仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
スパロボ30プレイ中(まだ1周目)
さて、今回は朧に関して独自設定をぶちこんでいきます。公式設定ではないのでご注意をば…
「てぇめェェ!!」
「ははは…!」
星児の怒りと朧の嘲笑いが魔幻空間に響き渡る…。貫かれたあざみから朧は短刀を抜き取ると、ニタリと裂けるような口元を星児に向けた。
「そう騒ぐなって。死んじゃいねえよ。」
その時、あざみの姿がボブン!と煙に包まれ丸太と置き換わる…変わり身の術だ!直後、朧の頭上に少女の影が飛びだしクナイを脳天目掛け振り下ろす…!
「やぁぁ…ッ!」
「フン。」
しかし、不意を突くはずの切っ先はノールックで朧に握られ止められた。握る右腕からドクドクと血が流れはじめるが全くお構いなし…すぐに危険と判断したあざみはクナイを捨て、距離をとる。流石、幼くとも忍…その鼬の如き身軽さと素早さは花組で随一だ。
一方の朧…握りしめていたクナイを玩び、滴る自分の血液をペロリ…。反撃されても全く動じない。
「やるじゃないの〜? 流石、忍者というだけあるじゃん。イイね、イイねぇ…『合格』だ。」
「…?」
合格? 朧の真意が読めない… 何を測り、何に大しての合格?それは朧本人の口から語られる。
「喜べ、諸君!君達は俺達、ネオ・タイムジャッカーに降る権利を獲た…!上級降魔の一員としてお前達を迎えいれよう!!」
………コイツは何を言ってるんだ?
何をどう考えたら、勧誘という発想に至るのか。戸惑いと驚愕で頭がフリーズしかける星児とあざみがが、言い出した彼は大袈裟な口調とは裏腹に至って真面目のようである。
「ああ、そうだよなぁ?コイツは何を言ってるんだ…そう思うだろうとも。だがな、俺はお前達を不憫に思っているんだぞ。恵まれた力を持ちながら、誰とも知らぬ赤の他人のために戦うよう強いられる…ヒデェ話だ。」
「戯言をッ!! 俺達は選んで帝国華撃団にいる!」
「あざみたちの想いをお前達なんかに計られる筋合いは無い!」
無論、怒りを剥き出しに突っ跳ねるふたりだが…そんなことなど承知の上。悪魔は尚嘲笑い問う…
「――じゃあ、お前達が華撃団として護ろうとする人間にそんな価値はあるのか? 散々、護ってもらいながら人間たちは何をした?
神崎星児、お前は特にわかってるよな…? 帝国華撃団が潰れた時に手を差し出そうとした人間はいたか? 居たとしても、片手で足りるくらいだよなぁ?? …呆気なく、後からやってきた上海華撃団に鞍替えしただろ…どいつもこいつも。それから、アナスタシア・パルマが来るまで見向きすらしなかった…それどころか、石ころまでぶん投げてたような浅はかな連中に護る価値はあるのか?」
「「!」」
…違う! そう叫びたかったが、過ぎってしまう建て直す最中の帝国華撃団へ向けた人々の扱い。
歌劇は未熟な団員を笑い者にきた人間が一握り…ガラガラの劇場。『上海華撃団がいるからもういらない』『落ちこぼれ華撃団』などと心無い言葉、再建のために手を貸してほしいと懇願しても冷たく振り払った人間たち…。脳裏を過ぎってしまう非情な顔が……
あざみも動揺しており、その様子に満悦な表情を浮かべる朧…さあ、もうひと押し。
「強き者は弱き者を助ける…それは弱者の都合の良い押し付け、偽善だ。弱いものはつけあがる! 身の程をわきまえず、何処までも!
そんな奴等に力を振るって何が悪い?
奪ったから、それがどうした?
弱い奴が強者の養分になるのは自然の摂理だ、ろ! ――お前達は強者だ!こちら側にくるべきだ!俺と共に弱者を捻り潰す側だ!!」
「黙れッ!」
完全に朧の演説を聞くに耐えなくなり、再度飛びかかるあざみ…しかし、寸前で首を捕まれ宙ぶらりんにされてしまう。成人男性と幼女の身体の差となれば、手も本人には届かず精々クナイで腕をザクザクと突き刺すぐらいが精一杯だ。
それでも、朧は離さない…ただ、その顔からフッと吊り上がるあの笑みが消える。
「あざみちゃん…お前は昔の俺とそっくりだ。俺も昔は『人間を護る側』だった…。でもな、呆気なく捨てられたんだ、護ってきたはずの人間に。お前もいつか裏切られて捨てられる…断言する。なら、裏切られる前に裏切れ。」
「皆は裏切ったりしない!」
裏切りを唆す声にさらなる怒りを燃やし、今度は手裏剣を取り出すあざみ…狙うはこの畜生顔面……だったが…
「――そうかなァ? あざみちゃん、心の中ではわかってるんじゃないのかァ…ホラァ?」
「…え?」
★ ★ ★ ★ ★ ★
どうして?
……あざみは己の目を疑った。
「…神山?」
朧に促されて向けた視線の先には神山が立っている…確か、ディエンドの残してきたカイザやギーガーの足留めを受けていたはず。しかし、魔幻空間にぼぅ…と浮かぶように立つのは間違いなく彼だ。優しく微笑みながら彼は告げる…
『あざみ…君はもう要らない。』
「か、神山…なにを?」
『忍者なんて時代遅れだ。君に代わる人間はいくらでもいるんだよ。さくらに初穂…クラリスは重魔導だって使える。舞台にはアナスタシアもいるし…忍者としても半人前の君は役立たずだ。』
「…どうして、そんなこと…言う…の…?」
頭が追いつかない。一体、何が…何もかもが唐突で頭の思考が鈍く……
(――! 精神支配の幻術!!)
ハッと我に返ったあざみはすぐに勢いよく合掌し自我を強く保たんと集中する。このタイプの幻術は空間に作用するそれとは異なる個人を集中的に攻撃するものだ。術により、脳を支配されることで見せられる幻聴・幻覚は攻撃対象の精神と思考能力をゴリゴリと削り蝕むのである。
普通の人間ならあっという間に術中だが、生憎ながらあざみは忍者…この手合いの幻術に対抗する技術も身に着けていた。
「…解ッ!」
次の瞬間、幻覚がボヤけて朧の姿も消え身体も開放される。 シュタッと着地。笑止…こんな程度でこの望月流忍法が阻まれるなど……
『だから、あなたは甘いのよ。』
―斬!!
「!?」
否、背後から勢いを挫く強烈な一太刀。小さい身体に容赦なく牙を剥いた一撃に悲鳴すらあげられず、倒れ込んな少女に容赦なく踏みつけてくるはさくらの幻… その周囲には他の花組の幻影もちらついている。
(そんな…幻術は解いたはず…)
★ ★ ★ ★ ★ ★
「…あ゛っ …あ゛あ゛っ」
「あざみ!? おい、どうした!」
現実世界…朧の足許に這いつくばるあざみは白眼を向きビクビクと痙攣していた。星児の呼び掛けにも応える様子はなく、彼女の精神は完全に術中に堕ちている…このままでは、心身共に致命的なダメージに至りかねない。
「ちっ! クソ!!」
「暴れないでください、シンジロウ。次はあなたの番なんですから。」
「うるせぇ!誰がシンジロウだ!離しやがれ…!」
星児も助けたいのは山々だが、夜叉に押さえつけられ無限の操作どころか、コックピットから降りることすらかなわない。
そんな焦燥に駆られる星児を尻目に朧は真面目な顔をしたままあざみに囁く…
「なあ、こっちに来いよあざみちゃん。辛いだろ、他人のために力を使って、使い潰されるだけなんてよ。お前は俺達側にいるべきなんだ。」
「あ゛…… あざみ…は…」
「あざみ、しっかりしろ!!おい!」
徐々にあざみの肉体を闇が呑み込むように浸食していく…… このまま意識を取り戻さなければ、数分後には邪悪の化身に成り果ててしまうだろう。しかし、打つ手は何もない。万事休す……
その時
「―――あ、バレちゃったか。」
ふと、呟いたディエンド…夜叉が違和感を覚え顔をあげた先…空間が歪み、銀色のオーロラが現れる。そして、
「海東ォ!!」
「「!」」
魔幻空間に突撃してきたのは怒り心頭のディケイド率いるロンドン華撃団とベルリン華撃団。異次元な乱入者に今度は降魔側が不意を突かれ、アイゼンイェーガーの銃撃で牽制、ブリドヴェンの剣が朧を追いはらい、あざみを救出。星児も怯んだ夜叉の隙を突き、無限の操縦桿を握って振り落とすと仕返しと彼女を蹴とばして離脱。
形勢は一気に逆転、そんな様子を『あーあ。』と他人事のようにディエンドは傍観していた…無論、ディケイドが見逃すわけもない。
「やあ、士。好きにやらせてもらってるよ。」
「見ればわかる。全く、プレジデントGの仕事の代わりを請け負って忙しいってのに…。これ以上、面倒を増やす前にお前を拘束させてもらうぞ。」
いつもなら、軽くじゃれ合うくらいで済ますところだが、世界の命運がかかる事態を余計に引っ掻き回されてなるものか…。ディエンドの背に1号オルタと2号オルタも迫り、彼の本気具合も窺える…しかし、あいも変わらず青い愉快犯は余裕を崩さず、カードをディエンドライバーに装填した。
「ふぅん? 残念だけど、僕を掴まえるには彼等だけじゃ無理かな!」
【 KAMEN RIDE SHINOBI!! 】
「「「!」」」
直後、唸るように凄まじい竜巻が巻き起こり3人のライダーたちを目眩ましさせた僅かな合間に怪盗は姿を消した…。
「…逃したか。」
「参ったね。ディエンド、まさかここまでの問題児だったなんて。」
「奴め、余計なことを吹き込む前に俺が抑える。」
「し、シンジロウ…!」
「今は退くぞ! クソが!おぼえていろ、人間ども!」
一方、朧も尚星児に執着する夜叉を引きずる形で撤退…魔幻空間も消え去り、元の街並みが戻って来ると霊子戦闘機やライダーたちは臨戦態勢を解除…2号オルタのみはディエンドを追いかけ離脱していったが、この場は一段落。
そのタイミングに一呼吸遅れながら、ゼロワンと帝国華撃団・上海華撃団が到着し…そんな彼等をアイゼンイェーガーから降りたマルガレーテが冷たく一瞥する。
「帝国華撃団と上海華撃団は何をしていたんですか! 連絡を受けて駆けつけてみれば、この有様…仮にもあなたたちのホームグラウンドでしょう!」
「やめろ、マルガレーテ。今は叱責をしている時ではない。」
協力感謝の声を入れる間もない勢いだったが、 エリスに嗜められなんとか制止。実際、かなりの失態だったのは反論の余地もない事実なのだから…隊長である神山とシャオロンも落ち込みが目に見えて……
「神山隊長! あざみさんが…!」
その時、クラリスの悲鳴に全員が振り向く。見れば、クラリスにだき抱えられているあざみが未だに失神状態のまま意識を取り戻す気配がなく、『みんな…あざみを置いていかないで…』と譫言を呟いて白眼を向いている。
「あざみ、一体どうしたんだ!?」
「朧の幻術でしょうか。妖力を感じますが…何かまた別のような…。とにかく、解呪を試みます…!」
この異常はどんな原因にしろ、すぐに魔導書を開いて対処しようとしたクラリス…だったが
「――その必要は無い。」
「!」
彼女のその行動は新たな人物が割り込んできたことにより遮られる。
現れたのは粗末な着物を着たサングラスの小柄な老人…威圧的な空気を纏いながらあざみの許に近づくとバンッ!と合掌し『解ッ!』と唱えるなり、あっという間にあざみの異常は消え…朦朧ながら意識を取り戻す。
そして、彼女はボヤける意識の中…眼の前の人物へ口を開いた…。
「…頭領?」
「ああ、そうじゃ。……ふむ、危惧はしておったが…やはり、まだ任務を任せるには早かったようじゃの……」
―――里へ帰るぞ、あざみ。