仮面ライダー01<ゼロワン> × 新サクラ大戦 ー新たなるはじまりー 作:ジュンチェ
因みに、今回の話はゼロワンサイドはアークマギアが現れる直前辺りで、新サクラ大戦側は神山の無限が来る前ですね。
それにしても、ゼロワン本編の不破さんが不穏すぎるわ、1000%オジサンのマウントとか色々ありすぎて連動して進めるのがキツめになってきたぞぅ(ゲキゾウくん)
「ふんぬぅぅぅぅぅぅ…あぁぁぁぁぁぁぁァァァ…!!!!!」
不破さんがゴリライズしているのではない、初穂がプログライズキーを抉じ開けようとしているのである。今、被害を受けているライジングホッパーに意識があるなら『違うそれは俺のキャラじゃない…。抉じ開けられるのはウルフの役回りだ…。(アブドゥ●)』とか思ってそうだ。結局、渾身の力を込めた彼女だが残念ながらロックを解除は出来ず、ぜーぜーと息をする。
「駄目だ、全然あかねぇ…」
「初穂さん、乱暴に扱うのはよくないと思いますよ。」
クラリスからのお咎め。是非、不破さんに言って欲しい… もうウルフとゴリラは手遅れだけど。
彼女たちがいるのは帝国劇場の地下にある格納庫。ここには彼女たちの霊子甲冑などが待機し、整備をする場所。劇場の地下だというのに、物々しく油臭い雰囲気は少女たちは不釣り合いに感じられるが、かなり重要な場所である。
で、今何をしているかと言えば、突然の空からやってきた御客人の装備品を初穂の興味から物色しているところである。
「…はぁ、何なんだろうな。空には妙な街が見えるわ、そこから降魔と一緒に降ってきたあの妙な奴。たく、さくらも行方知れずなのに、アタシらに手に余るぜホント。」
「上海華撃団の方たちやすみれ支配人も急いでこちらに向かっているそうです。あの光の柱の周囲は陸軍が封鎖していますが、今のところ進展も何も無いみたいですね。」
「あれかな…やっぱり、あの空の世界から来たのか。もしかしたら、さくらもあそこに……」
「憶測でものを言うのはやめましょう。根拠も何もありませんし……。」
初穂の予想が実はドンピシャどころか、光武をバラバラにされているなど誰も思いやしない。
取り敢えず、彼女たちはゼロワンの装備品を確認しているのだが、勿論のことセキュリティロックがかかっているので起動することは無い。クラリスも恐る恐るゼロワンドライバーを腹にあててはみたものの、静かなままなので、ほっとしたような…それでいて残念なような気分になる。そんな彼女の懸念はもうひとつ……
「それにしても、神山隊長はどうするつもりなんでしょうか。」
「あー…アイツか。しっかしなぁ、妙な力を使ってるみたいだって、いったところで降魔じゃない。んで、証拠品だって何だかよくわからねぇ。憲兵にしろ上海の奴等にしろ突きだしたところで笑いもんだぜ。」
空から降ってきたあの謎の青年…要は或人のこと。間違いなく、今回の異常に関わっていると思われるが一見すると普通の人間なので、取り敢えず保護。神山が監視を兼ねて看病している。参考人として、外部へ引き渡したいのは山々だが残念ながら因果関係の証明も出来ない上に自分たちでは取り合ってくれないだろう。
そんな話をしているとクラリスはゼロワンの姿を思い出す……あの飛蝗とおぼしき姿…
「……まさか、彼は伝説のマスクドライダー…」
「降魔大戦の時、昔の花組と戦ったあれか? ナイナイ、歳がどう見てもアタシらと同じが少し上くらいじゃねえか。本当に『本郷猛』やその仲間って言うなら、最低でもすみれ支配人と歳近いくらいだろ? しかも、本当にいたかはわからねぇって話だし。」
「でも、風の噂で各国の華撃団が極秘裏にマスクドライダーを囲っているって話は巷で有名ですよ……。既に、上海にも在籍しているとも…」
マスクドライダー…要は仮面ライダーである。噂の域を出ないが、世界各地に現れているのだという。都市伝説の一種で有名どころだが、疑うクラリスに比べて初穂は全く信じる素振りすらない。
「…初穂、クラリス。」
そこへ、エレベーターを降りてやってきたのは神山…或人も引き連れている。すると、怪訝な顔をする初穂。
「ちょっと待った隊長さん、ここ部外者以外は立ち入り禁止だぜ。ましてや、こんな素性がわからんやつ…」
「俺のゼロワンドライバー!?」
「…でっ!? おい!?」
或人を連れてきたことを咎めようとしたが、それよりも早くクラリスからゼロワンドライバーをひったくられ、タイミングを外してしまう。クラリスも驚いてゼロワンドライバーを離してしまった拍子にプログライズキーも落としてしまう。
「ああ、良かった! プログライズキーも無事だぁ…」
「隊長! 何故、ここに彼を連れてきたんですか!?」
「そうだ、何かあったらアタシらじゃ…」
身構えるクラリスと初穂…しかし、神山は心配ないよと手を振った。
「紹介するよ。彼は飛電或人、なんでも空の上の世界で会社の社長をやっているらしい。どうやら、この帝都に来たのは事故らしいが…」
「「…社長?」」
少女たちからの疑念の目…。 まあ、仕方ない…どう見たって自分たちと歳が変わらないのに社長とか。すると、察した或人は端末を取り出して名刺画面を出す…
「はじめまして、飛電インテリジェンスの社長の飛電或人てす。こちらが名刺になりま……?」
「「…」」
特に普通に挨拶を交わしたつもりだった… しかし、初穂とクラリスは目を丸くして固まってしまう。あれ、何か失礼でもあ……
「「すまぉとろん!?」」
「へ?」
すまぉと…? いや、確かにスマホに分類される飛電製の端末だが別に驚くようなことではない。一般的に普及しているものだ………そうあくまで、令和の世界では
初穂とクラリスは一旦、『ちょっと、失礼』と離れて背を向けるとヒソヒソ話をはじめる。
「…(なあ、クラリス見たかあのすまぉとろん!? アタシらに支給されてるのどころかすみれ支配人のやつより、だいぶ凄いぜありゃ! )」
「…(私も素人ですが、画面の鮮明さが指令室のモニターより高かったですよ。きっと高価なもの…それこそ、財閥くらいの社長じゃないと使えないようなものでは?)」
「…(じゃあ、マジで社長なのか? でも、名前が逆さ向きで書いてあったぞ。ちょっと間抜けが過ぎないか…? それに飛電なんちゃらなんて聞いたことねぇぞ。)」
やはり、疑念が晴れない初穂。太正世界の通信端末『すまぉとろん』は令和世界のスマホに外見こそ似ているが、まだまだ未発達で通話は出来ない上にお値段も中々のものなので、まだ一般的には普及はあまりしていない。使うとしたら、それこそ、金持ちや財閥クラスの人間やそういった企業や組織に準ずる人間のみである。
これを所持しているならさぞかし、有名な財閥の…という話になるが、太正世界には勿論のこと飛電インテリジェンスもヒューマギアも無い。そして、横の文章は令和世界の大正時代のように現代とは逆に書くので名刺を見せられても、逆に不信感が起きるのは当たり前だろう。
一方の或人も戸惑ざらえなかった。飛電インテリジェンスの名前を出してすらこの反応… 自分の名前はともかく、世界に轟くこの会社の名を知らないのは流石におかしい。しかも、たかが端末にあの驚きようときた…
「あの、神山さん…俺、おかしいことしました?」
「いや…。こほん、初穂もクラリスもちゃんと挨拶してくれ。」
このままだと話が進まない。神山に促され、慌てながら姿勢を正して或人と向き合うふたり。
「…お、おう。はじめまして、社長サン。東雲初穂って言いマス。この帝国劇場の団員をしてる…マス。どうか、帝国劇場をご贔屓に……」
「クラリッサ・スノーブレイクです…。クラリスとお呼びください。彼女と同じく、帝国劇場の団員です…。」
「どうした、ふたりとも? 様子がおかしいぞ?」
急な挙動不審、そりゃあまあ何処にせよ大財閥の社長に失礼があったら最悪の場合、自分たちの劇場なぞ一瞬で潰されかねない。…別にそんなことは出来るはずもないし、可能だとしても絶対にしない或人社長であるが。
彼は初穂に握手されながら、『ここ劇場なの…?』と頭に疑問符を浮かべていると、神山がそろそろ話を進めたいと切り出す。
「社長さん、取り敢えずこっちに来てくれないか? 見せたい物がある。」
案内されたのはラボの奥。そこに並んでいるのは或人の記憶にも新しいロボット……『霊子甲冑・三式光武』。赤と緑の色違いで装備も差異あれど、あの空から降ってきた少女が乗っていた機体と同じである。
「これ…! あのピンクのロボットと同じ!」
「やっぱり、か…。あなたはこの光武を見たことがありますね?」
「はい、会社の前に落ちてきましたから…」
頷く神山。もしかしたら、さくらの行方を知っているかと思って試したわけだが…やはり、自分の勘は確かだったようだ。機体の色まで言い当てるなら間違いない。
すると、初穂も顔色を変えて或人の肩を掴む。
「本当か!? なら、さくらは無事なのか!? どうなんだ社長さん!?!?」
「ま、待って! 多分、大丈夫だと思うけど俺もわからない…!?」
「初穂、落ち着け! 気持ちは解るが、今は順を追って話を……」
先の礼儀を気にする様子は何処へやら、強く揺さぶる彼女。神山の制止もきかず、クラリスもオロオロとするばかり……その時だった。
「騒がしいですわね。何事ですか、神山隊長。」
エレベーターのドアが開き、現れた紫の着物の女性。扇子とフサフサのマフラー…泣き黒子が優雅さを演出するが、凛々しい眼は上に立つ者の風格…齢は30歳といったところだろう。彼女の登場するなり、神山とクラリスも姿勢を正し…初穂も渋々或人から手を離して続く。
間違いなく、彼等の上司かそれに類する人物なのだろう…そんな女性の視線は或人に向けられていた。
「わたくしの部下が失礼を。あなたが『仮面ライダー』…で、よろしいですね?」
「…あ、はい。」
「話は神山より伺っています。わたくしはこの帝国劇場の支配人を務めている、『神崎すみれ』と申しますわ。こんなところで話も難ですから、場所を移しましょう。」
堂々とした物腰…やはり、上司たるものこうではなくては。
そう思ってしまうような動きに或人は圧されながらも、この場所の主と名乗る女性の背中についていく。その一部始終を見届けた神山とクラリスは感服していた。
「流石、すみれ支配人…。こんな非常事態でもあの落ち着きようとは…」
「旧華撃団のメンバーだけあって、私たちより肝っ玉が据わってるということでしょうか?」
「…」
「初穂?」
初穂だけはどうもやるせない顔でいたが、気がついた神山が声をかける …逸らされてしまったが。
「隊長さんはさ…さくらは心配じゃねえのか?」
心配だった。付き合いは長い大事な仲間が…今は生死すらわからず、鍵を握るであろう人物もすみれが連れていってしまった。何かをしたいが、どうすればいいか分からない…そんな焦りと自分への怒りが彼女を不安定にしつつある。
反対に神山はすみれほどではないが、必要以上に焦燥を見せる様子もなく普段とそこまでかわらない様子だった。
「俺は…彼が『仮面ライダー』なら、心配はいらないと思う。これも勘なんだけど、さくらもきっと無事だと感じられるんだ。それに、夢半ばで死ぬようなやつじゃないって、それこそ初穂が言ってただろ?」
「それは…」
仲間だろう? なら、自分たちが信じなくてどうする?
そして、天宮さくらには夢がある。
憧れの人のように、強く美しいトップスタァになるという目標があるのだ。その強い想いは翳ることなく、少女を夢の舞台へ続く道を拓かせたのである…。そんな情熱の乙女がたかだか降魔ごときにやられるものか。
「…俺は信じてる。さくらは帰ってくる。」
…そう、きっと大丈夫だ。
…なお、光武は解体された模様(白眼)
感想おまちしてます。