LA STORIA D'AMORE È NATA CON TE ~あなたと紡ぐ“恋”物語~   作:璃空埜

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どうも!璃空埜です!

さて…………今日の作品は前お話したとじみこではなく……新作小説となります。
元ネタはバーチャルYouTuberグループ、ホロライブ様とにじさんじ様(ホロライブメイン)です。

ただ今回この作品を作成したのには確固たる理由があります。



ーーーーーーそれは何か?



ーーーーーー僕、恋愛オンリー物、描いたことなかったからです!!




前々に咲作品を恋愛路線に変更する。とお話ししました。…………が、描いたはいいもののこれじゃない感が凄くかなり連続してやり直しています。
そこでふと思ったのは基本的に僕の作品は恋愛要素ありのバトル物(咲も元々は麻雀バトル物の予定)だけ。
……それなら恋愛オンリー物を一度作ってみよう。と考えた次第になります。

とまぁ、長い前置きはここまでとして……第1話、どうぞ!

※長めなので注意してください。


START OF YOUR STORY'S act-1

  「あなたもゲーマーズの一員になりませんか?」

 

 

まだ桜が舞う屋上で、俺を呼び出した彼女は日の光に照らされ宝石のように輝く白い髪をなびかせつつ日溜まりの中でも色褪せないまぶしい笑顔と共にこちらへと手を差し伸べてくる。

 

 

 

ーーーーーーまずはなぜ『ゲーマーズ』に誘われたのか。

 

 

 

ーーーーーーそれを話すには一週間前……

 

 

 

ーーーーーー俺がこの学園に編入した日まで遡る・・・

 

 

 

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

桜の花びらが風にのって空高く舞い上がっていく様を何となしに見送りつつ、これから通うことになる『私立 弥吾呉学園』の校門に寄りかかり待ち人を待ち続ける。

…………な~んて、別に彼氏彼女の会瀬ではなく今日からお世話になるクラスの担任を待っているだけなんだが。

 

「にしたって、遅いだろ…………」

 

かれこれ既にここに来てから一時間。昨日連絡した時に提示された待ち合わせの時間はとうの昔に過ぎ去り、辺りには俺と同じデザインの制服に身を包んだ生徒達が俺のことを遠巻きに不思議そうな、または、珍しそうな視線を向けながら通り過ぎていく。

 

「…………はぁ~~~~~~~~…………。身分証は貰ってるし入ってもいいだろうがここの学園の広さからして迷子は確実、最悪初日から遅刻か?」

 

電話口じゃ結構しっかりしてそうだったっつうのに…………先行き不安だぞ…………?

 

「…………あのぅ……」

「?」

 

軽く頭を抱え込み、溜め息をついていると不思議な形の髪飾りと背中から生えている白い翼が特徴的な、左腕に“生徒会”とかかれた腕章をつけた白銀に少し青色の混ざった髪の少女から声をかけられる。

 

「……学園になにかご用ですか…………?」

「え……っと、一応今日から登校予定の編入生で、先生待ちなんですが…………」

「…………転校生……?ちょっと待っててください……」

 

生徒会所属なら話してもいいかと判断し、転校生であることを明かすと少女はスカートのポケットからスマホを取り出してどこかに連絡し始める。そして、二言、三言会話した後にスマホを同じ場所にしまいこちらへ向き直ると、

 

「今確認をとりました。担当の先生が立て込んでいるため私がご案内します」

「わかりました」

 

話してみるもんだな、これでチラチラとこちらを見る視線達から解放される…………。

そうして、俺は足元の荷物を手に取ってから、先に歩き始めた少女の隣に並ぶ。

 

「いやはや……助かりました。ありがとうございます」

「……いえ、生徒会として当たり前のことをしたまでです。それと貴方の方が先輩なので敬語はよしてください」

「あ~…………そう言うことならそうさせてもらう。えっと……」

「……私は天音(あまね)かなた。ここの中等部の生徒会書記を務めています」

「天音……ね、俺は今日からここの高等部二年、鴻山(こうやま) 龍神(りょうが)。こうなったのも何かの縁だ、よろしく頼むぜ」

「……よろしく…………です」

 

……会話の間も一切こっちを見ないな。話し方からしてクールな子なんだろうが…………初手から嫌われたか?……流石にそんなことは…………

 

「後……あまり話しかけないでいただけるとありがたいです」

 

………………ねぇよな?

 

  **************

 

そこから特に会話らしい会話もなく、静かに、しずか~~~~~~~~~~に広い学園内を天音と並んで歩く。

…………初日からこれはキツいってぇの……。

 

「…………ったく、どうしたもんかね……」

 

そうして俺が先とは別の意味で頭を抱えていると、かなり広いグラウンドに差し掛かったところで初めて天音がこちらを振り返り、

 

「……あそこが高等部校舎となります」

「あ、ああ。ありが……」

 

グラウンドの先にある建物を指差し、俺がお礼を話そうとしたと……その時。カキンッ!という綺麗な音がしたかと思うと……

 

 

「おーら……あっ!!あぶねぇっ!!」

 

 

ーーーーーー硬球が一直線にこちらへと向かってきていた!!

 

 

ーーーーーーそして、天音はそれに気づいていない!!

 

 

「天音っ!」

「へ?わきゃ!?」

 

咄嗟に左手で目の前の華奢なその肩を掴んでこちらへと引き寄せるのと同時に硬球の落下コースを予測して右手をかざす。すると、バチン!!という豪快な音と共にかざした右手にものすごい衝撃が…………

 

「~~~~~っ!!!!!!」

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ…………これはヤバいぃぃぃぃぃぃ…………!!

思わず天音の肩においていた手を離して踞る…………。

 

「あっああああああああ……」

「だ、大丈夫か~!?」

「~~~~~~だっ、大丈夫…………!!だかられんしゅ~~……っに!戻ってくれ……!」

「そ、そうか……」

 

心配そうにこちらへ来てくれた野球部とおぼしき生徒にボールを投げ返してから、ある程度痛みが引いた右手を庇いつつ身を起こし天音の方へ向くと……

 

「…………天音?」

「へへへへへい!!!!」

 

へい!って女の子が使うような言葉使いじゃねぇぞ……?まぁそれよりも…………

 

「顔が真っ赤だが……大丈「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」って今度は何事だよっ!?」

 

トントン拍子になにか起こりすぎだろ!?

俺が天音に声を掛けようとした瞬間に俺達が歩いて通ってきた曲がり角からママチャリでサイクリングレースレベルのドリフトをしつつ、長い髪を振り乱し、スーツを乱雑に纏った女性が姿を現した。

 

「!!!発見!!」

「……?」

 

そうして俺に標的を定めたらしいその人は問答無用でこちらに凄い速度でママチャリと共に向かってきて……

 

「………………へ?」

 

俺達のすぐそばを通り様、何故か俺の襟首をガッシ!と音が出るくらい力強く掴み…………

 

「捕まえたっ!!!!」

「……………………は?」

 

そのまま俺を超速で引き摺り始めぇぇぇええええええぇぇええぇぇぇぇぇっ!!!!

 

「おっわぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!まてまてまてまてまてぇぇぇえええええええ!!!!!」

「うるさいうるさいうるさぁぁぁぁいっ!!!!こっちは急いでるんだから早く行くわよっ!!!!」

「行かなきゃならんのはわかるが逝きたくはねぇわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

くっそ!!とっ……とにかく今は!!

 

「天音ぇぇぇぇぇぇぇ!またなぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!!!!」

 

天音に別れの挨拶をしている間にも超特急自転車女は曲がり角を勢いを殺すことなく鋭く曲がっていく。そうすると捕まれている俺もぐん!と急制動がかかり……

 

「りぃぃおおぅ!?!?」

 

曲がり角に設置されている柵が運悪く鳩尾に突き刺さりおかしな声が飛び出してしまう。

こっこれ…………おれ、死ぬんじゃ………………!!??

 

「行くわよぉぉおぉぉおおおぉぉぉおぉおぉぉおおおおおお!!!!!」

「逝くなぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

つか、遠巻きに見ている奴ら!!!誰でもいいからこいつをを止めてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

 

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「………………」

「あ゙あ゙……どごに゙…………って!見つけた!!おい!かなた!!」

「………………」

「…………かなた?」

「………………」

「お~い、かなた~ん?」

「…………ゃったかも…………」

「?」

「私………………私………………」

「うん」

「………………おちちゃったかも……」

「うん………………うん?堕ち……た?」

「……………………うん…………」

「………………ああああぁぁぁぁぁあぁぁあ!!!!戻ってこい戻ってこい!!お前まで変な方向行ったら俺が保たんんんんんんん!!!!」

「……………………………………私、おとされちゃった…………」

「だめだやめてくれたのむからもどってきてくださいぱわぽつくるなりなんなりなんでもしますからたのみますいっしょうのおねがいですからだれだうちのさいごのまともなやつはかいしたやつこのくそったれやろぉおぉぉぉおおおぉぁぉあぁぁあぁああ!!!!!」

 

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「はぁ~~~……間に合ってよかった~~」

「間に合ってよかった~~じゃねぇよ………………っつつ……」

 

しこたま打ち付けた頬を擦りつつ、先程の爆走ママチャリライダー…………もとい、今日から俺の担任になるという郡道美玲さん……昨日電話口で話した人の少し後ろについて教室を目指す。

………………しっかりしてそうな先生像はすでに儚く夢と化して散った…………否、そんな人なんてそもそもいなかったんだ、そう思うとする。

 

「でも、ホントにごめんなさい。途中で編入してくる子なんて始めてで張り切って飲んでたら飲みすぎてしまったみたい」

「…………」

 

……………………。

 

「さ、さぁ!ついたわよ」

 

ごまかしたな、この人。

 

「さて……それじゃ、私が入って少ししたら呼ぶからそうしたら入ってきてちょうだい」

「…………はぁい」

 

俺の返事にムスッとした郡道先生だったが、流石に今までのおこないからしてそうなるのも必然と感じたのか少し肩を落としつつ、教室へと入ろうとするのを見……

 

「…………せめて」

「……?」

「あなたは綺麗な人なんだから笑って入ってくれないと……俺をの立つ瀬がないっすよ」

「!?せ、先生をからかうなぁ!!」

「ははっ!そうそうそんな感じに元気にいかないと」

「~~~っ!先生をからかう人なんて知らない!!」

「あ、それともう一つ」

「何!!」 

「俺の登場するまでにどのくらいかかりますか?」

「少し長い話があるから15分後くらいっ!!」

 

俺の言葉に一瞬で顔を真っ赤にした郡道先生がそのまま今度こそ教室へと入っていく。

 

『はい!皆さっさと席につく!!』

『あれ?先生、なんで朝から顔、真っ赤っ赤何ですか~』

『…………昨日、酒でも飲みすぎたんですか?』

『うるさい!!』

『先生ぇ!!今日来るとか言う転入生ってもう来てるのか??』

『紹介の前に色々話さなきゃいけないの!!だから早く席につく!!』

 

すると、直ぐ様賑やかな声達が教室から聞こえてきた。

そりゃそうだ、ああいう面白い先生ってのは生徒から人気があるような先生だからな。そんな先生が暗い顔してたらいけないっての。…………さて。

 

「大体15分後…………周るか」

 

俺は鞄の中から最新型小型ゲーム機《ホイッチ》を取り出してその一番手前にあるレトロSDガンダムゲームを起動させて、昨日進めたところの続きからやり始める。

このゲームこちらの操作バランス性が悪い上にマップではありきたりなレベルのCPUだが、戦闘フェイズとなればさながらアムロやシャアのような最強格ニュータイプのようにこちらの攻撃を躱し、的確にこちらへと攻撃を当ててくるから油断ならない。しかもその一撃がこちらのHPをごっそり持ってくもんだから嫌になる。

 

「…………ま、当たるだけましか」

 

そうぼやきつつ敵の一小隊をギリギリで撃滅する。

いや~……あのゲームは本当にきつかった…………まさか、一面攻略するのに丸々3日費やすとは思わんかった。

 

「あ、やべ」

 

そう思い直していた直後、うっかりターン進行してしまい敵要塞から出撃してきた砲台に接続した敵小隊の掃射で不運にも派遣していたこちらの6小隊と戦艦2隻が溶ける…………おかしいなぁ、ちらっと見えた当たる確率50%ぐらいだったのに何で皆当たるのさ。

 

「…………ん~」

 

そうすっと……どうすっかね。さっきの方に送っていたのが最安量産機、最安戦艦とはいえ合計36機と2隻分の資金を投入するのは避けたい。かといって別面の方から回す艦隊の余裕はナッシングで…………あ、いや確かあの砲台の攻撃に対して耐性のある大型モビルスーツがあったはず。資金的には少し痛手だが、また36機作るよかはましか…………。

 

 

 ▽▼▽▼▽▼▽3分経過▼▽▼▽▼▽▼

 

おおっとぉ……?ここでサイコミュ兵器持ち持ってくるか。仕方ないがそうなったらこっちもエース部隊をぶつけないとキツいな。ってまてまて、別面でも巨大モビルアーマー乱立?ふざけんなって言いてぇわ……そっちは壁小隊向かわせて粘ってもらうか。

 

 

 ▽▼▽▼▽▼▽6分経過▼▽▼▽▼▽▼

 

…………よしよし、さっきの大盤振る舞いで相手の資金は雀の涙程度。ここで一気に切り込みを入れていきたいが…………そう上手くはいかないか。壁を作られたらそう簡単に崩せれないや……って!あっあっ、本拠地に隠密部隊が!しかもあまりいいモビルスーツ配置してないし!!くっそ、とにかく今は粘るのが先決か……」

 

 

 ▽▼▽▼▽▼▽9分経過▼▽▼▽▼▽▼

 

「っし!これである程度の期間は攻めてこねぇだろ。…………だがこっちも大方のモビルスーツの修復にちょい時間をくっちまうから……こりゃふり出しにもどっちまったか?いや、こっちも何ターンか準備に回すか…………。さっきの劇戦中に別動隊動かして補給ポイントを占拠しておいたから資金に余裕も…………おお!?コイツら作れるようになってる!!よっしゃ勝ったかってコイツ、資金どんだけ食うんだよ!?そりゃ性能やらからすりゃ高くはなるだろうが、それでも生産100万、改造50万、補給修理25万はおかしいだろ!?くっそ……これじゃ作ったとしてもすぐに投入ってわけにはいかねぇな…………ただ、なるべく2、3機は作りてぇとこだが…」

「え?この機体、生産しないの?」

「生産したとしても維持するのにかなり負担がかかるし現状の資金のプラマイじゃよくて10ターンちょいは保つだろうがそれまでに相手を崩せる保証がない。とすればまずは相手の出方を伺いつつってところだ」

「なるほどなるほど。それじゃこの子を盾として運用するのは?」

「それもいいかも知れねぇがまだ早い」

「どうして?」

「コイツの真価を発揮するのはもうちょい先だ」

 

 ▽▼▽▼▽▼▽12分経過▼▽▼▽▼▽▼

 

「わ!!すご~い!!相手の機体が溶けた~!!」

「な?さっきのお前みたいに装甲値高いし、Iフィールド持ちってことでこいつを盾役だと思いがちな奴は多いけども、こいつの真価はこういう大規模戦闘での圧倒的殲滅力だからな。さぁ~どんどん溶かせ~…………はい終了っと」

「ほぁ~あれだけあった敵艦隊がもう全滅しちゃった」

「よし、それじゃ後はここの補給ポイントを占拠して防衛組を配置してから撤退だ」

「え?ここで攻めたら勝てるんじゃないの?」

「いや、それは早計だ。さっき自軍本拠地マップ見てたからわかると思うが補給拠点が六つあったろ?」

「あ、それが敵にもあるのか……それじゃさっきのちょっと削られた状態じゃ」

「ああ。このゲームは機体の生産に1ターンは確実に必要となる。だが、補給拠点一つにつき4機、本拠地マップだけでも最高24機、そこに残存兵力と別マップからの増援を加えられたらこっちがじり貧で負けちまうからな。…………ん?」

「うん?」

 

ここで初めて俺はゲーム画面から顔をあげる。すると、目の前には透き通った白銀の髪を腰までさらりと流し、その髪の合間と腰辺りから髪の色と同じケモ耳と尻尾(ただ、尻尾の先は黒くなりなにやら星の模様が描かれている)を生やした同い年ぐらいの女子生徒がおり、興味津々というのを物語る輝きを放つ瞳をこちらへと向けていた。

 

「うっお……!」

「にゃ?」

「…………猫?」

「狐じゃい!!」

「いや、『にゃ』って…………猫やんけ」

「ち~が~う~!!私は!!狐じゃい!!」

 

驚きの余り、目の前の彼女のポツリと溢した言葉に反射的に返しちまったが…………反応的に毎度弄られてるネタみたいだな。ついでに背伸びをしつつ大袈裟に腕を振り上げて言い返す姿に何か落ち着けた。

 

「というか、君……誰?」

「今頃かい。俺の事はすぐにわかるだろうが、お前はここでゆっくりしていていいのか?」

「え?」

「俺はここにいる理由があるが……お前は遅刻だろ?」

 

腕時計を見てみると丁度時間は8時29分を指している。あの特急便の後、郡道先生から受けた説明じゃここの朝のSHRは大体8時15分頃開始……今日は俺の手続きとかがあったことから2分遅れで始まったんだが…………まぁ、どっちにしろこの子は遅刻確定だぁな……それに

 

「……ま、骨は拾っといてやるよ」

「へ「しぃ~~らぁ~~~かぁ~~~~みぃ~~~~~?」…………こやぁん……」

 

おお、狐の鳴き声………………か?まぁだけどなんだろな、さっきの猫の鳴き声の方がしっくり来てしまう感じがあるや。

 

「ぐっぐぐぐぐ郡道先生……おはようございます~……」

「おそよう、白上。重役出勤とはいぃ~ご身分ね~~?」

「えっええと……」

 

白上とやら?そんな助けを求めるような瞳で見られても俺にはどうしようもねぇぞ?つか、先生?あんたも人の事あまり言えねぇぞ?

 

「はぁ……先生」

「あっ……!」

「こいつの処罰は後で時間があるときにたっぷりこってりグツグツグツグツと煮るなりカリッカリッに焼くなりするべきでは?」

「にゃ…………」

「そうねぇ~~。流石、いいこと言うじゃない」

 

…………やっぱり猫だな、この子。

俺の言葉に一度は顔を煌めかせた白上とやらだったがすぐさまその顔は絶望に変わり、対照的に郡道先生は満面の笑みと変わる。

 

「それじゃ、早速お願いするわ。白上も一旦教室に入って……また後でたぁ~~~~~~~~~っぷりと、O・H・A・N・A・S・I、しましょうね?」

「…………ひゃい……」

「ま、ドンマイ」

 

せめてもの慰めでそう声を掛けてがっくりとしたその子が教室へと入るのを見送った後、郡道先生の後に続いて俺も教室内へと足を踏み入れる。

 

『お……きたきた』

『やった!イケメンきた!』『これで勝つる!!』

『お、デュエット出来たら面白そう♪』

『んっ?アイツ……まさか?』

『どんな人だろう?』

『面白そうな人なら余も嬉しいのだが』

『よぉ、遅刻狐……いや猫』『くぅぅ……なにも言い返せにゃい…………』『あはは……』

『へぇ……』

「はいはい!一旦静かに静かに!!」

 

先生が手を叩きガヤガヤしていた教室の生徒達を静まらせる。

 

「それじゃ、早速編入生君よろしく!」

「っと……」

 

早速投げられたことにより、教室中の視線が俺に集まり……

 

 

ーーーーーーーーーー否応なくあの時を連想してしまう。

 

 

「…………」

 

一度小さく深呼吸をして、直ぐに切り替えまずは背後のホワイトボードにさらさらと俺の名前を綴り、忘れずに括弧がきで読み仮名も降っておく。

 

「鴻やm「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」おぅわ、びっくりしたぁ」

 

何だ何だ?やけに元気よく茶髪を後ろで一つにまとめた少しチャラそうな奴が俺のことを指差しながら叫びやがったんだが………………知り合いにあんな奴いたか?

 

「どっかで見たと思ったら……お前シンか!!」

 

……ん?シン…………?まさか…………

 

「………………金剛?」

「そうそう!懐かしいな~久しぶりだなぁ~!!小学校以来だっけ?」

「だな~。ただ一旦静かにしてろ、積もる話もあるがお前以外の人には自己紹介せなならんだろが」

「っとそうだったそうだった」

 

昔と同じように照れると左手で頭を掻く癖が変わらない俺の自己紹介計画を初っぱなからぶち壊してくれたこの男子生徒は俺の昔馴染み、(おおとり) 金剛(こんごう)。小学生時代じゃ『外の金剛、室内の龍』だとか言う謎のタッグ名をつけられるほどによく一緒に帰るなり遊ぶなりしていた奴だ。因みにこのタッグ名、外の遊びなら金剛に敵うものはなく、中の遊びなら俺、龍神に敵うものがいなかったからつけられたそうな。

 

「コホン、うるさい奴が入りましたけども改めて………………今日から皆さんと共にここで過ごすこととなりました、鴻山 龍神です。以後お見知りおきを」

「先に言っとくとコイツ、かなりのゲーム好きだから!腕は…………どうなんだ??」

「そこは俺に聞かれても基準がわからねぇよ…………」

「ハイハイハイハイ!!」

「あー……てか何か流れで質問時間に入ってるみたいですけど……」

 

ちらりと先生の方を見ると何やら目を光らせつつサムズアップしてくる…………ってことは続けていいのか。……いいのか?

 

「えっと……それじゃそこの赤毛の人」

「あなたと!!鳳は!!!どのような!!!!ご関係ですか!!!!」

「?普通の昔馴染みだけど……?」

「あ~…………シン、そいつは放っとけ」

「?」

「そうですか~昔馴染み……昔馴染みかぁ!!(ふふふ……私はあんまりだけど、これはあの人達にとって最高のネタ………私達の部の運営資金会得のため…ふふふ、フフフフフフ、ウッフフフフフフフフ……)」

 

…………どうやら余り……いんや、絶対関わってはいけない人のようだ。

 

「初手でそんな質問しないでよね……。ともかく次、私でもいいかな?」

「ああ、気兼ねなくどんどん来てくれ」

「わかった。それじゃ…………アイドル活動に興味ない?」

「あん…………まりねぇかな。そもそもそこまでカラオケに行くほうじゃねぇし」

「でも、時々は行くのよね?」

「まぁ……な。あまり上手くはないとは思うが」

「それなら、よかったら今度一緒にいきましょう」

「いいぜ、後で予定が空いている日教えるから日程はそっちに合わせてくれ」

「次は私ね!なにか変身したいものある?」

「何するつもりだ…………」

「え?いや、ちょ~~~~っと実験に」「誰が行くか、そんなもん」

「あぅ……」

「それじゃ次は……ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

ーーーーー質問地獄は結局一時限目の半ばまで続きーーーーー

 

 

 

 

 

「ハイ!質問はここまで!」

 

先生の一声に少しだけ『え~』と言う不満そうな声が上がったが……

 

「まぁまぁ。また後で聞こうよ」

 

黒髪の(多分)狼の耳と尻尾を生やした女子生徒が宥めたことにより、その場は収まった。

 

「助かったわ、大神。それで…………」

「席なら空いてるとこに座るのでお気にならさず。まず先生は授業の準備をして下さい」

「そう?それならお言葉に甘えるわね」

 

そうして先生が授業道具を取りに行くのを見送った後、俺は教壇から降り、空いている席に向かって一直線に歩いていき……先程から行儀悪く椅子に腰掛けながら腕を組みつつ目を閉じている、先の白上と同じ顔立ちをしているが色は真逆の漆黒の髪、耳、尻尾を生やした女子生徒の席の隣に座る。

 

「…………よろしく」

「…………」

 

その女子はこちらを一瞥こそしたがすぐに窓の外へ目を向ける。

まぁ、こうなることを予測していたからな。さっきまでの地獄でこっちの精神力はへとへとだから下手にうるさくなさそうな人の隣に来たんだが…………正解だったな……それに。

 

「ここは窓際、寝放題だ…………」

 

直ぐ様机に突っ伏して、寝る体制をとり……その意識をそのまま闇のなかに落としていく。

 

「…………おい」

 

しかし、意識が完全に落ちきる間際につい先程聞いた声と同じ声音だが、そこに携えられた温度が真逆の声が隣から掛けられる。最初は別の奴に声をかけたのかとも思ったが…………

 

「…………おい」

 

同じ声で再び声をかけられ、俺に向かって話しかけられてることに気付き少しだけ顔をあげてその方向へと目を向けると、先程と同じ姿勢ながらこちらがわの目をうっすらと開き、そこから紅い瞳をこちらへと向けていた。

 

「…………編入初日の授業から寝るつもりなのか」

「…………気にかけてくれるのか?」

「…………違う。お前が目をつけられると私が寝れなくなる」

「………………なるほろ」

 

…………ふむ。

 

「………………おい」

「………………何?」

「………………何また寝ようとしてやがる」

「………………昼寝すんのは俺の自由だろ?」

「………………だから、お前が初日から……」

「………………それか、どちらも指名されなきゃいい」

「………………」

「………………」

 

するとここで俺の意図を察してくれたのか、ニヤァ……と悪い笑顔を浮かべ始める彼女。そして……俺もきっと似たような笑みを浮かべているだろう。

 

「………………場所は隣の中等部校舎屋上、今日みてぇに天気がいいと気持ちがいいぜ」

「………………いいね……どう行く?」

「………………ついてこれるのならついてこい」

「………………上等」

 

その言葉を皮切りに俺たちは己の鞄を掴みながら勢いよく同時に立ち上がり、そのまま並んで手頃な位置の窓を開いてそのレール部分へと足をかけると、丁度そのタイミングで先生が帰ってくる。

 

「お待たせ~、それじゃさっそk……は?」

「…………っつうわけで」「それじゃぁ先生」

「「あでゅ~」」

「…………はい?」

 

そして、俺たちに先生が呆気にとられている隙にーーーーーーーーーー

 

 

ーーーーーーーーーー三階にある教室の窓から飛び出した!

 

 

 

「なっ!?」

 

先生の驚愕の声とクラスメイト達の歓声をBGMにして俺は飛び出す瞬間に窓枠に引っ掻けた鈎縄をつたって降りて直ぐ様鈎縄を回収し、隣の席の女子は空中で何回転かした後に芝生の上に上手く受け身を取りながらそれぞれ着地をし、二人して先生の負け惜しみ気味の叫びを背中に受けて、一度顔を見合わせ先程と同じような笑みを浮かべあった後に二人して駆け出した。

 

 

…………すべてはより良きサボタージュのために。

 

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「っあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!」

「あっはっはっはっはっ!アイツは相変わらずだなぁ~」

「くっ黒ちゃんんっ!?このあと私先生とお話があるんだけど~~っ!?これ、確実に私重ねて絞られちゃうよね!?!?」

「あはは……なんだか、ますます賑やかになりそうだね~」

「………うむ!頼んだぞ~?」

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

俺と隣席の女子は高等部校舎が見えなくなるところまで走り、息を整える。

 

「して、ここからどうすんだ……えっと…………」

「黒上フブキ。とある奴と混ぜねぇようにクロって読んでくれ」

「?……まぁ、改めて鴻山龍神だ。よろしく」

 

そう簡単に自己紹介しあってすぐに、彼女はスカートのポケットから携帯を取り出してどこかに連絡をし始めた。

…………今って授業中じゃねぇの?

 

「…………もしもし……ああ、今から頼めるか?…………今回は私ともう一人……お、頼む。もしかしたら来てくれるかも知れねぇからな………………ああ、頼んだぜ」

 

何処かに連絡を取り終えたクロは携帯を元のポケットへとしまい、こちらへと振り返る。

 

「うし。それじゃあ、さっさと行くぞ」

「その屋上とやらに?」

「ああ、付く頃にはきっと屋上は開かれてるから安心しろ」

「……?まぁ、俺にはお前を信じるくらいしかねぇんだけども」

 

そうして、歩き始めたクロの少し後ろをゆったりとついていく。

 

「にしても、驚いたぜ。まさか編入初日からエスケープとはな」

「勉強なんてのはある程度理解出来てゃいいのさ。それに……多分先生方にはある程度伝わってるだろうよ」

「つうことはお前も常習犯か」

「そのと~り。前いた所でもよく脱走して、脱走仲間同士でのんびり過ごしていたよ」

「だからあんなに手際がいいのか。つか、手際っつうかお前が使っていたあれ、何?」

「ああ……これ?」

 

クロの質問にたいして、俺は右腕を捲ってそこに着けてある古めかしい鈎縄を巻き付けてある機材を見せる。

 

「おお、そんな風になってたのか。……それで、それって何だ?」

「俺のひいばーちゃんが元々昔の人の義手みたいなの作る人でね、これはそのうち残っていたものを新しい材料に変えた上に改良を加えたもん」

「ほぉ~~スゲェもん作る人もいるもんだな」

「だが……ま、今回使ったとき微妙に変な音したからコイツはもうご臨終みたいなんだよな」

「ちぇ……それがありゃいつもみたいにこそこそしなくても良くなると思ったのによ……」

「さすがにひいばーちゃんの技術を受け継いでる人がいねぇ以上、新しく作るのは無理だし今日は元々さっさと窓から逃走するつもりだったから持ってきただけだが。……てか、いつもこそこそしてんのに何で今日は飛び降りたんだよ?」

「今日は教室で寝たままにしようかと思っていたんだが……有能な野郎が来たもんで急遽な」

 

話ながらカチンと腕につけていた物を外し、鞄から取り出したビニール袋の中に入れて口を縛ってから鞄の中に戻す。

にしても、何と言うか……ホントよそ~ど~りに一発で逝ったなコイツ。ばーちゃんの言った通りだったわ………クロの思う通り使った感じめちゃくちゃ役立ちそうだったのになぁ……………。

 

「やっぱり~何か楽しそうなお話をしてるね~」

「私達も混ぜて混ぜて~」

「っおわぁ!?」

 

すると、突然背後から少し間延びしながらも落ち着いた声とえらく訛った声が掛けられ、慌てて振り替えると……

 

「び、ビックリした……」

「おぅ、おかゆにころねじゃねぇか」

「やっほ~黒さ~ん」

「黒ちゃんまたサボりなの~?」

「またって……おまえらもだろうが」

「だって仕方ないよ~。退屈な授業よりもとっても面白そうな匂いがしたんだもん」

「二人ともなんだか凄いことしてたよね~。私もやりたいな~」

 

そこにはクロから『おかゆ』と呼ばれた紫色の髪と同じ色の猫耳&尻尾を持った、少しだるんとした雰囲気の女子生徒と、その後ろからぴょこぴょこと楽しそうに顔を出したり引っ込めたりしている『ころね』と呼ばれた栗色の髪と、同じ色の犬耳&尻尾を持った元気そうなっつうか元気な女子生徒がいた。

 

「それで、君は誰~?」

「あ、わ、わりぃ。………ッフゥ~………コホン、俺は鴻山龍神。今日クロのクラスに編入してきたんだ」

「へぇ~そ~なんだ~!僕は猫又 おかゆ、高等部の一年生だよ~。そして~」

「私、戌神 ころね~!おかゆと同じ一年生~!」

「猫又と戌神ね、よろしく。……して、お前らもサボり組か?」

「ん~……どうする、ころさん」

「そうだねぇ……………このままサボっちゃおか!」

「よし!そうと、決まれば早速いくぞ~!」

「「お~!」」

「お~!て、遠足じゃねぇんだから……」

 

なんつうか………初めて会ったのにこの子ら二人セットじゃないと違和感を感じそうな程に仲良いな、普通犬と猫ってあまり仲良さそうなイメージないのに。…………ま、仲良き事は良いことだし、特になにも言う気はねぇが。

 

  **************

 

それから、猫又と戌神を加えた俺達4人は授業中で人気のない中等部校舎に忍び込み誰とも会うことなく最上階へとたどり着くかとができた。…………少し物足りないっちゃ物足りないが。ともかく何事もなくたどり着き、クロが屋上へと続く扉を開くと……

 

「お!」

 

真っ先に眼に飛び込んできたのは丁寧に管理されていることがよくわかる芝生。その後、少し見回してみると少し離れたところには日除けのパラソルがつけられたテーブル席が幾つか置いてあるのも見える。

 

「ほぉ~!こりゃいいな!」

「だろ~?」

 

屋上の施設に感嘆していると、再び屋上の扉が開き3人組の男女が入ってきた、というかそのうち一人の特徴的な和風の服と額に角生やしてる女子はクラスの奴じゃねぇか。

 

「お!姐御!お待ちしておりました!!」

「ぐ……姐御はやめてくれって」

「あ、姉さんだ~」

「おはしいな~おかゆところちゃんも来たんや~。それと、初めて見る顔がいるけど、あれがさっきなきちゃん言ってた編入生?」

「そうだぞ!中々の逸材だ!」

 

賑やかになってきたな~。

そんなことを思っていると、クロのことを『姐御』と読んでいた男子生徒が芝生の上に少し大きめのシートを敷き、そこに各々座っていき、菓子やら何やらをどんどん取り出していく。

 

「…………参ったな」

「ん?」

「俺、ゲーム機しか持ってねぇや」

「今回は初見だからな、仕方ねぇよ。ただ次ん時からは何かしらもって来てくれると助かる」

「らじゃ」

「でもゲーム機持ってきてるのはいいねぇ新人君。それで、機種は?」

「ホイッチとNZSP(ニジサポ)

「NZSP!?スッゴい懐かしいの持ってきてますね~!」

 

たしかにそうだが……今でも色褪せる事のないこと名作とか意外と面白いゲームが多いからまだまだ現役だと思うんだが……。ま、とにかくまずは…………

 

「ゲームの話は一旦置いといて……改めまして今日編入してきた高等部二年、鴻山龍神だ。おそらくサボりまくるからそこんところよろしく。因みにクラスとしてはクロと……そこの綺麗な鬼の子と同じだ」

「余!?」

「?違ったか?」

「あ、いや違くないのだけど……」

「わぁ~お……これはまた……」

「何だか、おかゆと同じ匂いがする」

「そう?でも自覚ある分僕の方がマシだとは思うけど……」

「…………私はどっこいどっこいだと思うがな」

「うわぁ、この人スゲェ…………」

 

よくわからねぇが…………一つわかることは何やら呆れられてるらしい。おっかいしいな…………俺は当たり前のことを言っただけなんだが…………。

 

「とっ、とととにかく!余達もじじっ、自己紹介せねばな!!」

「……そだね~」

「それではまず俺からいきます!俺は中等部三年生の夏川(なつかわ) 千花(せんか)ッス!こんな名前でもちゃんとした男悪魔で、姐御の舎弟です!!四露死苦!!」

「リアルで『四露死苦』って言う奴まだいたのか…………てか、クロの舎弟って……」

「あ~……そこは深く突っ込まんでくれ」

「……了解」

「ええ!?そこは俺の」「千花夏うるさぁい!!」

(…………千花夏って?)

(アイツ、女みたいな名前なのに暑苦しくてな。それにたいしてアイツの妹みたいな奴が着けたあだ名だ)

(……合うな)

(だろ?アイツはいいセンスしてるよ……)

 

…………気になるな、その子。

 

「それじゃ次はあてぃしかな」

 

………………滑舌には突っ込まんぞ。

 

「あてぃしは高等部三年生、椎名唯華や。おかゆとは幼馴染みで昔っから一緒やねんな~」

「うん。今日はしまってるけど、いつもは姉さんも猫耳生やしてるんだ~」

「流石に学園じゃぁ普通に過ごしてたしぃ、いきなり猫耳生やしたらね~」

「というか……先輩だった…んですか」

「敬語はいいよ~。あてぃし堅苦しいのは嫌だし」

「わか……った。呼び方とかはどうすればいい?」

「そこはご自由に~」

「了解だ、椎名さん」

「あ、ちょうど呼び方の事になったから話しておくけど僕やころねの事は名前呼びでいいよ。ね~ころさん」

「がぶっ!……ほん!!」

「わかったが……ころねは食べるかしゃべるかどっちかにしなさい」

 

何か静かだなと思ったら……菓子をリス……いや、ころねの場合はハムスターみたいに口一杯に頬張ってたのか。端からみりゃかわいいが……俺らの菓子がほとんどねぇじゃん!!まだ話初めてから10分経ってねぇぞ!?どうすんのさ!!

 

「や~、やっぱりころちゃんの食べっぷりはいいね~」

 

すると、椎名さんが自身の鞄から追加で菓子を更に追加で出してくれた。

良かった、これでまだ保つな。

 

「ハァ~……さて、後は余だけだな」

 

最後に俺の言葉に顔を真っ赤にして、今まで手であおってその顔を冷やしていた鬼の子となる。

 

「余は百鬼あやめ、鬼神だ。そして……この子達は余の式神である『業』と『不知火』。余共々よろしくな、鴻山殿」

「おう。よろしく、百鬼。後……俺の事は龍神でいい」

「ほぅ?となると……鳳殿の言っていたシンというのは?」

「ただのあだ名」

「……なっなら、余もそう呼んでも……」

「あぁ、別にいいぜ」

(チョッロ……)(お?お?新しいカプかな?)(チョロ余)

(そんなことよりお菓子美味しい)(こ、これは漢だ…!!)

 

何か照れる要素あるのかね。………あぁでも、同年代の男子をあだ名呼びするってのは中々ないから緊張してるってことか?それならしゃあないか。

 

「あ、後余のことも……」

「ん?……あぁ、そう言うこと。わかったよ、あやめ」

「~~~~~!!」

(コイツ……)(フフ、どうなるか楽しみや)

(何か既視感あるなぁ)(お菓子ウマウマ)

(兄貴って呼んでもいいだろうか……?)

「あ?お前らどうし……っておい!ころね!!お前、菓子ほとんど一人で食ってんじゃねぇか!!」

「っくん……美味しかった♪」

「美味しかった♪じゃねぇーよ!!」

「大丈夫だよ~。ほら、まだまだお菓子はたくさんあるから~」

「わ~い♪♪」

「一旦ころねはストップ!せっかくみんな揃ってんだ、ちゃんと分けて食べような?」

「そっちの方が楽しい?」

「当たり前だろ?」

「ならそうする~!」

 

…………なんつうか子供をあやしている気分だなぁ……。

そう思いつつ今度はおかゆが取り出した菓子を今度こそ、皆揃って食べ始める。その間も俺への質問メインの雑談を続け、澄みきった青空の元で俺達のサボタージュは続いていくのだった……

 

 

 

 

  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「フフフフッ」

「?どうしたのよ、突然笑いだして」

「あっ、ごめんね。ちょっとーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー面白そうな子見つけたんだ♪」

 

 

 

 

 

 

                  act-1 end

                 To be continued




以上、ホロ二次第1話でした!!


次回投稿こそはとじみこ最新話、できれば今週中に投稿できたらなというところです。
咲に関してはまだまだ先になってしまいます。誠に申し訳ありません。


さて、初めての恋愛オンリー物、いかがでしょうか?

ぶっちゃけ慣れないこともあり色々と不恰好だったり、おかしなところもあると思いますがその辺りはどんどん感想やらTwitterやらで話していただければ改善してきますのでよろしくお願いいたします!

では、改めまして、誤字脱字、ご意見ご感想、気がねなくお願いします!!

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