仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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 字のフォントとか色弄るのどうやるんじゃこれ…(今更)




天才物理学者からのおくりもの。

 帝国華擊団 地下ドック

 

 

 ボロボロの無限が並び、それをなんとかせんと作業員やヒューマギアたちがあちこちに飛びまわっている。不破も力仕事ならばと手伝い、唯阿も令司と一緒に設計図や様々な資料とにらめっこをしていた。テーブルやかべなど貼りつけられたそれらから現状を打開できる案がないかと互いに技術者として意見を交換するも、答はそう簡単に見いだせない。

 

 

「唯阿ちゃん、それは技術的に無理だ。令和の世界なら出来ても、こっちの世界じゃ不可能なことだってある。」

 

「それもか。歯痒いな…」

 

 

 特に技術的な認識の差がこのふたりでは問題があった。いくら霊子機関や蒸気機関といった独自技術が発展しても、太正世界は仮面ライダーたちの世界に重ねた場合、昭和の時代でヒューマギアは愚か唯阿が当たり前と思う認識や技術すらまだ産声をあげていなかったりする。勿論、エンジニアとして彼女が役にたたないわけではないが、令士ら太正のメカニックにとっては無茶なものが数多い。

 

 

(ヒューマギアのラーニングも間に合うかが要か…。せめて、機材さえまだマシなものがあれば…)

 

 

「…」

 

 

 埒があかない…。ここで、令士は決めた…残酷な決断を下すことに。 

 

 

 

「華擊団大戦には隊長機の参加は必須…そして、僚機が2機いれば良い。だが、このままでは予備パーツを全部引っ張り出しても3機は無理だ、間に合わない…あとは自分たちで都合するしか。」

 

「それが出来たら苦労は…まて、まさか?」

 

 

 彼が見据えるのはドッグの奥にあるフレームを剥き出しにした組み立て途中の無限…まだ浮いたままの装甲は『桜色』。つまり…

 

 

「待て!今、天宮さくらの無限を解体すれば彼女の戦う力は無くなる!光武もまた動けるかはわからん上に、今の彼女からそれらを取り上げてしまったら…!」

 

「わかってるさ! だが、このままじゃ俺達は土俵にすら立てないまま終わる。全部の苦労が無駄になる…!」

 

 

 さくらの機体は組み立て途中…言い方をかえれば、新品の部品の塊だ。故に解体してパーツを他の無限の修理に宛がうということ…そうすれば、予備パーツのストックをあわせてぎりぎり参加条件を満たすだけの機体の頭数は揃えられる令士の目算。されど、これは完全にさくらを事実上の戦力外通告とも等しい非情な策だ。

 

 今の傷心の彼女にこの仕打ちは…と反対しようとした唯阿だったが、その肩をいつの間にか聞き耳を立てていた不破が掴む。

 

 

「よせ、刃。逆にお前が華擊団の立場だったらどうだ? 戦えない人間に大事な武器と仲間を預けられるか?」

 

「…」

 

「お前の気持ちもわかる。だが、立てない人間にかける余裕は無い。」

 

 

 悔しいがその通り。今の天宮さくらを無限に乗せたとて足手まとい以外に何もならないのは明白…ならば、せめて言い出した責任と『俺が神山に進言する』と令士。唯阿と不破も今は頷くしか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おお、すっげぇ!ここ帝国華擊団のドッグ!?これが無限、アイゼンイェーガーとどう違うんだコレ!ヒョーー!」

 

「うるせぇよ、戦兎! つーか、ここも油くせぇな。プロテインに臭いが移っちまう。」

 

 

 

 あれ、何か騒がしい奴等がシリアスを殴り殺して入ってきたぞ? 

 

 戦兎と万丈だ。戦兎は無限に興奮している様子で万丈は持っているバレル缶のプロテインを気にしている…何故、持ってきた?

 

 

 

「差し入れ。」

 

 

 ああ、そう…バカじゃねえの?

 

      ……(筋肉)バカだったわ。

 

 

 プロテインは困惑する不破が受け取って、唯阿と令士が戦兎と応対する。一応、彼等は仮面ライダーとはいえ、ベルリン側の人間なのだから。

 

 

「確かベルリンの仮面ライダー…ビルドとクローズだったな。何をしにきた?」

 

「そんな怖い顔しないでって。別に冷やかしにきたわけじゃない…うちの隊長からの秘密のお願いがあってさ。色々と届けにきた。」

 

 

 すると、次々と地下ドックに運びこまれるコンテナの山。この中身に気が付き、令士は目を丸くする。

 

 

「これ…霊子戦闘機の部品か!? しかも、こんなに沢山…。いや、待て待て…こんなことしたらプレジデントGから大目玉だぞ!」

 

「ま、隊長も思うところがあったみたいでね、帝国華擊団には。『敵に塩をおくる』というよりは、『せめてもの親孝行』ってところ。あと、これは俺と『魔王さま』からのおくりもの。」

 

 

 そして、唯阿へ折り畳んだ設計図とおぼしきものを渡す戦兎。これを見るなり、思わず彼女は驚嘆の声を洩らす…。令士も目を通すたり度肝を抜かれた顔をし、この紙が如何に重要なものかは雰囲気で不破と万丈は察する。

 

 

「設計に必要な機材も搬入してある。さ、俺達も作業を手伝うぞー!」

 

「待て! ベルリンの仮面ライダーのあなたたちが何故、こうまでして助けるのだ? まるで、わけがわからん…」

 

 

 そのまま、平然と手伝おうとするし混乱する唯阿… すると、戦兎はクシャッと笑いながら告げる。

 

 

 

 

 

 

「例え、活躍する世界も時代も違っても…仮面ライダーは助けあいだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 このあと、『俺達、殴り合いしてたほうが多くね?』とボヤいた万丈が戦兎に『黙ってなさいよ!』とド突かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

 それから、目まぐるしく忙しい日々が数日と続けばあっという間に華擊団大戦の試合当日。襲撃があったことが嘘のようにグランドも観客席も整備されているが、開会式に比べれば幾分か人が少ないような気がする。それでも、歓声は華擊団の選手たちの霊子戦闘機格納エリアまで届くほど大きい。

 

 アイゼンイェーガーと黒い無限…並ぶベルリン華擊団の機体の中でパイロットたちは来たるべき決戦の時を待っていた。そんな中、コックピットで口を開いたのはマルガレーテ…

 

 

「初戦の相手は帝国華擊団…まあ、相手にすらならないでしょうが。しかし、初戦で、子に親の首をとらせようとは…演出にしても悪趣味。神崎すみれ女史の子である彼と、かつての旧・帝国華擊団の手で産まれたと言っても他言でもないベルリン華擊団…。狙っているのでしょうかね…どう思いますエリス?」

  

「…さあな。取り敢えず、親の『死装束』ぐらいは用意するのは子の役目だろう?あとは、あちらでちゃんと着こなせるかだが…」

 

「…」

 

 

 死装束など随分と穏やかではない話をするエリス。一方、黒い無限の中にいる星児に反応は無い…まあ、仕方ないだろう、かつての仲間たちに刃を向けて場合によってはその未来を閉ざす役割を担うかもしれないのだから。

 

 

(…もうあわせる顔が無いな。)

 

 

 この華擊団大戦が終われば、もう自分は二度とかつての仲間たちに会うことはないだろう。戦いの果てに生き残ったにしても、 命が燃え尽きたとしても…

 

 

「エリス隊長、行こうぜ。」

 

「…良いんだな?」

 

「覚悟は出来てる。」

 

 

 操縦桿を強く握る…すると、呼応して起動する霊子戦闘機たち。星児の無限には腰に刀、背中に折り畳んだ槍にライフル等々が積まれ、重武装にされていた…恐らく積載量オーバーのギリギリのラインだろう。

 彼の無限を後ろにエリスとマルガレーテのアイゼンイェーガーは芝生の敷き詰められた会場へとアクセル全開で飛び出す。その途端、会場の熱気は高まりアナウンスが彼女たちを讃えるアナウンスを流す…。

 

 

【ベルリン華擊団、入場です! まさに王者の風格、目指すは世界華擊団大戦の悲願の三連覇…! 今回の戦いはまずその第一歩となるでしょう!】

 

 

(帝国華擊団が勝つとは微塵とも思ってないか。)

 

 

 まあ、仕方ないだろうなと思いつつも憤りを覚える星児。実際、このシチュエーションは実績ありの『最強』と出来たてほやほやの目下『最弱』で、戦いは実践形式の直接対決…誰もジャイアントキリングなんて期待していないんだろう。

 

 

 歓声を浴びながら、ベルリン華擊団は中央の待機位置につく。既に戦兎と万丈は待機しているが…帝国華擊団の姿は無い。

 

 

(間に合わなかったか…)

 

 

 エリスは目を伏せる。実際、賭けみたいなものだったが、どうやら帝国華擊団はチャンスを活かすことが出来なかったらしい…。アナウンスも姿を現さない対戦相手に不穏な言葉を洩らしはじめる。

 

 

【これはどうしたことでしょう?帝国華擊団の姿がありません。試合開始は間もなくのはずですが… 間に合わない場合はプレジデントGの判断により棄権と見做され、自動的に敗退が決まります。その場合、即刻解体の処分が待っていますが…どうして姿を現さない?】

 

 

 観客たちも歓声から不安などよめきをはじめる。やがて、専用のVIPルームから見下ろしていたプレジデントGもフンッとつまらなげに鼻を鳴らしていた。

 

 

「堕ちたな帝国華擊団。まさか、ここまで情けないとは夢にも思わなかったぞ。」

 

 

 敵前逃亡なんぞもう嘲笑う気すら起きない。折角、色々とお膳立てしたシチュエーションだがまあ良いだろう…時間は惜しい。

 

 

「帝国華擊団を不戦敗とし、この試合はベルリン華擊団の…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ちょっと、待ったぁぁ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 その時、会場の空に影がかかる。青空を泳ぐ鯨のようなシルエット…帝国華擊団の翔鯨丸だ。そこから、カタパルトのハッチが開いて、無限3機が飛び出してきて芝生の上に着地する。神山機、クラリス機、あざみ機のようだが、その色はどういうわけか皆統一された鋼色である。まるで、ゼロワンのメタルクラスタホッパーのような…

 

 

「すみません、遅くなりました!」

 

「あ…いや…その機体は?」

 

 

 初手、神山の謝罪。焦っていたのかだいぶ息がきれている…遅刻は由々しき問題だが、エリスとマルガレーテは異様な姿になった無限に絶句していた。『死装束』とは例えたが、明らかに自分たちが予想していたそれより斜め上をいく姿になっている… 補修とかそういう次元じゃない、最早バージョンアップの領域である。

 

 誰がこんなことを…?

 

 

「最ッ高だ!最高でしょ!? 名付けて『霊子戦闘機 無限・飛電改装型』! フレームや装甲にゼロワンと同じ飛電メタルを組込んで補強と改造をすることで耐久性を含めて性能が格段にアップ!やっぱり、俺って天才だわ!」

 

「「…」」

 

 

 お前か。

 

 興奮する桐生戦兎を驚愕の眼で見るマルガレーテ…誰がそこまでしろと言った?

 

 

「エリス、この自称・天才をシバく許可を。」

 

「落ち着け、マルガレーテ。取り敢えず、銃はしまえ。」

 

 

 このままでは、銃殺事件が起きかねないのでなだめるエリス。気持ちはわかるが、この会場を血に染めるわけにはいかない…

 

 

 一方、騒がしい彼女たちと対照的に帝国華擊団と静かに相対する黒い無限。

 

 

「兄さん…」

 

「星児…」

 

 

 星児と神山。運命を担う者と夢を追う者…

 

 避けられない戦いが幕を開ける。

 

 

 

 

 

 

 




 次・回・予・告

ハヤト「同じ夢を持ちながら、違ってしまった星児と花組。神山、頼む…アイツの思いと全力を受け止めてやってくれ。救えるのはお前だけだ。そうすれば未来は変えられるかもしれない。


 ――次回『誠を受け継ぐ者』」


星児「来い、神山ァァ!!!」







 次回もお楽しみに!


 
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