Dota2転生記~プグナちゃんの冒険~   作:つゆり3

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第3タワーまで行って負けると悲しくなる。


最終決戦

骸骨魔導士プグナとクリスタルメイデン、そして隠しボスロシャンから強力なアイテムを手に入れた主力3人、計5人は、いよいよ倒さなければならない敵5人が待つダイアーサイド、本陣を守る第3タワーの近くまで来ていた。

 

「うえーん、なかなかたどり着かないよう」

 

「泣き言言わないの! アップデート(6.0→7.0)でマップが大きくなったからね、第3タワーまでたどり着くのにも、時間がかかるようになったのよ」

 

「そうなんだ、メイデンちゃんはこのゲームの事、詳しいんだね!」

 

「当り前じゃない。ずっと前からいるんだもの。ほら、着いたわよ。やるべきことをやりましょう」

 

二人はタワー前の場所にワードを置いて、相手のワードを破壊する事、デワードを丁寧にしていく。

 

キャリー達はそんな中飛び込むタイミングを伺っている。

 

嵐の前の静けさの中、二人はこんな会話をした。

 

「プグナちゃん、前からあんたに言いたかったことがあるんだけど」

 

「な、なあに? メイデンちゃん」

 

「あんたって…」

 

とんでもない変態よね、とか言われてしまうんだろうか?

 

「すっごくいいやつよね」

 

「え?」

 

「仲間にヒール撃ったり、デワードを手伝ってくれたり。私はいつもハードサポートとして全てを投げうってでもサポートをさせられてきたから、あなたのそういう、なんていうのかな、サポートしての気づかいっていうのかな? それが、すごくうれしいんだ」

 

「僕は…」

 

僕はそんないいやつじゃない。そう口に出したかったけど、ギリギリで思いとどまった。そういう、状況だったから。

 

「僕たち、死ぬかもしれないね」

 

「そうね。だけど、負けて存在を否定されるのは、今じゃない。少なくとも、この試合ではないわ」

 

「メイデンちゃんは、死ぬのが怖くないの?」

 

「怖いよ。でも、負けなければ、また復活できる。また生きれるのよ」

 

「僕は、それでも今この瞬間、このチームでのこの世界は、一度切りしかないんだと思う」

 

僕のその言葉を、メイデンちゃんは否定しなかった。

 

「さみしくなるわね」

 

勝っても負けても僕たちがこの試合でチームメイトとしていられるのは、あとほんの少しの間だけなのだ。

 

僕とメイデンちゃんはふたりきりで、しばらく顔を見合わせていた。

 

「…………」(プ)

 

「…………」(メ)

 

やばい、なんか、“良い”雰囲気な気がする!!

 

「キス、しようか?」

 

「…しない」

 

めっちゃ軽蔑している表情された…。

 

 

そんなこんなで、いよいよ作戦決行の時が来た。

 

このゲームにおける第3タワーは段差を一段上がったところにあり、上で敵がどのように待ち構えているかをうかがい知ることはできない。

 

そんな中、第3タワー、バラック、そして第4タワー、エンシェントまで破壊しなければいけない。

 

攻めるほうが不利。第3タワーには魔物が棲むといわれているくらいなのだ。

 

だが僕たちには秘策があり、それは簡単に決まった。

 

名付けてよく見えないけどパッジのフックが当たるまで飛ばしてみる作戦。

 

2、3回でなんと相手のキャリーであるジャガーノートが釣りあげられ、マテリアル・ガールであるファントム・アサシンのバッシュから相手チームのキャリーを血祭りに上げた。

 

あわてて高台から飛び出してくる有象無象達を蹴散らしていく我がチーム。

 

「すごいじゃない!」

 

メイデンちゃんと僕は出る幕無しという感じだった。あっという間にミッドの第3タワーとバラックが破壊される。

 

「よーし敵は全部やっつけたわね! この調子でメガ・クリープを作るわよ!」

 

※メガ・クリープ

全てのバラックを破壊したときに生まれる味方クリープは超強化され、

プレイヤーの扱うヒーロー並の強さのメガ・クリープとなる。この状態になればほぼ勝ち。

 

「いや、まだ。まだだ…!」

 

「どうしたの、プグナちゃん?」

 

「ゼウス先生がいないっ…!」

 

 

バラックを破壊することに夢中になっているキャリーたちを置いて、僕は敵のFountan(一番最初のスタート地点)の前まで来ていた。

 

「ゼウス先生っ…」

 

息を切らしながらそこまでたどり着くと、視界の外から声が聞こえた。

 

「来たか、小僧よ…」

 

「な、何をやっているんですか? このままじゃあなたのチームは負けてしまいますよ?」

 

「もう負けに決まっとるじゃろ。そんなことも分からんのか?」

 

その声は冷たく、怠惰な空気をまとっていた。

 

「あーんな見え見えのフックをくらいおって。そのままみんなで飛び出してみんな死におった。視た瞬間に諦めがついたわい。わしくらいたくさんの試合をしておると、しょうもない味方の時はがんばらない癖がついてしまうんじゃ。どうせまた次の試合が始まるからのう」

 

「本当はあなたが…誰よりDota2を楽しみたいと思っているんじゃないんですか。初心者である僕に話しかけてくれたのも、チームメイトに絶望していたからですか? それだけじゃ、ないはずです! 初心者も含めてDota2をみんなで楽しみたいって、そう考えてくれていたからじゃないんですかっ…!」

 

「ダメな味方でやる気がなくなっていただけじゃよ」

 

「う、ウソだっ…!」

 

「諦めていたからじゃよ。あんな情けないていたらくの味方と組めば、開始五分で諦めもつくわい。もうね、ぺっ、じゃ、ぺっ!」

 

「…あなたは間違っている」

 

「なんじゃと?」

 

「僕はこの世界の知識はほとんどないけれど、これだけは分かります。何度繰り返されたとしても、このチーム、この組み合わせのゲームはこの一回しかない。だからこそ、一回一回のゲームを捨てゲーなんてせずに全力で楽しむべきなんです!」

 

その言葉を聞いて、Fountainからゼウス先生が姿をあらわした。

 

「面白い。小僧ごときが生意気に、この雷神・ゼウスに意見するつもりか?」

 

「ちょ、ちょっとプグナちゃん、やめたほうがいいよ、今はキャリー達もいないし…」

 

「メイデンちゃん、ごめん。僕、どうしても今、ゼウス先生と“本気で”戦わなきゃいけないんだ。ゼウス先生の考え方を変えるためにも…」

 

「ふん、何をごちゃごちゃと。小僧よ、Dota2初心者の貴様がこの神を超えるというのかっ…!」

 

「超えます。超えてみせますっ…!!」

 

こうしてプグナちゃんとゼウスの、この世界で最後の戦いが始まった。




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