仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
ああ、身体が勝手に!?(職場が変わる前にもう1話投稿しとくゾンZ。)
……今回の話を描いて思ったこと。
神山とクラリスのデートが突然、ジオウになっていた。何を言ってるかわからねえだろうが、俺もわからねえ…ッ!
…銀座横丁
お昼時が近い今、ここは空腹を満たしたい人々や路地の商店などに用がある人々でかなり賑わう。神山とクラリスもそろそろおなかの虫が鳴る予感がしたため、ある中華料理店の前に来ていた。
「し、神龍軒…!」
「そんなに身構えなくても大丈夫だよ、クラリス。」
彼女が強張る理由…そうこの神龍軒は上海華撃団の帝都での活動拠点だからである。帝国華撃団と上海華撃団の関係性は御世辞にも良いとは言えない。事実上、上海華撃団に丸投げだった帝都の護りなど理由は等々あるのだが、何よりも隊長であるシャオロンの苛烈な性格もあって苦手意識を持つ者は帝国華撃団の中でも多い。クラリスもまたその1人であった。
しかし、神山はあまり気にしておらずそれなりの頻度でこの神龍軒へ足を運んでおり、シャオロンや隊員のユイとも交流を持ち軽口を言い合えるくらいの仲になっていたりする。
「さ、行こうか。ここの炒飯は絶品だぞ。」
「た、隊長…」
渋るクラリスの手を引き、いざ入店。並ぶ回転テーブルの客たちの賑わいに正面の厨房からの活気が圧倒的で、更に中華料理特有の香ばしい匂いが胃袋を刺激する…。そして、ウェイターを務めるユイが気がつき声をかけてきた。
「いらっしゃいませ…! って、なんだ神山か。へえ、今日は女の子連れねぇ…珍しい。もしかして、『お持ち帰り(意味深)』ですか~ぁ?」
「冗談きついぜ、ユイさん。」
「?」
出迎えのブラックジョークに苦笑しながら、ニシシと笑うウェイターに案内されて席につく。クラリスは料理の持ち帰りのサービスか何かのことかと考えていたが、ユイのジョークの意味を知るのはまだまだ先のことである。
「いつもの炒飯で良い?」
「ああ、2つ頼む。」
「ハイー、炒飯2つ入りましたー! シャオロンお願い!」
「応ッ! いくぜいくぜいくぜぇぇ!!」
厨房から中華鍋を操るシャオロンと炎と油が踊る音が響いてくる。
さて、今更ながら上海華撃団は帝都で演劇の活動は行っていない…。理由は様々あるだろうが、旧・帝国華撃団の聖地である帝都でいくら代わりに護りを任された身であるが、堂々と演劇をしてしまえば自分たちが後釜と宣言しているようなものである。そうなれば、他の華撃団からも快く見られる可能性はあまり高くない上に、上海華撃団にもそれには異を唱える声があった…。しかし、歌劇団に代わる収入源はやはり必要で、そこで開かれたのが『神龍軒』と専らの噂。シャオロンが隊長自ら厨房に立ち、ユイをはじめとした団員がウェイターとして活動し上海華撃団の収入源としているのだ。
「凄い活気ですね。上海華撃団、演劇も料理も戦闘も、全てが一流…私達とは大違い…。」
「そんなことないよ。俺たちも少しずつだけど前に進んでる。アナスタシアだって来たんだ、これからだよ帝国華撃団は。」
しょんぼりするクラリスを慰めながら、料理が来るのを待つ神山…。その間も彼女は申し訳なさそうにしながら喋り続ける。
「今日は本当にありがとうございます、神山隊長。私のわがままに付き合ってくれて…」
「水臭いな、仲間じゃないか。脚本づくりに役立つならいくらでも付き合うよ。ところで、今日のやりとりは良いネタになりそうかい?」
「はい。良い刺激になりそうです…。」
こんな程度でも役立つなら幸いだと神山。しかし、クラリスの顔はまだ翳りが目立つ… 何か後ろめたいことがあるように。
「神山さん…私の脚本は、どうしてもハッピーエンドを描けませんでした。何度も構成を直したり、キャラクター像を練り直しても、『こんな都合な良いことが起こるわけがない』『こんなこと出来るわけない』という考えが先行してしまって、苦しい物語…悲しい結末で終わってしまうんです。本当はもっと皆が笑ってもらえる物語を描きたいのに…。悩んでいるうちに演劇のレッスンにも集中出来なくて。 そのことをすみれ支配人に相談したら、神山さんなら解決してくれるかもしれないと…」
「…そうだったのか。」
面倒くさいことを丸投げされたのではなく、信頼された結果だと思いたいがそれは置いておいて……
「なら、クラリスにはもっと笑顔になってもらわないとな!」
「へ?」
「皆が笑顔で楽しくなる物語を描きたいなら、描いてる脚本家も笑ってなきゃ駄目だろ?」
幸せな物語は幸せを何か理解していなくては描けはしない…だから、もっと楽しいことや明るいことを知るべきなのだろう。本の上で創られる世界ではなく、直接触れられる現実の世界で。
特に神山は、他意があって言ったわけではないがクラリスは顔を赤らめる。同時に、丁度出来上がった炒飯を持ってきたシャオロンが呆れ顔をしていた…
「うわ… お前、真っ正面からそんな歯の浮くような台詞言えるのかよ。」
「ん? なんか、変なこと言ったか俺?」
自覚無いんかい。まあ、良いや…と炒飯を置いていく。香ばしい匂いが、食欲をそそる皿に盛られた小金色の穀物の山はそのひとつひとつが卵によってコーティングされているため、砂金のような輝きを放つ。これが、神龍軒の看板メニューである炒飯…『炎の飯使い』と謳われるシャオロンだからこそ産み出せる至高の一品。クラリスはあまりの輝き具合に戸惑っていたが、神山は待っていましたと舌鼓を打つ。
「え… これ食べ物なんですか? 金属みたいな光り方してません?」
「大丈夫だよ。これ、すごくうまいんだぞ。帝国華撃団・隊長のお墨付き。」
「なんですかそれ。…ふふ、わかりました。それじゃ、いただき……」
「イタダキマァァーーーーース!!」
「「!?」」
いざ、食べようとした瞬間……突然、横からヌッと伸びてきた手がクラリスの皿を取り上げ、横取りした輩の大口の中へ放りこまれる。何事と顔を上げれば、見覚えのある忌々しい黒フードとせせら笑いが立っていた。
「う~ン、中々だぞ。ご馳走さまだぜ帝国華撃団!」
「朧!!」
上級者降魔・朧…いつの間に。或人に致命傷を与え、暴虐の限りを尽くしたのは記憶にまだ新しい…。シャオロンも奴を知っていたため咄嗟に身構えるが、前回遭遇していないクラリスは人間に近い朧の姿も相まって状況を呑み込めずにいた。
「神山隊長、この方は……」
「気をつけろ、コイツは降魔だ!」
警戒を促す神山だったが、かえってこれが悪かった。降魔という単語に反応した他の客たちにどよめきが起こる…もし、ここで朧が力を使えば間違いなくこの場はパニックである。しかも、こんな人混みの中で刀など振るえないため状況は圧倒的に不利である。
されど、そんな穢らわしい降魔が自分の店に土足で上がり込んできていることに我慢ならないのがシャオロンだった。
「おいクソ降魔、なに勝手に俺の店に上がってきてんだよ。この店は降魔御断りだぜ。またぶちのめされたくなかったら、とっとと失せろ。お前にやるものは米一粒ありゃしねえぜ。」
「おぉ?ソイツは失敬…。なんせ、降魔御断りなんて看板は全然見当たらなかったからなぁ? 次からぶら下げておくことをお勧めするゾ?」
「ハッ、降魔なんざ帝都中の店全部で門前祓いだっての。」
挑発の応酬…しかし、生身で仮面ライダーとまで渡り合う朧にいくら隊長とはいえ、シャオロンには勝ち目は無い。何とか状況の打破を考える神山を尻目に、朧はねっとりと物色するような視線をクラリスへと移すとニヤリと笑う。
「お前らはどうでも良い…目的はテメェだ。」
「…私?」
狙いは彼女と手を伸ばす… 無論、それを許すわけがない。
「兄貴ッ!」
「変身。」
【 CHANGE / KICK HOPPER 】
シャオロンの叫びに応え、厨房で準備にあたっていた矢車がエプロンを脱ぎ去りながら飛び出しキックホッパーに変身し飛び出すと、悲鳴がごった返す店内を突っ切って強引に朧を叩き出した。途端に銀座横丁は阿鼻叫喚の嵐となり、パニックとなった人々が右往左往しはじめる… それでも、十分な間隔をとれただけマシか。
「蟲の入店は御断りだ。」
「お前だって蟲だろうがァ…!」
「なんとでも言え…クロックアップ。」
【 CLOCK UP 】
上級降魔相手に間髪いれずにクロックアップで一気に仕掛けるキックホッパー。いくら上級降魔といえど、高速で動きまわる相手には為す術が無く一方的に蹂躙される一方で、後を追って店内から出てきた神山たちは息を呑む。
「凄い…上級降魔を単独で…!」
「応よ。矢車の兄貴の強さは桁違いだからな!」
シャオロンも太鼓判を押すほどのキックホッパーの実力。もしかしたら、ゼロワンとも退けをとらない存在なのではと戦慄する中、クロックアップが解除…なぶられていた朧が転がった。そこへ、キックホッパーのライダーキックが迫る!
「ライダーキック。」
【 RIDER KICK 】
「ぐああああああああああああああ!?!?」
プラズマが迸る一撃が容赦なく悪魔を砕き、爆発を起こした。キックホッパーも弧を描いて着地…断末魔に勝利を確信……
「……まだか。」
…することはなかった。
まだ煙の中で蠢く影が窺える…まだ仕留めきれていない。
『アアッ、いってぇなぁ?? 本当、イライラするぜお前らはよぉ…俺の大事な荒吐はまだ直らねえし、夜叉の奴にはゲロって馬鹿にされるわ、幻庵のクソ野郎は更にイキりあがるわロクなことは無え。』
様子は詳しくわからないが、不気味に発光してそのシルエットは人型から徐々に隆々とした『怪人』のそれへと変化していく…。晴れていく煙の中から現れるのは降魔ではなく、どちらかといえばアナザーゼロワンを彷彿とさせる醜悪な異形の姿。ただモチーフ元は違う。青い人狼を思わせるボディに、強引にチューブで縫いつけられたようなネービーブルーが鈍く輝く装甲の機械的な鎧。鋭い牙が覗くせせら笑いを浮かべる顔には、その本性を隠すように人間の皮が破けかけたようなアイマスクに頭蓋は一部が砕け、露出する脳とおぼしき部分にはプログライズキーのようなパーツが刺さっている…。
『まーあ? 何にせよ、丸腰で来るわけねーだろ?』
全体像が露になった時、一行はその醜悪さに後ずさった。まるで、人の理性を喰い破って這い出そうとする邪悪な獣性をそのまま表したような怪人がそこにはいた…。そして、不破や唯阿がいれば気がついたであろう仮面ライダーバルカンのアサルトウルフを彷彿させると…
【 バ ル カ ン 】
『お前たちをいたぶるために、とっておきを用意したぜ?』
そう、仮面ライダーバルカンのアナザーライダー…『アナザーバルカン』。バルカンが怒りを燃やして人類を守護する狩人だと言うのなら、こちらは嗤いながら人へ仇なす人狼といったところか…
この力の発現、もといアナザーウォッチの出所は間違いなくアナザーゼロワン…ネオ・タイムジャッカーのレクスだろう。奴が手を加えたのは決して、夜叉だけでないのだ。
『取り敢えず、死んでもらおうかなァ!!』
「!」
胸の眼球をギョロギョロと動かし、逆襲と言わんばかりにキックホッパーへと襲いかかるアナザーバルカン。鋭い爪で、緑のヒヒイロカネの装甲に傷をつけ、殺しきれない衝撃で変身者を間接的に斬り刻む。キックホッパーも応戦しようとするも、圧倒的にパワー負けする相手に、圧される一方で火花が散り…ついには首を締め上げられる。
「ぐ…あ…」
『ひゅー、いいざまだねぇ?えぇ? 命乞いでもしたらどうだ?虫けらくぅぅん?』
「兄貴!」
「矢車!」
キックホッパーの窮地に助けに入ろうと駆け出すシャオロンとユイ…しかし、グイッと突き出されたキックホッパーに勢いを削がれてしまい、そこへ投げつけられる仮面ライダーのボディ。シャオロンはキックホッパーの下敷きに、ユイは気をとられた一瞬を張り手で弾きとばされ、神龍軒の壁へ激突…意識を失い戦闘不能になってしまう。
「シャオロン! ユイさん!! 貴様!」
『邪魔だ、どけ。』
神山も応戦しようとするが、アナザーライダーと生身の人間では相手になるわけもなくアナザーバルカンの腕に備わるガトリングガンの弾丸を受け、その場に踞ったところを蹴り転がされてしまった。取り残されたクラリス…そこへ、異形の魔の手が迫る。
「た、隊長…!」
『おおっと、自分の心配をしたほうが良いぞお嬢ちゃん??』
「…!」
「クラリス、逃げ……ッ!」
神山が逃げるよう促そうとしたが、時既に遅し。少女は強引に掴まれ取り押さえられると、アナザーバルカンが反対の手に持つアナザーウォッチを起動させて腹の中に埋め込む。同時に、あまりの耐え難い苦痛にクラリスは悲鳴をあげその姿を変えていきはじめた…。
「いや、嫌ああああああああああああああああああ!!!!!」
「クラリス!!」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
…ほぼ時を同じくして、なんとか神山たちへと追いついた星児や不破、さくらたちが見たのは倒れ伏す上海華撃団に見たこともない『2体の異形』。神山の前に立つアナザーライダーたち…
片方はアナザーバルカン……もう片方は…
【 ダ ブ ル 】
シアンと黒の怪人を継ぎ接ぎして縫い合わせたような半分このようなアナザーライダー…『アナザーダブル』。
…………朧の術中に嵌まったクラリッサ・スノーフレイクの成れの果てである。
感想欄でもアナザーライダーになって出直してどうゾと言われていたのでアナザーライダーになった朧くん。(※最初の構想からアナザーライダー化は決まってました) …仮面ライダー朧も夜叉と対になる形で考えていたりもしましたが、滅ベースの仮面ライダーって朧に似合わないのと安直過ぎるなということでアナザーバルカンになりました。
不破さんと朧って対象的でこそあれど共通点がなくない…?
アナザーバルカンの設定は後々。因みに年号は脳ミソにぶっ刺さってるプログライズキーのようなパーツに『TAISHO-29』と刻まれています。そして、不破さんからゴリライズパワーを奪ったわけではないのでバルカンは健在ですので御安心を。
尚、クラリスのアナザーダブル化したのは描いてる途中の思いつきだよ!(迫真)
感想お待ちしてます。