仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
クラーラ可愛いよ、クラーラ。
さて、今回は星児が面倒くさい嫌なやつムーヴしますが許したげてね。この代償はきっちり反ってくるから…ね?
感想お待ちしてます。
…翌日。
帝劇は歌劇団としての活動…即ち、舞台公演を行うことになる。そう、帝都を刃を持って守る花組のもうひとつの顔。華撃団維持の収入としての意味合いもあるが、魔を祓う祈祷の意味合いもあるのだらしい。
多々、色んな側面があるこの公演を或人とイズも是非ともと見ることになった。役者を務めるさくらも『星児さんを見返してやります!』とやる気を出していたが、一方の初穂の眼は泳いでいた…どうしたというのだろう。クラリスに至っては遠い眼で何処かを見つめている始末…
「…気にしないでくれ、本番前は皆こんなかんじなんだ。」
モギリとして劇場の窓口に立つ神山の悲しげな笑顔に見送られて、或人とイズは劇場の座席へ。施設はまあ古くはなっているが赴きはあると思う…。
「さくらちゃんたちの演技かあ…。それにしても、降魔と戦いながら役者の仕事って凄いよなぁ。」
『……或人社長、公演時間が間もなくです。私語は控えましょう。』
「え、もう? でも客席ガラガラ…」
片手で足りるくらいしか客席は埋まっていないが、開演を告げるブザーが響く。まるで、最終日の映画みたいな風通しでだけど本当に時間あってる…?戸惑う或人を尻目に文字通りに帝劇の舞台の幕が上がる。
……公演開始から数十分
「……なにこれ。」
思わず或人の口から洩れてしまう言葉。基本、滅多なことでもない限りは怒ったり、嫌みを言ったりすることはない彼からしても花組の舞台の内容は想像を絶するものだった…。
演目は『桃太郎』、仮にも軍隊の組織かつ年頃の乙女たちのやるにしてはもっと他に題材があると思うのはひとまず置いておくとしてだ。役の兼任があまりに過ぎる…主役のさくらは桃太郎一本だが、クラリスと初穂に至ってはそれぞれお爺さんとお婆さんの他に、猿と鬼役まで担うのは流石に無理がある。そして、犬とキジはリストラ……寂しい桃太郎だ。
と、まあ明らかに3人でまわすのは無理な内容な上に更に酷いのが……
「桃太郎ーォ、これで終わりだーぁ!!」
「鬼ぃ!俺が、お前を倒して村に平和を取り戻すっ!」
…演技そのもの。
本人たちは至って頑張っているのは判るが、如何せん無理に無理を重ねたこの桃太郎…今は鬼との決着であるクライマックスだが、演者たちの力み過ぎとステージのボロさが相まって滑稽に見えてしまう。…さらに、挙げ句の果てに
ガタンッ!!
「「へ?」」
なんと、演技中に床板が抜ける。そのまま、さくら桃太郎と初穂鬼はまっ逆さま…岩のセットも倒壊して隠れていたクラリス猿が露呈し、『う、うき!』と誤魔化しながらその場を逃走。同時に舞台の幕は降りていった。
「ふひひ、これが見たかったんだ!」
「流石、花組! 今日も笑わせてくれるな!」
数少ない観客も目当てはこの花組の醜態。『笑うな!』と怒りたいが、残念ながらこのクオリティでお金をとるなら真面目な演技を期待した一般客の場合どれだけのクレームが飛んでくるか…。
「これ、本当に大丈夫なの……」
…事態は深刻。
そんな一部始終をある客席から星児が険しい顔で見ていた…。
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
「今日も散々だったな…痛つっ…」
「気分は最悪です。」
初穂が気だるげに洩らす声とクラリスの嘆き…
帝劇2階のサロンに花組のメンバーは集まっていた。カフェのような雰囲気があるこの空間は彼女たちの憩いの場…しかし、丸テーブルを囲う乙女たちの顔は憂鬱そのもの。湿気がジトジトと上がりそうな空気だ。
神山も或人とイズを連れてやってきたものの、『あー…』と顔に手を当てた。
「やっぱりこうなってたか…。おい、皆…気持ちは察するけども、うじうじしててもどうにもならないぞ。」
「だけどよぉ、隊長さん。なら、どうしろって言うんだよ。」
「それは…」
「もうふたりともしっかりしてよっ!!落ち込んでる場合じゃ…!! 華撃団大戦も近くなってるんだし!」
さくらが叱咤するも、逆効果。『はあ…』とため息をつくばかり…。特にクラリスは悲壮な顔をしていた。
「こんな演技じゃ無理ですよ。それに、光武も私や初穂さんの機体はもう動きません。帝都の笑い者から世界の笑い者になるだけです…。」
「クラリス!」
「だな…。これじゃ、土俵にすら立てねえ。」
「初穂まで!」
華撃団大戦? 首を傾げる或人…すると、察した神山が説明してくれる。
「華撃団大戦ってのは、2年に一度に開催される世界中の華撃団が演技と戦闘の技術で頂点を競い会うイベントだよ。それが今年は帝都が開催地なんだ。」
成る程、いわば華撃団オリンピックというところか。或人たちはまだ上海華撃団しか出逢ったことはないが、世界中にはまだまだ沢山の華撃団がある。そして、彼等は向かう先を帝都に向けており、その戦艦の幾つかには或人と同じ『仮面ライダー』が乗っていることはこの場の誰も知らない。
「へぇー…。でも、これじゃ…」
「すみれ支配人も何か策があるようだが… 時間は限られてきている。このままだと、厳しいな…」
神山はすみれが独自に動いているのは聞かされていた…が、彼女たちに演技指導出来るとしたらそれこそすみれだけなので、自力があげられないというジレンマ。花組隊長として上司を信じてはいるが、現状は中々歯痒いものがある。ならば、自分がしっかりしなければ…自分まで落ち込んでしまえば完全にこの花組の心臓は止まるのだ。情けなくとも拳を握り、今はこらえ…
「無理だろ、このザマでよ。」
「星児…!」
その時、冷たい言葉が皆の胸を刺す。
星児だった……付き添っていたカオルが制止を振り払いながら、歩いてくると不甲斐ない少女たちを見下していた。怒り、侮蔑、向けられる感情は無慈悲。おおよそ仲間に向けるそれではない視線。
「お前ら、本当に帝劇守る気あるのか? 戦闘も演技も何一つろくに出来やしねえくせに華撃団大戦…? ふざけんな。あとどれだけ帝国華撃団の看板に泥を塗れば気が済む? まだ足りないのかお前たちは!!」
「坊っちゃん!言い過ぎです!」
「黙ってて下さいよ、カオルさん。俺はコイツらが許せねぇ。何だって、おふくろはこんなズブの素人だらけの連中に……!」
「星児…!!」
見るも聞くも耐えられず、とうとう掴みかかる神山。胸ぐらを掴むが、星児は動じずキロリと目線を移す…
「なんだよ。お前だって自分が隊長に相応しと思ってんのか?」
「なに…?」
「調べたぜ……お前のこと……海軍にいた時のこと……『自分の艦を沈めた間抜けの船長』だってなぁ!!!」
「っ!?」
次の瞬間、バンッ!と乾いた音がして星児がよろめいた。上がる少女たちの悲鳴、拳を握って震える神山…。例えるなら、逆鱗に触れた……普段は温厚な彼からすれば、或人は愚かさくらたちも驚く一面だった。
すると、星児は口元を拭うと不敵に笑い背中に背負っていた双剣を抜き放ち逆手で構える。
「気に入らねえか、なら来いよ。白黒つけてやる。」
「…貴様ッ!」
対して、神山も腰の二刀流を抜き放つ。まずい!このままでは下手な怪我で済む問題ではなくなる! 咄嗟に神山をさくらがおさえ、星児を或人が抑えにかかる。
「落ち着いて下さい、神山隊長!! 今、こんなことをしてる場合じゃないでしょ!!」
「星児さん、あんたも挑発しないでよ!」
されど、刀を持ち頭に血がのぼった大の男2人… 完全に危険なこの場を止めるにはまだ足りなかった。強引に或人とさくらは振り払われ触発状態に。もう生身で止めるのは厳しいと或人はゼロワンドライバーを……
「望月流忍法 影縫い!!」
「「ッ!?」」
つけようとした瞬間、シュッと何処からともなく現れたクナイが神山と星児の影に刺さり…文字通りに彼等は金縛りのように動けなくなる。すると、そこへ黄色いメイド服のような服装をした小さな少女が現れる。黒髪で目付きが鋭く、今の技とシュタッと軽快な着地は『忍者』のよう…
さくらは気がついた……
「あざみ!? 何処行ってたの…演劇も放り出して!!」
「あれ、今日だったっけ?ごめん。」
『望月あざみ』…彼女もさくらやクラリス、初穂に続く花組のメンバーである。最年少で、単独行動が多く滅多に帝劇にいない。(実は、先の桃太郎の犬やキジの不在は彼女が一員であったり…)それ故に、メンバーとの再会は数日以来で或人と出逢うのは初めてであった。
あざみは舞台サボリを平謝りすると、神山の足許からクナイを抜いて彼を解放する。
「隊長、落ち着いた…?」
「あざみ……。」
我にかえった神山。心配そうに覗きこむあざみの顔に、テーブルを倒して尻餅をついて呻くさくらや驚愕しているクラリスと初穂。やっと自分が何をしてしまったのか理解した。
「…………すまない、頭冷やしてくる…。」
そう言い残してサロンを後にする神山。
同じタイミングで、紫電を発生させてクナイを弾き自力で脱出した星児。ドアを開け、見えなくなる背中にだめ押しと吐きつける。
「腰抜け。」
「ッ!」
今度はさくらが爆発しそうになったが、察した初穂が肩に手を置いて制した。やがて、星児も言うことが無くなったのかカオルと一緒に立ち去っていく。
嵐は去った…されど、尚も暗雲は渦巻く
最中、さくらは気になっていた。
(神山隊長が……艦を沈めた? どういうこと?)
原作だとあざみはまだ登場してないんですが、あんまり展開がモタモタしないように既に神山は認知しているという設定で出しました。神山の性格もある理由から、原作より前向きですが例の事件がトラウマになっているのを押し出した展開です。本当、面倒くさい2号ライダーみてえだな星児…
アニメはゲームで無かった初穂のシナリオが来て嬉しみ。そして、クラーラが可愛い。可愛いよ、クラーラ。多分、この小説には出せないけど…