仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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太正の輝き 肆

「…クラリス!!」

 

 

さくらや上海華撃団が帝劇前に着いた時、既にアナザーライダーたちの攻撃が放たれクラリスの光武の姿は爆発の煙で見えなくなっていた。あちこちで、チラチラと火が燃え、立ち込める焦げ臭いがどれだけ凄まじい威力だったかを物語る。

 

 

「クラ…リス…… そんな…… 嘘…」

 

「ボケッとすんな! ユイ、矢車!!」

 

 

呆然とするさくらを叱咤し、王龍を駆ろうとするシャオロン…しかし、気がつく。

 

アナザーゼロワンがこちらに気を向けず、未だにクラリスがいた場所に眼を向けていることに……

 

 

『あなた……誰?』

 

 

晴れていく煙の中…クラリスの光武はまだ原型を留めて踞っていた。そして、彼女の前に刺さっていた獲物…槍。大きさから霊子甲冑などの武装だが、帝国どころか上海華撃団にも槍を愛用する隊員はいないはず。

 

しかし、立っていた…… 槍を引き抜き、肩に担ぐ『白銀の光武』が。

 

 

 

「……え?」

 

 

クラリスは自分がまだ生きていることに戸惑いながらも顔をあげた…… 未だ、紫電を帯びる槍…腰には二振りの刀がマウントされているのに加え、背中にはマシンガン。霊子甲冑にしては異様に重武装だが、この機体は間違いなく自分の愛機と同じ三式光武。恐らく、この機体が自分を庇ってくれたのだろうが、既に旧式の機体でアナザーライダー2体の力を打ち消すなどただ者ではない。

 

すると、白銀の光武はクラリスの光武へ優しく手をあてる。

 

 

【よく頑張ったな。ここからは、俺に任せろ。】

 

(男の人…?)

 

 

スピーカーからしたのはまだ若いが落ち着いた声。パイロットのものだろう…すると、白銀の光武は槍をアナザークウガに投げつけ初穂を解放させる。そして、刃を抜き放ち構えるとコックピットを開けて見栄をきった。

 

 

「俺は…新生帝国華撃団 花組隊長、『神崎 星児(かんざき せいじ)』…

 

 

……神崎すみれの息子だッ!!!」

 

 

 

 

…………息…子…?

 

周囲は突然の宣言に固まっていた。

 

神山と似たスーツに身を包むまだ少年の残り香を残す赤寄り茶髪の青年…確かに、堂々とするその横顔にかつてのトップスタァの面影があるような気がしたと後にクラリスは語る。しかし、上海華撃団や仮面ライダーたちは愚か、さくらとクラリスも自分たちの上司に子供がいたとは聞いたことがないと唖然とするばかり。必然的にすみれに視線が向くが、こちらも頭の理解が落ち着いていない様子……

 

(そんな…、あの子には華撃団の復活のことはまだ……)

 

「おい、まさか…本当に帰ってきたのか!? すみれ支配人!」

 

 

初穂の叫びに我にかえるが、その間に状況は進む。槍を受けたアナザークウガは怒りを剥き出しの唸り声をあげ襲いかかろうとしたが……アナザーゼロワンが手を挙げ制止。すると、不敵な笑みを洩らしながら銀色のオーロラを呼び出した。

 

 

『あらあら、邪魔が入ったわ。出直すとしますかね…それじゃ、また会いましょう。』

 

「! 待て!!」

 

 

シャオロンがその意図に気がつき、追おうとしたが既に遅し…アナザーライダーたちはオーロラを通じて撤退して降魔の気配も消える。さて、これで一時は落ち着いたわけだが……

 

 

「ひとまず、色々と話を聞かせてもらおうか。 」

 

 

彼の意識はすみれの息子を名乗る青年に向けられる。

 

 

……そう、まだ全部の問題は解決していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★ ★★ ★★ ★★ ★★ ★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(:0M0)<ゴポポポポポポポ…

 

 

 

 

正直、この扱いってあんまりじゃない? と或人は思う。大怪我を負った彼に提供されたのは清潔なベッドではなく、人ひとりがまるまる入れる水槽とおぼしき機械装置。戦闘が終わるなり有無を言わさずさくらと初穂に服を剥ぎ取られ放りこまれたのだ。人口呼吸器こそつけていれど、浴槽(?)を満たす茶色い液体になんか浮いてるもずくみたいな海藻(?)に不穏な空気を感じずにはいられない。 ……怪我の治りがはやくなるらしいが、大丈夫なのこれ?

 

 

 

 

 

 

……そんな或人はさておき、場所は支配人室。

 

 

帝国華撃団の面々は勿論、上海華撃団に矢車…

 

…そして、

 

 

 

「改めて、俺は神崎星児! 帝国華撃団 花組隊長だ!! よろしくな!」

 

 

問題の青年、神崎すみれ支配人の息子を名乗る彼。髪色といい雰囲気といい何処と無く似ている気もしなくもないが…なんかこう、暑苦しい。多分、年齢は神山とさくらの間くらい…17くらいか。それよりも、帝国華撃団花組隊長とは一体どういうことだろう…すみれと初穂は頭を抱え、それ以外は戸惑うばかり。矢車のみはどうでも良いと部屋の隅でカップ麺を啜っていたが……

 

 

取り敢えず、ユイがこそこそと神山を小突き…

 

 

「…(クビ?)」

 

「……(…違うと思いたい。)」

 

 

率直な疑問をぶつける。いや、神山だって知りたい側だ…まだ彼は隊長になってから1ヶ月と経っていない身である。ちょっと、待ってもらいたい。

さくらとクラリスも、顔を見合わせている。全く話が見えない… すると、見かねた初穂が説明をはじめた。

 

 

「あー、その…だ。コイツは星児、すみれ支配人の息子…ってのはまあ粗方事実だ。クラリスが来るのと入れ違いで帝劇を離れたから、知らねえのは無理もねえか。支配人も話してる様子なかったし…」

 

「久しぶりだな、初穂。おふくろも元気そうで何よりだぜ。で、君たちが新しい花組のメンバーか!」

 

「「…!」」

 

 

星児は初穂との再会の挨拶を経るなり、関心はさくらとクラリスへ…。すると、『あのタイプ、無理です!』とさくらの後ろに隠れたクラリス…必然的にさくらから自己紹介をはじめることになる。

 

 

「クラリス……失礼だよ! 天宮さくらです。何か色々複雑みたいですけど、よろしくお願いします。」

 

「さくら……『さくら』か! ヘェ、姐さんと同じ名前か。」

 

「……あねさん?」

 

 

首を傾げるさくら。星児の言う姐さんとは一体……

 

 

 

 

 

 

「あれだよ、『真宮寺さくら』。昔の帝劇のトップスタァのひとりの……」

 

 

 

 

 

 

「ちょ、おまっ!?」

 

 

その時、初穂の顔がひきつった。『真宮寺さくら』…それはある意味、さくらにとっての『スイッチ』であり『地雷』である。迂闊に触ってはならないことは彼女をよく知る人物なら知っている…うっかりでも踏もうなら

 

 

「真宮寺さんを……」

 

「…ン?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「真宮寺さくらさんを…知っているんですかあああああああああああああ!?!?!?」

 

 

 

 

 

「おおぅ!?」

 

 

 

(天宮さくらの理性が)爆発する。

 

 

やっちまったなぁ…と神山は呆れていたが、こうなったらもう止まらない。崇拝する憧れの人(オシ)の話はドルヲタにとっては、ニトロも同然である。例え陰キャでも饒舌にそれを語り、場合によっては語彙力や理性すら吹き飛ばす爆発力があるのだ。目をキラキラと輝かせ、星児に食らいついたさくらは正にソレ。

 

 

「わ、わわ私! 真宮寺さくらさんの大ファンなんですッ!!!」

 

「え…そうなの…?今時の子でだと大分珍しいな…。10年以上前だぞ…」

 

「し、真宮寺さくらさんは私の憧れの人でッ!!! 貴方も同志(ファン)なんですか!?」

 

「いや、ファンとは違うぜ…? なんというか、育てられたんだよ、俺は。昔の帝国華撃団にさ…。だから、姐さんも世話してくれたひとりで…

 

 

 

……一緒にお風呂に入ったりとかしたぞ。ガキの時とか。」

 

 

 

 

「ファッ」

 

 

核燃料、投下されました。

 

さくら(ドルヲタ)の心臓があまりのショックで一瞬止まる。咄嗟に、クラリスは危機を察して、初穂の後ろに隠れた。

 

 

「なんて、羨ましいぃぃぃいいいいい!?!? ハッ

! つまり、この手は生の真宮寺さくらさんに触ったことがある手ッ!! つまり、この手に触れれば、さくらさんと間接的に触れあえたことに……」

 

「ねえ、君さ大丈夫? ちょっと、怖いんだけど…」

 

 

星児の手をとって、明らかにメインヒロインがしちゃいけないうぇへへ…と顔をだらしなくする様は些細なことで動じないシャオロンですらドン引きしており、ユイも『へ、変態だ…』とさくらへの認識を改めつつあった。

このままでは混沌が続くと危惧した神山がさくらを星児から引き剥がし落ち着かせる。とにかく、事情を知るであろうすみれに確かめなくては…

 

 

「すみれ支配人、これはどういうことですか!?」

 

「はぁ…血は繋がってはいませんが、確かにわたくしの倅(せがれ)ですわ。こんな形で皆さんにお話したくはありませんでしたのに……」

 

「もしかして、養子……?」

 

「ええ、その通りです。ここ3年ばかり前に帝劇を突然、飛び出した以来…ろくに連絡を入れないで何処をほっつき歩いていたのやら。」

 

 

息子、という点親子の再会にしては眉間にシワを寄せている顔のすみれ。星児とは対照的に喜んでいるわけではなさそうだ…

すると、星児はビシッと皆へと宣言する。

 

 

「俺が来たからには、もう安心だ!必ず、この帝国華撃団を再建してみせるッ!! 皆、俺についてこい!」

 

 

自分が華撃団の隊長…そう全く疑わない発言。流石にさっきまではしゃいでいたさくらでさえ、これはどうしたものかと迷うがすみれは無慈悲に告げる。

 

 

「星児、何を寝言を言っているのです? 帝劇を無断で離れた人間に隊長を任せられることがあるわけないでしょう。」

 

…あ、この流れは。神山は察した、火が自分に燃え移ろうとしてると。

 

 

「お、おふくろ…?」

 

「耳をこじ開けてよく聞きなさい。今の花組の隊長は、そこの彼…神山誠十郎くんですわ。」

 

 

 

 

 

やっぱり……誰か助けて。理不尽な災厄の渦の中心に巻き込まれながら神山は自身の不幸を呪うのであった。

 

 

 

 




次回予告


さくら「突然、現れた旧花組の忘れ形見。神山と星児に確執が産まれる中、再び降魔の手がせまるッ! 語られる神山の過去、さくらの夢…!! その時……。次回『再起の鼓動』、私はこの夢をあきらめないッ!!」



★神崎星児

年齢 17
愛機 三式光武 強襲改装

イメージCV/宮野 真守

好きなもの/神崎すみれ、旧花組、甘いもの全般

苦手なもの/神宮寺さくら(怒った時)、天宮さくら

嫌いなもの/プレジデントG、不甲斐ない今の花組、夜叉


作者の新サクラ大戦サイドのオリジナルキャラクター。自称・神崎すみれの息子と名乗るが、実際は10年前に旧花組に引き取られた養子『花組の忘れ形見』。お調子者かつ自信家で、かつての旧花組を尊敬している節が多々見られるが、それ故に暴走してしまうこともある。数年前、花組を建て直すべく単身で帝劇を飛び出したが、帝国華撃団再編の情報を感知し戻ってきた。すみれの養子である自分が隊長の座に就くと信じて疑わなかったが、既に神山が任命されていたため彼と母親どちらとも確執が産まれることになってしまう。

花組関連だと面倒くさいが、元々は気前が良いお人好しな人物。


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