仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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あけましておめでとうございます。(今更)


有休と連休が雪寄せに消える虚しさよ(白眼)。うん、まじで雪積もりすぎてキツい。読者の皆さんも、体調と雪には気をつけて。そして、今年一年もよろしくお願いします。


燃ゆ!鋼が吹き荒れる平和の祭典!! Ⅵ

 ディケイド…新たな仮面ライダーの登場に再び風向きが変わりだす。

 

 

 霊子戦闘機の装甲すら削るクラスターテンペストを襲いかかる波状攻撃すらものともせず、ライドブッカーの剣捌きのみでいなしていく。捌ききれない槍のような場合のみはかわしつつ、鋼の嵐に喰らいつかせる隙を与えない。

 

 

 一方の黒い無限。動けない神山たちに駆け寄ると接触して通信を繋ぐ。

 

 

【兄さん、初穂! 大丈夫か?】

 

「! …その声、星児なのか!?」

 

「お、おまえ!! てか、その機体……」

 

【話は後だ。動けるか?】

 

 

 黒い無限の搭乗者は星児。彼は神山や初穂の機体の様子を確認する… 光武と無限どちらも喰い荒らされ酷い有様。辛うじて動けはするだろうが、戦闘はどちらにしろ無理だろう。あと戦闘続行に耐えうるのはアナスタシア機だけだ。

 

 

「仕方ないか。兄さん、初穂! 霊力をこっちに回してもらうぞ。クラリスとあざみを叩き起こす!」

 

 

 人手が足りない。ならばと、星児は『己の力』を解放する。オーラのように霊力を滲み出させると神山と初穂をこれで包み、更に気絶しているクラリスとあざみへと更に飛ばす。光の帯は無限ごと彼女たちを優しく包みこみ、霊力を流し込む…すると、ふたりは『うっ』と呻きながら目を覚ます。

 

 

「私たち一体…」

 

「この光は…? 霊力が戻ってくる?」

 

 

 再びレバーを握り、立ち上がる2機の無限。一方…

 

 

「なんだ、これは… 力が抜け…る…?」

 

 

 まるで血を抜かれたような気分の悪さが襲いかかる神山。連動するように無限の出力も下がっていく… ふらふらとし、バランスを崩すがそれを星児機が支えて転倒を防止。

 

 

【クラリス、あざみ! こっちの離脱のフォローを頼む! アナスタシアは生身で倒れている奴らを!】

 

 

 後を復帰したクラリスとあざみ…アナスタシアたちに任せ、背部に格納していた槍を取りだし展開する星児機。ブンッと振るうと戦場を見渡し、一気にアクセルを踏み込む!さあ、本当の反撃はここからだ…。

 

 

「バケモノどもが! 一匹残らずぶった斬ってやる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あれは」

 

 

 すみれを追い詰めていた夜叉だったが、会場の異変に気がつき視線をコロシアムに向けた…。目に映るのは黒い無限…縦横無尽に力づく駆け回り、槍で次々と降魔たちを薙ぎ払いながら一気に異形の軍勢の勢いを削ぎ押し返す様はより目立つ。そして、湧き出る霊力……

 

 ああ、とても懐かしい。『愛したあの人』と同じ匂いがする…

 

 

「……シンジロウ!」

 

「!」

 

 

 胸が掻きむしりたくなる程、熱くなる。目の前のこの女なんぞどうでも良い、口角を釣り上げると翼を羽ばたかせVIPルームを己の開けた穴から飛び去っていく。慌て追うすみれだが、飛べない彼女では追う術は無い。

 

 飛び出した夜叉は真っ直ぐ星児機へ飛んでいき、喰らいつくように黒いボディにとりついた。そのまま、コックピットをこじ開けるべくミシミシと力をこめていきはじめる。

 

 

「シンジロウ!あぁシンジロウ!! 会いたかった! ずっと、ずっとこの日を、瞬間を待ち焦がれていたの!! 開けて!開けてッ!! はやくお前の顔を見せて…!」

 

「ッッ! 俺に触るな!!」

 

 

 なんだコイツ!? 悪寒を感じた星児は無限で暴れまわりながら強引に彼女を掴むと引き剥がして放り投げる。投げたところで、やっとその姿と声を認識した……

 

 

「お前は……?」

 

 

 知っているこの女を。

 

 もう顔と声は十年以来届くことは無かった。……そして、降り立つ彼女は不敵に笑いながら告げる。

 

 

「悲しいものですね…忘れるなんて、この夜叉を…いいえ…」

 

 

 

 

 

 

 

 ―――真宮寺さくら、貴方の『本当の母』を。

 

 

 

 

 

「「「「「「「!!」」」」」」」

 

 

 花組だけではない、ロンドンやベルリンにも衝撃が走る!特にさくらに至っては言葉を失い、ランスロットも『どういうことだ!?』と気を散らした隙を突かれて魔操機兵から一撃をもらってしまう。更に、会場に混乱が広まる中…

 

 

「―――…ほぉ?」

  

 

 当の星児だけは動揺の一片もなく、むしろ鼻で嗤うくらい冷静だった。

 

 

「よくもまあ、そんな笑えない冗談を言いやがる。お前、偽物のつもりにせよ、何にせよやる気がなさすぎてビックリするぜ。つーか、シンジロウって誰だよ。」

 

「…? 私が分からないの?」

 

「知らねぇな。少なくとも姐さんは一度も俺を息子と呼んだことはない…そして、俺の名前は星児! 母をトップスタァ神崎すみれに持つ男!テメェみたいなパチモンには縁も所縁もありゃしねぇ!!」

 

 

 ガッ!と大きく担架をきる星児…反対に強く動揺をみせたのは夜叉だった。あぁ…と崩れ落ち、涙すら流し…おいおいと掌で顔を覆い泣き始める。

 

 

「うぅ、うぅ… 覚悟はしていました。ずっと側に居れなかった、だから拒絶はされることも…。そうであっても、やはり母の胸は痛みます。張り裂けて血が流れる程に。名前もあげられず、親として認められないこととはこんなにも悲しいのですね…」

 

「…何をほざいている?」

 

「良いでしょう、今日は退きます。ですが、アナタを決して諦めない…私は夜叉、『この時代を担う者』! 覚えておきなさい!」

 

「ま、待て!」

 

 

 すると、再びアイマスクをつけて夜叉は羽ばたかせ一気に華擊団大戦会場から離脱していく…。弾丸のような飛翔は霊子戦闘機で追うのは無理だろう…仕方ない、気になるにはなるが、今は事態の収束を急がねば。星児は辺りを見渡し、ランスロットのブリドヴェンを見つけるなり群がる降魔やらを蹴散らしながら少女騎士の後ろに図々しく背中合わせに立った。

 

 

「よお、ロンドン最強の騎士様が随分と苦戦してるんじゃねえか?」

 

「星児…!(その機体、やっぱり君は…」

 

 

 ランスロットは察す…彼は自分たちを、ロンドンを選ばなかったのだと。僅かな間、実にひと呼吸ほどだったが星児もまたかのの胸の内を感じとる。

 

 

「今、ゴチャゴチャはどうだっていい。フォーメーションいけるか?」

 

「…あぁ!」

 

 

 どんな感情だろうと泣いてる暇はない。剣を握り、邪悪を祓うが我らの使命…

 

 星児機の無限が前に立ち姿勢を低く構え、ランスロットのブリドヴェンが後ろで双剣を掲げて天を仰ぐ。同時にふたりの霊力は高まり、更に星児は己の練り上げた霊力をランスロットへと注いで彼女の力を限界以上にまで引き上げる…!吹き上がる霊力は嵐の如く、刃は激しく唸る稲妻を帯びて煌きを放つ!

 

 

「「グランドッ・ストリィーーム!!」」

 

 

 そして、解き放つは大地すら穿つ嵐の龍…紫電を孕む竜巻。次々と降魔を呑み込みながら、ついにはアナザークウガに直撃…そのまま勢いで押し込みアナザー1号をも纏めて地に叩きつける。予想外の大ダメージに巨体は互いにもつれ合い起き上がること叶わず『グガァァ…』呻きをあげる…再び復帰するには時間がかかるだろう。

 

 この隙を逃す手は無い。

 

 

「「アーサー!」」

 

「…わかっている!」

 

 

 トドメはアーサー駆るブリドヴェン。刃に聖なる光を迸らせ、走る、走る…跳躍。狙うは異形の脳天、今度こそ全力をもって復活の余地どころか塵ひとつも残さず消しとばしてくれる…ッ!悪は誇り高き騎士の剣に錆と散れ!

 

 

「…エクスカリバー!!!」」

 

 

 ――ドゴォォ!!

 

 

 立ち昇る極光の金色の柱。アナザーライダーですら呑み込み、文字通りに形すら残さずに滅しきる。アナザーウォッチすら残らない凄まじい威力だったが、同時にバックファイアでアーサーの機体は限界を迎えて地面に不時着する。大技の代償、整備無くしてはもう動かせまい…

 

 

「流石に、全力で放つのはキツいな…。さて、あとは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 …まだ終わっていない。

 

 

 苦しみもがきながら暴走するゼロワンを相手するのはディケイドとベルリン華擊団。アイゼンイェーガーからの銃撃、ディケイドの剣…どちらも凄まじいものだがクラスターセルに阻まれ届かない。どんな攻撃もあと一歩手前でどうしても防がれてしまう。

 焦りを覚えるエリスだったが、一方のディケイドは余裕そうに鼻を鳴らすと1枚のカードを取り出した。

 

 

「そろそろ、幕引きだな。蟲の王には時の王だ。」

 

 

【 KAMEN RIDE… ZI-O 】

 

【 カメンライダーーッ! ジオウ !!】

 

 

 バックルにカードを装填するや、腕時計のようなエフェクトに包まれて全く別の姿へ変身する。時計の針のような2本の角に何より目を惹く顔面の『ライダー』の文字…時の王者の力を操る姿、Dジオウである。この姿は或人も『本人』で見たことがあるのだが、ゼロワンは反応することなくクラスターテンペストを走らせる。しかし、Dジオウは焦らず見極める。

 

 

「ふむ…お前の未来が見える。」

 

 

 Dジオウの能力…それは、オーマジオウに匹敵するかもしれたい力。故に、『未来を見通すこと程度なら、造作もない』。貫こうとするクラスターテンペストの位置を予見。右、左、上…

 

 

「大体、わかった。」

 

 

 走りだし、左右に身体をのけぞらせながら左右の回避、上からくるやつはスライディングで…!これで一気に間合いが詰め…

 

 しかし、ゼロワンの無慈悲なクラスターセルの横薙ぎ払いが牙を剥きDジオウの姿は消えた。

 

 

「あぁ!?」

 

 

 エリスはDジオウが削りとられたのだと思った…だが、それはすぐ勘違いだとわかる。

 

 

「甘い!」 

 

「!?」

 

 

 ひと呼吸遅れてゼロワンの背後に瞬間移動したDジオウ。素体が顕になったガラ空きの背中をライドブッカーで一撃しはじめてまともなダメージを通す。ゼロワンもあまりの超理論的な攻撃が痛手になったのかすぐに復帰が出来ない…

 

 

「これで終わりだ。」

 

【 FINAL ATACK RIDE… Z Z ZI-O 】

 

 

これ以上、長引かせることはないと容赦なく必殺技を発動するDジオウ。頭上に、時計のようなエネルギー体が浮かぶや縦横無尽に時計の針のような光の刃でゼロワンやアナザーライダーたちを斬!斬!と切り刻みゼロワンは問答無用で変身解除させ、アナザーライダーたちは爆発四散。残った降魔も霊子戦闘機が撃破していき、ついには全滅。

 

 

 …こうして、混迷を極めた戦いは終わりを迎えたのだった。

 

 

 





 しれっと、合体技を使う星児とランスロット…伊達にロンドンに居候してないんだけど、もうこの技使わないと思うゾン。多分、この先はランスロットと共闘イベントは多分ない。そして、開幕式話は次回で一区切り。その次は星児の出生の秘密やサクラ大戦ナンバリングのキャラたちが出てくる過去編…になるかも。




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