アルビノなユウリとマリィ   作:わさべ。

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お泊まり編突入!!のエピローグです。よろしくな!!


9

夜も更けて家の明かりが消え始めた頃、あたしはユウリをタクシーで迎えに来ていた。おじさんの相棒のアーマーガアは落ち着きがあって、安定感があった。

 

これならユウリに負担は掛かりにくいだろう。

 

「ほいよ!!ここで良かったかい?」

 

空から降り立って、ユウリの家の前にゆっくりと着地する。

 

「うん。おじさん、ちょっとまってて」

 

今日は前から予定していたユウリとのお泊まりの日だ。その準備にアニキとエール団が色々手伝ってくれた。

 

スパイクタウンは埃っぽいから、まず最初に大掃除をした。すると、あっちこっちに出てくるきのみの山。それは、野生のモルペコが集めてきたもので、時々きのみに埋もれたまま眠るモルペコが居てとても可愛かったのを覚えている。

 

そのきのみの山は、野生のモルペコ達に皆で調理してから振る舞った。スパイクタウンの入口を塞ぐほどのきのみの山があっという間に無くなっていく光景は圧巻だった。

 

モルペコ以外のポケモンも美味しそうに食べていて、ちょっとだけ嬉しかった。

 

 

次に取り掛かった事は、光源の調整だった。皆にユウリの目の事を話すと、喜んで協力してくれた。いつもなら、ネオンでギラギラしていたのが、少し大人しめの光量になって新鮮な光景になっていた。

 

…その時に気付いたけど、何故かあたしを模したネオンが作られてあった。結構古びていた。……いつからあったと…?

 

後は、日光対策様に屋根を補強したり、大きなカーテン用意して、昼間に入る日光の量を極力減らせるようにした。

 

(…ユウリの体調にもよるけど、お昼からお散歩はしてみたいけん。…あたしの秘密の場所もあるし)

 

他にも沢山やった。…スパイクタウンにいる間だけでも、普通に暮らして欲しかったから。

 

(…本当にアニキ達には感謝せんとね。…今度お菓子でも作ろ)

 

皆の事で思いを巡らせていると、ユウリの家の扉が開いて、ユウリとお母さんが出てきた。

 

「えへへ、マリィさん。お誘いありがとうございますっ!!まさか、お泊まりまで出来るとは思ってなくて!!私、とっても嬉しいですっ!!」

 

いつにも増して元気なユウリと向かいあって手を繋ぐ。口角が上がり続けているユウリを見て、心が満たされていく。

 

「うん!!あたしもばり嬉しか!!」

 

(…こんなに元気なユウリの姿。……羽目を外しすぎて体調を崩さないか不安けん)

 

悪くなったらすぐにでも助けられるように準備はバッチリだ。…この準備が無駄になってくれる事が一番嬉しい。

 

 

「マリィちゃん、本当にありがとね。言葉だけだと足りないかもしれないけど、本当に…ありがとうっ」

 

 

ユウリのお母さんが深々と頭を下げた。……ユウリのこんなにも元気な姿。ここ最近は見たことがないだろうから、少しだけ声が震えている。

 

 

「…いえ、あたしからも言わせてください。…ありがとうございます。…ユウリが明るくなれたのも、お母さんが支えてくれたお陰ですから」

 

 

そう言うと、お母さんは泣き始めてしまった。

 

 

「…マ、マリィさん……恥ずかしいですっ…ほ、ほらお母さん、泣かないで」

 

 

ユウリがお母さんを抱きしめる。…前までならユウリからは抱きしめれなかったはずだ。

 

少しの間、抱き合ってからお母さんは見送ってくれた。送る時に何も言わなかったのは、もしかしたらあたしを信用してくれているからかもしれない。

 

(そう思ってくれとるかわからんけど、あたしは期待に応えるばい!!)

 

 

「お嬢ちゃん、出発するか?」

 

「……ちょっと、怖いです。…タクシーに乗るのが初めてで」

 

ブランケットを羽織ってユウリはあたしの手を握る。心做しか握る手は震えている。

 

「おじさんのアーマーガアはばり頼もしか!!…それに、あたしが居るやけん安心しんしゃい!!」

 

しっかり手を握り返してユウリに伝える。

 

「…そうですね、マリィさんが居れば安心ですっ」

 

ユウリも少し落ち着いた様なのでスパイクタウンまで、とタクシーのおじさんにあたしはそう伝えた。

 

 

「よし!!任せな嬢ちゃん達!!そらとぶタクシーの名に恥じぬ快適な空の旅をお届けするぜ!!…いくぞ、アーマーガア!!」

 

「……がぁ!!」

 

 

アーマーガアが鳴いた瞬間、空に飛び上がる感覚が走る。握られる手が強くなったのでふとユウリを見ると、目をぎゅっと目をつぶっていた。

 

 

「…ま、マリィさん……だ、抱きついてもいいですか…?」

 

「うん。おいで、ユウリ」

 

 

そう言うと、すぐに飛びついてきた。ユウリの鼓動が早く波をうっているのを感じる。

 

……いつもなら事ある毎に抱きついているはずなのに、わざわざ許可をとってきた。……ちょっと刺激が強かったかもしれない。

 

でも、この間のまどろみのもりの時と比べると少しだけ筋肉がついている様な気がする。抱きしめる力もだいぶ強くなっている。

 

(…もしかしたら、お散歩ぐらいは気軽に出来るごとなるかもしれんね)

 

あたしに抱きついてからもずっと目をつぶっているユウリを撫でながらそう思った。

 

 

「…ほら、ユウリ。ユウリの家がもうあげんにも小さくなっとーよ?」

 

 

ユウリの家を指さしていると、ユウリは恐る恐る目を開き始めた。…少し、抱きつく力が強くなった。

 

「っ、ホントだ。私の家、空から見るとあんな感じなんだ…」

 

 

《そうだろ、白いお嬢ちゃん。空ってのは今まで見ていた物がまた違って見えるんだ。新鮮だろ?》

 

 

タクシー内に取り付けられている通信機から、おじさんの声が聞こえてきた。

 

「はいっ!!」

 

高らかに返事をするユウリ。さっきとは打って変わって覗き込む様に大地を見下ろしている。

 

 

《…空はな、何かを考える時にはうってつけの場所なんだ。ウチの嫁さんと喧嘩した時はよくコイツと空に来るんだ》

 

アーマーガアががぁと鳴く。嬉しそうな声色だ。

 

《喧嘩した時はムシャクシャしてるんだけどよ、空に来るとスッと冴えて俺が悪かったかなってなるんだよ。…それですぐに帰って仲直りするんだ》

 

ユウリは楽しそうに話を聞いている。…ユウリにとっては何もかも初めてだからだろう。

 

(…って言っても、あたしも楽しか)

 

暫く、おじさんとのたわいも無い会話が続いたあと、ふとおじさんはユウリに質問を投げかけた。

 

 

《…なぁ、白いお嬢ちゃん。なんか悩んでるだろ?》

 

「っ、そんなこと、ないです」

 

言葉に詰まるユウリ。あたしと目が合わなくなった。

 

《…おじさんな、長い事この仕事をやってるから分かっちまうんだよ。こういう感じの子はほっとけなくてな》

 

ひゅうひゅうという風の音だけが聞こえる。アーマーガアが風を切る音だろう。

 

…暫くして、ユウリは呟いた。

 

 

「…私、身体が弱いから迷惑をかけてないか心配なんです。…何も、出来ないから」

 

 

それは、ユウリが抱える大きな悩みで、ユウリが努力を始めたきっかけとも言える思いだった。

 

幼い頃からのコンプレックスは、根を張ってしまっている。

 

 

《…そうだな、白いお嬢ちゃん。見方を変えてみな。それはお嬢ちゃんが相手の事を心から思えるってことだ。昔から出来てた事だろ?》

 

 

それを聞いたユウリは、はっとする。長年のもやもやが晴れていく。そんな表情だった。

 

 

「…そっか。私にも、出来るんだ。私にも」

 

 

《そうだ。…別に出来なくてもいいんだぜ。それが人それぞれの良さってもんだからな》

 

 

ぷつんと通信が切れる音が聞こえて、また静寂が流れる。ふと、ユウリを見ると涙をほろほろと流していた。

 

何も言わずにあたしは抱きしめる。ユウリの心のしこりがほぐれていく感覚が伝わってくる。

 

 

 

「っ…マリィさんっ……私、本当は死にたくて死にたくてしょうがなかったんですっ」

 

 

 

「…何も出来ない私が居るせいでみんなの足枷になってるって、生きてる価値が無いと思ったからっ」

 

 

 

「でも、こんな私にも出来てた事があったんですねっ……」

 

 

 

「うん!!他にも出来ること、ユウリには沢山あるばい。こうやって、一緒に遊べる様にもなったっちゃんね!!」

 

 

 

 

「っマリィさん、私、生きててもいいんですか……?」

 

 

 

 

「うんっ、ユウリはあたしの大切な、大切な人ばい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




おじさん「うおおおおおおおおお!!!!!!恥ずかしいいいいいいいいいいい!!!!!」

これ以降は幸せたっぷりシリアスナシナシの予定(未定)

百合の間に挟まるおじさんじゃないようにはしたはず……したはず……(不安)




(ワンパターン…ワンパターンじゃない?(震え声))

貴方には命に関わってしまうが、どうしてもやりたい事がある。やりたい事は生涯の夢。

  • 命に変えてでもやる。
  • やりたい事を諦める。
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