とりあえず全て顔見せ程度ですので字数少ないですが初投稿です(ハイスクールD×D恒例の怒濤のキャラ追加)。
―――かないで―――
―――いかないで―――
―――れないで―――
―――はなれないで―――
いつも同じ夢を見る。もうほとんど忘れてしまった温かい世界の夢。それに比べてここは酷く暗く冷たい場所で、私は手足を鎖で繋いでいる。そして、繋がれているのではなく、自分の意思で縛っていることも理解していた。
―――わたしから、また―――
―――また、わたしをおいていかないで―――
でも、ここに自分の意思ではいない。他の何かに追いやられたことを知っている。そして、それに対して怒りよりも、悲しみが強く、またあの光溢れる世界に行きたかった。
かえってきて―――かえって―――
もういちど、わたしのもとに―――
もういちど―――もういちど―――
怖い、悲しい、辛い。この想いに任せて全てを壊してしまいたいとすら考えた。そうすればきっと、また私は全てを愛することができるのだから。それしか私はできないのだから。
いえ―――いいえ―――
もうにどと―――もうにどと―――
けれどそれは決して望んではならないこと。私はもういらないのだから。誰からも必要とされず、誰からも愛されない。それでいい、それでいいのだから――。
どうか――私を愛さないで――
『あれ……どこだここ……?』
そんな私だけがいる暗く冷たいこの空間に現れた、久しく見ていなかった生命は――一輪の桃色の花弁に乗って"
◇◆◇◆◇◆
「あれ……?」
「……………………起きましたか」
藤丸立香が目を覚ますと、珍しくカーマが立香よりも先に起きており、正座をして枕元に座りながら、いつもよりもやや不機嫌そうに目を三角にしていた。
朝っぱらから睨まれる理由はわからないが、"とりあえず、自身が悪いのでは?"と考えた立香は、起き上がるとカーマに向き合うように正座になる。
「マスターが時々レムレムして、他者の夢に入るのは知っていますが、"
「えっ? あっ、うん……ゴメン」
直ぐに口を開いた彼女に立香は全く思い当たる節がなく、言い放たれた単語にも聞き覚えがないが、とりあえず立香は謝る。
そんな様子の立香を見てかカーマは自身の額に手を当てながら大きな溜め息を吐いた。
「――はぁ……って言っても夢のことは余り覚えていないんでしたね。今日見ていた夢について、何か見ていた夢について覚えていることはありませんか?」
「えっと…………なんでだろう? 寂しがっていたような……放って置けないよな……そんな気がする……他はよく覚えてないかな」
「どこまでお人好し何ですか……本当に馬鹿な人」
そう言って再びカーマは小さく溜め息を吐くと、立香に近寄り、自身の額を彼の額に当てる。何気なく大胆に行われたその動作に思わず立香の胸が高鳴った。
「一応、熱などはないようですね。体に異常はありませんか?」
「えっ……あっ……ああ、いつも通りだよ」
「……? まあ、それならなんでもいいですけど。それなり……ええ、それなりに環境がいいので、私のマスターに勝手に死なれても困りますからー、それだけですよーだ」
それだけ言うとカーマは立香から離れる。そして、部屋の入り口まで歩いて行くと、何か思い出したような様子で振り返り、口を開く。
「しばらく迷惑料として、私のおかず一品追加してくださいね」
なんの事かわからなかったが、立香はカーマに意識・無意識下でお世話になっていることには変わりないと考え、快くその申し出を引き受けた。
◇◆◇◆◇◆
「みー、みー、みー!」
「……………………」
「みー、みー……うーん、ダメか。ほーら、怖くないよー?」
ある晴れた日の放課後。特に何か成績を残すわけでもなく球技大会を終えた藤丸立香は、道端で黒猫と戯れようとしていた。ちなみにクラス種目は野球であった。
立香から3mほど距離を取って、湿った目でじっと見つめてくる黒猫は、スラッとして毛並みがよく美人な顔つきと体格の首輪のない猫である。動物好きでもある彼の心に火を付け、どうにか関係を縮めようと何やらしていた。
ちなみにあの後、レーティングゲームは当然、リアス・グレモリーの勝ちになったため、ライザー・フェニックスとの結婚は破談になったのだが、当のライザーが
ゲームセットの時点で立体映像の投影は終了していたため、リアスがアルテミスに抱き着かれた辺りは観客に映っていなかったので、メディアはライザーが"ハンデマッチでルーキー以下の婚約者に負けた公式戦選手"だの、"貴族悪魔の風上にも置けない"だの、"焼き鳥"だの、"婚約条件を反故にして結婚を前倒しにしようとした上に失敗して婚約破棄された貴族悪魔男児の恥"だの、"10分の男"だの、"カップ麺男"等々有名なSNSで人名を検索した時に出る候補並みに多様なあることないことを言いたい放題であったが、勝てば官軍負ければ賊軍というもの。
結局、ゲームにおいて敗者は死人にも等しく、口など最初からないのだ。それに戦時中は末席もいいところだったフェニックス家が、レーティングゲームで台頭したことを快く思っている貴族悪魔の方が少数派だったことが大きいだろう。
また、10分の男とカップ麺男という俗称は、非公式ではあるが、僅か7分で眷属が壊滅し、自身はほぼ3分ジャストで敗北したということが公衆の面前に晒され、到底火消しどころではなかったためである。
フェニックスが炎上するとは、皮肉なこともあったものだ。敗北を知らずに生きてきたライザーの初めての敗北は、余りに取り返しのつかないものであったと言えるだろう。
蛇足だが、悪魔の新聞社や各種通信会社に縁談の裏話まで文書でリークした人物は、マーラやらNYXやらと匿名で記入して出していたが、まさか本人なハズもあるまい。
更に蛇足だが、最近カーマは突然、"悪魔向けのゴシップ雑誌を集めてニヤニヤしていることが多い"と立香は不思議に思っているが、因果関係は不明である。また、立香は人間なので悪魔のゴシップ雑誌に興味があるわけもなく、カーマはゴシップ雑誌の内容を何故か見せないようにしている節があるため、この出来事を立香が知ることはない。
閑話休題。
「みー、みー、みー!」
「………………」
この黒猫は最近になり、時々目にするようになったらしく、見掛ける度にこうしていつか撫でられるようにならないかとアクションを起こしているのだ。とは言え、3mほどの物理的な距離感は余りに遠いと言わざるをえない。ちなみに見ての通り、立香は生き物に話し掛けるタイプだ。
「家にはカーマがいるからなぁ……でも首輪付いてないし、捨て猫なら保護してあげたいなぁ……」
「………………」
その呟きからはカーマをペットのように扱っているようにしか思えないが、流石に言葉のあやである。
単純にカーマはペットの類いが全般的に嫌いらしく、飼いたがらないためであり、立香としてはペットを飼い始めたらなんだかんだ言いながら一番世話を焼いている様子が思い浮かぶため、飼ってもいいのではないかと考えてもいたりする。
また、立香は哺乳類のペットを飼ったことはないが、その理由はパピーミルなどの存在を知り、ペットショップ等で買ってまで飼うことは控えるようになったからというだけであり、特に家庭の事情というわけではない。
「街にいるってことは君はやっぱり捨猫なのかな? こんな綺麗な黒猫を捨てるだなんて……酷いね」
「…………なー」
「おっ……お、おお……!」
すると珍しく黒猫はひと鳴きし、更に黒猫の方から寄って来て、立香の1mほど前で一旦止まる。そして、ジリジリと恐る恐ると言った様子で距離を詰め、黒猫が来るまで動かないでじっとしている立香の手まで後、数cmのところまで接近し――。
「何をしているの?」
「――――――!!!?」
「あっ、エレシュキガル……」
突然、買い物用の手提げ袋片手に1人と1匹の間に、そういった意図は無いであろうが、結果として割り込むようにエレシュキガルが現れた。まあ、実質的な家主が道端でしゃがみながら、黒猫と一進一退の攻防を繰り広げていれば声を掛けたくもなろう。
エレシュキガルにとてつもなく驚いた様子で目を見開く黒猫は、尻尾まで全身の毛並みを逆立て、脱兎の如く逃げて行ってしまった。
「えっ……え、えっ? ど、どういうことなのかしら……?」
「あはは……うん、大丈夫だよ。何でもないからさ。それより買い物してくれたんだね。ありがとう、あはは……」
(め、目に見えて沈んでるー!? ち、ちっとも大丈ばないのだわ!?)
「わ、わわ、わたっ、私、何かやってしまったのだわー!?」
「エ、エレシュキガル!?」
珍しく落ち込んだ様子の立香を目にし、とんでもないことをしてしまったと自責の念に駆られたエレシュキガルは、目の端に涙を浮かべながら黒猫のように逃げ出して行った。
まあ、彼女も猫で例えれば黒猫っぽく思えるが、飼い猫なので、ほどなく自宅に戻るであろう。
「エレシュキガルが黒猫を抱いたら似合うだろうなぁ」
しかし、それでも同居人で契約者の女神を放っておけない立香は、そんな言葉を呟いてからエレシュキガルの跡を追い掛けるのであった。
◆◇◆◇◆◇
「見て見て立香!」
「どうしたのニュクスさ――」
球技大会が終わってそう日は経っていない放課後。
自宅の庭先で、立香が無駄に凝った造型のアルテミス像を磨いていると、ニュクスが声を掛けて来たため、そちらに振り返り、抱き抱えているものを見て言葉が止まった。
「……んぅ…………すぅ……」
ニュクスにお姫様抱っこをされる形で抱えられていたのは、やや癖のあり、ふんわりとした紫色の長い髪をした少女であり、何故か眠っていた。
その上、少女は一糸纏わぬ姿であり、幾ら大分暖かい暦を迎えたと言っても夕方の屋外にいるには余りに寒々しい様子である。
「中々の美人でしょう? 隔世遺伝で悪魔の力を持って生まれた混血児、それも発現していないから詳細はわからないけれど面白そうな波長の神器持ちよ。名前は"イングヴィルド・レヴィアタン"ちゃんね」
「元いたとこに返してきて」
一瞬で笑顔から真顔になった立香の必死の懇願にも、ニュクスは全く意に介さない様子で、鼻歌でも歌い出さんばかりに機嫌よく更に口を開く。
「あら? いけずね。でも保有していたレヴィアタン派の貴族悪魔では眠りっぱなしの彼女に何も出来ないでしょう? 少しお金をチラつかせたらすぐに交渉してくれたわ。だからこの娘は正当に私のモ・ノ」
「猫みたいに拾って来ないで」
「悪魔特有の"眠りの病"に掛かってるけれど、私の子で眠りを司るヒュプノスに解除させるから心配しないでいいわ。うふふ、それはそれとして立香――"眠姦"に興味はないかしら?」
「お願い話を聞いて」
その後、
※ニュクスさんは普通に問題児です。
原作の裏でレムレムして絆上げ中です。3巻は……ぶっちゃけ立香くんがやることがほぼ皆無なので、最終盤以外はこんな感じに半分レムレムパート(人魚っぽいものやイングヴィルドの絆上げ作業)、半分ほぼ日常パートぐらいの感じで進むと思います。
~簡単な登場人物紹介~
人魚っぽいもの
立香の三女神同盟の切り札にも成り得る人魚ってぽいもの。立香の夢でたまに繋がる相手らしく、その度に沈まないようにカーマが頑張るが、立香は夢の中出来事を深く覚えていない。まだ、人に虐められた捨て猫の如く警戒心と敵意マシマシ。
イングヴィルド
ニュクスに買われたレムレムしている女の子。潜在能力が軽く魔王クラスを凌駕している上に何かしら面白げな神器を持つため、ニュクスは
原作ニュクス「誘拐した」
今作ニュクス「買った」
黒猫
最近、たまに見掛けるようになった黒猫。首輪がない上、近所では黒猫を飼っている家はないため、捨て猫だと考え、保護しようかと立香は検討している。保護したときはちゃんと動物病院に連れていって避妊・去勢手術をすることもしっかり視野に入れている。
~今の絆Lv~
エレシュキガル
絆Lv4
カーマ
絆Lv8
ニュクス
絆Lv7
アルテミス
絆Lv5
オリオン
絆Lv5
人魚っぽいもの
絆Lv0(絆5までに絆10に達する並みの絆ポイントが必要)
黒猫
絆Lv2(1~3が上がりにくく、4~5が無茶苦茶上がりやすいぐっちゃんパイセンタイプ)
イッセー
絆Lv5(5までの必要絆ポイントが最低値の1万のタイプ)
イングヴィルド
絆Lv0(スヤァ……)