仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
リバイスはじまりましたねぇ。
ゼロワンのVシネはまだどちらも見れてないんでネタバレは勘弁!
乱舞!嵐を呼ぶあざみ忍法帖! Ⅰ
…こんな穏やかな朝はいつ以来だろう
大帝國劇場の屋根で帝都を見渡しながら、あざみは『ふぅ…』と息を洩らした…。
忍者である彼女の朝は早い。早朝のまだ日の出のうちに起床・布団を畳んで着替て誰よりも先に朝食を済ます。朝食に関しては厨房がまだ仕込中ということもあり、神山がおにぎりを用意してくれている。時に、隊長職と一緒に夜遅くまで事務仕事をしているのに幼いながらあざみとしても申し訳なく思う。
「…はむ。そのうち、支配人に神山にお休みをあげるように頼んでみようかな。」
そんなありがたい朝食のおにぎりを頬張りながら、彼女の1日は静かに幕を開ける…
「ぎゃあ゛あ゛あ゛ぁああああああああ!!!?」
「んぷっ!?」
え、なに今の悲鳴!? あの独特のガラガラとした周波の悲鳴は或人か…!
「ごっくん! …正面のほう!」
喉に詰まらせかけたおにぎりを強引に腹へ呑みこみ、素早く飛び出して正面玄関へ向かう。すると、そこには腰を抜かした或人と寄り添うイズ…これに相対するように白い職人を思わせる服を着た阿修羅が如き人相の大男がひとり。
「何奴!」
「あ、いや…そのだな…」
腰に帯刀もしている、別に太正世界では軍人などでは珍しくないが朝からそんな見ず知らずの人間がやってくるなんて穏やかではない。ただ、客人は随分と困っている様子。
そこへ、入口から続いてやってきたのは星児。
「オジキ! あーもう、気持ちはわかるけどいきなり入ったら! …って、遅かったか。」
叔父貴…? 知り合いなんだろうか?
なんて思っていると、まだ寝癖を直しきれていないさくらが木刀片手に飛び出してくる。
「何の騒ぎ… えっ!? おとうさん!?」
「「え゛っ」」
思いもよらない言葉に或人とあざみは戸惑わずにはいられない。この眼の前の厳しい大男、どう見たってさくらに似ても似つかない…それなのに、『急にどうしたの?』と駆け寄っていく様は娘のそれ。困惑を極めるふたりに更に新たな来訪者が現れる。
「さーくーらー!」
「! お母さん!!」
「「!?」」
今度はお母さん!? しかし、やってきたのはさくらに似ているが齢をすみれのように重ねた大人の女性…こっちは説得力がある。さくらも勢い良く抱きつき、女性も嬉しそうに微笑んでいる……一方、親父さんは『あれ?喜び方ちがくない?』と寂しげにしていたが。
とにかく、これはどういうことなのか…?
★ ★ ★ ★ ★ ★
「「えっ」」
クラリスとアナスタシアまでもが訝しんだ…
来客はさくらの両親…即ち、天宮夫妻であることは騒ぎを聞きつけてやってきたすみれと送迎を担当していたらしい星児の言葉から説明を受けた。…妻『天宮ひなた』に関してはまあ良いとして、夫『天宮鉄幹』の毛の先ほども似ていない大熊のような男が可憐な少女であるさくらの父とはとてもだが、頷けない。
無論、口には出さないが…目は口程になんとやら、刺さる視線に鉄幹は顔を暗くしていた…やめてさしあげろ。
これはよろしく無い…すかさず、フォローを入れる神山と初穂。
「鉄幹さん、お久しぶりです。神山です、覚えていますか?」
「よ、ようおじさん!初穂ちゃんだぜ!ほら、昔うちの神社に刀を奉納してくれたたりしてただろ?覚えてるぜ!」
「君達は…セイボンに東雲神社のところのお嬢さんか。君達のことはさくらから手紙で知ったが…いや、立派になったもんだ。…感慨深いな。」
どちらもさくらの幼なじみなだけあり、鉄幹とは顔を知る仲…と言っても今回で幾年かぶりの再会なのだが。取り敢えず、気持ちがすこしは持ち直したようであった。
少しバタバタしたものの、改めてとすみれが咳払いして挨拶をしなおす。
「こほん。ようこそ、おいでくださいました鉄幹さんにひなたさん。こうして顔をあわせるのは…」
「うちのさくらを貴方がスカウトしに来た時、以来ですな…。」
「本当に久し振りですね、すみれさんも息災そうで何より。うちのさくらがお世話になっております。」
そして、はじまる大人の会話…こうなってしまえば花組の面々が入る余地などなく、或人は両親の来訪に喜びと戸惑いに浮足立つさくらに話しかけた。
「ねえ、さくらちゃんのご両親ってすみれさんと付き合い長いの?」
「ええ、元々親交はあったと聞きましたよ。確か、わたしの伯母さんが帝国華撃団に縁があったとかなんとかで…詳しくは知らないんですけど。それにしても、なんで来たんだろ? 何も聞いてない…」
「…それはズバリ、『お見合い話』では!?」
「「お見合い!?」」
不意に話に割り込んできた星児。ズビッと指差しポーズを決めているが、お見合い話とは早合点し過ぎでは…なんてお思いになる方もいるだろうが、太正は令和の時間軸からみれば100年前に相当するのだから別に時代錯誤な発想というほどでもない。それに…
「ありえない話じゃないぜ? おふくろも…そして、姐さんもお見合いの話には一悶着あったからなぁ…ある意味、お約束とも因縁とも言える。それに姉ちゃんだって年頃の乙女、悪い虫に引っ掛かるより先に良い男を見繕うってのも親心なんじゃねえかなぁ?」
「なんで俺を見る星児?」
神山にジーと視線を向ける…この意味合い、別に神山を『悪い虫』扱いしているわけではない。さっさとしないと、余計なことが増えるぞという星児なりのさくらへ対しての忠告である。実際、神山を巡る恋のレースは本人の預かり知らぬところで競争者が増えつつあるで、急いだほうが良いのも間違ってはいない。
さくらにとっては余計なお世話この上ないが…
「お見合いかぁ…さくらのお見合いか。花嫁衣装着たら似合うんだろうなぁ。」
「お?兄さん、乗り気?」
「お嫁にいくさくらを想像しただけで、涙が…(おとうさん視点)」
「…違う、そうじゃない。」
「なに、勝手にヒトをダシに盛り上がってるんですか!」
当の本人を差し置いて盛り上がる男たちにぷんすか!とさくら。それに苦笑するクラリスとアナスタシアという光景…本当に立て直しがはじまったばかりの頃に比べれば見違えるようであるが…そんな中、顔を俯かせる寂しげな顔がひとり
「さくらのおとうさんに…お母さん…」
「? …あざみちゃん?」
或人だけがその異変に気がついて覗き込んだが、『なんでもない!』と旋風のように逃げられてしまうのであった…
★ ★ ★ ★ ★ ★
廃工場 降魔のアジト…首魁である幻庵葬轍がいなくなった後も残された者は息を潜めて牙を砥いでいる。
朧もまた次なる戦いのために愛機である荒吐の整備を行っている最中…巨大な拳を反対向きにあわせたような巨大な機体を浮かばせ、小型の魔操機兵たちを操り溶接など整備をさせていた。妖力で淀む空気…意外にも彼は真面目な顔をしている。
「やはり、ここでしたか…朧。」
「…夜叉か。…その顔は…まあ、良いや。」
背後から夜叉が話かける…すると、いつものように裂けるような笑みを見せた。今、彼女は『天宮さくら』の顔でアイマスクをつけているが、特別に朧は言及はしない。付き合いはそこそこの長さになる両者だが特別に諍いが無いのは間合いをお互いに詰めようとせず、必要ない干渉をしてこなかったからだろう。故に、彼女の顔が変わっていようと朧はあえて突かない。
それは、夜叉にとっても好都合だった。
「幻庵が消えました…。あなたはどうします?」
「どうするも何も、奴の下僕じゃねえしな…俺は俺で好きにやる。あと幻庵の野郎は死んでねぇ…アイスドールの奴がまだここに来ない。…ってことは何処かで惨めに生き延びてるんだろうよ。」
「…」
「ああ、俺はレクスの手足になるつもりは無い…ただ、足並みは揃えねぇと帝国華撃団やら仮面ライダーどもは倒せない。それに、戦力の拡充も必要だな。」
ほう…ただの狂暴な輩かと思っていたが、意外に考えているのかと裏で関心する夜叉。確かに、レクスのタイムジャッカーの能力にアナザーライダーの力に加えて自分たち降魔とあわさればかなりの勢力になりうる…だが、慢心は出来ない。各華撃団の傘下にいる仮面ライダーたちにベルリン戦で見せた無限の飛電改装。このままいけば、真っ向から殴り合うのは難しくなる一方…
「新しい仲間が必要ですか…」
「実は、既にひとり確保してある。なあ、先生!」
その時、暗がりからゆらりと現れるアナザーライダー…髑髏の仮面にまさに落ちぶれた忍者といった雰囲気の化物『アナザーシノビ』だ。足音を全くさせぬ歩み方に隙無き佇まい…アナザーライダーとしての能力もさることながら、変身者である人物の実力も相当なものだろう。全くいつの間に手を回していたのやら…
ただ…
『…!』
「? …(私に怯えている?)」
夜叉の姿を確認するなり、本人は隠しているつもりだろうが僅かに硬直するのを見逃さなかった…もしかして、『先生』なる変身者は自分と顔見知りなのだろうか? …しかし、自分の記憶に該当する人物はいない。
そして、まだ終わりではないと続ける朧…
「実は、目をつけている奴はもうひとりいる。」
「……クラリッサ・スノーフレイクですか?」
「いいや、アイツはもう駄目だ。別だよ別……俺の狙いは…」
――――――望月あざみちゃんさ。