仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
お久しぶりのこちらの更新です。
バレンタインとかクラリスのバースデーとかギャグ回を頑張ろって書こうとしたけど書き上げられなかったんだなこれが。
……時を遡ること、華擊団大戦直前 星児失踪当日
世界華擊団大戦会場にて
「世界統一華擊団構想…そのプロパガンダになれと?」
プレジデントGから全てを聞かされた星児… 全ての華擊団を統合した世界統一華擊団にそのシンボルとして自分を任せる。そして、今まで防戦ばかりだった降魔へ打って出る。そのために、ベルリン華擊団へと移籍し与えられた黒い無限で華擊団大戦に出ろ……その答は
「…お断りだ!誘拐紛いまでやって、そんな戯言をよくも!」
現在とは真逆の『拒絶』。当たり前だ、帝国華擊団やロンドン華擊団への不義に値する行いなど出来るわけがない。だが、予想済みと表情筋で語るようにプレジデントGは口角を吊り上げる。
「こんな手段に出る…だからこそ、本気だと受け取ってもらいたいのだが。ふむ、別に私は君が『帝国華擊団の忘れ形見』という肩書だけで判断を下したわけではない…君の能力『鎖血(くさりち)』も換算に入れてのことだよ。」
「…!? なぜ、それを…」
「ミス・すみれの真意は解らないが、どうしてこれを隠したがったのか。他者に自らの霊力を与えるというミニマムな能力なら、勘定に値すらしないが…『他人と霊力を繋ぎ互いに共有する』となれば話は別だ。」
クラリスの重魔導と同じように星児にも生れついての資質に由来する能力がある…それが『鎖血(くさりち)』。表向きは他者への己の霊力を付与する程度とされているが実際は、自分や周囲の霊力を共有状態、部隊全員の霊力を集めてそれぞれに再分配なんてことが可能になる。
霊力は生まれついての許容量があるのだ。特に女性は持ち前の霊力が潜在的に高い傾向があり、他諸々の条件から霊子戦闘機を動かすに必須な条件であるものの、個人差が拡がりやすい。そして、それらの問題は統一華擊団という大きな部隊となれば憂慮すべき課題になる。
しかし、星児の能力である『鎖血』はそれらを解決する可能性を秘めているというプレジデントGの見解。間違ってはいない…いないだろうが、すみれが内外共に伏せていたはず。それを知っているのはどういうことか。
「君は素晴らしい。そして、その力は活かすには、然るべきところにあるべきだ。」
「…なる程、帝国華擊団を作戦の根幹に関わらせたくないわけか!」
「否定はしない。実際、世界中に増えすぎた華擊団の整頓という意味合いもあるのだからね。これを理由にかえって再建の声が高まっては本末転倒だろう。」
転属の意味合いは他にもある。仮に帝国華擊団名義で星児が作戦の中核を為せば、それは帝国華擊団が大役を果たしたという実績になるのだ…これを快く思わないプレジデントG。かといって、ロンドン華擊団では作戦への編入などに諸々の不都合がある…だからこそ、世界最強の華擊団であり、中核を為すであろう自分に親しい駒のベルリン華擊団に置きたいというわけか。
「世界の華擊団はいずれ設立予定も加えれば、それこそ国ひとつずつが持つに至るまでなる。このままでは、いずれW.L.O.F.の管理は行き届かなくなり、組織は不全に陥るだろう。更に、十年前と同じく降魔が再び活発に現れはじめた今、我々に残された時間は少なくなりつつある。…さあ、私の手をとりたまえ。君がいるべきはそんな名ばかりの連中ではなく、かつての帝国華擊団の意思と血を真に受け継ぐ我々だ。」
差し出される悪魔の手…それを無言で傍らから見据えているエリスとマルガレーテ。最強の華擊団ベルリンに組織のトップから直々に誘われるとなれば、普通の人間なら喜んで手を握るはず。無論、良好な人間関係の話はならの場合だが…
「どの口が言う。何度も言うがそれなら、モギリなり雑用なりしてたほうが千倍マシだ。それに、ベルリン華擊団如きに兄さんたちが負けるかよ!」
尚、断固として断る星児。意地と誇りを捨てて犬になるより、帝国華擊団と共にある道を選ぶ…
しかし、プレジデントGはより強く…嘲笑う。
「希望的観測は結構…
だが、…ロンドンは見捨てるということで良いのかね?」
――何?
胸を張って担架をきった星児の眉間に皺が寄る。
「敗退すれば解散するのはロンドンもまた然り。世界二位の実力者で、王室がバックアップについてようとも今回の決定からは逃れられない。…もし、万一だ。帝国華擊団が何かの間違いで優勝したとして…結果はどうにしろ、ロンドン華擊団は消える。未来永劫…英国の地にその名が響くことは無いだろう。」
そう、仮に帝国華擊団が勝ち残ってもロンドンは解体されてしまう。アーサーやランスロットの居場所が無くなることを歯牙にもかけない…などという真似は残念ながら出来ず、喉を詰まらせる星児。帝国華擊団を潰すわけにはいかない…でも、自分が傷ついた時に手を差し伸べたロンドン華擊団が無くなるのも見ぬ振りは無理だ。でも、両方を救うのは理屈的に無理…
「ま、ロンドンが勝てば帝国華擊団が消える…うむ、残酷なことだ。―――しかし、特別な事情があれば…例外というのもありうる。」
「…例外?」
天秤を揺らし、相手を惑わせながら話を進める…頃合いだろう。
「例えば、優秀な人材には厚い待遇をして応えるべき…働きによっては、華擊団の一つや二つ、目を瞑ってやることも吝かではない。」
ここで眼前に垂らす最大のエサ。どちらも捨てるに捨てられぬからこそ、自らにつくことで両者を救えるかもしれないとチラつかせる…。そんなことが可能なのか?いや、可能なのだ。W.L.O.F.はプレジデントGが建て纏める組織…彼の所有物なのだから。彼こそが全てを動かすルールであり、森羅万象。内外共にあらゆるところで影を落とすその力は星児自身がよく知っている。ある者は彼の名に縋ることを考え、ある者は呑まれまいと逃げていく…そんな光景を何度も見てきた。
されど、両者を救うとしながらどちらにも不義を為すような選択肢…そんな簡単に星児は首に縦には振れない…だが強くグラつく。
――さあ、もうひと押し。深く呑み込むように誘いをかける。
「ま、良いんだ。旧華擊団の連中を助ける唯一のチャンスになるが…嫌だと言うなら仕方あるまい。この話は無し、無限も下げさせよう。
―――黙って指をくわえて、最後まで見ていると良い。」
「――! 待ってくれ!!」
喰いついた。
振り向いて去ると見せかけ、ニタリと口角をあげるプレジデントG。あとはゆっくりと糸を巻いてやればいい。
「俺を…ッ ベルリン華擊団に…いれて…くれ…ッ」
絞り出すような声だ…おやおや、これじゃあ強引に従わせているようじゃないか?不服だけど仕方なくついてくるようじゃ困るのだがね…私はあくまで善かれと『提案』しただけなのだから。
「おや? まさか、『入れてくれ』と言ったのかい? やれやれ、ミス・すみれの教育がなってないようだ。目上の人間に頼む時はもっと丁寧に…全力でお願いするべきだろう?」
「…っ」
…歯を喰い縛る星児。押し潰されそうな屈辱と腹から喰い破ってくるような怒りを『希望』というあまりに拙い言葉で抑えながら、この世で最も憎むお得に膝を折り… 手をつき… 額を地面に擦りつける。
「俺を!! ベルリン華擊団に、入れて、下さい!! お願いします!!」
プライドを捨てて、仲間を捨てて、自分を捨てて、それで全てを護れるなら未練だって涙と一緒に捨ててやる。頬を絶え間なく伝い始めた雫は心の傷口から溢れる血… 色は無くとも、彼が歩んできた全てを洗い出すように流れ続けた。
…そして、ついに悪魔も満面の笑みで星児の肩に手を置いた。
「よく決断した。これから、私達で仲良くやっていこうじゃないか?…ククク、ククククッ!」
契約は成る。彼もまた、忌むべき影へと絡めとられていくのを傍らでエリスは黙って見ているしかなかった。世界最強のベルリン華擊団隊長、その肩書を持ってしても世界の中心に一石を投じるにはあまりにも心許ない砂粒にしか過ぎないのだから…。
★ ★ ★ ★ ★
(…あの男らしいやり口ね。)
ベルリン華擊団から一部始終を語られた…。
唯一、納得したと心で頷いたのはアナスタシアだけ。狡猾かつ悪辣、両手で全てを掬いとらせたようにみせかけ相手を従わせながら、全てを自ら零させてしまう。結局、帝国華擊団もロンドン華擊団どちらも救えたとしても、星児はどちらかにも帰れない。後々もベルリン華擊団で良いように使い潰されるのが関の山か…
無論、そんな話を聞いて黙っていられる面々ではない。最初に声をあげたのは或人だった。
「おかしいですよ、そんなの!? ハラスメントも良いところですよ! 貴方たちは黙って見ていたんですか!?」
このやりとりが本当なのは顔を背ける星児から見て間違いない…なら、その流れを見ていただけになるベルリン華擊団に非難が向かうのはある意味、当然の帰結。すると、エリスは無機質に答える。
「そうだ。一介の華擊団である我々にプレゼントGに抗う権利も自由も無い。」
「貴女は…!」
「理解し難いだろうが、W.L.O.F.とはそういう組織だ。所詮、我々など末端の人間に過ぎない。代えなどいくらでも利く。例え、最強の華擊団と謳われていてもな…」
W.L.O.F.は善くも悪くもプレジデントGの所有物だ…彼が創り、彼が維持し、彼が中心になっている。必要なことがあれば鶴の一声ですぐに対処にあたれる反面、どんな横暴もある程度は通ってしまう程にプレジデントGとその中心に位置する者たちの影響力が強すぎるのだ。それが、国際的な組織で成り立っているのもある意味、ベルリンも含め多くの華擊団設立に関わってきた彼の剛腕故だろう。
一方、神山は星児へと問う。
「…なんでこんなことを?」
すると、喰い縛る口から声を洩らす星児…
「だって、俺は…何も出来ていないじゃねえか!隊長にもなれない、舞台にも立てない、戦うことすらできない…! なら、泥を啜るぐらいやらせてくれよ!!何も出来ないのは惨めなんだけなんだ!」
改めて気がついた。そうだ…星児は何も成し遂げていないのだ。すみれと同じだけ帝国華擊団再建に自分の人生を捧げながら、夢見た全てに届かず、あまつさえ戦う力である光武さえ失った。
「星児…」
その喪失は…神山の誰の予想より遥かに大きかったのかもしれない。
――それでも、認めてはならないものがある。
「それは違うだろ。お前が苦しんで犠牲になった舞台で花組もランスロットさんも、胸を張って立てるわけないだろう!」
やれることは皆、全力でやってきた。それはこれらからも変わらなくても、手段を選ばないというのは違う。暖かい血を通わす帝都の華と剣が仲間の冷たい腐血から成り立つなどあってはならないのだ。無論、ロンドン華擊団とて同じ…
…だが
「…もう手遅れだよ兄さん。もう後には引けない、俺は別の道を行く。例え、二度と帝国華擊団の名前を名乗れなくてもな。」
既に結ばれた悪魔の契約は断ち切ることは叶わないのだから。
先日の地震は皆様、被害等はなかったでしたでしょうか。私の住む地域もかなり強く揺れて肝を冷やしましたが普段の生活は支障なく送れてます。
まだ寒さも続くようなので、お互いに健康等々気をつけていきましょう。