仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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鬼の涙 Ⅵ/星は翳り

 

 

 ……母の涙を拭いたかった。

 

 

 

 孤独に暮れても、尚も立ち続け、走り続け、『家族』を待ち続ける母の支えになりたかった。

 

 いつか戻るあの華やかな帝劇の日々を信じて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そうだ、帝国華擊団を再建して見返してやるんだ。俺達を蔑み哀れんだ奴等を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……■兄‥さ■…。お■■ゃ…■……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも……俺は…何か忘れていないか? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

「クラリス…! クラリスってば! 何処いくの!?」

 

 

 霊子戦闘機格納庫をずんずんと突っ切るクラリスを追うあざみ。突然、『気になることがあります』と告げると星児を追うでもすみれを看病するわけでもなく、真っ直ぐこちらへ。彼女の真意は不明だが明確な意思はあるらしく歩みに迷いは無い…そして、スクラップになった星児の光武の解体作業にあたっていた司馬の元へ。司馬も意外な来客に目を丸くする。

 

 

「クラリスちゃんじゃないか、どうしたんだ一体…」

 

「司馬さん、伺いたいことがあります。星児さんの光武…霊子機関の周囲におかしな物はありませんでしたか? 例えば、規格に無いパーツが紛れこんでいたとか…」

 

「? 特にそういうことは… いや、待てよ。」

 

 

 

 彼女の質問に何か思いあたる節があるのか、がさごそとスクラップを漁りだす。あざみは『クラリス?』と首をかしげるばかり…彼女はメカニックの知識は無いはずだ。それが、どうして星児の光武に興味を持ったのか…使える部品はまだ無限が届かないさくらの機体の補修パーツになるだけなのに。すると、クラリスは己が秘める疑問を口にする。

 

 

「あざみさん、妙だと思いませんか? いくら私たちに問題があったとはいえ、星児さんの行動の数々が不自然過ぎるんです。借りにも、ロンドンが正規隊員に起用したいとまで考えていた人間が、わざわざ自滅するばかりのような行動をとるのが奇妙過ぎてなりません。初穂さんだって問題がある人ならあそこまで庇おうとしなかったはず…」

 

「でも、それは…神山が隊長に…」

 

 

 

 

 

「思い出してください。星児さんが豹変したタイミングは神山隊長のことを伝えた直後です。」

 

 

 

 

「! …まさか。」

 

 

 あざみもクラリスの意図を勘づく。この2人、共通点は少なさそうだがある意味では同類…重魔導の一族と忍者という世界の影について知る者なのだ。国も成り立ちも違えど、影の者たちが求められる意味合いも術も同じ。ならば…

 

 

「クラリスちゃん、あったけどこれか?多分、ロンドンでの現地調達した補修パーツか何かかと思ってたんだが…解らなくて、取りあえず寄せてたんだ。」

 

 

 そして、司馬が持ってきた部品。一見すると鉄屑だが、クラリスはすぐに見抜いた…!

 

 

「これは…やっぱり!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「星児…!」

 

「…っ!」

 

 走り続け、銀座大通り…人が行き交う中、ランスロットは転びうなだれる星児へと追いつき手を

伸ばすも乱暴に振払われた。それでも、と声をかける彼女…

 

 

「帰ろう、ロンドンに。君の居場所はここじゃない。」

 

「…ロンドンなら居場所があるって言うのかよ。勝手に抜けて、揉め事もバレて、どの面さげて戻れってんだ!?」

 

 

 しかし、言葉すらも冷たい言葉に弾かれ虚しく散る。夢を潰され、悪意を塗りたくられた上に居場所も拠り所も無くした彼の眼は濁って吊り上がり…涙を流している。怒り、焦燥、虚無、絶望…やり場のなかった負の感情が優しく伸ばされたはずの手を…

 

 

 

 

 

「俺は帝国華擊団だ…!お前は仲間なんかじゃない!!」

 

 

 

 

 …少女の想いを喰いちぎった。

 

 拒絶。最後の最後に自分の居場所になりうる場所をあまつさえ、自らで。突き放された友の頬に一筋の雫が伝っていくのを見て一瞬我にかえるが、もう遅い。

 

 

「星児…」

 

「あ…ぁ?ああッ!? ち、違うランスロット!? い、今のは…」

 

 

 

 

「…っ」

 

 

 直後、おののくランスロットを押しのけ星児の前に立つとバチン!と彼の頬を平手打ちしたさくら。その瞳には今までとは非にならない怒りが宿る。

 

 

「最低…!それでも、すみれさんや真宮寺さんに育てられた人ですか!?」

 

 

 はじめて会って、その身の上を聞いた時に仄かに昂ぶる興奮を覚えたのは最近と覚えている。憧れの人と憧れの場所で育ち、隊長を志した人間がどんな人物なのだろう。決して、最初からネガティブなわけではなかったのだ。

 

 だが、蓋をあければどうだ? 癇癪を起こし、神山のトラウマをわざと刺激し、世話になったロンドンを無下にしてこの始末。何処かで、花組の忘れ形見という肩書きを信じたかった…だが、見事に裏切られ期待は落胆と呆れ…傲慢に対する怒りに変わる。

 

 

「何が忘れ形見…!それで、昔の花組の人たちに胸が張れるんですか!?あなたに帝国華擊団を名乗る資格なんて無い!」

 

 

「…ぁ」

 

 

 その時、彼の頭の中で引っ掛かっていた何かが弾けとぶ。自分が帝都に来てから何をしたのか… 何を言ったのか… 何があったのか… 一気に脳にはちきれんばかりの情報が決壊するように溢れ心身ともに激痛をもたらす。そう…自分は何故こんなことを? 頭を押さえてかきむしり、爪がたった線から赤く滲む…

 

 

「あ…!? あ?? ああが…!?!?」

 

 

 振乱す髪と血でダラダラになった顔面、狂い叫ぶ異常な様子は流石の責めたさくらさえ、異変を感じて間合いをとった。今まで突拍子もないことや精神の不安定さを感じさせることもあったが、それらとは非にならないくらいの反応をみせる。恐らく、力づくでも止めなければ危険な状態だろうが彼はフォースライザーを狂乱しながらも身に着け暴れまわるのをやめず、さくらと拒絶され放心しているランスロットで止めるのは無理だろう。

 

 さらに、事態の悪化は加速する。フォースライザーの空のスロットに光が走るとライジングホッパー・キーまでも複製されてしまう。つまり、

 

 

「…滅亡、迅…ne……ッッ!! ぐあああああぁぁ!?」

 

 

 

【フォースライズ! ライジングホッパー…!! Break down.】

 

 

 

 変身が可能ということだ。フォースライザーが自動でキーをこじ開けるや、眼を紫に灯らせた仮面ライダー001に変身した彼は狂うがままさくらへ襲いかかり、対する彼女もついに刀を抜いて応戦する。

 

 

「俺ハ…!! 俺ハァ!!!」

 

「何!? きゃあ!」

 

 

 さくらの刀はライダーシステムを貫くこと叶わず、薙ぎ払いの拳が彼女をふっとばして刀は離れた場所へと突き刺さる。そのまま、華奢な少女の身体を踏み潰さんと迫るが

 

 

「さくらちゃん! 変身!!」

 

 

【プログライズ! ライジングホッパー!!】

 

 

「おい、バカなにしてんだ!?」

 

 

【ショットライズ! シューティングウルフ!!】

 

 

 そこへ、割って入る追いつきてたゼロワンとバルカン。間一髪、001に組み付き事なきを得るが暴れまわる力は仮面ライダー2人がかりでも抑えつけるのすら難しい…最早、強攻手段は避けられない。このままでは無為に周囲の人間たちが傷つくばかりだ。

 

 

「不破さん、ドライバーを!」

 

「応ッ! うおオオオオォォオオオオ!!!」

 

 

 直接、変身ツールを引き剥がす。どんな仮面ライダーだって変身ツールを奪われれば変身は保てない…このタイミングでバルカンがいたのは幸いだったろう…彼はフォースライザーを鷲掴みにして力強くで外しにかかる。ギチギチと音が鳴り火花が散り、帯も伸びて千切れそうに……なったが、断裂する負荷になりうる寸前にムカデのような有機的な形質となり、足のような突起がワラワラと生えて直接、星児へ意地でも離れてなるものかと肉体に喰いこむ。

 流石のバルカンもこれは予想外で、『なんっ…!?』と驚いた瞬間には蹴りで間合いとられゼロワンも叩き落とされていた。

 

 

「ちぃ!あのキーは何処から!?ドライバーだけだったはずだろ!!」

 

「俺のキーじゃない! まさか、さっきみたいに複製したのか?」

 

 

 

 

「俺ハ…滅亡… 帝国華擊団ノヲ!! 隊長ナンダァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 吼える001。自分が護るべき場所を血を吐きながら、壊し続ける姿は仮面ライダーというにはかけ離れていてあまりに悲しい。この場に本当に悪意がある者はいないのだろう…皆が向き合おうとした信念や夢があって、それらが虚しくすれ違ってしまったのだ。善意が悲劇のトリガーになってしまったのだ。

 

 

 …この悪党などいるはずがない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……はははは。』

 

 

 

 そう…月夜の闇に紛れ、もがく者たちを嘲笑う邪悪〈アナザーゼロワン〉以外は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





 悪意に晒された果てに、星はまた輝けるのか、それとも堕ちてしまうのか… 次回で星児・初穂編完結。


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