仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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誠を受け継ぐ者 Ⅳ

「ぐあっ!」

 

「っ!?」

 

 

 ついに追い詰められるあざみとバルキリー…。バルカンも加勢したものの、損耗が少ないベルリン華撃団とビルドからしたら大した障害にもならない。このままいけば、初戦は彼女たちが涼しい顔で勝利を飾るだろう…少なくとも、何も知らない者たちからはそう見える筈。

 

 

「終わりだ、帝国華撃団。貴方たちの底は知れた…。せめてもの慈悲、私達…ベルリン華撃団が葬ってあげましょう。」

 

(エリス…)

 

 

 しかし、銃口を向けるエリスの顔は悲痛なものだった。

 

 帝国華撃団再建に並々ならぬ想いがあったのは当事者だけではない。それは、敵に塩を送るで済ますにはあまりに大き過ぎるベルリン華撃団からもたらされた飛電改装といった援助からも解りうるだろう…。もし、初戦敗退でもせめて自分たちに一矢報いるくらいの活躍が出来れば全てが終わったあとに、再建の糸口になったかもしれないが……彼等は彼女の期待には応えられなかった。

 

 そんな胸の内を察しながらも、引き金を引こうとするエリスにあえて何も言うことはしないマルガレーテ… 

 

 そして、落ち込んでいるのは彼女だけではない。

 

 

(最悪だ。『飛電改装の真価』を発揮出来れば、まだ可能性があったかもしれないのに…。)

 

 

 ビルドも落胆していた……試作した装備の性能を見届けられない科学者の側面としても、栄光のために競い戦う戦士としても。勝ったところで、空気は悪くなるのは間違いない上に後々にもエリスに影を落とすことになるだろう。加えて、帝国華撃団の敗退は『本来あるべきシナリオ』からかけ離れた未知数の展開になりうるのだ。そうなると、今後に起こりうるイベントの対策も滅茶苦茶になってしまう。

 

 …そんな考えをしていた時にふと気がつく。

 

 

(あれ? 万丈は何処だ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待ちなさい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その時、背後からの声に振り向いたベルリン華撃団。そこには、クラリスの無限が立ち上がりこちらを見据えていた…。すぐにマルガレーテが迎撃しようとするが、エリス機が制して彼女へと通信を繋ぐ。

 

 

「棄権しろ、と言ったつもりだったけど? まだ帝国華撃団の名に泥を塗りたいの?」

 

「そうですよね…そう言われても仕方ありません。仲間に責任を押し付けて、自分は言い訳ばかりで甘えて逃げてばかりで…最低です。」

 

 

 自己嫌悪…何度したかわからない。そして、そのままいつも自嘲してイジけて耳を塞いで全部が終わるのを待っていた…

 

 それが、『今までの自分』だった。

 

 

「でも、やっと気がついたんです。それが、自分も仲間も裏切ることだって…! 私は、したくないことをやらされるんじゃない…! 大切な場所を守るためにッ 信じてくれた人たちのためにッ 皆の夢を叶えるためにッ 立ち向かうんだ!! 自分の意志で!!」

 

 

 思い出した。もう自分の魂はスノーフレイク家の暗い書斎ではなく、この光が溢れる場所へ連れ出してくれた人達の帝都に、帝国華撃団にあるのだと。だから、自分は帝国華撃団の団員として使命を果たし、正義を示す…!

 

 その声に反応するように彼女の無限が鋼色から光を帯びていく…

 

 

 

【 KAMEN RIDER W / ABILITY 】

【 Are you ready? 】

 

 

「「!?」」

 

 

 纏うは緑と紫…それは、『仮面ライダーダブル』と同じ。

 

 かつて、彼女にアナザーライダーとして、望まぬ力と絶望を与えたソレは今…未来を掴み取る希望として鼓動を刻もうとしていた…。

 

 

(感じる…!私の重魔導と、仮面ライダーの力がひとつになっていくのが…!! これが、飛電改装の…!)

 

 

 操縦桿を握る手が凄まじいエネルギーの潮流を感じとる…これなら、ベルリン華撃団だって蹴散らすことが…

 

 

 

 

 

 

 ――で、また傷つけるの? ――今ならまだ逃げられるよ?

 

 ―――痛いのは嫌でしょ?

 

 

「…」

 

 

 脳裏で囁く声。ああ、わかっている…『弱い自分』だ。

 

 アナザーダブルで暴れていた人格の彼女は、紛れもなくずっと昔から存在していた『弱い自分』。アナザーライダーの力はただのキッカケ…彼女は他ならない私自身。いつもその声に屈して流されてきたのは自分だった。今回だって折れそうになった…

 

 でも、もう

 

 

 

「私は自分の罪からも…痛みからも逃げない!!」

 

 

 【 E X T R E M E 】 

 

 

 

 ギュオオッ!!とクラリスの無限から吹き荒れる霊力の嵐… 

 

 そして、その背後からは戦士の虚像が浮かび上がる。緑と黒…その真ん中に極限たる瑠璃色の輝きを宿す『仮面ライダーダブル・サイクロンジョーカーエクストリーム』…それに、呼応してか無限の本型ユニットも各種ガイアメモリに対応したエレメントを宿し、『緑』『赤』『黄色』『紫』と輝く!

 

 一方、あまりの急変かつ激変したクラリスの無限の傍らで、クローズが『あ、これヤバいことしたかも…』とおろおろしている。しかも、ビルドに至っては…

 

 

「わ、すっげ。それどうなってんの?」

 

 

 …この始末。造った本人が言ってはいけない台詞五本指に入ることを平然と言い放ちマルガレーテは絶句する。

 

 

「桐生戦兎!一体、何をあの機体に積んだんですか!?」

 

「ゼロワンの変身ツールと同様のプログライズキーを接続したから、多分その関連かなぁ。それにしても、すげぇわ。さすが、俺。」

 

 

 この男は…ッ!?

 

 すぐさまこのナルシスト科学者の頭をぶち抜いてやりたい衝動に駆られたが怒りを呑み込み必死に堪える。無論、その最中にもクラリスは全てに幕を引くべく更に無限の力とダブルの力を引き出していく。

 

 

 

【 サイクロン! マキシマムドライブ!! 】

【 ヒート! マキシマムドライブ!! 】

【 ルナ! マキシマムドライブ!! 】

【 ジョーカー! マキシマムドライブ!! 】

 

【 プリズム! マキシマムドライブ!! 】

 

 

「これが、私の全身全霊!!」

 

 

 本型ユニットに重魔導のエネルギーが…呼応するようにダブルエクストリームの幻影がプリズムビッカーを向ける。その時、ビルドも流石にふざけている場合ではないと、缶サイズのアイテムを取り出してクローズへ叫ぶ。

 

 

「万丈!」

 

「それ…!? 仕方ねぇか!」

 

 

 すぐに、ビルドたちの元へ反転して跳んでいくクローズ…それとほぼ同時にクラリスは必殺技を放つ!

 

 

 

 

「クラリスッ!!プリズム・エクストリーム!!!」

 

 

 

 ゴォォォ!!と吹き荒れる虹色の光線。無限とダブル・エクストリーム側の二門から放たれるビームの乱反射はベルリンを呑み込む寸前、一瞬だけはやく回りこんだクローズがビルドと重なり『1人』になると身を呈して防御の姿勢をとり、あざみ機もバルカンとバルキリーを覆い被さって庇う。

 

 次の瞬間、目が眩むほどの閃光と大爆発が起きあまりの爆風に観客席からも悲鳴があがる…。

 

 

「こ、これは…」

 

 

 想定外の事態に高見の見物を決め込んでいたプレジデントGも息を呑む… 

 

 

 やがて、煙が晴れていき…全てが明らかになった。

 

 

 

「…はは、やっぱサイコーでしょ。俺の発明はさ!」

 

「ふざけんじゃ…ねえぞ…戦兎…!」

 

 

 変身解除されながらも、何処か嬉しげに膝をつく戦兎と万丈に…

 

 

「マルガレーテ、どうだ…?」

 

「駄目です、全システムダウン。戦闘続行は不可能です。」

 

 

 腕を破壊されボロボロのアイゼンイェーガーが2機…かなめの重火器を破壊され木偶の坊と化したそれらの片割れから、『そうか…』とエリスの声。つまり、それが意味することは…

 

 

「勝った……? 勝った…! やりました! 皆さん、わたしやりましたよ…」

 

 

 

 ――ボスン!

 

「え…?」

 

 

 歓喜の声を主があげると同時に無限も音をあげて、煙をあげた…エラー表示の数々、戦闘続行は無理だろう。レバーを引いても何も反応が無い。一発本番の試作装備…やはり、調整が不十分だったにせよ戦果は十分だろう。

 

 

「無限、ありがとうございます。今は休んで。

 

 そうだ…神山隊長は…!」

 

 

 

 そう、ここは片ついても神山はまだ星児と戦っているはず…。

 慌て、見回すがふたりは自分たちより離れた場所で試合をしている様子でこちらからは見えない。されど、霊力が炸裂しているでろう光の強い明滅と観客のどよめきが何が起こっているかを物語る…。

 

 

「神山隊長…。」

 

 

 自分の出番は悔しいがここまで…。舞台の行く末は意地と未来をかけて死合う男たちに委ねられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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