仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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仮面ライダー50周年、おめでとうなのだ!

そして、仮面ライダーゲンムズ楽しみ。令和にあの神が帰ってくるのか…(戦慄)




誠を受け継ぐ者 Ⅰ

 ――どういうことだ?

 

 

 VIPルームから一部始終を見ていたプレジデントGは己の目を疑った。確かに、ベルリン華擊団から帝国華擊団への援助を許可はしたが、誰があそこまでやれと言った? 自分はただボロ雑巾のような機体で完膚なきまで蹂躙される奴等を見たかっただけなのに…

 

 

(失格扱いにするか? いや、しかし…)

 

 

 ここで門前払いなんてしようものなら、盛り上がっている観客からブーイングが巻き起こって不満の矛先がこちらに向くだろう。おまけに、世界に自分が帝国華擊団へ冷遇していることが晒されてしまう…それは避けたい。

 

 

(ええい、ベルリン華擊団…!何が死装束だ!? 万一でも負けようものなら、すぐに塵にしてやる!)

 

 

 自分に大見得をきったエリスに怒りを覚えながら、プレジデントGは戦いの行く末を見守ることにした。 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

「すみれ様…」

 

「ええ、大丈夫よカオル。」

 

 

 時を同じく、翔鯨丸の艦橋からカオルと共に様子を見守るすみれ。この組み合わせは実に残酷なものだろう…花組が勝てねば、帝国華擊団に未来は無いがそれは、星児がプレジデントGの顔に泥を塗ることになり、我が子の将来は閉ざされるだろう。しかし、ベルリン華擊団が勝てば親子で追いかけてきた帝国華擊団再建の夢は泡のように消えて無くなる。

 どちらが勝っても、大事な物を失う。張り裂けそうな痛みが尚も胸にあるが、だからこそ目を背けてはいけないのだと。

 

 

(星児のことを頼みますわ、神山くん。)

 

 

 ―PPP!!

 

 

「! 通信です…坊っちゃんから!?」

 

「…繋いで頂戴。」

 

 

 突然、星児からの通信。開戦までの僅かな時間…すみれは我が子の声を聴くことにした。

 

 

【…。 おふくろ、皆…聞こえてるか?】

 

「星児…。」

 

【こんな試合の前に言うことじゃないのはわかってる。でも、謝らせて欲しい…あんな酷いことを言ったことを。】

 

 

 暗い声の謝罪。開会式後のやり取りについてだろう…もうあれが本心と事情を隠すための狂言だったことは誰もが解っていた。しかし、刃を交える前に彼なりに落とし前をつければならない。

 

 

【…傷つけた、おふくろも皆も。もう帝国華擊団にも戻れないし、こんなことを言う資格が無いのも解ってる。『ダナンの愛』、マジですげぇと思った…。本当に驚いたし、感動した。あれが本当にヘッポコだったアイツらだったのかって。もしかしたら、昔の花組みたいに輝けるんじゃないかって。

 

 その時、理解したよ…仲間を信じようとすらしなかった…あまつさえ、見捨てようとした俺に隊長の資格は無い。】

 

 

 吐露する己の心の内…。実は、ベルリン華擊団に参加してからの後の『ダナンの愛』の公演を見ていた星児…そして、悟る。結局、自分は帝国華擊団を建て直すと口にしながら仲間も、前すらも見ようとしていなかった。全てを過去に置き去りにしていた。

 

 もっとはやく気がつけば、誰も傷つかなくて済んだかもしれないと。

 

 

【ゴメン、皆を傷つけて。そして、ありがとう…もう一度、帝劇で夢を見させてくれて……】

 

 

 謝罪と感謝を連ねた言葉… 嘘偽りはないだろう。なら、こちらも胸の内を伝えようではないかと神山は口を開…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――…しかし、だ! ――俺にも意地があるッ!!」 

 

 

 

 

「「「!」」」

 

 

 その時、風の流れが変わる。黒い無限が背中に折り畳まれていた槍を引き抜き、ブンッと振るう! また左手には刀を握り切っ先を花組の無限たちへ向けたと同時に頭部に捻れた双角のパーツが起き上がる…。

 

 

 ――左には、追憶に尚も息づく敬愛した華の一太刀

 

 ――右には、敬愛する母の型を真似た槍

 

 ――構えは、背中を追った群れを率いる誇り高い銀狼如き双刃

 

 

 

 二刀流…しかも、槍と刀の組み合わせた星児独自のもの。かつて、帝劇の英雄たちは彼に決して技の真髄に至るまでを教えてはくれなかった…。元々教える気は無かったか、或いは機会が無かったは誰もわからない。だからこそ、彼は彼なりに浅いながらも先駆者から伝えられた全てを組み合わせ、思考錯誤と鍛錬を重ねて編み出した己の戦いの型。それは、星児の全てでもある。

 

 

「華擊団はな…歌劇が美しいだけじゃ駄目だ。人を笑顔にする華であり、そして…人を守る盾となり、邪悪を祓う剣。だから、俺は十年前からずっと研鑽を重ねてきた! 蔑まれ、地べたを這っても今日、この日まで走ってきた!

 

 だから、お前たちに未来を担う強さと意志があるのなら…! 俺を超えてみせろッ! 帝国華擊団!!」

 

 

 牙を剥き、唸るかつての栄光の遺児。

 

 呼応するように紫の揺らめく霊力が黒い無限に纏わりつく…強い心の在り方というより、まるで『怨念』のような陽炎後退るクラリス機とあざみ機…。

  しかし、神山だけはコックピット越しにそれを真っ直ぐと見据えていた。

 

 

 …脳裏には試合に向かう直前のすみれとの会話が過る。

 

 

 

 

 

 ――神山くん、私は後悔しているの。十年前、無理矢理でもあの子を黒潮の家の父親に預けていれば、帝国華擊団再建なんて重荷を背負わせずに済んだんじゃないかって。

 

 

 ――子を守るべき親でありながら結局、私は何も出来なかった。そして、私ではどうにも出来ないものまであの子は背負ってしまった。

 

 

 

 

 

 ―――救えるのは恐らく、あなただけです神山くん。帝国華擊団の支配人として命じます、必ずこの戦いに勝ってきなさい。

 

 

 ―――そして、情けない母親として頼みます…。あの子を夢から変わってしまった呪縛から解放してあげて。

 

 

 

 

 

 

「…」

 

 

 帝国華擊団を統べる者としての使命と母としての願い。

 

 操縦桿を握りしめる神山は思う。どうして、この親子はこんな形ですれ違ってしまったのだろう…目指すところが同じはずなのに。夢見た舞台で刃を交わることになるなんて悲しすぎる。

 

 でも、自分がすべきことは嘆くことではない。

 

 

「…わかった。お前の思いに全力で受けて立つッ!!」

 

 

 ――斬る。

 

 立ちはだかる壁を。 呪いへと歪んだ夢を。

 

 全てをはじめるために。 全てを終わらせるために。

 

 

 

 

「おい、盛り上がってるところ悪いが俺達のこと忘れてないか?」

 

 

 …あ。つい空気に流されて置き去りになっていた無限の足許で不破が声をあげ、ショットライザーを持て余し弄んでいた。唯阿も空気を読まない奴めと頭を抱える素振りをしていたが、内心は『よく言ったぞ!』と自分たちが置き去りになることを危惧していたのでガッツポーズを背中で隠してしていた。

 

 この戦いは仮面ライダーが人々に仇なす存在ではないと示すという意味合いもある。今後、帝都での活動をすることを考えれば彼等にとっても重要なものになる今回。正直、無理矢理引っ張りだされてこられた上に蚊帳の外は納得がいかないだろう。それは戦兎も同様だった。

 

 

「確かに、もう言葉はいらないかな。正直、俺もはやくその無限の性能を試してもらいたくて仕方ない。」

 

 

 そう言うなり、ビルドドライバーを装着する戦兎と万丈。反応して、不破と唯阿もショットライザーを構える。既に戦いの火蓋はきられようとしていた…。それを更に盛り上げようとアナウンスが捲したてる。

 

 

【さあ、ついにはじまる禁断の直接対決ッ! 『最強』対『目下最弱』、私達が目にするのは揺るがぬ王者の圧倒的風格か!?それともッ、誰も予想だにしないミラクルか!? 今ここに、ベルリン華擊団対新生・帝国華擊団…開戦だァァ!!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじまったか…」

 

 

 歓声があがる観客席に紛れるように試合の様子を窺っていたハヤト。その隣にはアーサーとランスロットの姿もある…。アーサーは冷静に戦況を分析していた。

 

 

「帝国華擊団の無限、恐らくは急拵えの改装か。…能力は未知数だが、付け焼き刃で追いつけるほどベルリン華擊団は甘くは無い。付け入る隙があるとすれば…」

 

 

 飛電改装がどんなものかは知る由もない…だが、圧倒的に個人や連携といった実力は間違いなくベルリンが上。現に、開戦早々にアイゼンイェーガーの射撃の嵐がクラリスとあざみの無限を追い込みはじめている…。仮面ライダー同士の戦いはアサルトウルフへと変身したバルカン対クローズにバルキリー対ビルドという組み合わせでこちらは互角の戦いだが、霊子戦闘機の戦いによってはどうなるかはわからない。

 

 

(興味深い戦いだが、残念ながら観ている暇はないか…)

 

 

 取り敢えず、今は自分たちの用事にあたらなくては。

 

 しかし、ランスロットは星児の機体を複雑な表情で見据えていた。

 

 

「剣に槍…あんな構え、アタシには一度も見せなかった。」

 

 

 自分と戦う時はいつも刀の二刀流だった。槍…正確には薙刀は母親であるすみれの得物なので、技術を習得していても不思議ではないが…ロンドンに居た時にそんな素振りなど一度も見せていなかった。

 その事情はハヤトが知っている。

 

 

「ああ、奴は帝国華擊団を出る時に母親から教わった槍だけは封印すると決めていた。自分の不義へのけじめとしてな。」

 

 

 夢から逃げた自分への戒め。母を残した自分への罰。

 

 それだけ、弱い自分を許せなかったのだろう。

 

 

 再び槍をとるのは、自らが帝国華擊団に戻る日と母から赦される時と決めていた…。そんな彼が、己の誓いを破ってまで相対するとはこの戦いにそれだけ本気ということか、或いは神山がそれだけ力を賭けなければ勝てない相手ということか。……いや、どちらもか。

 

 

「…(この戦いが運命を変える…か。)」

 

 

 弟子の晴れ舞台…曲がりなりにも師匠として見届けるべきだろうが今の自分たちにはやるべきことがある。

 

 

「ガヴェイン卿、ランスロット…。悪いが、観戦している暇はない。事は予定通り進める。」

 

 

 アーサーの呼び掛けに空気が引き締まる。ハヤトは無言のまま、ランスロットは頷いて応えると彼は告げた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…プレジデントG、奴を玉座から引きずり降ろす。」

 

 

 

 

 

 

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