【完結済】SAO gルートRTA   作:らっきー(16代目)

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低気圧にやられて頭が頭痛で痛いので初投稿です。


おまけ2

 

鼠のアルゴ。βテストプレイヤーに1番有名なプレイヤーは誰だったかを聞けば最も多く上がる名だった。

 使用武器はマイナー武器のクロー、ステータスは敏捷極振りの一風変わった、などといった言葉では表せない様なビルド。しかし彼女はそんな構成で名を上げていった。剣士としてではなく、情報屋としてではあるが。

 

 そんな矜恃を持っていたからであろうか。茅場晶彦から残酷な事実を告げられた後、彼女は他のプレイヤーよりも早く現実を受け入れることが出来ていた。

 

「私のやるべき事、それは……」

 

 少なくとも宿屋の一室で嘆いて助けを待ち続けることではない。では武器を握ってボスに挑みにいくことか。

 それも違うだろう。MMORPGにおいてプレイヤー1人に出来ることなどたかが知れている。そう、やるべき事はプレイヤー全体の底上げ。そのための情報を得ることこそが彼女の考える自分のやるべき事であった。

 

 そうと決まればこんな所には居られない。β時代にすっかりトレードマークとなってしまったヒゲのペイントを付け外に出る。まずやろうとしたのはβ時代の知識と今のSAOに差異が無いかを確かめることだ。

 

 店の配置やクエストを受注出来るNPCの場所など、一つ一つ丁寧に記憶と照らし合わせながら確かめていく。

 

 結果分かったのは、少なくとも始まりの街においては、β時代の知識をそのまま使えるということであった。

 もちろん新規クエストなどもあるかもしれないが、β時代にあったクエストは場所も内容も変わらず受注することが出来た。

 

 街を確かめたその足でそのままフィールドへと向かう。暗くなり視界が確保できなくなる前に外の地形やモンスターについて確かめるためだ。

 

 始まりの街周辺では、数は少ないが他のプレイヤーの姿もチラホラと見かけた。

 デスゲームと化していなければもっと多くのプレイヤーで賑わっていたのだろうと考えるとどうにもやるせなかった。

 危なくなったら助けに入れるように、などと思いながら他のプレイヤーの戦闘を観察して気づいたことがある。

 動きが拙いのだ。

 

 β時代にも現実での体の感覚とアバターでのそれの差に戸惑い、上手く体を動かせないというプレイヤーは少なくなかった。この世界で最重要であるソードスキルにしたってそうだ。コマンドを選ぶだけの従来のゲームとは違い、SAOでは自分で動作をきちんと行わないと発動することすら出来ない。

 βでは彼らもゲームを続けているうちに問題なく動かせるようになっていったが、それにしたって何度も死にながら身に付けていったことだ。

 

 トライアンドエラーも出来なくなってしまった今のSAOで、知識もなくまともに闘えずに死んでいった人は何人いるのだろうか。もしきちんとした助言を出来る人がいれば、その人たちも死なずにすんだのではないだろうか。

 

 最低限、街でソードスキルの練習をすることとパーティを組んでモンスターと闘うことを推奨するべきだ、そんな思いからアルゴはチュートリアルとなる本の作成を決めた。

 

 

 

 本の作成に必要な素材やコルを集めている最中、他とは違う動きのプレイヤーがいた。

 最初に見かけたのは始まりの街からやや離れたフィールド。そこで他のプレイヤーの戦闘に割って入っている姿だった。

 後で助けられたプレイヤーに話を聞いてみると、モンスターとの戦闘で体力がイエローゾーンまで突入しパニックになったところを助けてくれた、とのことだった。

 

 おそらく殆どのβ経験プレイヤーが自己の強化だけを目指している中で、自分以外にも初心者を手助けしているプレイヤーがいる。それはアルゴにとって大きな支えとなる事実だった。

 

 だから次の日、自分に会いたがっているβ経験者がいるという言伝を受け、そのプレイヤーの特徴が彼女と一致していた時、彼女なら自分がやっていることに協力してくれるのではと期待を抱いた。

 

 夜、広場に向かうと既にベンチに彼女が座って待っていた。1人で待っている彼女の姿を見て、ふと悪戯心が芽生える。

 隠蔽スキルを発動させ背後からこっそりと忍び寄り声をかける。

 

「ナア」

 

「ぴゃい!」

 

 ……なんだろう、予想していたのより数倍大きい反応が返ってきた気がする。涙目になりながらこちらを振り返ってくる彼女のあまりにも大げさな反応に笑いが込み上げ、声をこらえるのが大変であった。

 1度咳払いをして彼女が喋り出す。

 

「初めましてアルゴさん、私はユリ。会えて嬉しいよ」

「いや、さっきのを無かったことにするのはオネーサン無理があると思うナ」

 

 未だに涙目の癖に通用するとでも思ったのだろうか、思わずツッコミを入れてしまった。

 

「……なんの事か分からないけど、本題に入ってもいいかな?」

 

 どうやら何としてでも無かったことにしたいようだ。しばらくはこれでからかってやれるな、などと考えつつ話を聞く。

 彼女の話はつまるところ、他のプレイヤーに配る情報を集めてきてくれる、とのことだった。

 もちろん有り難い話である。1人でフィールドの端から端まで行くなどといったことは現実的に不可能である以上人手はいくらあっても足りない。

 だが、その話を聞いてアルゴの胸中には1つの疑問があった。

 

「正直有り難い話だヨ? でも何でそんなことを持ちかけてくるんダ? そっちにメリットがあるとは思えないんだガ」

 

 そう、彼女にとってのメリットが見当たらないのだ。もちろん協力してくれるならある程度の報酬は渡すつもりではあるが、正直労力に見合うほどの物を渡せるとは思えなかった。

 

「メリットならあるよ? 初心者が死なずに強くなればそれだけ攻略に参加出来る人数が増えるでしょ? そうすれば私だって早くこのゲームから出られる。要はゲームクリアの効率を上げるためってこと。それに鼠のアルゴと仲良くなっとけば情報とか融通してくれそうだしね」

 

 効率。冷たいように思える言葉だが、そこに含まれている意味を考えるととうていそんな風には思えなかった。

 他の多くのβ経験者にとって効率とは自分のための言葉でしかなかった。だが、彼女は違った。初心者を見捨てず、手を差し伸べ共に歩もうとする。つまるところ……

 

「優しいんだナ、ユーちゃんは」

「ユーちゃん!?」

 

 あぁ、こんな温かい気持ちになれただけでも彼女と出会えて良かった。お人好しの癖にカッコつけたがりの彼女となら上手くやっていけそうだ。

 

「申し出、有難く受けさせてもらうヨ。これからよろしくナ」

 

 そう言ってフレンド申請を飛ばす。こうして、ユリとアルゴの協力関係が生まれた。

 

 

 

 ♢♢♢

 

 

 

 

 デスゲームと化したSAOに捕らわれた時、アスナは死ぬことよりも現実での自分の生活の崩壊を恐れた。

 ゲームのせいでエリートコースから外れるなどということに対する友人からの嘲笑や両親からの侮蔑、それが何よりも怖かった。

 だから、何日待っても助けは来ず、救われる道などないと悟ったとき、1秒でも早くクリア出来るように、あるいは1秒でも早く死ねるように、街の外へと向かった。

 

 所詮ゲームなのだから食事は不要だ。睡眠がとれれば場所など関係ない。そんな思考から街に帰らず、迷宮区内で寝泊まりしながらレベル上げを行うことを選んだ。

 

 だが、当然そんな無茶が長く続くはずもなかった。ある日、いつものようにモンスターを倒したところで、突然自分の意思とは裏腹に腕が上がらなくなり、足も動かなくなってしまう。

 死と隣り合わせの戦闘を休みなく続けていた当然の結果だった。

 

 安全地帯まで辿り着かなくては死んでしまう、それは分かっていたがどうしても体が動かなかった。

 どうせ現実に帰ってもこのゲームをクリア出来る頃には完全に落伍者になっているだろう。それを考えると、ここで死んだほうがいいのかもしれない。そんなことを考え、目を閉じた。

 

 

 アスナが目を覚ました時、最初に感じたのはまだ生きていることに対しての落胆だった。

 次に感じたのは疑問だ。モンスターのいる迷宮区で無防備な姿を晒していたのだ。死んでいない方がおかしい。

 

 その疑問に関しては辺りを見回すことで解消された。すぐ近くに他のプレイヤーがいたからだ。おそらく彼女が自分をここまで運んできたのだろう。

 

「あ、気がついたんだ。ねぇ、早速で悪いんだけど····」

 

 どうせ命を大事にしろだの、1人は危ないだの、そんな説教をしてくると思っていたが、彼女は予想外の要求をしてきた。

 この辺りで敵を狩っていたのならマッピングもだいぶ進んでいるはずだ、だからそのデータを譲ってくれないか、とのことだった。

 

「……わざわざ、そんなことのために助けたの?」

「そうだけど、何か問題でも?」

「そんな事頼んでない」

「私も頼まれた覚えはないねぇ」

 

 なんなんだこいつは。人1人を連れて安全な場所まで行く労力とマップのデータなど釣り合わないだろう。1歩間違えれば2人とも死んでいたというのに、馬鹿じゃないのか。

 

「……これでいいんでしょ」

 

 マップデータを押し付けその場を去ろうとする……が、すぐに彼女に呼び止められる。

 

「1回街に帰って休んだら? そんなんだとすぐにまた倒れるよ」

「別に、あなたには関係ないでしょう」

「いやー、でもどうせならもっと効率よく攻略した方が良くない?」

 

 だから提案があるの、と言って彼女が口にしたのは、要は私を鍛えるということであった。

 何故そんなことを? と問うと彼女は1人で迷宮区まで来て戦い続けられるようなプレイヤーを死なせるのは惜しい、どうせならきちんと動きを覚えて一緒にSAOを攻略して欲しい、始まりの街から出てこないプレイヤーを説得するよりよっぽど効率的だなどと宣った。

 

 どうせ1人で攻略することなど不可能だ。ならば本気で攻略しようとしているであろう彼女に乗せられてみてもいいかもしれない。そんなことを考える程度にはその口説き文句に心動かされた。

 

「……アスナ」

「え?」

「私の名前、これから色々教えてくれるなら、名前ぐらい知らないと不便でしょう」

 

 こうして2人の少女は共に行動することとなった。

 





小説なんて初めて書くから手探り状態だぁ
文章力あげてぇな〜俺もな〜
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