの調子で、廊下やトイレで会っただけでも喧嘩し出すほど仲が悪かった。殴り合いもよくしてたし、そのせいで周りの僕たちまで巻き込まれて、鉄村(西村)大尉の鉄拳制裁を一緒にくらうこともよくあった。

 

「いえいえ、こちらは特に何もないですよ根元中尉。そちらこそ、鎖付きの首輪は外してもらえましたかな?」

 

「なんだと、にゃんこ野郎!お前なんて新しい猫じゃらしを買ってもらって、大はしゃぎしてんじゃないの?羨ましいね〜」

 

「言ってくれるじゃねーか犬っころが!お前の方が、飼い主に『ボール取ってこーい』とか、やってもらってんだろ。楽しそうだね〜。よかったね〜」

 

この二人には、使用回数無限の技『挑発』を所持しているに違いない。

 

「喧嘩の特売なら買ってやるぞ、コラァッ!」(ギロッ)

 

「上等だ。只今、セール中なんだよ。いくらでも売ってやる!」(ギロッ)

 

いけない。このままでは取っ組み合いになって、食器による投げ合いになって、銃撃戦になって、モビルスーツ戦になって会場が破壊され、エレベーターが倒壊して、世界戦争になりかねん。急いで止めなければ!僕は、仲裁に入ろうと2人の間に出ようとした。すると、小山さんが僕よりも先に2人の間に入って……

 

ギューメキメキメキッ

 

「「イデデデデッ⁈」」

 

2人の耳を思いっきり引っ張った。あれ?でもおかしいな?耳引っ張っても、『メキメキメキッ』なんて音鳴らないはずなのに。疲れてるのかな?

 

「2人共黙りなさい。お客様の迷惑よ。それ以上喋ると引っ張るわよ」

 

「「もう引っ張ってるんですけっイデデデデッ!」」

 

さらに耳を強く引っ張る小山さん。2人の耳が、少しずつだけど青黒くなってるのは彼女の握力のせいだとは思いたくないです。

 

「ごめんね、吉井君。後でしっかりしばきに、しばき倒して置くから」

 

「出来れば、説教だけにしといて欲しいな」

 

「なんで?」

 

「たぶん小山さん、雄二と根本君を血祭りにすると思うから」

 

「たぶんじゃなくて、100%それなんだけど。吉井君、随分優しいのね」

 

「いや、血が出ると掃除が大変だから」

 

「「明久⁉︎」」

 

「なるほど、一理あるわね」

 

「優香、待ってくれ!しばくなら、坂本だけにしてくれ!」

 

「ふざけんな、この卑怯者が!自分だけ助かろうだなんて汚ねえぞ!元はと言えば、おめえが挑発したのが、原因じゃねーか!」

 

「黙れ、クソ猫が!今日会うのは吉井だけで十分だったんだよ!とっとと、エレベーター降りて帰りやがれ!」

 

「そう言うおめえが降りとけ!この、どアホ犬が!」

 

耳を引っ張られながらも、自らに最大級の悲劇が起きそうになると、友人を売ってでも生き延びようとする為に醜い争いをやめない2人。そんな時どこからか……

 

ブチンッ

 

…という音が聞こえてきた。まるで、何かを縛っていた紐が耐えきれずに弾け飛んだ感じが……

 

「前言撤回。吉井君、今しばき殺すわ」

 

「えっ?ちょっ小山さ……」

 

今、しばき倒すじゃなくて、しばき殺すって言わなかった?

 

「「イデデデッ!」」

 

そう言った後、般若の様な形相で無言のまま2人の耳を引っ張りながら、中央入り口まで戻って行った。何をするつもりなのかとてつもなく気になったので、後をついて行くと、関係者専用扉の中に2人と一緒に入って行った。

 

「あの、小山様?これはどう言うことでしょうか?」

 

閉められた扉の向こう側から、雄二の声が聞こえてきた。

 

「優香?ここは、関係者専用の部屋だろ?会場は俺たち今回関係ないし……って、ちょっ優香?なんで掃除道具入れから、そんな名状し難いバールの用な物が出て来てるの?」

 

「さあ、貴方達の罪を数えなさい!」

 

少しだけ開けて覗いてみると、小山さんが何やらくの字に曲がった工具を片手に人差し指を根本君と雄二に向けて言っていた。

 

「優香。ちょっとそのセリフはやめてもらえるかな?その台詞の後には、『マキシマム○ライブ!』っていうガイダンスが聞こえてきそうなんですが!」

 

「それに、俺たちそこまで悪いことしてないと思うんだけど?なんでそんなに怒るのか、分からないんだけど?そこらへんの理由を教えてくれよ?なっ?」

 

確かに、2人ともうるさくしていただけだと思うんだけど?なんでだろう?

 

「簡単よ。私が怒る理由はただ一つ…………

 

 

 

 

 

…………料理に私の嫌いなブロッコリーが入っていたからよ」

 

「「理不尽すぎる‼︎‼︎‼︎」」

 

世の中は、悲しいことでいっぱいです。

 

「ま、そういうわけだから………よろしくて?」

 

「いや、ダメに決まってるでしょ!優香!お願いだから、やめてください!」

 

そんな、根本君の叫びを無視して小山さんは二人に近づいて行った。

 

「ちょっ小山様。マジですんませんでした!あの、バールは叩く物じゃないし、私の腕はそちらには、曲がらないので……」

 

「ふんっ!」

 

グボキッ

 

「すがぁっ⁉︎」

 

「優香、落ち着いて。仮にも女の子が友人や恋人の前でそんなことはしてはいけないぞ。それと、俺の足はそんな方向に向きはしな……」

 

「おりゃあっ!」

 

バキョムッ

 

「いぞぉっ⁉︎」

 

「さて、準備運動終わったから本番行くわよ」

 

「待ってくれ小山様!俺、死にたくない!」

 

「優香!彼氏に対して、そこまでの仕打ちはいらないと思うんだ!だから、頼む。やめてくれ!」

 

「It's showtime!」

 

「「ぎゃあぁぁぁっ‼︎」」

 

僕は生まれて初めて、生き地獄を見ました。これからは、ホラー映画を観ても、吉○新喜劇レベルに感じれると思います。いや、マジで。

 

〜30分後〜

 

「ふぅ、スッキリした」

 

たった30分で、エースパイロットの2人が見るも無残な姿になるまでボコボコにされて帰ってきた。これがいわゆる、女子力ってやつかな?小山さん限定だと思うけど。

 

「さてと、ストレス発散したから、そろそろ行くわよ」

 

人をボコボコにするのをストレス発散って、えげつないと思うけどここは、その気持ちを押し殺して…

 

「行くって、小山さんどこへ?」

 

「中佐の元によ」

 

そうだった。ここには、文月の特別派遣兵として来たんだった。今さっきのブラッド・フェスティバル(小山さんのフルボッコ祭)のせいで忘れてた。

 

「それじゃ、行きますか」

 

そう言って、床を蹴って進もうとする小山さん。あっ、そういえば……

 

「小山さん。この2人はどうするの?」

 

小山さんのフルボッコにあい、ボロ雑巾の様になっている雄二と根本君。2人とも、気絶していて起きる気配が無いんだけど、どうしよう?

 

「吉井君。燃えるゴミは、エレベーター入り口の左から3番目のゴミ箱に捨てれるわよ」

 

「雄二はともかく、彼氏の根本君をゴミ扱いしちゃっていいのかな?」

 

「そうよね。ゴミが可哀想よね」

 

小山さんの中では、[根本君<ゴミ]と、なっているらしい。本当に2人とも付き合ってるのかな?酷い領主と奴隷の関係にしか見えないや。

 

「嘘よ、嘘。吉井君、悪いけどその2人を連れて来てくれる?」

 

まあ、嘘だとは分かってたんだけどね。僕は頷いて、2人を抱えて小山さんの後をついて行った。

 

「「……生きるって……難しいね……」」(ガクッ)

 

今の発言は、聞かなかったことにしよう。

 

 

 

SIDEロシアの荒熊

 

小山と根本が2人を迎えに行ってから、さらに30分以上過ぎた。久しぶりに会うとはいえ、少々遅いと思う。そろそろ、様子でも見に行ってきた方が良いかもしれんな。私は、ゼリー状のお酒が入ったマティーニグラスを置いて、後ろを向いた。その時、小山が帰って来るのが見えた。

 

「遅かったな。何かあったのか?」

 

「いえ、何も。それより中佐、連れてきました」

 

小山が横へずれると、こちらに向かってくる少年が見えた。吉井だ。

 

「セルゲイ・スミルノフ中佐!」

 

吉井は、笑顔で私の名前を呼んだ。まるで、無邪気な子供みたいだ。だが、嫌いではない。

 

「久しぶりだな、吉……」

 

井と言おうとしたところで、言葉が詰まった。よく見ると……いやよく見なくても分かるのだが、何故か吉井は2人のタキシードを着た男性を抱えていた。あの2人は私の見間違いでなければ、私の部下の根元と坂本だと思うんだのが?

 

「小山、どう「私は何も知りません」……まだ、何も言っていないのだが?」

 

小山の目が泳いでいて、冷や汗が流れているのが見えた。あからさまに、何かをしたらしい。

 

「吉井。小山が何をしたかを教え……」

 

「キノウノユウハンハ、ヤキザカナデシタ」

 

まだ言っている途中なのに突然、吉井が片言で私に言った。吉井の目線の先を見ると、小山が何やら銀色光るを取り出しているのが見えた。何故今、そんな物を取り出しているのかは、聞かないでおこう。

 

「「……ううぅ……」」

 

2人と話していると、吉井が抱えている2人が顔を挙げた。その顔面は、殴られ過ぎて2、3倍ぐらいに膨れ上がっているが、私の部下の根本と、坂本だった。2人は震える手で、2枚の紙を差し出した。開いてみるとそこには、赤い物(ケチャップ)でこう書かれていた。

 

『犯人は』

 

『チビ mountain』

 

「誰がチビよ……って、あっ⁉︎」

 

「小山、お仕置きだ」(ゴッ)

 

私は、問題児の頭にげんこつを一発入れた。

 

 

 

明久SIDE

 

ゴッ

 

「痛っ」

 

小山さんの頭にスミルノフ中佐の拳が軽く振り落とされた。小山さんは、涙目になりながら頭をさすっている。まあ、スミルノフ中佐だもんね。今、げんこつを入れたのは、今回僕らが護衛をする『ロシアの荒熊』こと、セルゲイ・スミルノフ中佐である。人類革新連盟の中のトップの1人で、白兵戦からモビルスーツ戦までこなすことが出来るまさに『武人』。その荒々しい鬼人のような激しい戦いぶりから、『ロシアの荒熊』と呼ばれるようになった。しかし、戦い以外の中佐は、時に厳しく、時に優しい。まるで父親のような存在である。その為、中佐の裏でのあだ名は『お父さん』になっている。

 

「吉井、坂本。迷惑をかけたな」

 

小山さんに拳骨を入れた後、中佐は僕の方をすぐに向いて謝ってきた。流石スミルノフ中佐。ものすごく礼儀正しい。雄二に垢でも飲ませてやりたいよ。

 

「大丈夫です、スミルノフ中佐。それよりも、予定より大幅に遅れてしまって申し訳ありませんでした」

 

「別に気にしなくても良い。どうせ早く来ても、政治家達の話し相手になるだけだしな。それと吉井、セルゲイで良い」

 

「しかし、セルゲイ中佐。他の兵の方々を随分と待たせてしまいましたし……」

 

「安心しろ、吉井。ほら……」

 

中佐の指が指している方を見ると、そこには……

 

 

『隊長!この酢豚、とても美味しいです!』

 

『隊長!こちらの唐揚げもなかなかよろしいです!』

 

『よし、全員突撃をかけろー!』

 

『『『ウオオオォォォッ‼︎』』』

 

 

……バイキングを満喫している中佐の部下の人達が見えた。

 

「「ウオオオォォォッ‼︎」」

 

そしてその後ろには、根元君と雄二がいた。さっき小山さんに、散々ボコられたのにもう回復してるなんて怪物としか思えない。しかし、みんなはしゃぎすぎなんだよ。こういうバイキング会場では、バレないようにこそっと行ってから、詰め込めるだけ詰め込んで持って帰るべきなんだよ。

 

「吉井。バイキングを楽しむのはいいが、タッパに入れて持ち帰らない様に」

 

くそっ、ばれてたか。流石は『ロシアの荒熊』。僕のこの華麗なるタッパを取り出す動きを察知するなんて!

 

「それはそうと吉井。例のアレはあるかね?土屋君に頼んでおいたんだが……」

 

セルゲイ中佐が、小声で僕に話しかけてきた。そういえば、とても重要なことを忘れていた。スミルノフ中佐が『お父さん』と呼ばれる理由は、実は二つある。一つは、最初に挙げた通り父親の様な振る舞いだからだ。重要なのは、二つ目の方だ。彼が『お父さん』と呼ばれるのは……

 

「ええ、たくさんありますよ。スミルノフ中佐が欲しがっていた、大量の……

 

 

 

 

 

……アンドレイ・スミルノフ少尉グッズ」

 

…………親バカだからだ。

 

「素晴らしい‼︎まさに、欲望は(私の)世界を救う‼︎‼︎‼︎」

 

「中佐。それだと、3枚のメダルで変身する三色怪人の社長になってしまいますよ」

 

大丈夫かなこの人?そのうちコ○メダルとか、オー○ドライバーとか開発しないよね。この人、暴走すると大変なんだよね。紫色のコインなんかで変身したら、世界がめちゃくちゃになっちゃうよ。

 

「大丈夫よ吉井君」

 

セルゲイ中佐と話していると、唯一バイキングで発狂していない(バイキングの前には発狂したが)小山さんが来た。

 

「何がですか?」

 

「あの人の、アンドレイ少尉に対する愛があればメダルぐらいいくらでも制御できるわ」

 

「本当に出来そうな気がするのでやめてもらえますか?」

 

セルゲイ中佐は、超がつくほどの息子大好き人間だからやりかねん。ちなみに、なぜアンドレイ少尉のグッズを欲しがるのか聞いてみると、『最近、アンドレナリンが不足してるから』という、摩訶不思議な答えが帰ってきた。

 

「アンドレーイ‼︎‼︎‼︎」

 

「ちょ、セルゲイ中佐。こんなところで発狂しないでください!それと、タイ○ニックの女性側のポーズをとらないでください!」

 

いかん、このままだと会場中に『よ〜〜〜〜〜ひ〜〜〜〜〜〜えん(以下省略)』という音楽が流れてきちゃう!なんとかしないと!そう思って、空中で羽ばたいているセルゲイ中佐を連れ戻そうとした時、目の前に紫色の服を着た男性が現れた。男性は、顔つきから中国人らしく、漢服とおぼしき服を着ていた。身長は180cmぐらいですらっとした細身の体型だが、引き締まった筋肉や身のこなしから分かる様に、ただ痩せているわけではないらしい。たぶん、この人は誰かのボディーガードだろう。それも、かなりの大物の。一体誰のボディーガードかを考えていると、男性と目があった。すると、男性は僕を少し見てから飛んでいるセルゲイ中佐を捕まえた。

 

「セルゲイ・スミルノフ中佐。お久しぶりです」

 

「おお、君か」

 

「お嬢様がお待ちです。こちらへ」

 

どうやら2人には面識があったようだ。流石はセルゲイ中佐。そうやって感心していると、男性が僕の方にセルゲイ中佐と一緒に来た。

 

「突然で申し訳ありません、アキヒサ・ヨシイ中尉。私の名は紅龍(ホンロン)言います。以後、お見知り置きを」

 

そう言って紅龍さんは礼儀正しく頭を下げた。それにしても、どうして僕の名前を知っているんだ?確かに、文月自体は世界的にもかなり有名だ。様々なスポンサーや各国の政府とも繋がりを持っている。しかし、内部の人間についてはあまり公表されていないはずだ。文月は他の軍隊とはかなり違う形の機関だ。今日だって、人革連まで知っているということは、この人は軍事関係者。もしくは、軍の関係者なのだろう。いずれにせよ、注意すべき人間だとわかった。

 

「ヨシイ中尉。貴方にお会いしたいと思っておられますので、一緒に来て欲しいのですがよろしいでしょうか?」

 

僕は小さく頷き、怪しく微笑む彼の後を、追って行った。この時はまだ何もわからなかった。これから起こる数々の戦いのことを。そして…………

 

 

 

 

 

 

〜軌道エレベーター周辺ラグランジェポイント〜

 

『発電衛星付近の敵機が移動を開始しました』

 

『エクシア、デュナメス。』

 

『了解。ティエリア・アーデ、ガンダムヴァーチェ。光学迷彩を維持しつつ、指定宙域から、予測地点へ移動する』

 

『アレルヤ。頼むわよ』

『了解。I have control.アレルヤ・ハプティズム。ガンダムキュリオス。作戦行動に入る』

 

 

 

…………運命とも言えるべき彼らとの出会いを。

 

 

 

 




ーおまけー

〜根本君と雄二が血祭りになる少し前〜

SIDE 小山

そういえば、今日のバイキングには何が入っているんだったけ?
「黙れ、クソね……!」

「そ…が降りと……犬が!」

うるさいわね、こいつら。メモが見えないじゃない。えーと、なになに………

本日のバイキング
『夢のブロッコリーフルコース!様々なブロッコリー料理をご堪能ください!』

料理一覧
ブロッコリーの炒め物
ブロッコリーのおひたし
ブロッコリースープ
ブロッコリーのプリンアラモード
その他、ブロ○リー料理………

「…………」

ブチッ



いかがでしたか?誤字脱字、感想などがありましたらよろしくお願いします。

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