仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
サクラ革命、アニメ見て期待が増してきたので事前登録してみました。それにしても、歴代の華擊団が守ってきた帝都があんなになってしまったのは悲しいなぁ。
あとメモリー・オブ・ヒーローズ購入しました。
最初、星児の事件を聞いたアナスタシアは無関心とは言ったものの、内心は違和感を覚えたのは事実だ。プレジデントGは自身のパトロンであり、彼の手腕や性格等々もよく知っていた…味方には手厚く、敵になるなら大義に則り容赦なく…それが彼のやり方。だからこそ、こんな陰湿で直接的に暴力を訴えるなど真逆…というわけで、独自に連絡をとってみたところ案の定『は…?』と全くロンドンの話など寝耳に水という有様。
そして、ロンドンへ調査へ乗り出したプレジデントGは顔を手で覆った。自分が華擊団大戦の準備に追われている間に出てくるイギリスの部下たちの腐敗具合。セクハラ、パワハラ、モラハラ、プレジデントGの名前を騙った権力乱用等々…出るわ出るわ、それらを仲間一丸となって巧妙に上司の耳に届かないよう隠していたのだから流石に呆れるしかなかった。星児の一件もロンドン華擊団などの訴えを密かに握り潰していたことも明らかになり、もうこの点にしては『私も求心力が落ちたものだな。』と嘆くほど… その統率力を全うに職場に活かしてほしかったが、過ぎた力を持てば結局、人間は持て余すということか…
「…今回、御子息に下された全ての処分は無効なものとする。正規隊員への登用資格剥奪も含めだ。加え、破損した分と配備予定の機体の補填に、帝国華擊団への追加の特別融資も行う。…ということで、穏便に済ませたいのだがレディ?」
支配人室。晴れて星児の濡れ衣は全て引き剥がされ、更には帝国華擊団への支援といった話も持ちかけられる……まあ、これがどんな意味合いを持つかはすみれは愚かこの場にいる全員が露骨過ぎて嫌悪感を示したが。
「……それで、今回の件の口封じをというわけですか?」
「示談と言ってほしいがね。まあ…どうせ封じられるなら、甘味を口にねじ込まれたほうがいいだろう? それとも、私を相手どって訴訟でも起こすか? 華擊団大戦が近い上に、今の君達にとってはそれも現実的ではないだろう。」
「…っ!」
口封じと否定はしない。それに、彼の言い分も言い返せないのも事実… 帝国華擊団の台所事情は良くない上に或人のヒューマギアにより一時的にしのいでいるとはいえ、慢性的な人手不足もある。華擊団としての活動もさくらの無限の配備も遅延しているのも実情な上、整備関連は尚も令士の負担が大きい。支援を受けれるのは願ってもない話だが…仮にこれらを蹴って、プレジデントGを法廷の場で殴り合う構えをするとしたら?ただでさえ、割ける資金と人員も時間も惜しいのに更にこれらを削らなければならなくなり、帝国華擊団復活を世界的にアピール出来るであろう華擊団大戦にもお互いに影を落とすことになるのは確実。
だから、破格の条件で示談させてお互いの利益のためにも今回の件はこれ以上は大きくするなということだろう… ただ、不遜な態度は相変わらずなので苛立ちを覚えた或人は問う…
「貴方、本当に責任をとる気があるんですか?」
「気持ちなどという曖昧な感情より、時には物で解決するのも立派な交渉手段だよ若い社長くん。仮にも経営者なら、それくらい心得ておくべきではないかね?」
納得はいかない…しかし、争えばお互いにデメリットが大きい上に帝国華擊団側が分が悪い。金持ち父さんと貧乏父さんの殴り合いなど結果が見えている上にどちらも得をしない。
…ならば
「その条件、俺は異論は無い。むしろ、願ったり叶ったりだ。」
「星児!?」
星児はあえてそれを呑むことを良しとした。己の屈辱を晴らすのではなく、売り払うことに決めたのだ。しかし、ただ丸呑みはしないのが彼…
「ひとつ条件を追加しろ。アナスタシア・パルマを帝国華擊団にあと1年…いや、2年は置いてもらう。そして、花組のメンバーへの本格的な演技指導も含めてな。」
ほう?とリアクションをとったプレジデントGに対して、『は?』と何故、自分を引き合いにされたと戸惑うアナスタシア…一応、恩人と言っても他言ではないのにこの扱い。苦言を呈そうとしたが、言葉が紡がれるよりはやく話は進んでいってしまう。
「ほう?君自身の待遇については何かないのかね?可能ならば、そこらの華擊団の隊長くらい私の一声で席のひとつやふたつ…」
「余計なお世話だ。そんなことで、隊長になった人間に誰がついていくものかよ。それに、俺の夢は帝国華擊団を立て直すこと…隊長になるのも手段のひとつに過ぎない。そして、今は帝国華擊団に隊長はいる。俺が隊長になる必要は…無い。」
その時、星児に微かな諦めの色が仄かに浮かんでいたような気がした。
一方、プレジデントGは逆に喜々と口角を吊り上げ、星児の肩に手を置く。
「素晴らしい、ご立派な御子息だ!アナスタシアの件は可能な限り調整しよう。さて…レディ・すみれ、彼も納得していることだし…ここで落としどころにしようではないか?」
「…っ」
被害者本人が納得するなら、これ以上は発展の余地もない。母親として、情けなさを感じながらもすみれは頷き…プレジデントGは満足げに微笑みを浮かべる。…こうして、星児のロンドン事件は幕を引いていく。
…その様子を二眼レフカメラで写真におさめる黒服。彼は何か思案しながらも、特に今は語ることなく気配を殺す……『通りすがり』の出番はまだ先だと。
★ ★ ★ ★ ★
…それから、話が纏まりプレジデントGは引き上げていった。
後味が悪いが、何はともあれ解決である。一段落したと食堂にて、一息つく星児は或人と向かい合う形でテーブルに座っていた。満足げな星児と対照的に哀しげな表情の或人…無論、理由は先のプレジデントGとのやりとりだ。
「…本当に良かったの?」
「ああ。でなきゃ、本当に俺がロンドンに行った意味が無くなる…むしろ、俺の屈辱を売って帝国華擊団の役にたつなら本望さ。」
彼は確かに帝国華擊団のために走ってきたのは事実…でも、こんな形になることは誰も望んでいない。すみれだって、こんなことのためにロンドンに行かせたわけではないはずだ。ある意味、2度目の侮辱といっても差し支えないような示談案…これを甘んじて受けたのにも理由がある。
「今から手続きとなったら、華擊団大戦は帝国華擊団にしろロンドンに戻るにしろ、もう出れないだろうからな。俺に出来ることはこれくらいしかない。」
今回、星児の配属はどうなるかはプレジデントGは『追って伝えよう』と濁して去ってしまった…加え、隊員の正規登録や機体の配備となれば時間的に間近に迫った華擊団大戦に参加するのは絶望的と言っても良い。帝国華擊団の命運をかけた今回、もう自分が役立てることなど大してないだろう…と。
或人はやるせない気持ちになるが、せめてこれだけは伝えておこうと向きなおる。
「星児くん、どんなに辛くても自分を投げやりにしたら駄目だ。自分を大切に出来ない人間は結局、誰かを傷つける。辛い時は誰かに『助けて』って言って良いんだよ?」
今はもう独りぼっちじゃない…母がいる、友がいる、仲間がいる、帰れる場所がある。傷ついた時に寄り添える人も拠り所もあるのだから、己を見捨てないでほしい。
…しかし、返ってきたのは冷たい答
「……今更、甘えられるかよ。」
「何をほざいているんですの!」
「お、おふくろ!? いででででで!!!?」
その時、星児の背後から羽交い締めしたのはすみれだった。着物の着崩れすら構わず、バタバタとする星児をものともせず抑えつけている。これには或人も呆気をとられていた。
「全く!散々、心配かけて!! 自分を粗末にして!! これじゃ、あの人たちにあわせる顔がありませんわ!!!」
「ご、ごごめん、おふくろ! 謝るから!謝るから! もうギブギブ!!?」
ギブアップ降伏により、開放された星児はゲホゲホと咳をしながらも涙目で母親を見上げた…やはり、息子の勝手な行動にご立腹な様子。やはり、どのような悲願であれ愛子の犠牲に成り立つなど許容するわけもない。
「或人さん、またお騒がせして申し訳して申し訳ありませんわ。」
「いえ。それよりも、プレジデントGの話は…」
「ええ…
あの男からの提案はひとつを除いて、つっ跳ねさせてもらいましたわ!」
「は? はあああああぁあ!?!?」
プレジデントGからの示談案、なんとこれを受けなかったのだという。まあ、そうなるだろうなと薄々感じていた或人だったが、納得出来ないのは星児である。裏取引なれど、帝国華擊団再建に力強いテコ入れになるのは間違いないというのに…!?
「おふくろ、なんだってそんなこと!?」
「元より、W.O.L.F.からの支援は宛にしていませんもの。この話が無ければ今まで通りに再建計画を進めるだけですわ。…それに、花組の皆にあなたの犠牲で成り立つ舞台に立たせるわけにはいきません。」
「…そ、それは。でも!」
もうこれ以外、出来ることが…と言いかけた口を指先で止める。
「落ち着きなさい。舞台に立つことや霊子戦闘機に乗ること以外にも貴方に出来ることはあるはず。あなたは他ならない、この大帝国劇場で育ったんですもの。それは、あなた自身が一番よく解っているでしょう?」
「…」
帝国華擊団も歌劇団も花組だけで成り立っているわけではない…カオルたち裏方の風組や令士のような整備班や更に多くの人々によって成り立つ。だが、それは決して万全とは言えないのだ…花組にも言えることだが、経験・人手どちらも足りない。だからこそ、何処かで誰かが無理をしなければならないのは事実だし、地盤固めのために日々すみれ自身も根回しなど交渉にまわるなどしている。決して、必要たのは戦に振るう刃と舞台に舞う華だけではないのだ…
解っている。解っている…だけど
「…わりい、少し頭を冷やしてくる。」
簡単には受けいれられなかった。気持ちを消化しきれない星児は去っていく… でも、今度こそは皆と共に歩んでいけるとその背中を母親として、先に時代を担った者としてすみれは信じて見送る。
さて、残った或人…彼には気になることがあった。
「すみれさん、呑んだひとつの条件っていうのは…」
「アナスタシアさんの件ですわ。彼女は正確にはプレジデントG側の人間ですから、実のところわたくしや神山くんに彼女の権利を左右する力はとても弱いの。だから、万一、彼女が『嫌だ』と一声をあげただけでこの帝国華擊団を去ることが出来る。勿論、彼女がそんな無責任な人間でないことは承知ですが…」
なるほど。今、歌劇団の要はアナスタシアだ。彼女が突然、気まぐれに去られでもしたら歌劇団も連鎖して帝国華擊団も崩壊するだろう。いくら、世界的トップスタァとはいえそこまで自由なのは驚きだが、だからこそ星児は彼女を縛りつける条件を出したのだろう。演技指導もさくらたちに万一、彼女が離れても大丈夫な地力をつけさせるためとなれば納得…
ただ……
「……今回の話、アナスタシアさんはあまり納得していないようですの。」
そう簡単に話は進まない。
この間のまでの星児は操られて面倒くさくなってたやつ。
今の星児、死ぬ気で戦うことと死ぬつもりで戦うことを混同して勘違いしているやつ。