仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
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再起の鼓動 Ⅰ
「くっついた~~!」
翌日。すっかり、回復した或人は帝劇の地下施設の廊下を歩いていた…
いやあ、驚いた。割りと洒落にならない怪我だったが、ほぼ全快に近く身体に大した痛みも無い。西暦にすれば1941年にあたるらしいが医療や霊子戦闘機といった一部の技術は令和をも凌ぐかもしれない。まあ、ゼロワンの世界のヒューマギアやライダーシステムも太正世界から見れば大概だが…
今、或人は眼鏡に黒スーツのキリッとした女性『竜胆 カオル』に連れられすみれ支配人の元へ急いでいる。
「もう痛みなどはありませんか? 無理はくれぐれもなさらないようにとすみれ様も仰っていられてたので。」
「ん~、取り敢えず平気かな。でも、色々と話すことは山積みだね。」
怪我の油断こそはできないが、それよりも或人の問題は早く令和の世界に戻り、飛電インテリジェンスに復帰することだ。滅亡迅雷.netが壊滅したとはいえ、社長の業務は勿論ある。イズが何とかうまくやってくれていると願いたいが、恐らく副社長の福添あたりは事故のようなものとはいえ自分の不在にカンカンに怒っているだろう。この太正の世界を放っておくのは気が引けるが、元々さくらたちがいるのだし平気だろう。
…で、どうやって帰るのと言われれば言葉が詰まってしまうのだが
「…ん?」
ふと、足を止める。廊下の先に誰か……すみれと神山、あとは知らない青年。まだこの時、或人は星児のことは知らないためそんな認識だった。ただ判るのは恐らく良い話というわけではないということだろう。特に、すみれの顔はまさに冠といった様子…
「何をふざけたことを。あなたにそんな権限はありません!」
「そうだ! さくらたちのことを考えろ!!アイツらだって、必死にやってるんだ…それを踏みにじることだぞ!!」
神山もかなり声を荒げている。どちらも普段は優しそうな雰囲気なのに、怒りを露にしている……対し、星児は冷たい視線を向けていた。
「気持ちで、華撃団大戦を勝ち抜けれるか? 帝都を守れるか? …今のアイツらじゃ、到底無理だろ。おふくろも神山も、現実見ろよ。施設もボロいわ、人手は足りないわ、公演はあの始末。挙げ句の果てに守りは上海の連中に丸投げ。再建どころか、廃れてく一方じゃねえか。…ガキのお遊戯じゃねえんだ。」
「……なんだと!?」
まずい!ついに神山が掴みかかろうとした時、或人は走り割って入る。暴力は止めなくては!!
「待って! 一体、どうしたんですか?」
間一髪、勢いを削ぐことには成功。完全に部外者である或人の介入で、神山も不発になった。すると、星児は背を向けて言い捨てる。
「俺はお前たちを帝国華撃団とは…花組とは認めない。」
神山とは意味合いは違うが、こちらも言葉を静かに怒気が帯びていた…。彼は立ち去っていき、すみれの目配せでカオルが頷いて後を追う。
ひとまず、嵐は去った。されど、空気は重く…すみれは申し訳ないと頭を下げる。
「すみません、お見苦しいところを…」
「いえ。あの、さっきの人は?」
「……わたくしの倅(せがれ)です。 …はぁ。」
星児…ああ、アナザークウガを退けた強襲型光武の…あの見栄をきれば嫌でも印象に残るわ。でも、わざわざ息子だと名乗るくらいなら、仲がさぞかし良いのかと思ったがあのやり取り…些か気にかかる。
「神山くん、或人さんを任せます。わたくしはまだやらなければならないことがありますから。」
「はい。了解しました。」
それから、すみれが去って神山とふたりきり。結局、残された者同士で気まずい空気が流れること数秒……すると、神山が苦笑いしながら口を開いた。
「あー、えと、社長? こんなところでは難ですし、場所を変えましょうか。」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★ ★★
「引き抜きッ!?」
帝劇の劇場側面の1階廊下…支配人室や楽屋やらが建ち並ぶ場所を神山に連れられ歩く或人。先の件について聞くと、どうやら星児が無断で『引き抜き』を行っていたらしいのだ。
「まあ、平たく言えば。星児と縁がある華撃団に片っ端から声をかけようとしていたのをたまたま、俺とすみれ支配人が見つけて…で、さっきのように…」
引き抜き…意味合いとしては、他の国の華撃団から帝国華撃団への勧誘ということか。でも、それなら帝国華撃団にとってはプラスであってもマイナスにはならないはず。あんな剣幕にならなくても良いのではないかと正直思う或人。
「アイツは、自分の目をつけた奴を花組の主力に入れようとしてたんだ。確かに、それは正しいかもしれない。でも、今まで何とか帝劇や華撃団を支えてきたのはさくらやクラリス、初穂たちなんだ。確かにまだまだアイツらは演技も戦いも未熟だけど…それを……ッ」
「か、神山さん……」
よく解らないが、無断人事の先走り…しかも未遂にそこまで怒る? 独断とはいえ、華撃団を思ってやったことでは?
『その人事が採用された場合、天宮さくらさんといった団員の立場が無いからではないでしょうか?』
「あーそういうことか。」
イズからの説明に納得。神山は隊長として、さくらたちのプライドを守ろうとしてたのだ…
……は?
今、馴染み深いがこの場にいないはずの秘書ヒューマギアの声が。いや、そんなはずは……彼女はこの世界に来てないはず… と、振り向くと
「…イズ!?」
『はい、或人社長。』
「ええ!? どうしてここに…」
いた。いや、なんでさ…神山も『知り合い…?』と驚いている。突然の再会は嬉しくもあるが、彼女は令和の世界に置いてきてしまっていたはず…。いくら特別なヒューマギアとて並行世界を渡る術は無いは勿論である…当然生じる疑問に関してもイズはいつも通りに丁寧な喋りで答える。
『オーマジオウさんのおかげです。あのお方が或人社長には私が必要だと話を受け、衛星ゼアごとこの世界に送って頂きました。』
「…へぇ。 ………ゼアごと?」
『はい。これで、こちらの世界でも問題なくゼロワンの力が使えるようになったはずです。』
あー、だから朧戦の時にゼロワンドライバーが復活したのかと納得。衛星ゼアが太正の世界にあるなら問題ないが、それをイズごと持ってくるとか何者なんだオーマジオウ…。
しかし、ちょっと待ってほしい。衛星ゼアがこっちにあるということは飛電インテリジェンスの営業や令和世界のヒューマギアたちに影響が出るのでは?
「まった、イズ…それってヒューマギアたちが…」
『それは、問題ありません。今、令和の世界はオーマジオウさんの手によって時が止められていますので業務に支障をきたす可能性は限りなくゼロに近いと衛星ゼアも判断しています。』
「ごめん、何言ってるか全然わかんない。」
要は現在、オーマジオウが重加速やタイムベント、ポーズといった時を操る能力を全開にして令和世界の時間そのものを止めている…故に、或人が令和世界では太正世界に座礁してから、実はあんまり時間は経っていないのである。無論、そんな無茶苦茶なことが出来るのは我が魔王だからだ。平成ライダーの歴史を甘くみるなよ…?(平成理論)
「イズちゃ~ん!」
そこへ、息を切らして走ってきたのはさくらと初穂。イズを追ってきたのだろう… 割りとイズの運動能力は高いので並み大抵の人間のスペックでは追い付けない。
「やっと追いついた…」
「たく、あんなふざけた走り方でなんて速さだよ!」
初穂が悪態をつくのも無理もない。イズの走り方は基本、前へ組んだ手を崩さないで独特なフォームとテンポで走るのだから。
さて、状況がここで一番理解出来ていないのは神山である。イズがそもそも何者なのか、それをさくらが説明する。
「神山隊長、こちらはイズちゃん。或人社長の秘書をしている『ひゅーまぎあ』? で、良いのかな? すごいんですよ、ロボットなのに生きている人間と全然、見分けがつかなくて……」
「ヒューマギア…ああ、君が社長が言っていた!というか本当にロボットなんだ…成る程、凄いなこれは。」
令和技術の象徴のひとつたるヒューマギア…話には聞いていたが、実物となると神山もその技術に唸らざらえない。太正世界にはこれに相当する存在は無く、やはり或人は別の世界から来た住人だと再認識させられる。
すると、『そういえば…』と初穂
「なあ、隊長さん。さっき星児のやつがすげぇ剣幕で歩いてたんだが…何かあったのか?」
「…ちょっとな、色々あって。」
どうやら、星児とすれ違ったらしい… そして、神山の気まずい表情から何となくだが初穂は察した。恐らく、危惧していたことが起こるべくして起こったのだろう。快活だった彼女の顔にも曇りが生じる。
「神山隊長、ちょっと付き合ってくれ。話がある。」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
何処かの廃工場… 何処となく滅亡迅雷netのアジトを思わせそんな空間に蒸気機関の機械類はまだ使えるにも関わらず、打ち捨てられていた。確かに旧くはあるが、勿体無いと見る人が見ればわかるだろう…。これにアナザーゼロワンが自身のアナザーウォッチを埋め込み、起動させるとその形と本来の用途を変えてビキビキッと不気味に変貌していく。命を得たように、蠢く蟲のように自らを動かし、切断し、溶接し、新たな主のために自身を創りなおす。
これに、満足げなアナザーゼロワンは微笑むと変身を解除して本来の人間の姿を露にした。金髪に中性的な顔立ちだが目付きは大蛇のように鋭く、纏う空気も怪しい…。服装はウォズのそれととてもよく似た白色のもの。
「…上場ね。」
ガラガラとした声で笑みながら、作業を続ける。機械から複数の触手を発生させると近くのテーブルまで伸ばし、 先端の眼球からビームだして何かを形成させていく。まるで、衛星ゼアがプログライズキーを創るように…
「さて、…何か用かしら幻庵? こう見えても忙しいのだけど?」
「…」
辺りの空間には何もない。しかし、来客を感じとった『彼』は居ない誰かに話しかけると…背後の景色が歪んでフードの男が現れる。『幻庵』と呼ばれた男の顔は影で見えないが、肩に力を入れている様子から察するにどうも苛立っているようだ。
「よくもまあ、白々しいな貴様。何がタイムジャッカーだ!! 帝鍵無くとも幻都を解けるという話だから、夜叉や朧も貸したのになんだあのザマは!? あまつさえ、異界の者どもが流れこんでくる始末… 状況は悪くなっただけではないか!?」
「私は『ネオ・タイムジャッカー』の『レクス』ですよ幻庵。あとその程度のことなら予想の範囲内…オーマジオウの封じ込めが出来た時点で大きな収穫よ。」
ネオ・タイムジャッカー…レクス。それは、仮面ライダージオウの物語にて平成ライダーの歴史を弄び悪逆の限りを尽くした組織の名を受け継ぐ存在。同じく、レクスも同列の存在である。また厳密には降魔ではなく、降魔側に強力しているだけにすぎない。
一方の幻庵は降魔だ。朧や夜叉と同じ上級降魔であり、異形たちの司令塔である。レクスとはあくまで協力関係にこそあるがこちらはかなり不満がたまっているようだ。
「貴様、何を企んでいる…?」
「それは、最初に言ったはず。私の目的はオーマジオウを倒すことと、『太正の1号』を手にいれること。その過程で同じく『帝鍵』を求めたからこそ共にいる。そこに何の変わりも無いわ。」
何度も言わせないで頂戴、とのらりくらりとするレクスに更に苛立ちを募らせる…。手元からズルズルと伸びる触手が呼応するようにしなり、ビュッ!!と無防備な背中へ…
「舐められたものね。」
「!」
…当たることはなく、幻庵ごと時を止められる。タイムジャッカーの固有能力『時間停止』…これの前では平成ライダーたちも為す術なく、力と歴史を一方的に奪われた凶悪な能力である。無論、降魔とて脱する術は早々無い。
レクスもこれを使え、悠々と幻庵の背後へ歩いていく…そして、去り際に一言。
「ああ、そうそう…夜叉ちゃんはもうちょっと借りるわよ。」
「…貴様!」
同時に時間停止が解除され、振り向いた幻庵の先にレクスはいない。ちっ…と舌打ちすると触手を収納して虚空を睨む。ああ、腹立たしい。変わった力と奴の語った話に興味深いと軍門に引き入れたのに全く思い通り動かないのでは意味が無い。厄介なら殺せば良いと思ったが想定以上に始末に追えない。
…されど、幻庵は口元を吊り上げた。
「まあ、良い。降魔皇様さえ解放されれば…レクス、貴様など一捻りだ。真っ先に貴様を生け贄にしてやろう。」
そして、幻庵も廃工場を去る…
残ったのは作業中の触手たち。邪悪な光が織られるテーブルの上では、新しいゼツメライズキーが誕生しようとしていた。
ゼロワン本編、ついにザイアへ反撃開始。001の出番も期待したけどまあ仕方ないか…
しかし、プログライズキーを創るには飛電インテリジェンスのラボないとキツそうだし、というよりザイア系のキーの出所って何処なんだろ。アーク産?
★★ ★★
さて、今回の話はアナザーゼロワンの正体が顔だし。ネオ・タイムジャッカーのレクス…節操の別小説『シンフォギアX:Zi-O』に登場する敵組織と同じですね。設定としては、タイムジャッカーとクォーツァーの残党を何者かが纏め上げた勢力ですが、今回はレクスしか関わらないのでジオウシンフォギア小説は見なくても大丈夫です。
あとオリジナルキャラクターの星児…、うん自分で書いてて面倒くせえはコイツって思った。今回と次のクラリス編はヘイトが上がると思いますが生暖かい目で見守ってくだせえ…(汗)