仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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クラーラァァァァ!!!!?(アニメ感想) 哀しみに悶えるわしです。





夢見た幸せ/手離す夢 Ⅲ

「脚本?」

 

「…はい、そうなんです。」

 

 

帝劇の書庫に移動した3人。そして、クラリスは事情を語る。すみれ支配人から任されたのは演劇の柱のひとつである『脚本』の仕事……理由は本が好きだからということ。 『歌劇団』としての活動は華撃団の収入・維持などに強く影響する重要な部門…どんなに良い役者が揃おうとも脚本が形にならなければ何も出来ることはないのは言うまでもないが、活動の柱になる責任重大な仕事である。

 

しかし、だ…

 

 

「いくら書庫の管理を任されている身とはいえ、私は素人…しかも、創作活動自体がはじめてで…。」

 

 

クラリス、いくら本が好きで自室にも本棚を置くくらいだが…初・脚本の『素人』なのである。確かに、帝国華撃団の中で脚本を書ける素質があるとしたらクラリスしかいないだろう。だが、元より創作活動の経験も無い彼女はいきなりの大役にかなり参っている様子だった。

 

溜め息をつく彼女…されど、テーブルの上には文章が書き込まれた原稿の束が小説の単行本並みに積まれていた。口では自信なさげだが、クラリスなりに帝国華撃団としての役目を果たそうとしているのが窺える…。

 

 

「はぁ…やっぱり、私なんかが、脚本なんて…」

 

「そうかな? ひとりでこれだけ…しかも、はじめてでここまで出来るのは凄いと思うけど。」

 

「後々、添削すればかなり薄くなりますよ? それに私の書く物語はどうしても……」

 

 

……どうしても? そう言いかけたところで『な、何でもありません!』と誤魔化した。

 

一方の星児。書きかけの脚本を手にとって文章に眼をおとす……それに気がついたクラリスが声をあげる。

 

 

「あっ!? 待ってください! まだ読める段階じゃ!?それにまだ日本語に訳してない部分も……」

 

「構わねえ、読めるからな。」

 

 

創作者の中には自分が中途半端な状態の作品を見られることを嫌がる者はいるが、彼はお構い無しに読み進める…。原稿をめくり、1枚…また1枚と…。

クラリスは生きた心地がしなかった。もし自分が神山の時に向けたような怒りを向けられたら太刀打ちは出来ない…。心臓が締め上げられるような緊張が襲う。

 

 

 

……そして、怯えること数分

 

 

 

 

トントンッと机上に原稿が整えられ…

 

 

「面白かったぞ。」

 

「ひっ!? ごめんなさ…… …へ?」

 

 

面白…い? 怒らないの?

 

こっちはかなり身構えてたんだけど… つまんねえ脚本書きやがって! やっぱ、華撃団にお前らは相応しくない! ぐらいは飛んでくると思っていたのに……拍子抜けだ。

 

 

「全体的にまだ荒いが、主人公の葛藤する部分…そこに眼を惹かれる。ここからどう這い上がるかが見所ってところか。うん、良いと思うぞ? 良い気分転換になった。また見せてくれ。」

 

「は……はい。 え? また?」

 

 

さらっと次なる爆弾をセッティングしていった以外は本当に何もなく書庫から去っていく星児。或人はその背中に微かに張りつめた空気が弱くなったような気がした……

 

一方、逆に顔を険しくしていたのはイズだった。

 

 

『或人社長、今のはかなり危険を伴う行為です。彼が暴力等に及ぶ可能性は充分ありました。』

 

「うん。でも、今回は偶然が重なったとはいえうまくいったんじゃないかな?」

 

「はい? …しゃ、社長さん?」

 

 

どういうことだろう……話が見えないクラリス。すると、或人は事の経緯を説明する。

 

 

「星児さんを問い詰める時、下手をしたらまた危ないことになりうるのは予想はしてたんだ。でも、踏み込まないと星児さんを動かす夢もについてはわからなかったし、クラリスが頑張ってることも伝わらなかった。だから、ちょっと博打をね…!」

 

「…成る程。ん? ちょっと待ってください! 脚本については社長さんには今はじめてお話したはず……」

 

「ごめん、実は神山さんから既に聞いてた。タイミング逃して言いそびれたけど…。」

 

 

重要視したのは『星児の隊長を目指す動機を知ること』・『今の花組も精一杯頑張っていることを理解してもらうこと』の2つ。正直、星児の花組たちの第一印象があの桃太郎モドキ(?)なのは不味かったと感じていた…。人間というのは人間関係のみならず、学問などに至るまで第一印象という先入観は時にプラスにもマイナスにも作用することは営業も自ら行う社長である或人自身も嫌というほど味わってきた。好印象のものはすんなり受けいれやすいが、逆もまた然り。しかも、悪印象は覆すのが本当に容易ではない……

 

それこそ、ヒューマギアの暴走のように…

 

 

「それに、あの星児さんが褒めてたんだから、自信持っていいんじゃないかな?」

 

「そ、そうでしょうか…?」

 

確かに、悪印象スタートの星児が褒めるくらいなら脚本の内容は悪くはないはず。それに、彼の花組に対する印象も少しは変わったと信じたい…

 

 

(それに……)

 

 

或人の脳裏に過るある時の神山とのやり取り…… 実は彼からある相談を持ちかけられていた。

 

ーークラリスちゃんに自信を持たせたい?

 

ーーああ。難しい相談なのは分かっているが…社長という目線から何か良い案は無いか?

 

 

 

(これもたまたまだけど、うまくいったかな?)

 

 

クラリスに自信を持たせたい…… 自信は確かに過剰なら慢心を孕む危険性はあるが、極度の低さはその人の秘めるポテンシャルを引き出すのを抑えてしまう。彼女はまさに後者にあたるとして、どうにか背中を押す何かがあればと考えていた。そこで、社長という立場の或人に相談したのだった。

 

……その効果は

 

 

「……もう少し、頑張ってみようと思います。」

 

 

少しはあったようだ。

 

さて、これ以上は居座っても邪魔だろう。或人とイズは彼女の執筆作業を妨げないようその場を後にするのであった……

 

 

 

 

 

 

★★ ★★ ★★ ★★ ★★

 

 

 

 

 

 

自室に戻った星児…… ベッドに身を投げ出した彼は枕元のある写真を手にとって眺めていた…。かつての花組の隊長だった白い制服の青年とボロい服を着てボサボサの髪をしていた自分が映る写真。もう10年以上前のもので、自分が帝劇にきたばかりの頃の1枚。

 

 

(俺は……どうしたら良いんだ、大神隊長…。)

 

 

信じてきた……かつての花組と自分の母を。

 

そして、自分の夢を。隊長になれば、きっとそれが帝国華撃団再建に繋がると……

 

行ってしまった憧れの人たちの帰る場所が守れると。しかし……

母は見知らぬ男を隊長に選び、隊員たちはズブの素人が大半を占める上に、帝都からの笑い者に成り下がった帝国華撃団。極めつけはあの『アナスタシア・パルマ』……名声も悪名も高い大女優。演劇の経験者は必要なのは事実だが彼女はいわば『劇薬』、扱いをしくじれば間違いなく帝劇は潰れる。加え、彼女をバックアップしているのは因縁深き『あの男』……

 

最早、人材育成など悠長なことは言ってられないと独自に勧誘活動をしたが、結局は昔の繰り返し。焦った挙げ句の果てに、愛機も失った…。

 

 

そして、突きつけられる自分の夢の行き着く先…

 

 

(自分が『代わり』だなんて考えたことはなかった…。でも、俺は無意識にそうなっていた……おふくろはそれを見抜いていたのか? だから、俺が旅に出るのを眼を瞑ったのか? 再建の時に俺を呼ばなかったのか?)

 

頭の中で悶々とする幾つもの考え……そんな時だった。コンコンッとノックする音。

 

 

「おーい、星児。いるか?」

 

「初穂?」

 

 

来客は初穂だった。むっくりと起き上がると『入っていいぞ』と招きいれる。入ってきた彼女はかなり心配そうな顔をしていた……。正直、神山へした罵倒が彼女の彼女にも架かるため顔をあわせ辛いのだが…

 

 

「よお。元気か……」

 

「…」

 

 

ぎこちない挨拶。普段の彼女の快活さからは考えられないくらいの歯切れの悪さ……解ってる、自分のせいだ。

 

 

「あのさ、やっぱりアタシらちゃんと話しあうべきだと思うんだ。花組の全員とすみれ支配人とで。でなきゃ、華撃団大戦どころじゃねえし。うまく言えねえけど、これじゃ駄目なんだ…このままじゃ本当のスタートは切れないと思う。……なあ、アタシの言いたいことわかってくれるか?」

 

 

ああ、解るとも。だから…… 確認しなくては

 

 

「なあ初穂……もし、俺が神山に代わって隊長になったらどうする? 俺についてきてくれるか?」

 

「えっ… そ、それは………」

 

 

今の花組で隊長になったらどうなるか?

 

初穂は喉を詰まらせた…… 星児を前に『神山についていく』とは言い辛いが、首を縦に触れない自分がいることに気がついた。そして、ふたりを天秤にかけてどちらにも降りきれないことに…

 

 

「卑怯だぜ、その質問……」

 

「…悪い。答は今じゃなくて良い。」

 

 

このタイミングですぐに答を求めるのはあまりに難すぎた。別に急ぎはしない…心無い答が返ってくるより、ちゃんと考えてもらったほうが納得出来る。それに、彼女は責められないだろう…自分が留守の間、神山が来る前より帝劇を支えていたのは彼女なのだから。

 

 

「不甲斐ないな…俺。」

 

「不甲斐ないのはアタシさ。帝国華撃団に居座るだけ居座わって、さくらのように前向きになることも、クラリスのように脚本を書く事だって出来ない。何も出来てないのはお前の言うとおりだよ。」

 

 

部屋に充ちていく湿っぽい空気。ここをつつくのはお互い傷を深めるばかりだろう。この話題はやめよう…

 

……もうひとつ気になることを訊きたいこともある

 

 

「もうひとつ聞きたいことがある……クラリッサのことだ。」

「クラリス…? なんでだ?」

 

「アイツの脚本を見た。それで、気になることがあってな…」

 

 

クラリスの原稿を読んだ時、ボツ原稿とプロットとおぼしきメモらしきものが紛れこんでいたのでそれらも読んでみた…そして、気がついた。幾つもの物語をイメージして構成を考えている…面白いとも感じる…。しかし、その全てが悉く『同じ結末』になっていることに違和感を抱いたのだ。

 

 

…不思議とそれが、彼女の大きな問題に繋がるような気がしていた。

 

 

 

 

 




湿度が高めな今回の話。申し訳ない。次回はお待たせの神山とクラリスのデート回!

戦闘もある予定。


さて、ずっと出ていたアンートはクラリス編終了と同時に締め切り。たっくんと万丈がぶっちぎりなのはたまげたなぁ…。

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