仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
「うおおおおお!!!!」
「星児…!」
「そんなっ!?」
彼を呑み込んだのが、他ならない彼を思う者の力による炎とは皮肉なことだろう… 神山やさくら、この場にいる者たち全員がただ呆然と見ることしか出来なかった。やっと、解りあえるキッカケが獲られたはずなのに。降魔すらひとたまりもないこの灼熱に生身の人間が耐えられるわけ…
「おおおおおおおお…オォリャァッ!!」
否、そんな常など無意味と炎をかき消して現れた001。その眼は悪意に塗り潰された紫色ではなく、人の血を流す赤色へと戻っている。もう正気を失った狂戦士はそこにはいない…再び友に導かれ立ち上がったひとりの戦士がそこにいたのだ。
「はぁ…はぁ…。本当に情けないぜ。これは俺の弱さが招いた種だ。それなのに、テメエひとりじゃ自分の尻すらまともに拭けない。でも、せめて俺に手を伸ばしてくれた人は助けたいんだ。だから、力を貸してくれないか…! 誠兄さん!」
そして、001は神山に問うた…今一度、初穂を助けるために力を貸してほしいと。無論、問われるまでもなかった。
「勿論だ。お前の兄貴分として、花組の隊長として…仲間を見捨てたりしない!」
神山も毛頭に諦めるつもりはなかった。されど、この流れ…本人たち以外は全く理解が追いつくはずもなく、『あの…』と覗きこむゼロワン。ランスロットも同じ有様で戸惑うばかり…
「えっと…解決したのかな?よくわかんないけど。」
「ああ、そうだよ社長さん。やっと誰かの代わりじゃない自分の夢を思い出したんだ。」
「?…?? そっか、取りあえず大丈夫そうなら良いや。」
001の別人のような明るい答に理屈ではない納得をするゼロワン。きっと、そこらへんは自分が首を突っ込むべきではないし、するタイミングでもない。今はアナザーライダーの力に囚われた彼女を助けるのが最優先…ふたりのゼロワンと神山は今尚、邪悪の混沌に呻く仲間を見据える。
「誠兄さん、社長さん、初穂の動きを抑えてくれ。俺の力なら、助けることが出来る。」
「…わかった、信じるぞ。…ん?」
その時だった。神山から霊力が漏れ出して、ゼロワンの掌に収束すると新たなプログライズキーを産み出す…それは仮面ライダードライブの力を宿す『タイヤチェンジング・ドライブキー』。かつて、神山と星児と同じく、喪失から再起した熱血の戦士である。
「これ…もしかして、クラリスちゃんの時と同じ…!」
ゼロワンは察して、ゼロワンドライバーにドライブキーを翳す…すると、呼応するように神山に一瞬だけ仮面ライダードライブの姿が重なり、彼の霊力が跳ね上がった。
「これなら…!」
「ああ。いくぞ社長!」
漲る力は不安なんてものはふっとばす。瞬間、ゼロワンと神山は一気に加速し、アナザーヒビキと距離を詰めて周囲を弧を描きながら動きまわり撹乱。この動きは仮面ライダードライブに由来する、車のドリフトのような平面移動…今は思考が追いつかない彼女では到底とらえることがかなわずハンマーを虚空に振り回すばかり…
一方、001は『天宮』の銘が刻まれた愛刀を構えて意識を集中させていた……呼び起こすのはかつて花組を支えた母と同じトップスタァであり、防人であった戦乙女。
(さくらの姐さん、約束を破るぜ…)
そして、彼女が使っていた邪悪を討ち祓う奥義… 見よう見真似だが今はこれに賭けるしかない。桜吹雪のように霊力の欠片が舞い、蒼銀の光が刀身に帯びる…その技の名は
「我流ッ!…破邪剣征・桜花放神!!」
ゴオオ!!と放たれる紺碧の桜吹雪。我流なれど、それは英雄・真空寺さくらの代名詞たる技…『破邪剣征・桜花放神』。本来の使い手には遠く及ばないお粗末な我流だろうがそれでも威力は凄まじく、地面を抉りながらアナザーヒビキを一刀両断に斬り裂いてみせた。
『ウガァァァァ!?!?』
直後、彼女に異変が起こる。異形の身体は元通りにくっついたかと思えば元の初穂の姿に…それから、アナザーウォッチが分離して、プログライズキーへと変化してゼロワンの手にまたもおさまる。
「…う、あ…」
「あぶねっ!」
こうして、初穂はふらきながらもファインプレイで回り込んだバルカンに支えられながらも五体満足で大きな怪我も無い様子で救出。
遠目に見ていたアナザーゼロワンも舌打ちしつつも、『まあ良いわ。』と捨て台詞を吐いてその場を後にする。これで、星児並びにアナザーライダー騒動は幕引きへと向かっていくのであった。
★ ★ ★ ★ ★
「う…」
医務室で眼を覚ましたすみれ…。
そうか、自分は倒れてしまったのかと思い出した。もうすっかり日は暮れて、清潔な医務室は真っ暗で月明かりが差し込む窓からえらく長い時間を寝ていたのただと悟る。きっと、カオルや花組の皆にも迷惑をかけているだろう…それに、星児のことも気掛かりだ。あの様子からして、大事になってないと……
(!? …か、身体が、動かない?)
腕に力を入れて起き上がろうとしたその時、まるで鉛に固められたように動かない自分の身体。俗に言う金縛り…なんということだ、何も今じゃなくても。
「…ふふふ。」
「…?」
そんな時、気がついた…ベッドの傍らに佇むリボンで束ねたポニーテールに黒髪の女。見覚えがある袴の姿。まさか、そんな…だって彼女は十年前から行方不明で…帰ってきたのか…? 花瓶に手折った桜の枝を刺す横顔に感情が口を動かした。
「し、真空寺さ…」
「…」
名を呼ぶ…すると、彼女はこちらに顔を向け…闇でも妖しく光る赤い瞳を向け、微笑みながら彼女に告げる。
「…『息子』を返してもらいますよ。」
―― …!
「すみれ様…! 目を覚まされましたか!!」
ゴゴォ!!と響き渡る雷鳴と同時に、今度こそ眼をさますすみれ。部屋は電気がついていて、カオルが控えている。脂汗が滲む主の顔を覗きこむ顔はえらく彼女も心配していたことを窺わせるが、すみれは息を荒くしながらも花瓶が置いてある棚を見た…
「……これは?」
あの桜の枝も『彼女』の姿も無い。ただ、息絶えひっくり返った甲虫の死骸が転がっている。細い身体に触覚が長い独特のシルエット…カオルも気がついて『ああ』と口にする。
「おや、カミキリムシですね…珍しい。何処から入って来たんでしょう…。取りあえず、片付けておきます。」
カミキリムシ、幼虫成虫共に木を食い荒らす害虫である。しかし、自然の少ない帝都の一等地で目にするのは非常に珍しい。不思議そうにしながらも、特に深く考えることなく死骸を拾いあげるカオル。
一方、すみれはどうにも不吉な予兆に感じられた。カミキリムシは種類によっては、桜の木々さえ枯らすこともある蟲だ…それが、桜の花を紋章とする帝劇の中に出てくるなど……
(…考え過ぎかしら。)
あの妙な悪夢のせいもあるかもしれない。きっと、たまたまだろう…物事を悪く考えると悉く負の連鎖は続くものだ。今は花組と息子の身を案じなくては…
★ ★ ★ ★ ★
夜闇に紛れて『彼女』は笑う…
仮面ライダー夜叉は夜闇に紛れるように空を飛び、帝劇への帰路につく者たちを見据える。その中で、一際強く視線を注いでいたのは変身を解いた星児…愛おしそうに手を伸ばしながら、裂けんばかりの微笑みでその背中を見送る彼女。頭だけ変身を解いて、真宮寺さくらの顔を晒して誓った。
「きっと、迎えにいきますからね『シンジロウ』。私の可愛い息子… 愛しいあの人の子…」
……いずれ、夜は星を抱きに舞い戻る
これにて、一区切りになるこの章。
次回から、華擊団大戦編になる(はず)だよヤッター(白眼)。立ち直った星児ですが、まだ解決していない問題は山積みな上に夜叉の不穏なフラグやら何やら…。取りあえず、次回から誰おまレベルでキャラが豹変するのであしからず。
さて、公式展開なんですが、アプリ展開予定のサクラ大戦改めサクラ革命…時代は太正100年と新サクラ大戦メンバーも生きてないだろこれな時代。技術も様変わりし、霊子戦闘機から霊子ドレスへと変化。なんか、ISやシンフォギアなんかを彷彿させますよね…小型化・軽量化とかが行き着いた先ということなのか。会社はFGOと同じディライトワークス。結構、賛否両論別れてるみたいですが私はもう少し様子を見ようかと。取りあえず、新サクラ大戦を無かったことにするようなものじゃないことを願います。
そして、ゼロワンから続く仮面ライダーセイバー。良くも悪くも、ゼロワンと真逆路線をいくライダーというのが印象。個人的には主人公が定職ついてる分は平成の先輩方よりま(殴
まだ始まったばかり、これからの活躍も見守っていきます。