仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
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「「上海華撃団、参上ッ!!!」」
並び立つ霊子戦闘機・王龍。緑の隊長機に乗るのは三つ編みの髪をした自身に満ちる青年は上海華撃団の隊長『ヤン・シャオロン』、もう片方の黄色い機体に乗る髪の両サイドをお団子状にした活発な少女は『ホワン・ユイ』。帝都を護る上海華撃団…主力のメンバーである2人はすみれもよく知り、まさに絶望を打ち砕く希望の光そのものだった。
「シャオロンさん…! ユイさん…!」
「すみれ支配人!? …っと怪我人か! ユイ、支配人たちを頼む! 矢車は俺と一緒にコイツをやるぞ!」
「任された!」
「…勝手にしろ。」
すみれと重傷の或人はユイに託され、彼女の王龍に抱えられ離脱。残ったシャオロンとキックホッパーが構え、歯軋りする朧と対峙する。
「さて、上級降魔か。ここら最近からすりゃレア物だな。矢車、油断すんなよ…あと、完膚なきまでぶちのめすぞ。」
「フン。」
シャオロンは久方ぶりに、本気の怒りに震えていた。元より正義感が強い彼は理解したのだ…この降魔がただの人間である或人に対し、一体どれだけの酷いことをしたのかを。いたぶり、なぶり…ついさっきまでコイツは悦に浸っていたのだろう。御し難い凶行に声にまで怒気が帯びる……それを、特にキックホッパーは気にはしなかったが。
一方の朧は
「ぎぃぃ…!! ぎぃぃぃいいい!!!!! この人間風情がァ!!!!!」
沸き上がる怒りがついに臨界を超えようとしていた…… 溢れ出す凄まじい妖力が彼の煮えくりかえる感情を現しているようだが、シャオロンは怯まない。
「覚悟しろ、降魔。上海華撃団の庭のこの帝都で、好き放題やったんだ。テメェの首で償ってもらうからな。」
「…」
…… 限界は訪れた。
過剰な激情がスー…と熱は消さずに朧の頭を流れる。
人間が? 人間が? たかが、人間ごときが俺を倒すと? 許さないと? 矮小で貧弱な虫けらが?
奥歯に力が入り、決定的な一線を決壊させ感情の濁流が自分に命じる。陵辱も侮蔑も不要…
「潰す。」
ガンッ!!と何も無い空間に手を突っ込むと亀裂が走り淀んだ空に魔法陣が形成される。そして、彼は自分の『最強の切札』を呼ぶ…!
「来いッ!! 荒吐(アラハバキ)ィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!」
「「!」」
魔法陣から姿を現す巨大な影。霊子戦闘機すら軽く超えるほどのサイズに、001を握り潰した手を腰の両サイドへスカートのように展開した異形の機体がゆらゆらと浮かび、王龍とキックホッパーを見下ろす。
「ハッ。」
完全に雑魚とは一線を駕する機体に飛び乗る朧。不気味な赤い単眼輝く人型のコアユニットに融合すると、彼の口許は再び吊り上がる笑みを取り戻す。
「光栄に思えよ、人間。この俺様が破壊魔術をもって直々に相手をしてやる。…この魔操機兵・荒吐でなァ!!」
荒吐(アラハバキ)… 上級降魔が乗りこなす魔操機兵の一種。
融合する降魔の力を引き出し、猛威を振るういわば降魔版の霊子戦闘機などにあたる機体といっても良いだろう。本来、これを出すつもりなどなかった朧だが、癇癪が爆発した今はもう出し惜しみなど関係ない。自分をコケにした虫けらを八つ裂きにし、粉微塵にしてやるのだ。
「…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す…殺す ……ぶち殺す!!」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
その頃、すみれや或人を抱えて戦線を離脱したユイ… 目指すのは自分たちが魔幻空間に突入した時の穴。そこから戦えない2人を一旦、逃がすつもりだった…のだが……
「まあ……そう簡単にはいかせてくれないよね…!」
行く手を阻む魔操機兵にワイバーンタイプの飛行降魔。むざむざ網にかかった獲物を逃がすつもりなど更々無いと言わんばかりに群れを為して立ち塞がる。この数の差、ユイ単体ならまだしも怪我人を抱えての突破はあまりにも無理があった。それに、上級降魔と戦っているシャオロンらのこともある…一刻もはやく戻らねば。
……ジリジリと間合いを維持する中、彼女は考える。せめて、まだマシな1人だけなら
「…すみれ支配人。悪いけど、その人は諦めよう。この場はわたしだけじゃ切り抜けられない。」
「なんですって!?」
「わたしの見立てだと…多分、もう手遅れだ。仮に、脱出出来たとしても、もう助からないよ。」
苦渋の決断。されど、魔幻空間に長い間居た上に朧からの全身に骨折などをはじめとしたダメージがある様子などはユイからしても一目瞭然。ならば、助かる可能性が高いほうだけを選ぶのは当然だったろう。
「そんな……彼は…」
であっても、割りきれないすみれ。彼は自分を護るため恐らくは身体に負担がかかる力を使ってまで助けようとした。無論、ユイだって見捨てたいわけではないがとてもそんな許される余裕はない。霊子戦闘機という力をもってしても、如何なる時に如何なる存在からでも護り抜く盾にはなりえないのだ。
『シャァァァァ!!!!』
「…!」
そして、迷っている間にも敵は牙を剥く。飛行降魔が襲いかかり、ギリギリの操作で王龍を駆使してかわすユイだが続いて迫る魔操機兵の群に回り込まれてしまう。
「しまった…!」
完全に包囲されてしまった。かなり、まずい…状況は悪化する。このままでは、自分すら危ない。されど、シャオロンたちが朧にかかりきりな今、増援など……
「どいてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
「へ?」
その時、降魔の群に悲鳴をあげながら『何か』が降ってきた。まるで、隕石のように……あれ、何処かでデジャブ?
降ってきた『何か』は衝撃で、降魔たちを蹴散らすと周囲の残りは驚いたのか蜘蛛の子を散らすように逃げていった。何者…と眼をこらすユイは眼をこらすと見覚えのある桜色の機体が土煙から立ち上がるのを見て声をあげる。
「…さくら!? 無事だったの!?」
「…っっ! あれ? ユイさん…ということは戻ってこれた?」
三式光武…則ち、天宮さくらが太正の世界へ帰還してきたということ。彼女の行方不明の連絡は上海華撃団にも届いていたので、ユイが驚くのも無理はない…が、今は優先すべきことがある。
(…はやく、これを社長さんに届けないと!)
そう、せがたに託されたロッキングホッパーのゼツメライズキー…これを或人に届けるよう彼に条件を出されて光の柱から帰還させてもらったのだ。令和の世界で助けてもらった恩もある、すぐにでも渡したいところだが…
「さくらさん…!」
「…す、すみれ支配人!? と… !?」
すみれに気がついた時、彼女は見てしまった。
届けるべき相手の命が最早、風前の灯火であることに……
「そんな…間に合わなかった……」
【いいや、まだだ。】
「…だ、誰!?」
諦めかけたその時、懐から声が響く。優しい男性の声色…ロッキングホッパー・キーから聞こえるようだ。どういうわけか、光を帯びている… 何事!?
【このキーを早く息子に。まだ助けられる。】
「…む、息子? は、はい?」
三式光武から降りて、或人の元へ駆け寄るとより一層強く光と共に熱を帯びる。すると、ロッキングホッパーのキーはさくらの掌の中で完全に原型を留めない別のアイテムへと変質する。アサルトグリップに近いが、何処と無く三式光武の横顔を思わせるデザイン…『スチームグリップ』とでも呼ぼうか…
「これは……こうすれば良いのかな…」
頭の中にぼやっと浮かぶイメージを手探りで行っていく… 或人の懐からシャイニングホッパー・キーをおもむろに取り出すとこれに接続。【 CAUTION 】とか音出たけど大丈夫だよね?
あとはゼロワンドライバーを装着させて翳して装填すれば…
【オーバーライズ!!】
「ひゃっ!?」
突然、或人を包む強い光… ふわりと浮き上がると待機音を鳴らしながら骨折など大きい怪我は治癒していく。『やった…!』と喜んだのは束の間… 浮遊する彼はどういうわけか吸い寄せられるようにコックピットが開け放たれた三式光武の中に。
「え? ちょ、ちょっと!?」
あれ…この流れは…。さくらに悪寒が走ったが、もう遅い。
「変身!!!」
【 Warning! Unknown unit connected. Is it OK? ツインライズ!!! 】
その時、ゼロワンドライバーのシステムと三式光武の機関が接続されシャイニングホッパーに変身。そして…
バァァァァァァァァン!!!!!!!
「…へ?」
三式光武が粉々に吹き飛び、滅亡迅雷のロストモデルのように装甲として再構成されシャイニングホッパーの追加装甲として装着される。その姿はシャイニングアサルトホッパーに酷似しているが、追加装甲部分は鈍い銀色で発光し随所に桜色のラインが入っている他、背部には霊子甲冑や戦闘機のマフラーを思わせるパーツ。胸には5枚の花弁が輝く円の結晶体『ユナイトコア』が接続…
ゼロワン計画にも無い、新たな力。 太正の蒸気機関と霊力を得た言うなれば……太正のゼロワン
【 シャイニング…!!! スチーム・ホッパーーー!!!!!!! Blooming and falling flowers, SAKURA WAS !!】
「私の光武ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううううう!?!?!?」
…一方、その頃
ウォズ「!(祝いセンサー感知)
祝え! 令和と太正…ふたつの時代の交錯が産み出したゼロワンの新たな姿!! その名も、『仮面ライダーゼロワン シャイニングスチームホッパー』!! 悪を蹴散らし、正義を示す力が紡がれた瞬間であるッ!!」
ランスロット「な、何!? 何なのさ…!?」
そして、またしてもさくらの光武が犠牲になった瞬間でもある…