仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
可愛いよ、クラーラ…可愛いよ。そして、最後の最期まで報われなかったお姉ちゃん。レイラお姉ちゃんへの救いは何処…。
最終回はなんだが、やりたいことを足早にやってのけたみたいな感覚がありますね正直なところ。あとゲームとアニメに共通する印象なんですが、敵キャラクターの掘り下げが薄い。良い素材なのに、調理が中途半端なかんじなんですよね…だから、二次創作は弄りやすいというのはあるんですが。
アニメはクラーラをさくらたちが帝国華撃団に迎え入れるという話より、彼女が成長して帝国華撃団として足を踏み出す物語だと感じました。恐らく、ゲームにせよアニメにせよ続編はある雰囲気なので今後の展開に期待です。
ゼロワンの感想……。
ついにアーク復活。恐るべき人間の悪意をラーニングした存在と言われてますが、アークの発言で産みの親である天津垓の発言を『機械』を『人間』に置き換えただけという印象。これは、或人の『人間を理解していない』という部分に繋がるのではと感じます。
そして、ラスボスがどうして仮面ライダーなのか。いわば、アークゼロは衛星アークのゼロワンであり、人間を滅ぼすために産み出した存在。しかし、悪意だけで構成されたその存在は不安定で不完全故に始まりにすらまだ立てていない姿の『0』。
一方のゼロワンは人間やヒューマギアの希望を託された存在であり、人の手に産み出された技術を表すのがライジングホッパーの黄色であり、人の意志で制御されるからこそ人間の血と同じ赤色の目なんだと思います。故に、初変身のメタルクラスタではあえて赤が消える演出は人の手を離れるという意味合いがあるのだと思います。ヒューマギアの意志で制御してもそこに本当に生きている者の意志は無いからこそ瞳の色は変わらないのだと。そして、次なる姿は人の意志を取り戻してヒューマギアと共に手をとりあう未来へ進む姿…『1』を超えた先なんだという意味合いがあるからこそ初期形態に近いし『2』という数字を冠するのだと。
…さて最後に 次回ゼロワンタイトルの
1000%僕のともだち
ど の 口 で い っ て ん だ
「…そもそも、君達は色々とおかしいと思わなかったのか? 何故、帝国華撃団を勝手に出ていってた身でありながら、名門華撃団であるロンドンにどうして身を置いているのか? いくら、すみれ支配人の名前が通るといっても縁もない異国の地で無理があるとは思わないかい?」
確かに。言われてみれば、無断で組織を離れるような輩を旧花組の忘れ形見としても異国の華撃団が手を伸ばして欲しい人材とは思えない。星児輩神山のような霊子戦闘機への男性適合者は技術向上がはかられた今でも、霊子甲冑からまあ毛が生えたかくらいしか増えていない貴重さだが、無法を働く奴など普通の組織はむしろお断りだろう。
「師匠、つまりどういう…?」
「星児は、無断で出ていったんじゃない。あの子自身はそう思っているかもしれないが…実際は違う。裏ですみれ支配人が根回しをしていたのさ。彼女と繋がりがあるロンドンの騎士のツテでね。」
なんと…!? でも、何故にすみれ支配人は星児を離れさせようとしたのだろうか。方向性はどうであれ、帝国華撃団再建への熱意は本物である意味、誰よりも長くそれに関わってきたであろう彼をどうして異国の華撃団に?
…その疑問に到達すると、目を伏せながら白秋は語る。
「彼は物心つく時には母親と一緒に帝国華撃団再建へと共に走ってきた。だが、まだ当時は幼く力も無い彼では傷つくばかりだった。周りの大人は『旧・帝国華撃団の忘れ形見』『親の七光り』以上の存在でしか星児を見てこなかったからさ。度々、心無い言葉を浴びせられ、傷つきながらも、母親や帝国華撃団のためと歯を喰い縛りながら笑って心を砕き続けるのを…私は見てられなかったよ。」
遠い記憶… 雨で濡れた彼。笑って誤魔化すが、徐々に心身共々磨り減らしていき若さの輝きが翳っていく様子は周囲から見ても明らかだった。そして、それを間近で見ている母親ともなれば…胸を痛めるのは必然だろう。
「だからこそ、彼女は断腸の思いで帝国華撃団から星児を切り放すと決めた。これ以上、我が子が傷つき続けるのを止めるためにロンドン華撃団に託すと決めたんだよ。ロンドン側もサー・ガヴェインの進言や事情を理解して受け入れることにしたのさ。 ……しかし」
「「…?」」
白秋の顔の陰が濃くなる。が、すぐにそれは気配を潜めて明るい顔を見せる。
「ああ、これ以上は当事者から聞いたほうが良い。私が語れるのはここまでだ。それじゃ、私はすみれ支配人のところへ行こうかな。」
「へ!? し、師匠! 何も肝心なところ話してないじゃないですか!? 師匠! 師匠!?」
そのまま、核心を全く語らず去っていく彼女に唖然とするばかりのさくらと或人。フリーダム過ぎる立ち振舞いで呆気をとられていた弟子と客人… 一方で或人は星児のことを考えていた。
「ねえ、さくらちゃん。星児さんはロンドン華撃団にいた期間はそう短くないはずだよね。わざわざ、ランスロットさんが迎えに来るくらいだからそんなに仲が悪かったとは思えないし……。なんで、ロンドン華撃団を無断で飛び出して戻ってきたんだろう?」
「…それは、帝国華撃団の隊長になりたかったからじゃないです?」
「だとしてもだよ。無断で…っていうのが引っ掛かるなあ。もしかしてだけど、白秋さんはロンドンで何かあったのを知って呼び戻したんじゃないかな?」
今までの話を纏めるに星児はそれなりの期間は在籍して、ランスロットの様子からロンドン華撃団での人間関係も悪くはなかったようでもある。普通に過ごせていれれば、帝国華撃団への想いこそあれど愛着がわくと思うのだが。それを飛びだし、隊員であるランスロットがわざわざ連れ戻そうとする…色々と不自然でもある。
「………あとこの先を知る当事者と言えば…」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
…初穂の部屋
御輿や桃燈が飾られた部屋は勝ち気な彼女らしい性格が良く現れている…が、当の部屋の主は愁いのある顔をして手紙と写真の重なる束をとっていた。全部がイギリスから送られてきた写真…時計塔や街並みなどの他、ランスロットなどロンドン華撃団の隊員と一緒の物などなど。これらに映る星児は殆どが屈託なく笑っていた…初穂も彼が出ていく前には滅多に見なかった笑顔が沢山おさめられている。
ーーはじめてのロンドン、時計塔
ーー最強の騎士とのツーショット!
ーー記念撮影! 俺と、隊長と、ランスロットと
ーー勝利のポーズ!決めッ!!
ーー最強の騎士、隊長からのお説教(笑)
きっと、楽しい思い出だったんだろう。それでも、手紙にはいつも初穂や母親であるすみれへの心配や残して飛び出してしまったことへの謝罪などが書かれていた…。そして、いつも最後には必ず帝国華撃団へ一人前になって帰ってくると書かれている。初穂としても若干羨む気持ちはあったが、これらを笑って見れたのは彼は心をこの帝国華撃団に残していたことと…傷つき苦しんできた姿を見てきたからだろう。
そう言えば、自分がはじめて帝国華撃団に来た時も一番喜んで盛大に祝ってくれたのは彼だった。そんな過去の思い出に浸っていると、コンコンと部屋のドアを叩く音が響く。
「ん? 誰だ…?」
「ランスロットだ。初穂の部屋はここで間違いないね? 話があるんだ。」
「お、おう? どうぞ…」
意外な来客だった。戸惑いながらも、彼女を部屋に招きいれる初穂…。それにしても、ロンドンの騎士が自分にわざわざ話とは何事だろう? 少し緊張する…。
「やあ、初穂。いきなり上がりこむ失礼を謝罪する。ただ君は星児と仲が良かったと聞いていたからね…話をしたいと思ってたんだ。」
「…星児のことか?」
確かに彼女とは面識があるようだと感じていたが、わざわざ自分のところにまで来るなんてどうしたのだろう。すると、彼女は初穂が見ていた手紙や写真に気がつき顔を輝かせた…。
「ああ、これロンドンの! 君が日本に置いてきたとかいう彼女だね?」
「え…違うけど。」
何の話…? アタシをどんな紹介したんだ…?
面食らっている初穂だったが、写真を見ている彼女の顔がまるで遠い記憶を懐かしむような顔つきになっているのに気がつく。
「ああ、あの頃は笑ってたんだよね星児も…」
初穂から写真を受け取り、何枚かめくると少し哀しげに呟くランスロット…。やっぱり、何かある…ただ星児を迎えにきたにしてはやはりおかしい。
「なあ、ランスロットさんよ。星児にロンドンで何があったんだ? 帝国華撃団に想いがあっても、今回の行動は流石におかしい。だから、あんたがわざわざ迎えに来たんだろ?」
「…」
初穂の問いに沈黙するランスロット。それから、暫し考えたあとに意を決したと口を開く。
「花組を集めてもらえるかな。このことは、君達全員が知るべきことだ。」
★★ ★★ ★★ ★★ ★★
ロンドン…蒸気技術で発展しつつも、古く美しい伝統が息づく街。イギリスの華撃団であるロンドン華撃団の本拠地であり、その活気は帝都に負けず劣らず。ロンドン華撃団は降魔大戦後に作られた華撃団ということも相まって、設備もまだ新しく列強華撃団の一角なだけあってか人気も国内外問わず高い。
特に剣の腕も立つ美しき少女騎士ランスロットや聖剣エクスカリバーを受け継ぐ名門騎士の美青年・アーサーが隊長を務めるバンド活動は熱狂的なファンがつくほど。勿論、最新鋭の霊子戦闘機『ブリドヴェン』を駆る華撃団の強さも過去の世界華撃団大戦で2位に食らいつく実力。
才色兼備な一門にある日、ある男が門を叩く。
それが、帝都よりやってきた旧・帝国華撃団の忘れ形見にして英雄・神崎すみれの息子である星児だった。元よりアーサーとランスロットは事情をガヴェインから聞いていた…『可愛い子には旅をさせよ』という母親の密かな意向と『複雑な影』についても。ロンドン華撃団側も騎士・ガヴェインからの進言と旧・華撃団の忘れ形見という肩書きに魅力を感じ受け入れることにした…。
そして、実際に入ってからというもの前向きかつ物怖じしない性格がアーサーやランスロットに気に入られ、順調に経験を積んでいきロンドン華撃団のメンバーとも絆を育んでいった…………
………だが
「セヤッ!!」
「はあっ!」
とあるロンドン華撃団の所有している木造の施設。所為、道場にあたるこの場所で迎いあっているのはランスロットと星児。両者共に二刀流で模擬刀を構え、激しい乱舞で斬り結ぶこと何度かはもうわからない… もしこれが、実剣だったら息を呑むような死闘になっていたかもしれない。ランスロットが繰り出す強烈な一撃、二撃を星児がいなし、星児も反撃と足払いを入れるがくるりとバック転蹴りを入れられてカウンターを潰されてしまう。
「どうしたの星児! また負けるよこのままじゃ!」
ヒラリと着地し挑発するランスロット。とても愉しそうに笑う彼女に対し、『ケッ』と舌打ちしながら模擬刀を逆手にクルッと回して構え直す星児は低い姿勢をとり彼女を睨む。
「舐めんなよ。今日こそ白星あげて華撃団全員分の飯を奢らせてやらぁ!!」
瞬間、踏み込んだと思うと間合いを詰めて怒涛の斬撃ラッシュを繰り出す星児。今度は一転して防戦にまわる彼女だったが、自らに向かってくる全ての剣を涼しい顔でかわしつづけ、強く振り抜き空振ったところを刃で突いた……
「甘い! …!?」
…はずが、寸前で彼の姿が消える。
何処だ!?と考える間もなく、頭上から影がかかった。
「もらったぁあああああああ!!!!!」
瞬間移動による意表をついた奇襲。完全にがら空きの脳天に勝利を確信した………が、グイッと彼女は余裕の微笑みを向ける。直後、牙を向いた剣は振り上げられていた騎士の剣に食い止められ十字に交錯し勢いを死なせていた。
「惜しかったね。」
「なっ!?」
確信を覆された隙というものは致命的に大きい。そのまま、力任せに引き剥がされた彼は為すすべなく床に叩きつけやれ無防備を晒す。
チェックメイトだ。ランスロットは仰向けに倒れた相手の喉を剣を交錯させて鋏みこみ動きを封じる。もしこれが実物の剣ならあと少し動かすだけで喉仏が裂けていてもおかしくないくらいだが、対する星児も彼女と同じく笑っていた。
「へぇ………やるじゃん?」
「ハッ、舐めんなって言ったろ?」
ランスロットが感じた腹への違和感… そう、完全に追い詰められる直前に刃を当てていたのである。勝負の結果はこれで引き分け…互いに剣をおさめて終了、ベンチに置いていたタオルとスポーツ飲料を取りに行き一息。気分の良い疲労感に浸りながら、ボトルでかぶ飲みする星児…そこへ、ランスロットがしっとりとする白い肌をタオルで撫でながら話しかけてきた。
「良い調子じゃないか。引き分けもまあまあ多くなってきたし、実力もついてきてるね。」
「応よ!俺を誰だと思ってやがる? 彼の帝国華撃団の忘れ形見にて、トップスタァと息子の…」
「はいはい、だったらそろそろ1回は勝ってみたらどうなのさ?」
星児とランスロットは定期的に模擬戦をしている…結果は、ランスロットの勝利か良くて引き分け。残念ながら、星児の白星スコアはロンドン華撃団に来てから全く無い…そして、敗北者にはロンドン華撃団隊員の昼飯を奢るという罰ゲームつき。これが見習い隊員である彼の懐に空いた文字通りの穴であり、毎月の大半の給料はちょっと豪華な少女騎士のランチタイムに消えていくばかり。泣けるぜ…との談。
そんな2人の元へ歩いてくるランスロット同様な騎士らしい衣装に身を包む金髪の甘いマスクをした青年。
「その様子から見るに、また引き分けかな。星児の腕が上がったのか…それとも、ランスロットの腕が鈍ってきたのか…」
「お? 隊長!」
「アーサー、その冗談は笑えないよ。」
彼こそロンドン華撃団の隊長である『アーサー』その人。ランスロットを初めとした曲者揃いの華撃団を纏めあげ、ロンドンを守護する伝説の騎士王の名を継ぐ男。彼の実力はランスロットと同じく国内外どちらからも認められている存在だ。無論、星児の直属の上司にあたる。
アーサーは部下の成長を静かながら喜んでいる様子で、星児に満足げな視線を向けていた。
「星児、ランスロットが世話になったようだね。彼女も良いが、たまには僕が相手になってあげても良いんだが?」
「ちょっと!? 世話役はあたし!」
「あはは… それは丁重にお断りするぜ…あんた熱入ると止まらないんだもん。」
昔、アーサーと模擬戦をした星児は顔を引き吊らせる… 軽い気持ちで受けたその時、酷い目にあった。戦いがヒートアップし、興奮したアーサーに相手も自分の執務もお構い無しに朝から夜になりかけるまで追い回された記憶が今でも鮮明である。まあ、あまりのデスクワーク続きに彼の鬱憤が溜まっていたのも原因と弁明するが星児にとってロンドンの素敵な思い出の一頁(トラウマ)になってしまっている。
それは、さておいて…わざわざ隊長が足を運んできたということは何かしら理由があるのだろう。
「さ、本題だ。星児…君に大事な話がある。」
空気が変わりキリッとした顔を向けられ、本当に大事な話なのだと覚る。全く何のことかは皆目検討もつかないが、ランスロットは直ぐに何のことかを理解する…きっとロンドン華撃団や何より彼自身にとっても良い話だと。だから、アーサーについていく後ろ姿を笑顔で見送った……
…………これが、悲劇の幕開けだと露とも知らず
善かれと思ってやった。最初は良かった……でも、歯車はいつも思わぬ方向から狂いだす。
善意は時に、悪意の前にはあまりに無力。
正直、もっとアーサーがタイミングをずらしていれば星児のロンドン華撃団ルートもありえたかもしれない。