王様をぎゃふん! と言わせたい   作:ハイキューw

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細かく書いてるとなかなか進みません・・・。
次の話辺りで 省略するか、文字数をあげるかを決めたいと思います。


第14話 秘密な朝練

「つか、火神がいて、何でコイツは上達してないんだ? サーブレシーブとか。お前がいりゃ、これ以上ない練習出来ただろ?」

「あー……、レシーブだけはちょっとな。コートまるまる貸してもらっての練習は数える程しかできなかったんだよ。それに、ママさんバレーの皆や女子もいるから、そんな強いのは打てないし。個人的な練習も結構気を遣ってたからなぁ」

「それであの威力か。どうなってんだ? お前」

「それ言ったら、影山のトスも大概だろ。正確過ぎて逆にひくぞ」

 

影山と火神で結構話は盛り上がっていた。

少し仲間外れな感じがする日向から、当然ブーイングが沸く。

 

「じょーたつしてない、ってどーいうことだ!! 俺だって出来るんだ!! じょうたつ、してるんだ!!」

「一本もまともに取れてねぇ癖に、偉そうに言うんじゃねえ」

「んだとぉ! 影山だって、せいやのサーブ取れてない時あるじゃねーか!」

「てめーの万倍はマシだろうが!」

 

火に油とはこの事だろうか。いやいや、喧嘩するほど仲が良い、とも取れる。本気でぶつかってるからこその物だ、と火神は思い笑っていた。

 

中学生の時の影山のチームメイト達は、日向の様に食いついてはいなかっただろうから。

 

「昔っから翔陽は反応は良いんだからさ、後はボールを怖がらない事だって」

「うぇっ、こ、こわがったりしてねーし……、ぜんぜん、だし……もう高校生だし……」

「わかり易い反応をどーも。でも、ちゃんとボールを見て、威力を殺してやらないと、毎回、とは言わないが、かなりの確率でボールは彼方に飛んでくぞ? 3対3でそれをしてちゃ、格好の的だ」

 

びゅん、びゅん、と素振りをする火神を見て、日向は背筋を凍らせた。

楽しみにしているのは嘘偽りないが、あの秘密兵器が自分自身に向けられるのだからそうなっても仕方ない。影山も凄いサーブだったんだけど、それ以上な気もするから。

 

「今更だが俺たちと練習してて良いのかよ。お前は対戦相手なんだぞ?」

「んん? 別に良いじゃん、それ。他のチームと練習だってしたりするし、ましてや今回は分かれてするけど、烏野って意味じゃ同じチームだ。それと俺は特に勝っても負けても罰みたいなの、ないし~」

「むぐっ!!」

「うぎっっ!!!」

 

罰の事を思い出したのか、苦々しく歯を食いしばる影山。そして、烏野のバレー部に正式に入っている火神に対する嫉妬もあって、日向も変な声を上げていた。

 

「……俺は罰を受けるつもりはさらさらねぇ。当日、勝つのは俺だ」

「ふ……ん。俺()、ね」

「なんだよ」

「いいや。まあ言うまでもない事だけど、こっちも同じだ。全力で行く」

 

 

火神は、ボールを高く上げて……、そして助走をつけてジャンプ。空中姿勢を決して崩さずに、正確にボールの芯をとらえる。何かが破裂したのか?と思うような轟音を響かせながら、打たれたボールは、コートの右奥隅に着弾。

それを見た日向は目を輝かせ、影山は しっかりと目に焼き付けた。

 

 

 

「早速中学の頃のリベンジ戦が出来るのは、ある意味では嬉しい事この上ない」

 

 

 

火神のサーブを間近で見るのも参考になる。実際に受けてみるのと同じくらい、参考になる。

影山は、にやりと笑って答えた。

 

「こっちもそのつもりだ。中学ん時。試合には勝った。……だが、俺個人は納得してねぇ部分があるんだ」

「おう。受けて立つ! って 俺は別に挑まれるような立場でもないな。ほーら、翔陽も覚悟しとけよ? 秘密兵器全開で行くからな」

「うぉぉぉ!! 負けねぇよ!!」

 

日向も、火神に倣ってボールを高く上げて、そしてジャンプ。

影山は

 

 

 

 

 

 

【まさか、コイツも……】

 

 

 

 

 

と一瞬、驚愕と僅かの期待に満ちた表情をしていたんだけれど、それは 直ぐに消失。無の顔になる。

 

 

何故なら、盛大に失敗したから。

 

 

日向は、ボールを投げて高くジャンプするまでは良かった。

踏み込みの良さもあり、跳躍に関してはやはり一級品だった。綺麗に高くジャンプ出来てた。

……だが、ジャンプサーブはそれだけで打てるものではない。

数あるサーブの中でも一番強くて、そして成功率が低く一番難しいとも言われているサーブなのだから、まだまだ素人な日向には無理難題に等しい。

 

日向はナイスジャンプを見せたのだが、ボールがおかしな方に上がっていて、ジャンプ力にものを言わせてなんとか打とうとしたが、無理だった。それどころか、掠ったボールはなんと日向の頭に返ってきて、そのまま頭突きする形でボールは下に落ちてきて転がり……火神のもとへ。

 

「身体能力は凄くても、流石に模倣力ってのは無いからなぁ……。見ただけでコピー出来たら相当だけど無理だろ?」

「うぐっ……、で、できると思ったのに……」

「いつも言ってる事じゃん。地道な練習が一番だ。近道はなし。只管練習!」

「ボゲェ!! 日向ボゲェ!! それ、試合でやったら承知しねぇからな!」

 

 

ずいぶんと賑やかな早朝練習が始まって早1時間。

現在、文句を言われつつ 影山のスパルタレシーブ練習を日向に行い、火神は田中とスパイクを何度か打っていた後、田中が何かを思い出したようで、ボールを一時止めて、皆を集めた。

 

「おい、お前ら。言い忘れてたが ひとつだけ言っておくぞ」

「「?」」

 

真剣な顔つきの田中。一体何を言われるのか……、それの大体察しが付くのは火神のみ。

 

 

「……主将の大地さんは、普段は優しいけど、怒ると怖い。物凄くだ」

「「? 知ってます」」

「なら話は早い。……禁止って言われてるお前らがここにいるこの早朝練がバレたらヤバい。非常に俺がやばい。……別にビビってるとかじゃねぇぞ、全然。全く全然だ」

 

田中もイケイケな性格をしているんだが、澤村には頭が上がらない様だ。

普段は温厚だが、怒ると怖い。そんな持ちやすいイメージを体現しているのが澤村なようで、規則にも厳しい模範生徒。……怒らすと怖いのは、影山・日向組は経験済みなのだが、田中をビビらせる(本人は否定してるが)程の物なのだと、再度認識を改めた。

 

「田中さんは、命からがら影山と日向の為に用意してくれたんだから、感謝を忘れないようにってことだよ」

「あざっす」

「本当に感謝してますっ! 田中先輩!!」

 

田中が考えていた事とは違うが、改めて感謝されるのは悪い気はせず、また胸を張っていた。(命からがら~の部分は納得しかねるが)

……だが、最も重要な所を伝えれてないので、直ぐに表情を元に戻す。

 

「俺に感謝は当然としてだ! この早朝練知ってんのは俺ら4人だけだからな! くれぐれも秘密にするんだ――「おーー! やっぱ早朝練かぁ!」 ホァァッ!?」

 

 

秘密にしろ、皆に知られたら不味いと田中は伝えてたのに、早速それが叶わなくなってしまった。まだ、朝の7時には程遠いというのに、新たな来訪者が体育館に現れちゃったから。

 

「おーーッス!」

「!? す、スガさん!? なんで……!? まだ6時っスよ!?」

 

ただ、命拾いはできた。

やってきたのは澤村ではなく、副主将の菅原だったから。

 

 

「だってお前昨日は明らかに変だったじゃん? 火神とのやり取りも俺、聞いてたし。ていうか、新人の火神にもバレるってどんだけだよ」

「はぐぅっ!」

「それに、いつも遅刻ギリギリだってのに、鍵の管理まで申し出ちゃったりさぁ」

「おふっ……、くっ……」

「すみません……」

 

何だかいたたまれなくなって、思わず謝ってしまったのは火神。菅原はそんな固い事を言う人ではないのは解ってるんだけれど、やっぱり黙ってた事はいかんだろう。……影山や日向は別としても、火神も新人なんだから。

 

「いやいや、いいっていいって。大地に言うつもりはないし、やる気に満ち溢れてる1年見んのは気分も良い。その上、早朝の練習って なんか秘密特訓みたいでワクワクすんしさー」

 

間違ってなかった。菅原は優しい。澤村と菅原のコンビは本当にバランスが取れてると思った。基本的にどちらも優しいが、いざという時は 飴と鞭を使い分けてくれるのだろう。

 

 

 

「来たからには、俺も混ぜんべ。さっさと動いて温まるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間もそろそろ7時が迫ってきた。

流石にギリギリまでいるのは見つかってしまうかもしれないので、10分前には上がる予定にしている。

 

「うぅ~……誠也、ずるい」

「そんな目で見るなって。……でもあれだ。今回ばっかりは庇ってやんないからな? 澤村さんの注意無視して、その上教頭のヅラすっ飛ばすってのは、やりすぎ」

「う゛う゛…… わざとじゃないんだぁ!」

「わざと狙って出来たら、最早達人の域だよ」

 

なんやかんやあって、朝の練習は終了。

一筋縄ではいかなかったが、兎も角 一歩は確実に前進出来ただろう。

 

「くっそぉ、火神ぃ! 次はリベンジだぞ! それと今度は俺が止めてやる!!」

「あはは……。田中さんのスパイク痛かったっス」

「田中コース読まれ過ぎな。頭脳戦と言うか、駆け引きで火神に完敗してるぞ~~」

「って、菅原さん、煽らないで下さい……。たまたまストレートを読めただけですって」

 

 

ここで、教室に戻る組と続いて朝練に残る組に分かれる。

日向だけでなく、影山も恨めしや~と言わんばかりの顔をしていた。

 

名残惜しそうにあがっていく日向を見送り、影山も続こうとしてた時、火神は声をかけた。

 

「翔陽は磨けば輝くセンスの塊だ。活かすも殺すも影山、お前に懸かってるからな? うまく扱ってやってくれ」

「……俺は、今のアイツが勝ちに必要だとは思わない。そう言っただろ」

「おう。聞いてたよ」

 

日向は間違いなく、火神が知っていた(・・・・・)日向よりは 上達している。バレーボールの技術も拙いなりに頑張っている。

だが、それでもまだ影山の目には必要と映らなかった様だ。

 

今回の早朝練。

 

日向は一度もスパイクを打ってない。影山があげなかった。

何よりもレシーブを磨け、としか言わなかった。

恐らく、相手側に火神がいるからこそだろう。火神のサーブを知っているからこそ、少なくとも土曜日まではレシーブを徹底してやらせたいというのが恐らく影山の考えだ。

そして、レシーブは簡単に上達するものではない。

 

皮肉なことに、火神がいたから、日向も練習環境が変わって上達出来た。火神がいたから、最も強いサーブを受けなければならないので、火神が最初から知っていた様に、レシーブ中心の練習になってしまったんだ。

 

 

「俺ん時。……俺らとやった時、翔陽に何点取られた?」

「……なんだと?」

「翔陽に点を取る力はないって本当に思ってる? 影山。澤村さんが言ってた事、今一度考えなおした方が良い」

「…………」

 

 

火神はそう言うと、窓の部分にかけていたタオルを手に取って、汗を拭った。

影山は納得できない、といった様子だ。ただ、言っている意味が全く分からない、という訳ではなさそうだ。

 

 

「影山のトスはすげえ。あのトスを自在に打てる。セットアップを当然の様に入って打てたなら、きっとどんなブロックだって勝負できるって思う。初見じゃほぼ、余裕で行けるって」

「俺がブロックを欺いて、スパイカーに道を切り開く。それが理想のセッターだ。俺が目指してんのはそこ。俺がどんなブロックだろうと躱して、上げて……、俺のトスを打てれば……」

「ははは。わかるわかる。……でもな影山。確かに凄い。でも、影山が掲げる理想のトスとスパイカーにとっての最高のトスっていうのは 同じ様で、全く同じじゃない、って少なくとも俺は思ってる」

「なんだと!?」

 

 

噛み付く影山。バレーを深く知っている男の言葉だからこそ……、自分がかつて師事し、教えてもらおうとした先輩に似たスタイルを感じたからこそ、一言一句逃さず聞きたかった。

それが、否定的な言葉であってもだ。全てを糧にして、成長する。強くなる為に。

 

 

最後まで聞きたかったが、そこで終わった。

 

 

「ほらほら、大地たちが来ちゃうって、影山」

 

 

菅原が戻るように促したからだ。

聞くくらいなら直ぐ、という事で、菅原の言葉に頷きつつ、火神に催促するが。

 

「続きはまた今度な。自分で考えてみろって。他人に言われるだけより、自分なりの形にした方が良い。って、なーに偉そうなこと言ってんだろうな、俺」

 

はは、と笑って歯を見せる火神。そして。

 

 

「中学の時は時間もそうだけど、何より人が足りなかった。ここじゃどっちも足りてるんだ。アイツと一緒に、さっさとバレー部に入って来いよ」

「立ちはだかってるヤツのセリフじゃねえよ」

 

 

 

影山はそう言うと、戻っていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その外で、待っていたのは日向。

先に行ったかと思ったんだが、どうやら話を聞いていた様だ。

真っ直ぐ影山を見据えていた。

 

 

「俺、中学の時は誠也に頼り切ってた。スパイクを気持ちよく打つのもそうだし、練習するのも、試合で点取るのも」

「………」

 

影山が何かを言うより早く、日向から話しかける。

 

「もう、俺は誠也に頼りまくる訳にはいかないんだ! 誠也と戦う為にも! だから、お前はそのスタイル変えんなよ! 俺、お前が納得するレシーブ、絶対上げてやる! この期間に、この土曜までにやってやる! そんでお前が納得したら、お前が勝ちに必要って思えたら、俺がレシーブが出来たら、そん時に、俺にあげろ! 絶対手ぇ抜くなよ!」

「………ああ? そこまで言い切んなら、やってみろよ。クソレシーブが! それとバレーで俺が手を抜くとか思ってんのか、ボゲ」

 

 

新たな闘志を胸に、日向は前を向いた。まだまだ未熟。雛鳥も良い所だが 着実に一歩ずつ進んでいく。烏野のバレー部の1人として、空高く、飛ぶ為に。

 

 

 

「…………」

 

日向と影山のやり取りを見てた火神は笑っていた。

 

 

「あのさぁ、いっこだけ良い? 火神」

「はい? なんですか菅原さん」

「火神って、ほんと1年? アイツらと同級? 留年してきた、とかじゃない?? てか、保護者? 大地が祖父?」

「……って、それどーいう意味ですか!」

「達観しすぎてるっつーか、年相応じゃねーっつーか。なんせ、大地が言ってた意味がよくわかる気分だ。二回くらい高校生してたんじゃないか、って」

 

菅原は、訝しむが……直ぐに笑顔になる。

 

「なんてな、冗談冗談。ほんと、頼りにしてるよ。んでも、俺らの事も頼ってくれて良いからな? んじゃ、本番の朝練の準備、はじめんべ」

 

からかわれたのは解っていた。でも、菅原はかなり鋭かったと言える。

 

「はいっ。宜しくお願いします!」

 

 

 

最後、なかなか鋭い事を言われて 一瞬冷っと、背中に冷たいものが走った気がするが、火神はすぐに落ち着く。そもそも生年月日、生徒手帳を見せれば証明できるし、自分自身の過去? を証明する術の方がないので、何を焦る必要があるんだ? と。

 

 

その後は、バレー部の正式な朝練がはじまった。

澤村にばれない様に冷静に、何事も無かった様に振る舞う3人。

ただ、静かな田中は正直違和感の塊なので、どうしたものか、と菅原が悩んでた所で 清水がやってきて、また賑やかになったので、取り越し苦労だった。

 

 

 

「……どんな試合になるのか、楽しみだ」

 

 

まだ、先ではあるが、火神は楽しみで仕方ない様子だった。

 

それを見た菅原は笑っていた。

 

【やっぱり年相応の顔だったな】

 

と言いながら。

その横で清水も菅原が言ってる意味をすぐ理解し 同じく笑って、田中が更にやかましくなるのだった。

 

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