王様をぎゃふん! と言わせたい   作:ハイキューw

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第87話 教師二名体制

 

 

 

「(ぅシッ!! まぁ捻挫だって聞かされてたし、足動かしても大丈夫だったし。……でも、やっぱり問題ない、って言ってくれて嬉しかった……な)」

 

 

火神は、声には出さず、小さくガッツポーズを決めていた。

何故なら ここは病院だから。

病院内は静かに。それが一般常識だから。

日向や影山であっても、その辺は弁えて居るだろう。

 

……………多分。

 

 

 

 

 

 

葉山クリニック。

 

 

 

 

 

ここらの運動関係で怪我した人がまず最初に受診しに訪れる、とさえ言われてる個人病院。

 

県内でも有数、指折りで数える程の名医が開業した病院だから、いつも大勢の怪我人が集まってる病院だ。

おまけに烏野高校から近い距離にある。自転車を漕いで直ぐの所。

 

武田には以前車を出すと言われていたが、終わり次第早く帰りたかった火神は遠慮をした。……流石に病院の場所が遠かったら甘える所だが 近い距離だと、行きは気を使うかもしれないが、結果が解った帰り、思う存分足を使って自転車を漕げるので、簡単なウォーミングアップになるのだ。

 

 

 

そして、本日……とうとう火神は、OKサインを頂いたのである。

 

 

 

 

【今、この瞬間からバレーボール解禁だ】

 

 

 

 

と火神は医師の言葉を聞きつつ喜びを顕わに。

 

因みに、そこの名医は 簡単な怪我なら。

 

 

【よし! 問題なし! 動いてりゃ痛みも退く! 若い内は、多少無茶しても死にはせん! だから明日から暴れてこい!】

 

 

と中々豪快に言ってのける。

 

そんな先生が たった1週間とはいえ、安静の期間を設けたのだから、火神はある程度は恐怖を覚えていた。

 

 

 

だが、今日 色々と確認してもらって。

 

 

 

【問題なし!】

 

 

 

と太鼓判を貰えて一安心出来た。

 

これで思う存分バレーに打ち込む事が出来る。東京遠征までに間に合って良かった。

色々と喜びたい所ではある……が。

 

 

「(っとと、ゆっくりしてる暇無し。さっさと帰ろう。とりあえず、携帯で先生に一報いれとこっと……)」

 

 

 

火神は軽くなった身体を動かして、ジャージのポケットに入っている携帯を取り出しながら、早々に病院を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丁度その頃―――烏野高校では。

 

谷地が、清水に連れられて、バレー部の皆に紹介をされていた。

体育館に入るのがまるで初めて……と言わんばかりに、カチンコチン、ギクシャク! な谷地。

 

 

清水に呼ばれて、皆が集まってくると更に固まる。

 

 

だが、いつまでも黙ってる訳にはいかない。

 

 

「(取って喰われるワケじゃない取って喰われるワケじゃない取って喰われるワケじゃない取って喰われるワケじゃ……)」

 

 

 

何故なら、火神が勇気? づけてくれたから。

 

―――運動部に所属する男子は、特にバレーやバスケと言った運動部では、体格が大きい人が多い。

 

 

実際、バレー部が練習している時、谷地は初めて入ったが……、遠目からでも圧倒されそうだった。

 

でも、だからこそだ。今こそ、あの時の火神の言葉を思い出す。

どれだけ凄い人が居たところで……相手はきっと(・・・)自分と同じ高校生。―――取って喰われるワケじゃないのだと。

 

 

頭の中で呪文の様に呟いていた丁度その時、清水が一歩前に出て説明を始めた。

 

 

「えっと、新しいマネージャーとして仮入部の……」

 

 

話を振られ、思わず飛び跳ねそうになった……が、相手は同じ高校生だ、歳は1つか2つ違う高校生だ、と強く頭の中で念じて、勢いよく声を出す。

 

「!! やっ、谷地(やち) 仁花(ひとか)です!!」

 

「おおーーっ!」

「「マジかー! スゲー!!」」

 

「っっ!!」

 

まず初めに3年の3人が反応。

ここ最近では清水が随分久しぶりな烏野マネージャー。暫く空白が続いていたのだが、今日2人目が来た事にやはり驚きを隠せれない。……清水が抜けたら、自分達が抜けたら また……と少なからず思っていたから。

 

女の子が入ってきてくれたら活気が出る、と言うのがまた嬉しかった。

 

 

 

 

「1年生?」

 

 

 

 

喜びを顕わに、谷地に近づくのは――――東峰。

 

アゴ髭、髪型……何よりも、その高校生離れした顔面。

一発目に来るにはあまりにも刺激が強過ぎる濃い顔。

 

「うひっ…!!?(く、喰われる!??)」

 

ゾォン……、とおどろおどろしい擬音をつけたい勢いで迫る男―――東峰。

これじゃあ色々と噂されたり、社会人と間違われても仕方ないだろう。

 

 

 

 

完全に気圧された谷地だが、ここでも火神の言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

【喰われない、喰われない、喰われない、美味しくない】

 

 

 

 

と、どうにか頭の中で呪文を唱えた後。

 

 

「い、いっち!! 1年5組であります!!」

 

「「(あります………)」」

 

直立不動! 

背筋を思いっきりぴんっ! と伸ばして起立‼ 礼‼ ……頭までは下げてないが、勢いで下げそうな谷地だった。

谷地の語尾が少々気になったが……、東峰に迫られちゃったので仕方ないか、と納得するのは山口&月島の2人。

 

 

「こらこらこら、旭、ちょっと引っ込め! 怖がってるじゃないか」

「こわがっ、って、えええっ!!?」

 

 

東峰としては、ただ気さくに 最上級生として、明らかに緊張している1年生の女の子の為に、声を掛けただけだと言うのに、まさかのダメ押し。それもオブラートと言う言葉を一切使わない直球ストレート。

 

「へー! 5組って事は誠也と同じクラス! オレの事知ってるかも!?」

「キミ、頻繁に出没するらしいよね。(火神によれば)同じクラス? って思われてるらしいじゃん。……ま、あの(・・)クラスじゃ、そうでもしなきゃ入れないかな~。なんせ進学クラスだし?」

「うっせーーーな!!?」

 

月島の盛大な駄目出しを受けて、日向も盛大な抗議の声を上げる。

確かに進学クラスである5組は、基本的に学力上位が入れられる組だ。……赤点取る取らないで あたふたと慌ててる日向では逆立ちしたって入れない、と言うのが月島の結論。

勿論、その通りなんだが、こちらもオブラートに包むなんて言葉は知っていても使わない、のである。

 

 

「(あ……、クラスが賑やかだな、って思った時は いつも大体いる男の子……。たしか、しょーよー君? バレー部って言ってたよね、確か……)」

 

 

火神関連で、よく5組に入ってくるのは、5組で居る者なら大体がもう知っている事。

それは、結構人見知りをする谷地も例外ではない。

火神が何度も【翔陽】と呼んでるのも聞いてるから、まだ若干半信半疑ではあるが、日向の名前も覚えてる程である。苗字は知らないが。

 

 

 

 

 

「―――……ほほぅ、火神と同じクラス」

「―――………誠也に確認する事がまた1つ増えたな」

 

 

「ぅひぃ!!?」

「?? って! コラ! お前ら!」

 

 

そんな谷地をじぃぃぃ、と見ているのは、田中&西谷。

因みに、菅原の影に隠れて、のぞき込む様に見ている。……後ろからでも、その眼光は谷地にとっては凄まじいの一言。思わず悲鳴を上げてしまっていた。

菅原は、最初は気付いてなかった様で、谷地の様子を見て首を傾げていたのだが……、視線を追ってみると、自分の後ろに誰か居る、と判断。

 

そして、田中と西谷を思いっきり両手で抑え込むのだった。

 

 

 

「(意外。田中さんと西谷さんて、人見知りするんだ……)」

「(女子なら誰でも食いつく訳じゃないんだ……)」

 

 

菅原の後ろで気を伺いながらぶつぶつ呟く2人を見て、いつもは清水にとびかかる勢いで迫っていると言うのに、意外だと、思う山口と月島だった。

 

 

何はともあれ、新たな仲間(マネージャー)が増えるのは歓迎すべき事だ。

盛大に澤村に駄目だしを食らった東峰は気を取り直して、直ぐ隣にいる日向に言う。

 

「良かったなぁ。これで来年もマネージャー居るなぁ!」

「ハイ!! 2人もマネージャーが居るなんて、なんか、強豪っぽくて良いですっ!!」

 

 

強豪校ともなれば、部員数も半端なく多い。

事務仕事が多いマネージャーの存在は必要不可欠なのだ。だからこそ、強豪校ではマネージャーが数人いる事が多く、烏野にも複数マネージャー、と日向は興奮気味だった。

 

 

「あ、あぅ、そ、その……おぅ……」

 

 

谷地からしたら、勢いで来てしまったようなモノ。

火神に呼ばれて、清水と話して―――の2連コンボを喰らったままの状態で来てるので、本人の中ではまだ意思決定してないのだ。

 

かと言って、折角歓迎してくれる(だろう……)所に水を差すワケには……と固まっていた時、それを察した清水が慌てて仲裁。

 

 

「ま、まだ【仮】だから……。それに今日は私が突然お願いした形になったから、まだクラスの仕事、委員会の仕事の前に来てもらったから、今日は顔見せただけ!」

「あ、その……、よ、宜しくお願いシャス……!」

 

 

清水にどうにか諭され、思考を纏める事が出来て……、一先ず言っている様に()入部。仮とはいえ入部なのだから、ちゃんと挨拶を、と頭を下げた。

 

視線を大きな大きな彼らから離した途端!

 

 

【シアーーース!!】

「ひぃ!!」

 

 

どんっ! とまるで頭を下げるな! と言わんばかりの圧力が谷地を襲い……反射的に下げた頭を持ち上げて、仰け反る形。

 

明らかに、小中そして高校と、これまで体育会系の部活未経験者である事は解る。

怯え切ってしまってる彼女を庇う様に一歩前に出た清水。

 

 

「慣れるまでは取り囲んでの挨拶止めて!!」

【???】

 

 

バレー部の挨拶は……と言うより運動部系の部活の挨拶は大体、【お願いします】省略形

 

 

【シアース!!】

 

 

である。

普段通り、いつも通りに挨拶していただけなので、何がいけなかったのか? と主将である澤村までも疑問符を浮かべている様だ。

 

これは、しっかりと言い聞かせておかないと、慣れる前に期待の新人マネージャーに怯えきられてしまって、入部を断られてしまうかもしれない。と思った清水は、後でみっちりと3年に注意する様に決意。

 

 

「じゃあ、谷地さん。今日は忙しいのにありがとう。……そ、その、またよろしくね?」

「も、もちろんであります!」

「(あります?)ふふ……、良かった」

 

 

これで仮入部まで断られちゃったら、どうしよう―――……と頭の何処かでは思っていた清水だったが、谷地の言葉を聞いて一先ず安心。今日限り、とはならないだろう。

 

だからこそ。

 

 

「(澤村達には言い聞かせておかないと……)」

 

 

より、力が入るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

谷地はもう一度頭を下げて挨拶をして体育館を後にする(この時の澤村達の返事は控えめ)。

 

その帰り道。

 

 

「(うおおぉ…… 殆ど勢いで来ちゃったけど、デカイ人いっぱいだァァァ………、明日、どうしよう…………、い、いくら知ってる人、クラスメートの火神君が居るからって、ぜんぜん、慣れれる気が………)ハッ!!?」

 

 

ここで、いつもの谷地タイム発生。

自分の中で過大評価&過小評価を繰り返し、そして奇行に移る。

 

 

「(火神くんどころか!! あんな美人とまで関りを持ってしまった………ッ!! それも美人の隣に2分近くもたってしまった………!!? ふ、2人のファンに暗殺されたらどうしようっっ!?)」

 

 

ぐああ、と頭を抱えて(ありもしない)問題に頭をフル回転させる。

暗殺(笑)をされない様に、周囲の気配を頑張って察知しながら、何処かのステルスゲームの様に、壁を張ったり、中腰移動、となかなか機敏な動きを発揮しているのだが……、傍から見たら奇行以外の何でもない。

 

その証拠に……。

 

 

「……谷地さん? 何してるの?」

「うひっっ!??」

 

 

バッタリ出会った火神と鉢合わせした時、何してるのか? と聞かれてしまったから。

普段、すれ違った時やクラスで会う時なんかでは言われたりしないだろう……。

 

 

「あ、あ、いや! スパイに狙われて!!?」

「スパイ?(あれ? 暗殺者(アサシン)からスパイに設定変更したのかな?)」

「あっ!! い、いや違う違う。何でもないであります!」

 

あたふたしている谷地は、何だか小動物の様で仕草の1つ1つが可愛らしい。

クラスの女子に、たまにマスコットの様に扱われるのも頷ける所だ、と火神は笑った。

 

 

「あはは……。それで、今日は大丈夫だった? これから……確か、美化委員の仕事が残ってたよね」

「う、うん。だからちょこっとだけ顔見せして、本格的なスタートは明日からで……」

 

 

やはり、まだ自信が無さそうだった。

傍から見てみれば本当によく解る。

 

 

「強制……するワケにはいかないけどさ。大丈夫だよ、谷地さん。清水先輩だっているし、皆…… まぁ、迫力あるし、騒ぐと凄いし、暴れる事だってあるし」

「ひぃ!! あ、暴れる!!?」

「でも、皆本当に良い人達だから。その辺はオレが保証するよ」

 

 

にっ、とウインクして見せる火神。

火神の人成りについては、谷地ももう解っている。

 

それに、嘘ついたり、誠意が無かったりするような人が、谷地の中で主人公!! なポジションに居られるワケも無いから。

 

 

「さて、オレも部活参加しないと。……あ、皆はもう挨拶したと思うからさ。オレも。……明日から、よろしくお願いします」

「……こちらこそ! 了解しました!!」

 

 

ビシッ、と敬礼する谷地。

そして、その所作に改めて笑う火神。

 

谷地は、先ほどまでの緊張感とは打って変わって、柔らかい表情を作れていた。クラスの中でも見せる表情。

 

たった1人でも 見知った人が居ると言う状況がどれだけ有難いか……それを本当の意味で谷地は理解出来た瞬間でもあった。

 

 

「じゃ! また!」

「ウぃッス!! あッ、火神君、足の方は大丈夫だった?」

「ん? この通り!」

 

 

背を向け、体育館の方へと向かう火神に、谷地は足について聞いた。

5組に居れば、火神が足を部活で負傷した事くらい解る。大丈夫とは言っていたがそれでもちょっとは気になっていた。

 

それに これから、仮とはいえマネージャーとして入るのだから、そのくらいは把握して置いても良いだろう、と谷地は思えたのだ。

 

 

谷地の問いに対して、火神は両足で軽く跳躍。

2度、3度と繰り返し、そしてまたウインクと親指を立ててのサムズアップを見せる。

 

それを見た谷地は、良かった、と頷き 火神も手を振って体育館の方へと本格的に走り出した。

 

 

 

 

谷地は、安心したのと同時に火神が居なくなって、改めて火神とまた長く? 話してしまったので、また、清水の時の様に暗殺騒動を1人で再勃発させるのだった。

 

 

 

 

 

 

「遅くなりました!! ねがいしアーース!!」

 

 

ガラッ、と勢いよく体育館へと入る火神。

 

見てみると 今は基礎連、ボールを使う前のフットワーク系の練習を終えたばかりの様だった。

 

 

「お帰り。……大丈夫、そうね」

「はい!」

 

 

入り口の直ぐ傍に居た清水が一番先に気付き、火神に声を掛ける。

火神の顔や、思いっきり足を動かしてる所を見て、今日の検査結果を知った清水。皆にバレない様に軽い微笑みを向ける。

 

「大丈夫だったか? 火神」

「アス! 今日から本格的な復帰です! 太鼓判頂いてきました!」

「おー、そりゃ良かった良かった」

 

澤村、菅原と駆け寄り、火神の足の完治報告に ほっとする。

 

その後も、2年生の田中や西谷、縁下、成田、木下。

1年生の日向や影山、山口から月島まで、大なり小なりの復帰に対するコメントを頂く。

 

 

「っし! これで完全に全員揃った。仮だけど、新しいマネージャーも入ったし、景気よく円陣切って練習再開するぞ」

【ぅアーーース!!】

 

 

丁度まだ練習開始したばかりだし、タイミング的にも良い。まだ武田も烏養も来てないが、それはまた改めてで良いだろう、と判断。

 

澤村は、全員を集め円陣を組む。

 

――いつもよりも更に一際大きな声を上げ、気合を入れ直すのだった。

 

 

 

 

ここまでだったら、幸先の良いスタートだと言えるだろう。

気合も十分、怪我していた火神も復活、谷地と言う仮マネージャーの入部。 良いトコだらけな状況。

 

 

だけど……ちょっとした不協和音が起こる。

 

 

「誠也! 足はマジで大丈夫なんだな? 思う存分飛び込んでも問題ねぇんだな??」

「アス! 西谷さん!」

「よしよし! なら、ブロックに跳ぶ事も出来るな? 痛くないんだな?」

「アス! 田中さん!! この1週間! 練習に付き合えなかった分もやりますよ! 思う存分っ!」

 

 

いい笑顔で胸を叩いて答える火神。

何とも気持ちの良い解答だ。……そして、火神はきっと有言実行する事だろう。

体力面は間違いなく問題ない筈だ。

この1週間、確かに怪我した足を使った練習は出来なかったが、それ以外の練習で只管汗をかき 積み上げてきたんだ。

 

だから、鬱憤を晴らすかの様に、日向ばりに動き続け思う存分付き合ってくれる事だろう。

 

 

「よしよし。じゃあ、怪我が問題なく治った所で」

尋問(質問)タイムだな」

「はい! ………はい?」

 

 

――――だが、その前に 西谷や田中には聞かなければならない事があった。

 

 

火神の左右をがっちり挟み込む様に田中と西谷は配置について……、そして 顔を思いっきり近づけて……、耳元で囁く様に 田中と西谷は同時に聞いてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「潔子さんから、また(・・)至高の撫でりこを受けた、と言う話を聴いたんだけど、本当かい???」」

「………………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、どうなったのかは最早言うまでもない。

最終的には、澤村が止めるまで 尋問(質問)責め、言葉責め、実力行使。

 

 

 

 

【清水の残り香を寄越せ】

 

【清水の撫で撫で行為を寄越せ】

 

【なんなら、撫でりこを受けたその頭寄越せ】

 

 

 

と妖怪の様に迫ってくる2人。

まるでバレー部に戻る為に必要な洗礼―――――とは思えないが、兎に角練習よりも大変だったのは言うまでも無い事である。

清水はと言うと、流石に突然の事だったので困惑するだけだった。

 

 

因みに、至高の撫でりこ(田中&西谷 命名)の目撃情報は、IH(インターハイ)予選前からのモノらしい。

 

なので、火神は色々と大変な目に合いながら。

 

 

――あの清水の激励の時。賭けをした時の事なんだろうな……。

 

 

と思考を遠く、遠くに向かわせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌日。

1年5組。

 

「せいやーー! たのもーーーっ!!」

「頼む」

「何で道場破りみたいに入ってくる? 翔陽は、飛雄ほど……とは言わないケド、ちょっと落ち着いた方が良いよ……。今更だけど」

 

日向と影山は恒例になってきそうなテスト勉強、対策する為に火神が居る5組にまで来ていた。

ノートと教本を手に。

 

「大変なんだ! 研磨からメールが来て……!」

「あ、研磨さんから。うん、オレの方も来たよ」

「!! 東京来る話!?」

「そうそう。……だって、翔陽からの返事が無いから、何かあった? って感じで研磨さんから。送っといて 返事出さず無視するのはどうかと思うぞ」

「うっ………」

 

日向は、孤爪にIH予選の激励メールを送っていて、その返信が帰ってきたのだ。

 

【まあ ぼちぼち… 翔陽達は、コッチに来るんでしょ?】

 

と言う文面で。

試合に対する熱に関しては、兎も角 疑問文として返ってきてるからせめて返信はすべきだと思うのだが、日向はしなかったらしい。

 

 

「て、テストで行けないかも、って思っちゃったら……その……」

「ははぁ。絶対行くって啖呵切っちゃってるのに。嘘だったのか?」

「そ、そんなワケねーし! 絶対行くし!!」

「ま、気合が勉強の方に入ってるのなら上々。……でも、オレも流石にしんどくなってきたから、ここで対策練ってきた」

「「!」」

 

 

日向と影山の2人に勉強を教える事。

月島の様に、スポットスポット……、つまり指定時間のみの勉強ならまだしも、日向と影山は熱心に勉強を聞いてくるので、時間にするとかなり長い。

 

先生たちからすれば、赤点ばかりの問題児たちが、奮起し勉強する様を目撃するのは教師冥利に尽きる……かもしれないが、生憎火神は生徒であり、先生ではない。

どんなものでも、自身のキャパシティーと言うものは確実に存在するのだ。それを超えちゃうとパンクする。例え、2回目の高校生活であったとしても。

 

「(そもそも、勉強教えるのって得意って訳じゃないし……)」

 

火神は、クキッと首を1つ鳴らせると、立ち上がった。

日向は対策(・・)と言う言葉に目を輝かせ、影山も日向程では当然ないが、相応の期待の目を向けている。

勉強嫌いとはいえ やはり、東京行きが現実の物にする為にも、対策があるのなら好ましいのだ。

 

自分達だけでは、本当にどうしようもない、と自覚しているからこそ。

 

 

火神は立ち上がると、くるっと回れ右。

 

 

「谷地さーん」

 

 

自分の席で、ぐんぐんバナナヨーグルトを飲んで休んでる谷地を呼んだのだ。

 

「んぐっ!!(と、とうとう来てしまった……)」

 

谷地は、大袈裟だろう……と思われるかもしれないが、緊張のあまり身体を震わせていた。

 

火神の対策。

 

それは教師2人制の導入である。

 

日向は、国語。

影山は、数学。

 

勿論、他の教科は大丈夫―――と言うワケではない。どれもこれも軒並み悪い。

その中で、特に悪いのが今あげた2科目。

 

文系と理系の2つを満遍なく教える作業と言うものは、中々に骨が折れるので、火神はここで助っ人として、谷地にお願いをしたのだ。

 

 

本来なら(・・・・)、彼女が教えてくれる事になってたので、ある意味丁度良く、極めて最適な人選だと言える。

 

それに、高校入学してから知らなかった事実の1つが判明。

 

 

「谷地さん勉強好きなの?? 頭良いの??」

「好きかどうかはさておき、谷地さんはオレより成績上だよ」

「!! おおおっ!!」

 

 

そう、彼女は火神より成績が良いのだ。

 

「あぅぅ……え、えと名前、名前ナンダッケ……!? さっき教えてもらったのに……!? このままじゃ社会でやっていけない……、失業、で露頭に迷って……… 臓器売買!!?」

「……や、谷地さん?? ちょ~~っと、不吉な、と言うかヤバめな単語聞こえてきたケド大丈夫??」

「ふへぃ!! だ、大丈夫です!」

 

恒例となるトリップから、意識を掬い上げた火神は、とりあえず 2人を谷地の元へ。

 

「了承はさっき取ってるけど、2人からもちゃんとお願いしろよ?」

 

「ごめん!! 谷地さん!! オレに勉強教えてください!!」

「……教えてください………」

 

2人ともが頭を下げた。

 

「わ、私で良ければ……。火神くんみたいに、上手く教えれるかどうかわかんないけど……」

「いや、ほんと助かるよ谷地さん。教える側が増えるのは。2人が同時に別々の教科質問してくる時とか、リアルに頭パンクしそうになるから……。別のヤツ(・・・・)に頼んでみたんだけど、速攻で断られてさ」

 

火神の言う別のヤツ、と言うのは勿論 月島である。

部活の前後ならまだしも、それ以外の時間帯は営業時間外、との事。……そもそも営業してたか? とツッコミを入れそうだったが、それとなく勉強見る側へと誘導した手前、はっきり言ってやるのもよろしくない、と判断して 火神はそれ以上頼むのをやめてるのである。

 

普通に部活後に見てくれるだけでも十分有難いから。

 

 

 

そして、勿論 火神以上に喜んだのは日向だ。

 

「!!! あ、ありがとう!! 来月のテストで赤点取ると、東京遠征に行けなくなっちゃうんだよ!! 本当にありがとう!!」

「ありがとうございます……」

「……飛雄、勉強の事になるとロボットみたいになるな? 簡単なコミュニケーションしか取れなくなってるぞ」

「るせー」

 

 

と言うワケで、2対2で、それぞれがマンツーマンで教える事になった。

流石にイキナリ強面であり、口数の少ない影山に教える様に谷地に頼むのは酷なので、影山を火神が、いつ誰とでも仲良くなれる勢いとコミュ力のある日向を谷地が。

 

東京行きを目指して、Let's Study!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーー‼ すげーーなるほどーー!」

「いや、あの……、え、えへへへ。そうかな?」

 

「飛雄は、澤村さんにも言われてたけど、サイン覚えるのは余裕なんだから、社会や英語も語呂合わせで覚えていった方が早い。ほら、この辺とか――――」

「……成る程」

 

勉強する、とは思えない程の賑やかな声がクラスに響く……が、それは周囲も負けずと劣らず賑やか。

 

5組は進学クラスだと言う事で誤解されやすいかもしれないが、休み時間も結構賑やかなのだ。

何なら、日向がこのクラスに入ってくるのも、殆ど日常化しちゃってるので、違和感すらなく溶け込んでいる。日向や火神と一緒、と言う理由で、影山も以下同文である。

 

ただ、谷地が火神と話している所を見るのは、かなりレアな様なので、後日―――色々と聞かれたりするのはまた別の話。

 

 

「谷地さん! ノートが凄い見易いね! 絵もうめーー!」

「おぉ……マジで上手い。こっちの絵とか ボールペンで書いたとは思えないよ…」

「!!!」

 

日向に続いて火神も谷地のノートに注目。

要点や大事な所を自分なりに纏めて、色分けしてノートに取っている。

 

同じ授業を受けているから解るが、ただ黒板に書かれた文字を書きとってるだけじゃなさそうだ。

自分なりにかみ砕き、後で読み返して直ぐに解る様に、アレンジを加えている。

 

 

「あ、あはは。お母さんが デザインの会社やってるからね。昔から どんなことでもレイアウトがどうとか、色の組み合わせがどうとか、うるさくて。例えば、火神君のこのノートだけど、ちょっぴりここの余白が勿体ないから、強調する様に使ったり、逆に 余白を取っといて、後で書き足したり…………って、ゴメン!!!」

「「「???」」」

 

 

いつの間にか火神も加わって生徒3人な状態になってノートの見易い、解りやすい取り方講座を受けていたのだが、突如谷地が手を止めて謝りだしたので、3人とも首を傾げた。

 

 

「ノート!! か、勝手にかき込んじゃって……!! う、うわぁ!!」

 

 

何でも、火神のノートにケチ着けただけじゃ飽き足らず、自分好みに改造してしまった事を悔いてる様子。

 

 

「いや、まったく問題ないよ。最初よりずっと解りやすい。……勉強教えながらオレの復習にもなるし、勿論、翔陽達にも」

「うんうん! 次から谷地さんの真似する!」

「………ほー、なるほど……。確かに色分けし過ぎるより、こっちのシンプルな方が………」

 

 

 

3人とも大好評。

 

なので、谷地は少し照れ笑いを浮かべながら、また勉強再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「日向くんは……」

「日向でいいよ!」

「あ、じゃあ……、ひ、日向は勉強嫌い?」

「(おお……流石翔陽。オレには OK出しても全然呼び捨て出来ないッポイのに あっさりと……)」

 

言いやすい言い方、呼びやすい呼び方。

それは人それぞれ、相手も見てそれぞれだろう。

 

少なくとも、谷地は 女子の中では火神の事を 名前呼びや呼び捨てで呼ぶ子は今の所1人もいないので、そのトップバッターになるなどと、恐れ多い!! と言う事で火神君で落ち着いている。……今更変えろ、的な事は言わないのでそのままだ。

 

 

「キライ……ずっと座ってんのがツライ……、なのに何で誠也がべんきょー出来てんのか……ズルい。誠也はいろいろズルい……」

「自分が嫌いなのも、ずっと座ってんのが辛いのも解るけど、オレをズルい、それも色々っていうのだけは 解らんわ」

「あ、あはは……。まぁ 得意不得意、ってあるからね……。でも、東京遠征行く為には頑張らないと、だよね?」

「そう!! 勿論!! 誠也にだって追いついてやるし、今度の東京の強豪と、ガッツリ練習試合するの楽しみ!!」

「東京………ぜってーいく。ぜってーーいってやる……」

 

 

日向と火神は付き合いが長い。

同じ時を歩んできた筈だと言うのに。

 

勉強だけでなく、バレーとかバレーとかバレーとか。

 

勿論、バレーに関しては、日向も負けない様に努力し続ける。

目標がずっと上に居る事、追いつく、追いついて見せる相手が居る事が何よりも日向にとっての動力になっているのだから、日向にとっては幸運だと言えるかもしれない。

 

それは影山にとっても同様だ。

余りにも周囲より高いレベルに居た影山も、日向とはまた違う苦悩を味わっていた筈だから。現在、苦労している勉強よりももっとキツイ物を。

 

 

それは兎も角、話の内容がバレーになったので、勉強よりも更に会話が弾む。

 

 

「東京には音駒高校ってのがあってさ! そこのセッターがすっげー賢い! トサカみたいな頭の主将がなんかデカいし、悪そう! あと、レシーブが凄くて何打っても、ビャッ! って拾われる!!」

「音駒のリベロはすげーよ。西谷さんに匹敵する」

「確かに、音駒高校……凄かったよな。また練習試合するの楽しみだ」

「あー、因みに、誠也のサーブで、その強いチームから点何本か取ったんだ! サービスエース!! サーブ賞みたいなのが合ったら、絶対誠也がゲットしてたなーー」

「………チッ!!」

「はいはい。飛雄は舌打ちしない」

 

「(セッター? リベロ?? トサカ?? サービス……、奉仕? いや、エースもついてたから、最上の存在……みたいな? 火神君が点いっぱい取ったから? それともポジションの名前かな……)」

 

バレーの知識はまだまだ乏しい谷地は、なかなか話の内容が正確に伝わってこないのだが、その音駒と言う高校が凄いと言う事、凄い所に火神が点を獲った事、影山が何だか負けず嫌いだと言う事は解った。

 

 

そして 何より、日向が勉強よりもやっぱり活き活きしてるのが見て解った。

 

 

 

「それに、すげぇヤツ、いっぱい居んの! 東京だけじゃなくて、県内には青葉城西の【大王様】とか、絶対王者って言われてる【ウシワカ】それに伊達工の190㎝の【鉄壁】とか!!」

「ひゃっ、190センチ!?」

「因みに、さっきから翔陽はオレの事ヨイショしてるけど、翔陽だって、そのデカいヤツから点獲ってるから、十分凄いんだ。結構感情の起伏が激しいから、褒めてあげてよ、谷地さん」

「ほ、褒めてあげて、とか本人の前で頼むなよ! ハズイじゃん!!」

 

 

日向と火神のやり取りを聞いて、日向の事を誤解していた、と思うのは谷地だ。

 

「(そんな大きい人に……、火神君や影山君より大きいよね? 絶対。190㎝って……)」

 

日向の身長を見たら……やっぱりバレー部は大きい人が、大きい選手が活躍する、と言う先入観を持っていたから。

 

 

「(なら、日向は……)まるで、【小さな巨人】だね!」

「!!!」

 

 

不意に谷地からバレーを目指した切っ掛けであるあの称号……、異名を聞いて日向は思わず立ち上がった。

 

「や、谷地さん!? 【小さな巨人】知ってんの!??」

「えええっ!?」

「こらこらこら、翔陽。机の上駄目。身を乗り出さない」

「あ、ゴメン!」

 

谷地の机を乗り越えようとしてたので、そこは火神が止めた。

 

谷地は、突然身を乗り出した日向に、少々面食らっていたが、日向と言う性質、そして何より 自分とまだ近い体格だったから、そこまでビクビクしたりはもうしなくなった様だ。

 

落ち着いて、改めて説明する。

 

 

「えっと、ほら。こう……スポーツとかでおっきい外国人選手に混じって活躍してる小柄な日本人とかをそう呼んだり……しない? 何だか聴いた事があってさ…!?」

 

 

谷地が日向の言う小さな巨人を知らなかった様で、ちょっと落ち着く事が出来た様だ。

自分ひとりで盛り上がってる様にも客観的に見えたから。

 

 

「あ、そっか。そうだよな。……確かに、オレは小さい! デカくない! でも、跳べるから、だからこそ、オレはその【小さな巨人】になるんだ! どんなデカいヤツでも倒せる小さな巨人に。………そういう奴らと【戦って】倒せる様な男に。……凄くワクワクする。ぞくぞくもする。……あああ!! 東京楽しみだ!!!」

 

 

この時の日向は、谷地の目には確かに巨人(・・)に見えた。

自分の上背の事なんて一切考慮する事なく、ただ凄い男たちに……、谷地からしたら、バケモノだと言って良い男たちに挑もうとする。

笑顔で挑もうとするその姿勢が、とても大きく見えたんだ。

 

 

だが……。

 

 

「おい、さっさとノート取らせてもらえよ。このままじゃ行けないって解ってないのか? 【東京に行けない 小さな巨人】」

「はい、今回ばかりは飛雄正論。翔陽、熱く語るのも良いケド、まず目の前の壁乗り越えないと、無理なモンは無理だからな。例え教頭に頼んでも」

「!!!」

 

 

 

痛い所を突かれた日向。

これ以降は、めっきり言葉少なくなり 只管谷地のノートを参考に、自分のノートを改善していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、勉強会も終了。

 

全力全開で日向はお礼を言い、影山も口数少ないが、しっかりと頭を下げ、それぞれのクラスへと帰っていった。

 

「…………………」

「谷地さんの今の気持ち、当てようか?」

「ふぁい?」

「【直射日光浴び続けた気分】……違う?」

「!!! そ、そう! それ思った!!」

日向(・・)だしなぁ、翔陽は。……ず~~っと付き合ってるから、気持ちは解るよ」

 

 

日向と長く付き合いのある火神。

谷地が日向に対してどう思うかくらい直ぐに解る。

 

あの小さな身体には、それくらい大きな物が沢山詰まっているから。

 

 

「じゃあ 火神くんは、()(かみ)だから、日向を簡単に扱えるって事かな? 太陽だって火みたいなものだし」

「……そ、そう言われたのは初めてかも」

 

 

谷地は指を立てながら、名前ネタで火神に言ってみた。

それを聞いて、色々と頼られる事やその度 上手くあしらったり、扱ってきた過去を思い返し、苦笑いをするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その日の部活。

 

 

 

 

 

「谷地さん!! 午後の英語の小テスト……!! さっき教えてもらったトコでて、35点も取れた!! すげーー取れた!!」

「っっ!! え、ほんと!!?」

 

 

 

ワッショーーーイ!!

 

 

 

 

 

見事、谷地の解りやすいノートを見て勉強した結果……日向の点は大幅にアップ。

 

 

 

「えっと、火神。50点テスト~ とかじゃないよね?」

「はい。菅原さん。100点満点のテストだと思います……。3分の1取れた!! 35点だ!! って、最初にオレに報告に来たんで」

「……そんだけで喜ぶとか。おとーさんもしっかり教えてあげなよ? 3割で喜ぶのはどうなの? って」

「……翔陽にしてみたら、十分高得点で。メッチャ喜んでたし、水差すのもどうかな? って思ったんだよ。もうここまで来たら、褒めて調子に乗せて伸ばした方が幾らかマシじゃん」

 

 

テストまでの時間はある様で無い。

時間は圧倒的に足りない。

 

だからこそ、喜べる所はしっかり喜んで、出来る出来る、と暗示をかける様にするのが良い、と火神は判断している。谷地と教育論は交わして無いが、日向と一緒に大喜びしている所を見ると、褒めて伸ばす方に賛同してくれそうだ、と火神は笑っていた。

 

 

「はははは……、ま、まぁ 全然取れてなかったみたいだし、火神が言う通り、点数アップしたのは間違いないんだし、褒めた方が良さそうだよな。……それと、点よりコミュニケーション能力の高さの方が驚くよ、毎度」

「あ、それオレも思った」

 

 

同じクラスである火神は兎も角。

周囲は、点が上がった事よりも、あれだけ緊張していた谷地とあっさり仲良くなった事に驚くのだった。

 

 

 


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