アルビノなユウリとマリィ   作:わさべ。

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アメリカ最終日なので初投稿です(フライトの準備をしたまえ)

またも難産でした(頑張った)

新しい試みをしてみた。うまく表現できてるかこれがわからない。


5

私は生まれつき身体が弱い。ほかの人と比べ物にならない程に。

 

少し歩けば息切れして歩けなくなる。トイレにも中々行けない。食べ物を一人でうまく食べられない。固形物を人並みに食べてしまえば、消化不良で戻してしまう。咳をすれば、喉が傷付いて血が出る。咳を数回すれば過呼吸になる。

 

どんなに些細なことでも私にとっては害がある。挙げ出したらきりがない。

 

 

 

嫌だ。なんで私が。

 

 

 

それに加えて私はアルビノだった。

 

一般的なアルビノの人は日光対策すれば普通に外を出歩けるみたいだけど、私は違った。

 

 

 

なんで私だけ。皆と一緒に暮らしたい。普通に生きたい。

 

 

私は日光で火傷をする。曇りの日でも皮膚がただれる様な火傷をしてしまう。だから、うちは光がはいってこないようにカーテンとかで遮ってくれている。

 

 

 

私なんか居なければ。 おかあさんだって苦労しない。

 

 

 

…そして、私は光を見ることが出来ない。蛍光灯の明かりで何も見えなくなってしまう。本当に少しの光しか見ることが出来ない。

 

 

 

私には何も無い。

 

 

 

こんな私だから、誰かの助けが無いと生きていけない。誰かの足をひっぱってでしか生きていけない。

 

 

 

私ができることは何も無い。何かをすれば、負担になってしまう。

 

 

 

ベットの上で寝たきりで私が外に出ることは無い。だって必要無い。動かなければ、求めなければ、負担は減る。

 

 

 

何も無い。いつも私はからっぽだ。

 

 

 

私は何も要らない。だって苦しめてばかりだから。

 

 

 

何も、無い。あるのは価値の無い、ちっぽけないのちだけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、いっその事、死んで何も無かったことに―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「帰ってよっ!!」

 

 

マリィさんに向かってピッピにんぎょうをぶつけた。

 

 

マリィさんの表情が濁っていく。唇をかみしめて、私を見る。

 

 

私は咄嗟に目を逸らした。

 

 

 

…ごめんなさい。

 

 

 

あぁ、またやってしまった。ホップくんにもやってしまった同じ事を。

 

 

 

だって私に必要無い。マリィさんも私なんか必要無い。

 

 

怒ったかな、呆れたかな、どうだろうね。

 

 

これでまた一つ無くなった。私は一人でいい。何も要らない。

 

 

これも、マリィさんの為。これで、きっとこれでいい。

 

 

 

私なんかが関わっていい存在じゃない。

 

 

 

 

 

…でも

 

 

 

 

ひとりはいや、さびしいよ…

 

 

 

 

たすけてよ、もう無くしたくない…

 

 

 

 

わたし、どうしたらいいの…?わかんないよ……

 

 

 

 

………私を、からっぽにしないで……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎゅっと何かに包まれたような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

私の中に暖かいものがとくり、とくりと流れてくるのを感じた。微睡みの中にいる様な感覚。

 

不思議とその感覚に覚えがあった。

 

 

そしてゆるやかに流れてくるものが私の中にゆっくりゆっくり貯まっていって、

 

 

 

その暖かいもので私の中がいっぱいになった。

 

 

 

 

「ユウリ、ごめんね。辛かったね」

 

 

「怖かったね、苦しかったよね」

 

 

「…頑張ったね」

 

 

流れてくる暖かいものはマリィさんだった。

 

「…ぁ」

 

マリィさんを認識した瞬間、ほろりと涙が零れた。止めようと思っても止まることはなく、ぽたぽたと雫を落としてしまう。

 

 

「あたしは、ユウリの事が必要ばい。ユウリが、ユウリの事が本当に大切やと思うけん」

 

 

 

「…っで、でも、私が生きてると、迷惑かけちゃいますっ……頼らないと、私何も出来ないんですよっ…」

 

 

 

「頼らないと生きていけん、それの何がいかんと?」

 

 

「あたしだって、いっぱい頼ったと。いろんな人に助けて貰って、今のあたしがいるけん」

 

 

「…だから、ユウリもいっぱい迷惑かけんしゃい。そしたらいろんな楽しかことば全力でやるけん!!」

 

 

 

暖かいものが溢れ出す。心がきゅんとして、ぽかぽかする。

 

 

「っどうして、そんなにもやさしいんですか…っ」

 

 

「…ユウリに幸せになって欲しいばい。ブティックで服買ったり、ポケモンと触れあったり、いろんな事を知って欲しか!!」

 

 

 

 

あぁ、やっと私はからっぽじゃ無くなった。だって、こんなにも、溢れるほど、暖かくて。

 

 

 

 

 

 

 

心の中でマリィさん、と呟く。

 

 

私の憧れの人で、私の事を思っていてくれる人。

 

 

心でマリィさん、と呟く度に胸いっぱいに広がる暖かいもの。

 

 

 

 

 

 

 

「…私、マリィさんと居ると、すごく暖かい気持ちになるんです。すごく心地よくて、手離したくない……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の言葉を聞いたマリィさんはにっこりと笑ってから私にこう言ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それがきっと《幸せ》ばい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピッピにんぎょうをぶつけられたとき、何も考えられなくなってしまった。

 

ユウリに喜んで欲しくて、幸せになって欲しくて、沢山の事を考えていた。

 

それが、全部無くなった様に感じた。

 

取り返しのつかないことしたって思った。

 

…傷付けてしまったって思った。

 

でも、それは違った。すぐに気付いた。

 

だって、ユウリの心が泣いていたから。

 

ユウリが自分自身を押さえつけてあたしに、ユウリのおかあさんに心配させないようにしていたんだ。

 

 

 

 

きっと、これで良かったんだ、あたしのした事は。ユウリの心の枷を取り払うことが出来たから。幸せを噛み締めれるようになったから。

 

 

 

 

 

 

 

その日から、ユウリの笑顔が心做しか増えたような気がした。

 

 




書き終えた感想


…最終回かな?(錯乱)

これで締めたらスッキリ終われるね!!

でもまだまだこれからなんじゃ(まかせろ)



てぇてぇ書くのムズい…ムズくない?

貴方には命に関わってしまうが、どうしてもやりたい事がある。やりたい事は生涯の夢。

  • 命に変えてでもやる。
  • やりたい事を諦める。

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