王様をぎゃふん! と言わせたい   作:ハイキューw

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第97話 空中戦の覇者

 

 

 

誰もが感じていた事だった。

 

最初は些細な綻びだったのかもしれない。

 

だが、東京(ここ)に来て。

 

 

森然、生川、烏野の宿敵とも言える相手、音駒、そして全国を知り、全国の強豪を倒してきた梟谷。

 

 

強い者しか(・・・・・)いない場所に身を置いて……より鮮明にそれを感じる様になり、そして今――――日向の言葉ではっきりした。

 

強い意志をその目に、表情に感じる。

普段なら、影山の凶悪(暴言)な表情を見たら、委縮する日向だったが 今は決して怯む様子はなかった。

そのまま、続ける。

 

【目を瞑るのをやめる】

 

と言った、その真意を伝える為に。

 

 

「今のままのオレじゃダメなんだ。――オレが打たせてもらう(・・・・・・・)速攻じゃ、ダメだ!」

 

 

日向のはっきりとした物言い。

そして、日向の普段を知っている影山。

バレーに関して言えば、曲がった事は嫌いだろうし、誠実だと言う事は解っているが、基本的にビビりである事を知っている影山は、ただ冷静に返す。

 

 

「――それ(・・)が出来なかったから、普通の速攻を覚えたんだろ。あの速攻のコースの打ち分け。……最初の頃、散々繰り返したよな?」

 

 

影山の脳裏に浮かぶ日向との練習光景。

何度も何度も空振り。

ボールを意識するあまり、全力とは程遠い日向の跳躍力(ジャンプ)

今の技術では、完成させるにはあまりにも時間がかかる。試合は目の前だし、今は基礎的なスキルを向上していく事こそが、最善だと判断し、変人速攻の打ち分けの練習は控えてきた。

 

それに、変な癖がついたら目も当てられない事だから。

 

 

 

だが、確かに―――あの速攻、あのボールを自在に操れるようになれば驚異的な武器になる。

それこそ、影山の理想的なスパイカーだと言って良いだろう。

 

 

【自身が上げた所が最善位置。ここに来ればブロッカーを躱せる。勝ちたいならもっと早く動け、跳べ】

 

 

孤独で横暴、そして独裁な王様と呼ばれていたあの頃、長く長く考えていた事だったから。

 

当時の影山の理想を体現する選手が居るとするなら……、ひょっとしたら、あの当時、無意識下ではあるものの自身よりも上である、と認識した火神よりもあの速攻を自分が自由自在に好き勝手に上げたボールを自分のイメージ通りに打てる(・・・・・・・・・・)選手かもしれない。

 

 

「お前が何考えてんのか知らねぇけど、話なら後で聞いてやる。……でも今すぐお前がそれをやるっつうなら、ミスるとわかってる奴にトスを上げるつもりは無ぇ」

「………でも!」

 

 

日向が次に言おうとした事を先読みし、遮るかの様に影山が一歩前に出る。

 

 

練習(・・)試合だから、か?」

「ッ………」

 

 

そう、日向はその言葉を思い描いていた。

つい先ほどにも、()が言っていたから。

 

 

「直ぐに何とかなる代物かどうかなんて、お前が一番よく解ってんだろ。……それに、今自分が比べ……いや、対抗しようとしてる相手。それこそんな事、現時点で出来るかどうかなんて、お前が自分自身で一番解ってんだろ。………近道なんざ無ぇんだよ」

「ッンぐ………」

 

 

そういうと、影山は背を向けた。

日向も複雑そうな顔をしているが、影山の言葉が正論だと言う事を痛いほど理解している。

 

そう、言う通り比べようとしていたし、対抗もしようとしていた。

 

強い相手と戦って……そして、火神が、いつもと違う事をやり出したあの時にはっきりと。

 

 

「翔陽」

 

 

火神は日向の肩を叩く。

いつまでも試合を止めておくわけにはいかないから。促す様に、今は前を向くように。

 

 

 

先々を知っている身ではあるが、こればかりは(・・・・・・)自分が見出し、自分がはっきりと意識しないと無理だ。

 

精神と身体が合致した時に、純粋な自分自身の力となる。

それは、中学時代に火神は理解していた。

 

 

日向の跳躍力がまだ上がる、と言う事も知っていたから、あの跳躍(・・・・)を伝えようとしたが、上手くいかなかった。

だが、それも当然と言えば当然かもしれない。

 

 

自身の記憶の中に居る、あの跳躍(・・・・)を魅せた日向翔陽と言う男は、中学()の日向翔陽とはまるで別人なのだから。

練習を重ね、強豪と戦い、そして勝利に飢え……上り詰めた強靭な身体と比べるには、あまりにも幼かった。

 

影山が言う通りだ。

上達・進化に 近道などは存在しない。

 

知っていてもそれを実現、体現できる精神と身体が備わってなければ。

 

 

 

そして今。進化しようと藻掻いている。精神と身体の両方を。

これは自分自身との闘いだ。闘えるのは自分自身のみ。……それに勝たなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音駒との試合は続く。

 

確かに今は届いてないかもしれないが、喰らいついていっているのは解る。

 

「ッ…………」

 

まだまだ素人同然の谷地の目には、互角以上に渡り合っている様にしか見えない。最後の点を25点、デュースなら 2点差をつけた点数を獲る事だけが難しい。

 

でも、素人ながらそれは半ば運次第だ、運が悪かった、とも思えてしまっている自分もいた。

 

20点までは普通に点を決める場面が多かったし、獲られても直ぐに獲り返す場面も多かったから。まだ3試合。徐々に最後の1点を、中盤や序盤の時の様に、あっさり獲れる事だってきっとある筈だから、と。

 

 

終盤に近付くにつれて………獲る事が難しくなっていっているけれど、いつかは……と。

 

 

でも、今はそれ以上に感じる事がある。

 

 

「(さっきの、日向と影山君の会話……、何かわかんなかったけど……、いつもの事だったら、火神君が間に入って、それで立て直して……の筈なのに……、ぜんぜん………)」

 

 

お父さんと呼ばれている火神は、比喩抜きで面倒見がよく……と言うより、所謂 操縦に非常に長けている。

全力で否定されるかもしれないが、事実 そういう場面を谷地も他の皆も何度も何度も見てきているから、最早疑いようのない事だ。

 

だけど、今は違った。

 

 

「日向と影山君が、ぎくしゃくし始めたの……気のせいじゃない、ですよね……?」

「うん……」

 

 

清水も手に汗を握りながら試合を見ていた。

その汗が何だか冷たくも感じていた。

 

 

「日向と影山だけじゃない。前兆(・・)はあった……と思う。でも、まだ安心できる範囲内だったと思ってたけど……」

「え? 前兆?」

「うん」

 

 

清水は先ほどの光景を、日向が東峰とぶつかった時よりも前に遡って思い返し、谷地に伝える。

 

 

「影山と火神。……凄く珍しく合わなかったあの場面が切っ掛け……だったと思う。そこから徐々に。……それで、あの日向と東峰がぶつかってから確実に……全員に緊張が走ってる。これまでとは比べ物にならないくらい……」

 

 

点を決めた時、スーパーレシーブと言った一番盛り上がる場面を見せた時、ほんの少し前までは笑顔を見せていた筈だったチームの全員の顔が一様に険しい。

 

それはベンチにも伝わってきているのだろう。

応援しているメンバー達の表情も硬く険しいモノになっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

27-25。音駒勝利。

 

 

 

 

 

 

―――今のままじゃダメだ。

 

 

これは何度も考えていた事だ。

チームの主将である澤村は勿論、3年を中心に2年達にも、それは伝わっている筈。各々の表情を見ればそれは解る。

 

 

「(何処かで、まだ胡坐をかいていたかもしれん、な。……日向にも突きつけられた)」

 

 

フライングコート一周!

と言う負けた方の罰を黙々と熟す傍ら、澤村は前に居る日向を、そして火神を見た。

まだまだヘタクソで、フライングに関しても顔面強打が目立つのが目に入ってくる。

 

 

そして、宙で日向を間近で感じた東峰もより強く思った。

 

 

「(あれは……、あの時のアレは、漠然とした恐怖だ)」

 

 

小さな身体の筈の日向が、より大きく見えた。

自分自身をも飲み込む程に。

 

 

「(それに オレは、エースだって、呼ばれてる癖に………、頭のどっかで アイツの事を見上げる(・・・・)のを当たり前だ、と思うようになってしまってた)」

 

 

東峰の視線の先にいるのは日向ではなく、顎を強打して悶絶気味な日向を西谷と共に引っ張り上げてる男、火神。

 

東峰自身、点は取っている。スコアを比較すれば 間違いなくチームでもトップクラスだろう。……だが、それでも ここぞと言う一番で皆を鼓舞し、少しでも意気消沈しかけていた皆を掬い上げてくれる男は自分(エース)ではなく、火神だった。

 

不思議な感覚。

口ではなかなか説明できない火神が出す雰囲気(オーラ)は、自分自身をより高くに引っ張り上げてくれる。そんな感覚を東峰も持っていた。

 

 

だからこそ――――あの男が、常に上に居るのが当たり前(・・・・・・・・・・)だと、何処かで思ってしまっていたのかもしれない。

 

 

「(日向は、それを良しとしなかった。………あの悔しい敗戦をオレも経験してる癖に、何やってんだよ……!)」

 

 

ぐっ、と自身の拳を見る。

火神が怪我で退場して……そして敗北した。

 

周りは十分渡り合った。惜敗だ、後一歩だ、と言っていたが…… 負けは負け。それ以上でもそれ以下でもない。精神論は別として、敗北すれば 先へは進めないのだから。

 

 

「(このままじゃ、オレもダメだ。………ひたすら貪欲に成長しようと藻掻いてる日向に、喰われる)」

 

 

だからこそ、東峰は、……否 そこに居る全員は 頭にある当たり前を払拭する気持ちで、黙々とフライングを続けるのだった。

 

 

 

 

 

「―――アイツらから目を離さない方が良いぞ? 繋心。選手らに意識の変化があるようだからな??」

「!!」

 

 

 

そして、コートの外でも。

大人である烏養も選手達と何ら変わらない。等しく同じく足掻こうとしていた。少しでも進化を、成長する為の一翼を担う為に。

 

だが、口にどう出せば良いのかが解らない。

 

 

「(……確かに。もう惜敗は要らねぇ。後一歩届かなかった、は要らねぇんだ。……行き詰った今こそが成長のチャンス。……でも、どう言えば………)」

 

 

自身の経験の乏しさ、指導者としてのレベルの低さを恨みながらも、ただただ考えていた時だ。

武田が一歩前に出て言った。

 

 

「皆さん。やはり宿敵とも言っていい音駒高校は強かったですね? 通算すると、7回戦いましたが、その全てが敗北です。如何に惜しくても、最後の点を獲れないと勝てないのは、僕でも解りますから」

【………………】

 

 

むっ……、と顔を顰めつつも、余りにも図星過ぎて言い返せずにいる面々。

確かに良い試合が出来た……と言うのは、客観的にも解る事ではあるが、清水のスコアノートを見て、実際に数字化してみると――――全敗の数字が見える。

 

「いえ、音駒だけじゃありません。森然高校も、生川高校も、……そして梟谷学園も。何処を見ても強豪だらけです。――――良かったじゃないですか」

【?】

 

武田の良かった、と言う言葉の意味がいまいち解らず、大半の者たちが首を傾げた。

武田は、そんな選手達全員を一頻り見た後、笑顔と共に真意を告げる。

 

 

「どのチームも、実際の公式戦で出会ったなら、とても厄介な相手です。彼らは、自分達に無いモノ(・・・・)を沢山持っているのですから。そんな彼らと共に、まだまだ練習が出来る。実に、実りある事だと思えませんか?」

 

 

大きく両手を広げて言う武田。

そして、丁度後ろでは森然vs生川の試合が繰り広げられている。どちらにも勝ちはしたが……どちらもこの場で最強の梟谷に1セット獲っている所を鑑みても、自分達に無いモノを持っている。間違いなく強敵だ。

 

 

「彼らをただ倒す相手……【敵】として見るのか、それとも君達に無いモノを見せてくれる、技を見せてくれる、……それを習得する為の【師】と見るのか。……まだまだ覚える事が沢山ある、と言う事は。………まだまだ勝てない相手が居ると言う事は、とても長い伸びしろが間違いなくあるという事です。―――こんなに楽しみな事、他にないでしょう」

【!】

 

 

ここまで発してくれた所で、全員は武田の言わんとする意味を理解する。

 

そして、改めて突きつけられる。

日向が道を示した。

 

 

―――変わるか否かは、自分次第である、と。

 

 

 

 

 

「今、なんか先生みたいで頼もしかったぜ! ありがとな!!」

 

そして、その言葉に胸を打たれたのは選手だけとは限らない。

烏養も同じだった。

何を言えば良いか 迷っていたばかりだから。

 

でも――――……。

 

 

「あっ…… その、僕 一応教師……ですけども」

 

 

なかなかに失礼な言い方だったのはご愛敬。

 

 

 

そして、自分達の師である、と認識しだしたメンバーは、自然と他の試合を見る目が変わってきていた。

 

ミーティングが終わった後に改めて相手の試合を観戦する。

技の1つでも理解し、そしてあわよくば自らの糧とする為に。

 

これまでは 目の前の試合に集中し過ぎて、物凄く疲れる試合連発していたから、他に目が行きにくかったかもしれないが、今回は違う。

 

 

 

まず、生川高校。

 

 

もう音駒同様、数度対戦してきたからこそ解る。……あのチームは、全員のサーブが強い。

丁度今も、サービスエースを叩き出した所だ。

 

まだまだ馴染みが浅い 谷地にとっては、あのサーブは凄まじい爆音の様な音。火神や影山も凄いのだが、全サーブターンもれなく強いともなれば、受ける印象も変わると言うものだ。

 

 

「ヒィィ……、腕っ、腕もげるっっ」

「あの生川高校……全員のサーブが凄いんだよね……」

「あ、それ 火神君と一緒に聞きました! 生川のマネさんに!」

 

谷地の言葉を聞いた瞬間からだったか。

何だか突然寒くなった気がしたのは。

 

「………………」

「うひっ!? 先輩!? な、なにか……??」

「え? 別に何もないけど……? ただ、知らなかったな、っとは思ったかな」

 

顔を見てみると……いつもの笑顔、いつも優しい、とても美人で格好良い先輩 清水の顔だった。谷地は、とりあえず 頭に幾つも 【???】を浮かべていたが、とりあえず気温? は元に戻った様なので、普通にを心掛ける。

 

 

「それで、火神と生川のマネさんが?」

「あ、ハイ。アッチから、ぼーる がとんできたとき~、かがみくんが、ぼーる ひろってあげてて、そこで さーぶ が、つよいね~? うまいね~? ってはなしになって~~」

 

谷地は何だかカタコトな話し方になってるが、当の清水は 今回に限り気にしてない様子。

 

「……そう。火神のサーブは生川にも注目されてる、って事だね。ひょっとしたら影山も、かな。烏野(ウチ)のツートップサーバーだし」

 

ニッ、と笑みを見せる清水を見て、谷地は何度も咳払いし、兎に角 元の調子に戻す努力をし続ける。

 

その結果……。

 

 

「で、ですね! 生川は とにかくサーブに力入れてるチームだ、とも言ってましたし! 同じ凄くサーブを打つ選手の事は気になる(・・・・)、って事でしょう!」

「…………うん。そうだね」

「(ひぃ~~)」

 

表情にも全く出てないのに雰囲気だけを変える清水は凄まじく、谷地は谷地で結構初心な所があるので、原因系がいまいち解らない様子、である。

 

 

何はともあれ、生川から一番学べる所があるとするならば、やはり【サーブ】。

 

どれだけリードしていても、或いは どれだけ劣勢だろうと、どんなプレッシャーの中でも等しく強力なサーブを放つチーム。

 

 

【サーブこそが究極の攻め】

 

 

を体現しているチームだ。

梟谷は勿論、守りの音駒……とも言われている音駒相手にも何度も苦しめているサーブ軍。

 

 

 

 

 

「くっそぉぉ!! タラコめぇぇーー!! こいや! もいっぽんっっ!!」

 

 

生川の主将の唇はタラコ……みたいなので、ヒドイ渾名をつけてる様だが、森然側とて負けてない。

何せ、頭が……髪がブロッコリーみたいだから、そう言われる事だってあるとか無いとか、同じ様な髪形が2人居るので、1号2号……とかなんとか、なので。

 

 

「――森然だって負けてねぇぞ。あの生川のサーブは確かに凶悪だが……、このサーブを上げる事が出来たなら……」

 

 

リベンジに燃える森然サイド。

それを見た烏養は、谷地に解説。

 

谷地も烏養に言われるがまま、森然側の方を見てみると……驚く。

攻撃の前衛が、そして後衛までもが助走をし始めたのだから。

 

無論、森然高校とは何度か対戦しているので、完璧初めて! と言うワケではないが、落ち着いてゆっくりと、そして何よりマネージャーの仕事もあるので、解説付きで 試合観戦は出来てなかった。

 

だからこそ、改めて見ると驚く。

 

 

「わああ!! 一斉に動き出した! な、何度かこっちもやられてた攻撃!?」

「うん。……セッターが何処に上げるか、直前まで解らないよね」

 

清水も顔を顰めながら、森然の攻撃法を見ていた。

辛酸を舐めたこちら側のブロッカー陣の事を思えば、中々手放しで褒めれる気分でもないから。……勿論、選手達に発破をかけると言う意味では、辛辣な言葉を吐く事はあるが。

 

 

 

そして、生川のブロッカーもただ黙ってみているワケではない。

どこからの攻撃が来るのか、最後の瞬間まで我慢し、狙いを定める。……が、どうしても 相手の攻撃の気迫からか、自分達が必ず止めてやる、と言う気概から誘われたのかは解らないが、どうしても釣られてしまう。

 

一度でも迷えば、一度でも欺かれれば……この勝負は決される。

 

 

「残念! 後ろ(コッチ)でした!!」

 

 

前衛3枚を囮に使った、バックアタック。

ブロックは前衛につられて跳んでしまっているので、最早バックアタックには届かない。

 

そのままノーブロックでコートに叩きつけられた。

 

「うひゃぁ! そ、傍で見たらもっと混乱しそうですね! あっちこっちから打たれる感覚!?」

「うん。全員が攻撃するつもり、で入ってきてる感じだから。釣られる要因はそこにもありそうだね……」

 

清水と谷地の言う通り、と烏養は横で頷く。

そして武田もそうだ。

 

森然高校を。

 

 

【コンビネーションの匠】

 

 

と称した。

積み上げてきた練習成果が、仲間たちとの繋がりが成せる技。

 

 

そして、勿論忘れてはならないのが、現在 連戦で戦っている音駒は勿論、その相手―――。

 

全国を戦う大エースを擁するチーム 梟谷学園、だろう。

 

 

「森然、生川、梟谷、音駒と……。自分で言っておいてなんですが、本当に実りのある練習に参加させて貰えてよかったです……!」

「ほんっと、先生には幾ら感謝してもしたりねぇよ。オレもそうだが、きっとアイツらもな」

「いや! そのっ……! ぼ、僕は頭を下げる事くらいしかできないから……」

 

 

武田は照れくさそうに頬を染めて、頭を掻いた。

武田がこの縁を繋げてくれたのだ。バレーは繋ぐ競技。ならば、武田が繋いでくれたこの縁も等しくバレーボールだと称して良い。

 

そんな風に考えて…… 流石に言葉にするには少々臭すぎる、ということで、烏養は話題を変えた。

 

 

「―――ん? 日向と影山はどうしたんだ?」

「! 飛雄と翔陽なら、2人で外に行きました」

「ん~……。んで、火神(お前)は一緒にいかねーのか?」

「はい。翔陽はとりあえず、1人で話してみたい、って言ってましたので」

「……成る程な(独り立ち(・・・・)ってヤツかな? 青葉城西ん時に言ってたヤツか)」

 

いつもなら、火神や影山、日向はセットで居る事が多い。

一癖も二癖もある1年だが、群を抜いて色々やらかしてくれるのが、影山や日向だから……と考えればある意味当然なのかもしれないが、それでも何だか意外だったりもする。

 

口では何だかんだ、言いつつも火神と言う男は それすらも時には楽しんでいる様に見えるからだ。……表情は時折 歪ませてるけど、真の部分は何となく。

 

「菅原さんも一緒に行ってますし、ケンカとかはしないでしょう。………たぶん」

「たぶんかよ、断言しろよ、その辺」

「あはは……。でも、譲れないモノが合ってぶつかるのは、当たり前だ、ってオレは思ってるので」

 

笑ってはいても、真剣な顔つきな火神を見て、烏養は一度ため息。

 

 

「でもまぁ、オレは、監督としてはまだまだ情けねぇ事だが、アイツらにとっての精神的支柱はお前だって思ってる」

「!」

 

 

日向は 長年の付き合いから、苦楽を共にしてきたその支えから。

そして影山は、その才能、実力故に孤独になりがちだった自分と同格である安心が。

 

 

「それに、火神。お前だって、まだまだ年相応のモンを持ってるって事も今回の合宿で知れた。オレもまだまだだが、お前も……まだまだ、落ち着くにゃ早いんじゃねぇか?」

 

かっかっか、と笑いながら火神の肩を叩く。

 

火神自身も、一緒に付いて行くべきだ、とも思っていたが、日向の言葉を聞いて、それを尊重してあげたい、と言う気持ちも出てきている。

 

それこそ、火神がずっと否定している 息子の巣立ちを見守る父親の様な……である。

 

面白い事に、そのネタでからかっていた烏養が背中を押してくれた様だ。

 

 

一先ず、1年リーダーとして、知っておくべきだ、と言う観点から 火神は烏養と共に外へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、その外では。

 

いつもなら、影山と日向の間に火神が居るのだが、今回は先ほど言った通り、副将である菅原がその役目を担っている。

面倒見が良いのは何も火神だけではない。それぞれの話を聞きながら、双方納得できる道を菅原なりにかみ砕き、模索している様だ。

 

 

「んん、ほら、ちょっと試すくらいはいいべ?? 火神も言ってた通り、これは練習試合! 色々と試す価値はあるって。あっちだって失敗してたワケだし?」

 

 

そして、中身についても勿論聞いた。

あの変人速攻を、目を瞑っていた全力で走って、全力で跳んで、全力でフルスイングして……それで成立する常識はずれな速攻を、自在に操りたい、と言うのが日向の要求だ。

 

正直、自分で言ってもワケが解らない、とも言える事をやろうとしている。

 

でも、やってみるのは良い、と言うのが菅原の意見だ。先ほどの試合でも 練習試合だ、と言い火神が新しいことをやろうとしたのだから。

 

 

「……火神(アイツ)は、【やるだけ】って言ってました。なら、可能性は100%。やる価値は十分にあります。………自分の最高到達点を更に上げる。及川さんが金田一にやってみせた事でもありますし」

 

 

だが、影山の返事は変わらなかった。

 

 

 

「(火神に対する信頼感がパネーな!)ん~~、じゃあ、ほら! 日向だって前回、音駒とやった時、普通の速攻できた訳じゃん?? 今回だって出来るかもだぞ!?」

「あの時は普通の速攻なら 出来る可能性があったし、武器を増やす為にも、有効な攻撃手段を増やす為にも、……相手を牽制する為にも必要だと思ったからです」

「………………」

 

 

影山の言い分は全て正しい。正論だ。

ただ淡々と事実のみをぶつけるから、軈て窘めようとした菅原も、使える言葉が無くなっていく。

 

 

「………あの青城戦のラスト。誠也が抜けた後。……最後の最後」

 

 

そして、黙って聞いていた日向だったが、ここで口を開いた。

 

 

 

「―――気付いたら、負けてた」

【!】

 

 

 

影山が、菅原が、……そして、つい先ほど共に外へ向かった烏養と火神が同時にあの場面を思い返した。

一番の高さとタイミング、ドンピシャりで放った攻撃が……完全に読まれ、跳ね返されたあの場面を。

 

 

 

「……気付いたら、オレの打った(ボール)は……後ろ。……床に落ちてた。託されたモノを……繋ぐ事が出来なかった」

 

 

じん――――……と、未だにあの時、火神に拳を当てられた右肩が疼く。

 

それは影山も同じだ。

 

影山の場合は左肩。

火神から託された。そして最後の攻撃を、ボールを、司令塔(セッター)として選んだ自分が……最後に読まれてしまったのだから。日向と同じ。等しく苦い記憶として脳裏に蔓延っている。

 

 

「オレが最後に止められて、負けたのに。影山に謝られるなんて嫌だ。だから――空中での最後の一瞬まで、自分で戦いたい」

 

 

手を選んだのは確かに影山。

だが、烏野が最後にボールに触れたのは日向自身だ。責任……と言うなら、自分にこそあるべきだ、と言うのが日向の意見だった。

それが例えチーム競技だとしても。……誰かの1人のせいじゃない、と言う事が頭では判っていたとしても。

 

 

だからこそ、全てを影山1人に委ねた攻撃を良しとは出来なかった。

最後の瞬間は、1人でも戦える力が欲しかった。……いや、欲しいのだ。

そして、何よりも――――……。

 

 

 

「どんどん、先に進んでいく誠也にも、置いて行かれたくない」

 

 

 

日向の想いの原点だった。

共に長く一緒に居たからこそ、ずっと燻っていたモノだ。

そして 本当の意味で、今日 それが芽生えたと言って良い。

 

 

影山はそれを聞いて、軽く息を吸い込む。

 

正直、影山は 火神・日向については いつもいつも辛辣なことを日向に言っているが、その気持ちは解らないワケではない。

それに、日向の技術は兎も角として、日頃の練習量は知っているし、追いつこうと藻掻きに藻掻いて手に入れたであろう、その身体能力にも敬意を表していたりもする。

 

 

だが、現実と言うモノは時には非情なのだ。

 

 

 

「―――青城戦で、スパイカーの100%の力を引き出すのがセッターだって、ちょっと解った」

 

 

そう、100%の力を引き出した日向の姿こそが、あの速攻だ。

 

 

「……あの速攻は、今のお前の最大の武器だ。現時点では誰も持ってないお前自身のな」

 

 

日向の体躯からは想像もつかない程のバネ、跳躍力から繰り出される超高速の速攻。

 

火神ならひょっとしたら……、と思ったりもしたりするが、空中での駆け引き・引き出しの多さを考えれば、そちらの方を磨く方が良い、と判断していて 今は提案したりはしてない。

 

だから今は(・・)日向だけの最大の武器なのだ。

 

 

それと同時に……もう1つ重要な点がある。

 

 

「……あの速攻にとって、【ほんの少しのズレ】は【致命的なズレ】になる。芯を捉えられないスパイクに威力はねぇ。……そもそも、ボールに触れるのだって危うくなる。そうなったら即失点だ」

「っ………!」

 

 

失点を言うのなら、火神の打点を挙げるスパイクも……と日向は口にしかけたが、影山が可能性の話をしていた事と、何より火神なら必ずやる、と日向自身も当然の様に思っているから、そこを曲げる様な事はしないだろう、と口を噤んだ。

 

 

影山はそれを見届けると、最後の言葉を日向に沿える。

非情、残酷とも言える現実を突きつける。

 

 

 

「あの速攻にお前の意思は必要ない(・・・・・・・・・・)

 

 

 

 

そう告げると……、影山は日向から背を向けて体育館の中へと戻っていった。

 

暴言に聞こえたりもするだろう。それこそ横暴な王様だ、と思うモノだっているだろう。

でも、横で聞いていた菅原は違った。

 

 

「(……影山は普段の喧嘩みたいに、感情的に否定してるんじゃない……。紛れもなく客観的な事実を言ってる。……現時点の日向じゃ、あの速攻に合わせられるだけの技術は無い。全部影山が担ってた。……日向の意思と技術的問題が入ってくると言う事は………いわば、不純物を混ぜちゃうようなモノ。完成していたモノに不純物を………。厳しい様だけど、それが現実)」

 

 

肩を持ちたい気持ちはある。

 

日向の姿をいつも見てきた。

それに幾度となくチームを助けてくれた事もある。

 

―――日向は、間違いなく 再び、春高を目指す切っ掛けとなってくれた人物の1人でもあるのだから。

 

そんな日向が上を目指したい……と言うなら、幾らでも手を貸そうと思う……が、あまりにもレベルが高すぎる話だ。

影山をして、可能性が無いと言わしめる程に。

 

日向がやろうとしている事。それが出来ると影山も思っていたとしたら、火神の時の様に試す筈だ。影山程の男が、一度も試さず最初から切って捨てたとなれば……

 

 

【天才すらも匙を投げる】

 

 

と言う事他ならない。

 

 

 

 

「――ごめん日向」

「!」

 

 

いつも味方してくれて、沢山世話になっている人の内の1人である菅原から拒否の言葉を聞いて、少なからず動揺を受けるのは日向だ。

 

 

「オレもさ。……今、影山の意見聞いてたら、今回は影山の言う事が正しいと思ったよ。それに、あの速攻は十分凄い。アレを囮にした日向なら、どんな相手も翻弄出来ると思う。……それこそが、最強の囮だ、って思える程にな。だから、主力をあの速攻にして、他の攻撃手段を磨いていくのが現状、ベストだと思う」

「―――………っ」

 

 

言い返す言葉も見つからない。

そして、時間も―――あまりない。

 

笛の音が聞こえてきたから。

 

 

「! 生川対森然が終わったみたいだ。次のセットも始まる」

 

 

実りある練習試合を、こんな形で中断させるワケにもいかないから。

 

 

そんな時だ。

 

 

「あ―――……オレも菅原派だな」

「!」

「烏養さん」

 

 

ひょこっ、と顔を出したのは烏養。

先ほどの話を聴いていて、総合した上での事。コーチとしての意見だ。

 

 

「【自分で戦いたい】って言っても、あの速攻…… 変人速攻はほんの一瞬勝負。そもそも、アレを成功させてる時点で、既にヤベーって事、解ってっか? 欲張り過ぎりゃ、他が疎かになっちまうって事だってある。……そもそも、そのヤベー、スゲー攻撃法を更に進化させる。一瞬の空中時間の中で、自分の意思でどうにかしようってのは正直難しい話だ。先々、将来の話、ってんならやってみる価値はあるが、もう春高まであんま時間が無ぇしな」

 

烏養の話も分かる。

今は力をつけて、もっともっと上手くなって……もっと先の試合で、と言うのも解る。

 

だが、日向はそれでも首を縦には振らない。

 

 

 

「……でも、調子が良い時は、オレ……スローモーションみたいに見えるんです。……田中さんが言ってたみたいに……」

「田中? スローモーション? ……ああ、ブロックがいつもより見えるってヤツか?」

 

 

日向は首を横に振る。

 

 

「……いいえ。違います。青城と練習試合やった時の、最後の1点。……大お、及川さんの顔が見えました。目が、はっきり見えました。……オレと、目が合いました」

「(顔? 目? 一瞬で?)ああ……、つまり、【そんな気がした】って事だろ?」

 

 

もう一度、横に首を振る。

どんどん、その勢いが強くなっている様に見えた。

 

 

「3対3の時です。あの速攻を初めて決めた時。……ずっと、見えてなかった【向こう側】が見えました。頂からの景色が見えました。月島のブロックの手。右から迫ってきてました。山口は、動けてなかったのに、誠也は、いきなりあの速攻を獲ろうとして、焦りました」

「………だから、それは【そんな気がした】って事なんじゃ――――」

 

 

烏養は段々日向に言い聞かせる様な口調になっていたが、その日向の表情を見て段々否定できなくなってきた。

ウソを言ってる様には一切見えなかったから。

 

 

「翔陽は、意味の無いウソをつくようなヤツじゃないですよ。それに、ウソなら…… ここまで食い下がったりもしません。跳躍した時の一瞬、刹那。……見えてたんだと、オレも思います」

 

 

そこにやって来たのは、火神。

火神の姿を見て、日向は はっ! と目を見開いた。

 

 

「独り立ち、っつってもさ、翔陽。オレは1年リーダーを任された身だぞ? ある程度は聞かせてくれても良いだろ?」

「……誠也」

「背水の陣みたく挑む気概は良いけど。昔みたいにお節介はさせてくれ。………絶対、マイナスにはならない。今を考えたら 解るだろ。あの時(・・・)とは違うよ。今の翔陽は、気持ちと身体は合致してる。間違いなく、な」

 

 

いつもの日向なら、まず【背水の陣?】で首を捻る事だろう。

でも、今は違った。

火神の言う【あの時】の事を、……中学の頃のことを、思い出していたから。

 

 

 

 

 

 

 

中学生の頃。

 

男子部員は…… いや、バレー愛好会だから、会員は自身と火神を入れて2人しかいない。

当然、練習場所なんて存在しない。女子バレー部に紛れさせて貰ったり、廊下や校庭、運動場何かで只管パス練習をしていた。

 

 

最初は、仲間が1人でも居る事が嬉しかったし 1人で只管壁打ちをやるくらいなら、断然良かった……と言えるのだが、数を重ねていくにつれて正直、面白い……と思い続けるのが難しかった。

 

 

 

【スパイク打ちたい、スパイク打ちたい、スパイク打ちたい】

 

 

 

日向はずっとそう思っていたから。

 

それに、火神の実力の高さは、中学校の女子バレー部に混ざらせてもらった時に知った。

少しの間だけ、と言う約束だったのが、いつの間にか混ざって教える様に。スパイク練習でブロックを飛んでもらう様に。

 

憧れたし、嫉妬もした。教えを何度も乞うた。

 

 

【口で言っても、やって見せても、やっぱり コートで、ネット挟んでやらないと気持ちも身体も合致しなくなっちゃうだろ? それに最近の翔陽、体育館殆ど使えてないから、な~んかパス練に身が入ってないっぽいし】

 

 

精神と身体は一緒だ。

どちらかが大丈夫なら――――なんてワケにはいかない。

 

どっちも揃ってこそ、初めて実を結ぶ練習が出来ると言うモノだから。

じゃないと、ただのボール遊びになってしまう。それだけで満足する様になってしまえば、上達は限りなく難しいだろう。

 

 

だから、火神はいつも言っていたんだ。

例え恥ずかしくたって、コート使わせてもらってる状況を大切に、と。女子の中で混ざっても良いじゃないか、と。出来ない事をさせて貰えるんだから……と。

 

 

少なくとも、日向自身があの跳躍でスパイクを打てる様になったのは 間違いなく気持ちと身体が合致した練習が出来たからだ。レシーブやサーブはからっきしだったが、その1点だけは間違いなく伸びたんだ。

 

 

 

 

 

 

そして、場面は元に戻る。

烏養はまだまだ懐疑的ではあった。

あの跳躍(ジャンプ)の最高点に居る時間など、文字通り一瞬しかない。

 

なのに、日向はブロックはおろか、レシーブを、相手の目まで見えた、と言っているのだ。

 

 

「コーチ。オレも(・・・)はっきり見える事が有ります。相手のブロックの手の先を狙ったり、ストレートを打ち抜く時……アンテナとブロックの僅かな隙間を狙ったり。………音駒の様に完成していく守備と相対している時なんか、特に」

「ッ!」

 

 

そして、もう1人……見える、と主張する男が居た。

当然ながら、火神だ。

 

 

火神にそう言われたら、疑う方が馬鹿だ。

幾度も相手ブロックを手玉に取った事があり、背中に目でもついているのか? と思える程のセットを組んだり。……中でもパワーが劣る分、相手のブロックを利用するブロックアウトの技術は間違いなくチームNo.1。見えている、と言われても何ら驚かない。

 

 

「………お前も、日向が見えてる(・・・・)、と思ってるんだな?」

「翔陽が嘘つく時の癖、大体知ってますんで」

「………そりゃ、説得力があるな、おい」

 

 

烏養が苦笑いをしたその時。

次の試合が始まる旨を聞かされた。

 

 

 

日向を連れ、菅原と火神は体育館内へと戻っていく。

 

 

 

――神業。

 

 

 

一言でいうなら、あの変人速攻は、あの影山のセットアップは それだ。

寸分の狂いも無い。針の穴を通す様な精度。それを当たり前の様に維持し続ける所を見ても……突き抜けている(・・・・・・・)天才だ。

 

 

「(アレを、空中で…… 見えているアイツが捌く様になったら? もしも―――できたら? それはアイツらだけの強化だけに留まらない)」

 

 

烏養は烏野のチームを、攻撃陣を思い浮かべる。

 

贔屓目無しに、烏野と言うチームは攻撃力県内トップクラス。守備も同じくらいだと思っているが、どちらかを選ぶとするなら、紛れもなく攻撃。

 

注意すべきなのは、あの速攻だけじゃない。

 

自在に操れる変人速攻を軸に、攻撃を組み立てていく事が出来たのなら……? その攻撃力は半端なく伸びる。

攻撃力は、個々の足し算じゃなく掛け算となるだろう。

 

 

 

「………小さな巨人(アイツ)もそこまでは出来ねぇ。どっちかと言えば、オールラウンダー…… 火神よりだ」

 

 

 

もしも―――出来たとするなら。

 

 

 

 

 

 

「―――空中戦の覇者になる、って言っても大袈裟じゃ無ぇ」

 

 

 

 


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