仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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ギプスがですね… 外れたんです昨日。

右腕、めちゃくそグロいですハイ。





鬼の涙 Ⅳ

…星児の過去にそんなことがあったなんて

 

 

ステージの上に集められた花組たちはランスロットから星児の過去を聞かされ、各々複雑な表情を浮かべていた。ある者は沈痛な表情に…またある者はうまく呑み込めないといった顔の者もいる。事情が事情、仕方ないが神山は意を決して皆に問う。

 

 

「皆、それぞれ星児については思うところもあるだろう。それを踏まえて皆に聞きたい…この帝国華撃団に迎えるべきかどうか。素直な意見を聞かせてもらいたい。」

 

 

星児をもし帝国華撃団に迎えるとしたら、花組たちの理解を獲なくてはならない。しかし、まあ初対面から続く暴挙の連続でほぼ印象は最悪なのは口に出すまでもないが……

 

暫し気難しい沈黙が続き……これを破ったのはクラリスだった。

 

 

「私は…迎え入れても良いかと思います。星児さん、実はダナンの愛の脚本の翻訳にもアドバイスをくれたりしてとても助かったんです。最初は確かに怖い人とも思いましたけど、根はとても真面目でこの帝国華撃団を思っている方なのだと感じました。それに、ここを追い出されたら本当に居場所は無くなってしまう。居場所が無い辛さはよく解るから…彼にもそんな想いをしてほしくはないです。」

 

「クラリス……」

 

 

星児の痛みのひとつは自分にも重なる部分があると彼女……確かに事情は違えど重魔導の一族として悩んだ経験があるからこそ通じるものがあるのだろう。また、日本語に不慣れな節がある彼女の脚本製作の手助けをしたことも大きい。初穂もまず好意的な意見が出たことに頬を緩ませる……

 

 

 

だが

 

 

 

 

 

「私は反対。」

 

 

現実は冷たい。情け容赦ない反対を突き出したのは花組の最年少、望月あざみ。星児との絡みが多かったわけでないが、その分だけ悪印象しか残っていない。

 

 

「支配人の息子とはいえ、あんな横暴をした人を受け入れることなんて出来ない。受け入れてもきっとまた繰り返す…だから、私は納得出来ない。」

 

「あざみ…」

 

 

残念ながら、違うと言い返せる根拠は無い。初穂は悲しげにするが、話を進めなくてはならない。神山が次に順番を回したのはアナスタシアだった。

 

 

「アナスタシア、君はどう思う?」

 

「そうね…。私はこの帝国華撃団に来たばかりだから口出しする権利は無いと思うのだけれど。意見としては賛成もしないし、反対もしない。ただ、今までの話を聞いて隊長になるにしても、隊員になるにしても、あまり彼に価値も魅力も感じないわ。少なくとも、今この貴重な舞台の練習時間を削る意味は全く無いと思うわ。」

 

「アナスタシア!」

 

「あら失礼。言い過ぎたわ。でも、少なくともロンドンへの落とし前をつけて…話はそれからじゃないかしら?」

 

 

アナスタシアの言い分も一理ある。星児の起こした行動は帝国華撃団に留まる問題ではない… 恐らくはロンドン華撃団にも多大な迷惑をかけていることだろう。例の処分を甘んじて受けろというわけではないが、確かに彼の処遇はロンドン華撃団を無視するわけにはいかない。

 

 

そして、次は初穂…

 

 

「初穂、まあ君は言うまでもないか…」

 

「ああ、アタシは賛成さ。ここはアイツの家なんだ。帰ってきて悪いことなんてあるかよ!」

 

 

この場において一番付き合いが長く、彼が困難に晒され歯を喰い縛ってきた時を見てきたからこそ…受け入れたいと願っていた。結果はどうあれ、帝国華撃団再建のために努力してきたのは事実。今の花組とのいざこざも時間が解決してくれるはず…

 

 

最後に、さくら…

 

 

「さくら、君はどう思う?」

 

「…」

 

 

彼女は顔を背け、考えている様子… ロンドンの話を聞いてからまだ意見は固まっていないのだろうか。初穂は何とか賛成してくれないかと淡い期待を… 他のメンバーはどんな判断をするのかを見守る。暫し間があり、口を開いた彼女は告げた。

 

 

 

 

 

 

「反対です。」

 

 

 

 

 

冷たく…怒りを込めて。

 

初穂やランスロットはやるせない顔をし、他の団員も悲しげな顔や仕方ないと納得する表情の者もいる。続けて、神山は理由を聞くことに…

 

 

「ロンドンでの事情は同情します。だけど、あの人の行動は帝国華撃団のためと良いながら身勝手で、結局のところ周りに迷惑をかけたり、傷つけたりしてるだけじゃないですか。いくら支配人の息子でも、そんな人と一緒にはやっていく気にはなれません。」

 

「さくら…」

 

 

その不快感は最早、敵意に近い。更に、彼女は神山に問いかける。

 

 

「隊長はどうなんです? 神山隊長も花組の一員として、意見を言うべきです。」

 

「俺は…」

 

 

全員の視線が一斉に神山へ集まる。意見が分裂している今、隊長の意思が今後に大きく左右するだろう…もし、反対の意となれば星児が花組は愚か帝国華撃団に戻ることも絶望的になる。実際、艦長時代のトラウマを挑発の材料にされるという決定的な亀裂が走る事件もあった…… 正直、花組の面々は賛成しないと思っていた。

 

だが、

 

 

 

「俺は、星児を帝国華撃団のメンバーとして迎えいれたい。」

 

 

それでも尚、神山は拒否をしなかった。これにはさくらも驚愕の表情を浮かべる…

 

 

「どうして…あの人は神山隊長にあんなに酷いことをしてきたのに!?」

 

「ああ、そうだな。だけど、今のアイツは少し前の俺と同じだ。夢を奪われた痛みは俺が一番、よく解っている。その痛みを図らずも俺自身が与えてしまったというのなら……それに寄り添い果たすべき責任がある。」

 

 

痛みを知る者でありながら、同じ傷みを与えた者の責。身体の中を虚無が這いずりまわるあのおぞましさを知るからこそ、神山は星児を突き放すことも見捨てることも選択肢には入れなかった。むしろ、自分が手を伸ばすべきという思いすらあった。

 

この神山の考えにはやはり、花組で動揺が拡がる……そんな中で意外にも口を開いたのはアナスタシアだった。

 

「それじゃ、多数決で取り敢えずはその方向で良いでしょう。でも、根底からこのやり取りをひっくり返しちゃうようで悪いけどW.O.L.F.からの処分は覆えらないわよキャプテン?」

 

「それは…それでも、アイツを守る!」

 

「声が勇ましいだけではどうにもならないわ。声は然るべきところに届けなきゃ。飼い犬の首輪が緩んでるようですよ…と飼い主にね?」

 

 

…? つまり、どういうことだ?

 

 

すると、ランスロットが気がついた。

 

 

「アナスタシア… そうか、君は!」

 

 

それに対し、アナスタシアはいたずらな笑みを浮かべながらポケットからすまぁとろんを取りだす。彼女は取って置きの秘策をきることにしたのだった…

 

 

 

 

 

 

 

 

★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ始めるよ! イズ、準備は良い?」

 

『もう少々時間を。ゼアとの接続にまだラグがあります。』

 

 

帝劇前にて或人はイズと共にある準備にかかっていた…。不破や唯阿たちも協力として汗水流しながら運んできたのは素体ヒューマギアたち…ウォズもマフラーを自在に駆使して運びこまれたそれらを整列させている。一緒に作業にあたっていた整備士も何をするつもりなのかと懐疑的な視線を向けていた。

 

 

「なあ、社長さん…これ本当に動くのか? 人手不足の解消になるって話だがこんなカラクリ見たことないぞ。」

 

 

彼は『司馬 令士』オレンジ色の整備服がトレードマークの濃い顔の男で、神山と海兵学校時代の同期であり親友。実はアナスタシアと共にすみれが連れてきたのだが、星児やクラリスの一件などが立て続けに起こりちゃんと紹介の場が設けられなかった悲しいアクシデントがあった彼。割りと不憫な扱いな帝劇生活のスタートだったが、仕事は真面目である。

しかし、ヒューマギアなんて異界の産物を知るはずもない司馬は『人体模型みたいなのどう使うんだこれ』とぼやく始末。まあ、仕方ないが……

 

 

「社長、本当にこの世界でヒューマギアが動くのか?」

 

「ま、やってみればわかるよ。さ、イズと唯阿さんもお願いします。」

 

 

不破も訝しげな様子だったが、まずは行動と或人の一声。これに応じたイズと唯阿が素体ヒューマギアたちのプログライズキーを耳許にあてがい起動させる。

 

 

【 最強匠親方 】

 

【 松田エンジ 】

 

【 宇宙野郎昴 】

 

【 腹筋崩壊太郎 】

 

【 祭田ゼット 】

 

【 森筆ジーペン 】

 

 

 

素体ヒューマギアを包む光。直後、それぞれが人間と比べて遜色ない姿となる。これが役割を与えられたヒューマギアたちの真の姿…令和の世界を支えるテクノロジーが権現した瞬間だった。これには不破や唯阿も驚愕し、司馬も一変してキラキラと子供のような表情を浮かべている。

 

 

「すっげえ! これどんな技術なんだよ!?」

 

「へへ、企業秘密……。(目逸らし)」

 

 

社長がその理屈を知らないなんて口が裂けても言えない。

さて、これが前回に話をした或人の秘策。帝国華撃団の財政難と人員不足を一手に解決をヒューマギアで一気に解決するというものである。衛星ゼアのバックアップが届きゼロワンに変身可能ならもしやと思いウォズに頼んで時が止まった令和の世界から連れてきたのである。

 

 

「うまくいったな飛電或人くん。だが、私との約束は忘れないように。」

 

「わかってる。全部片付いたら、太正世界の記憶は削除することと、運用は帝劇の中だけ…。」

 

 

しかし、一条件つきで。太正世界で過ごしたヒューマギアの記憶は事件解決次第に削除することに加え、帝劇の範囲内で行動をさせないこと。今回の事件が並行世界を跨いだかなり特異なイレギュラーであるため、可能か限り双方の影響を抑えたいウォズ側の意向もあるからである。なら、何で許可したのかという話になるが、恐らくは社長ライダーという手前でただ飯喰らいライダーに成りさがるわけにはいかないという或人の面子を保つためだろう。

 

 

……実質無職の王様ライダー? しょうがねえだろ、我が魔王なんだから。

 

 

『或人社長、ゼアとの同期は間もなくです。』

 

「オッケー、イズ! さ、太正桜に飛電の技術! 勿論、たい、しょ~~ぶ!! 太正世界に来てから初の!!はい、或人じゃぁぁないとぉぉぉぉ!!!!」

 

『こちらは、太正と大丈夫の【だいしょう】を【たいしょう】ともじった粋なギャグになります。』

 

 

景気付けのギャグも炸裂し、不破さんも満足のあまり震えている…他はドン引きなのだが……。 悲しいことにギャグの伸び代だけは皆無に近いなと唯阿は内心悲嘆していた…。 そんな時だった。

 

 

 

 

 

「これはこれは、随分な盛り上がりようだな?」

 

 

 

ふらりと、『ひとりの男』が現れたのは。すみれより若干ながら歳上な雰囲気を持つ金髪の針鼠頭…2本の矢で射ぬかれた鷲が刺繍されたジャケットを纏う彼。太正世界においても異質な空気を放ちながら、鋭い視線がウォズに向けられる。その途端、ウォズは珍しく焦りを見せた。

 

 

「…な、何故あなたがここに!?」

 

「決まってるだろう。『バカ弟子』を出せ、ウォズ。ここにいるのは分かってるんだ。」

 

 

男は強引に帝劇に入ろうとするが、ウォズが食い止める。しかし、阻む手を逆に掴みとりボキボキと音が鳴るまで締め上げる。途端、異常事態を察した不破が止めに入った。

 

 

「おい、穏やかじゃねえな。何者だ、お前?」

 

「…ロンドンでかつて、『サー・ガヴェイン』の銘を受けた者。そして……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー仮面ライダーだ。

 

 

 

 





やべえ、クラリス編並に長くなりそう…


最後に登場したのは、本来ならFVAのマルチエンディングのひとつで出す予定だったキャラで、ちょこちょこ名前だけ出てきたガヴェイン卿なる人物です。

さ、これから星児の追い込み(物理)がはじまりますよ(無慈悲)

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