仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー   作:ジュンチェ

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 こんばんは。

 腕の手術と重なったため、短めに分割して出すことにしました…(汗) 

 次回で本当に一区切りです…!

 腕いてぇ…


誠を受け継ぐ者 Ⅵ

 ―――まるで、悲鳴だ。

 

 

 雄叫びが如く燃え滾る星児の霊力と苛烈なまでの戦いぶりに、さくらは不思議とそう感じてしまった。

 

 

 会場に着いた彼女と虎月…一足遅れて、或人もイズも観客席に到着し試合の行く末を観ていた。神山と星児は全員が戦闘不能になり、ある意味で身内同士の一騎打ちとなった今回。虎月は眼を細めながら呟く…

 

 

「星児にとってもう『夢』という言葉は『呪い』に等しいのかもしれない…」

 

「夢が…呪い?」

 

「…何かもを背負ってきすぎたんだ。ずっと独りで、期待も夢も… 孤独に痛みも絶望も… 投げ出せない全てをずっとあの子は10年間絡めとられてきた。人を重みで殺す夢なんて、正しく『呪い』さ。」

 

 

 もし、星児がクラリスや初穂のようにあくまで完全な他所からの人間だったら、とっくに逃げ出していたであろう数々の過去。しかし、星児はどんなに腐っても『忘れ形見』という肩書から切り離すように周囲は見ない。そして、何よりも…今は思い出になってしまった英雄たちの幻が、残された者たちの心を尚も奮い立たせる。そんな無理が重なるに重なり、ついに『忘れ形見』はその心が捻れて行き着くべき場所すら忘れ見えなくなっている…。

 

 

「もう限界だよ。彼は夢を抱いたまま燃え尽きる。

 

  ――むしろ、これで良かったのかもしれない。このほうがあの子にも幸せだろう…」

 

 

 夢に殉じていけるのなら、そうきっと…

 

 

 

 

 

「それは違う!」

 

 

 

 否!

 

 諦観するような虎月を否定したのは或人。

 

 

「夢は人を殺すものじゃない、叶えるものだ! そして、星児くんの『夢』は彼独りのものじゃない…花組もすみれさんも皆同じものを目指してここにいる!ひとりじゃ、重すぎても仲間となら立ち上がれる…星児くんだって! 」 

 

「…っ。手遅れさ。今更、何が出来る…」

 

「出来るさ…! 神山隊長なら…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…はぁ! …はぁ!」

 

 

 息を荒くする神山…。飛電改装を施した無限でさえ、既に限界を迎えつつあった。

 

 星児の戦い方は霊力の爆発的な消耗を物ともしないパワーファイトのスタイルに神山は持久戦で挑もうとした…それが間違いだった。必殺技クラスの霊力放出した斬撃を湯水の如く使っても全くバテないスタミナ…本来、男性は女性より霊力のキャパシティは少ない傾向にあるのが常識だが、しかし星児の霊力量は完全に常人どころか人間離れしている。

 

 旧・花組はそれぞれが自分たちの持つ技術の手解きを星児にしたが、手解き以上のことはしなかった。理由は星児自身にもわからない… だが、生まれ持っての霊力量とスタミナという一見にはわからない切札が彼にはあり、神山は一番選んではいけない手を選んでしまったのである。

 

 

「……神山…せめてもの手向けの花だ。受けるがいい…」

 

 

 眼を閉じ…意を決し見開く星児は刀を頭上に交差させ霊力を圧縮させる…放つは形だけの出来損ないの我流なれど、その威力はトドメを刺すには充分な『我流/桜花剣征・破邪放神』。帝国華撃団と仲間…母に叩きつける決別の華。

 

 

「――咲け、鉄の華…。――決して散らぬ鐡の花…。」

 

「くっ! …星児!」

 

 

 駄目だ。ここで負ければ、星児は本当に取り返しがつかない場所まで行ってしまう… それなのに、己の身体も無限も軋んで動かない。神山は眼を瞑る…やはり、自分では届かないのか。やっと手に入れた新しい夢を再会した友を…この手から溢して…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――あきらめないで! 神山隊長!」

 

 

 

 

 

 

「!」

 

 

 その時、観客席からさくらの声が響く。

 

 頬を涙を流し… 精一杯の叫びに願いを託して…

 

 

(ああ、そうだ… 何を俺はまた諦めようとしていたんだ…!)

 

 

 決めたじゃないか。覚悟を改めた時に、隊長の役を本気で背負うと決めた時に…  もう何も諦めないと! 

 

 

(立て! 神山誠十郎! 俺はッ…!)

 

 

「…!?」

 

 

 神山の想いに呼応するように、無限は地を蹴り再び動き出す。大技を出すためにがら空きになった相手の懐目掛けて全力で踏み込み、星児も面食らい隙が出来てしまう。

 

 

「まだだ…ッ!!」

 

「なっ…!? 我流・破邪…」

 

 

 させるか…! 刀の片割れを投げつけ、必殺技の発動を阻止。そのまま、踏み込んで一太刀で鬼・無限の双刃を一太刀でへし折る神山機。されど、即座に鬼・無限は身を捩らせ避けると地面に突き刺さっていた愛槍へ飛びつき、これを引き抜くとジャッ!!と切っ先を向け構える。

 

 

 ―――次の一手で全てが決まるのだ。

 

 

 

 

 

 

「神山ァァァ!!!」

 

「星児…!!!」

 

 

 

 両者、踏み込み そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――ギャン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

 

 

 

 

 

 どうして、こんなことになってしまったのか…

 

 目指す夢も場所も同じはずなのに……

 

 

 戦いながらも、そのことが頭を離れなかったと神山自身が自覚している。はじまりの幼い日の記憶を忘れていたからか…それとも、懸けてきた年月の想いの違いのせいなのか。何でこうもすれ違って、果ては刃を交えることになってしまうのだ…

 

 

 不幸か、策略のせいか……いいや、ちがう

 

 

 

 

 

 ――――…迷惑をかけたぶん、取り返す機会をくれないか。

 

 

 

 そう、最初に和解したあの時にこう言うべきだった。

 

 

「お前の夢も…痛みも、苦しみも…一緒に背負うから!俺達と共に前に進もう…! だから、帰ってこい! もう全部独りで背負いこむな…!」

 

 

 神山機の刃が槍をすり抜け鬼・無限の腹に喰い込んで火花を散らしている…。同時に折れた矛先と角が地面に突き刺さった…勝敗は決したのだ。

 

 やがて、事切れたように項垂れた鬼・無限。パイロットである星児は…血と涙が混ざったものを頬に伝わせていながらも…静かに笑っていた。

 

 

「……やっぱり、強ぇな。兄さんは…」

 

 

 同時にコックピット内で、機器類が弾けて火がつき始め…鬼・無限もガタガタと不可思議な挙動と随所で装甲やパーツが弾けとびはじめる。明らかな異常に神山はギョッとした…

 

 

「星児…!?」

 

「早く離れてくれ兄さん…。霊子タービンに負荷をかけ過ぎたみたいだ。強引に扱ったせいで、脱出機能も…いや、それはそもそもつけて無ぇか。もう時期、コイツは爆発する。俺のことは放っておけ。」

 

「そんなこと出来るか…!」

 

「良いよ…。もう兄さんたちがいれば、華撃団再興は叶うさ。俺は…もう満足だ。」

 

 

 星児の機体は最新鋭とはいえ、無理な扱いに限界を迎えていたのだ。特に心臓部である霊子タービンは文字通りにタガが外れたように赤熱し、内部で激しく暴れまわる霊力を炸裂させんとしている。その影響か脱出機構も作動しない…このままいけば、間もなく爆発に巻き込まれて星児諸共機体は木っ端微塵になってしまうだろう。

 されど、星児は不思議と迫る死すら穏やかに受け入れていた…。もう自分のやれることはやった。全力でぶつかり負けた。

 

 もう大丈夫だ。自分の夢は大切な人たちが引き継いで…必ず

叶えてくれると。

 

 

 

 後悔は…まあある。色々と

 

 

 未練も…やっぱり、あるけれど

 

 

「俺はここまでだ。最後の最後まで迷惑かけてばっかで、ごめんな。」

 

「ふざけんな!諦めるなよ、まだこれからだろ! 帝国華撃団再建をお前が一番に見なくてどうする!? 努力してきたんだろ、お前のおふくろさんと!!」 

 

「兄さん、それは違う。最初から俺はただ甘えてただけだ。そうしてるうちに過去に魂を置き忘れた我儘なガキだ。そんな奴に未来はもういらない。」

 

 

 ああ、やっぱり何も出来なかった。

 

 何も残せなかった……でも、もう良い。…疲れたよ。

 

 

 

 

 

「じゃあな…。」

 

 

 

 

 次の瞬間、激しい衝撃と共に星児の視界は暗転した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

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