ああっ女神さまっ(黒)   作:ちゅーに菌

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ギリギリ半年立ってないし、今なら更新しても誰にもきっとバレない……そーっとそーっと……。

※この世界の神様の中身は天照がみこーん!だったりと、はっちゃけ具合がD×D基準と化しております。





海と夜

 

 

 

 

 

「あっ、クロカちゃん朝から来てたんだ」

 

「なー」

 

 コカビエルが駒王学園を襲撃した翌日。既に飼っているようなものだが、最近になって藤丸家に入り浸るようになった黒猫に立香は声を掛けていた。

 

「なー……」

 

「よしよし、生餌とちゅー――」

 

「なー!」

 

「ちゅーるかぁ……グルメだなぁ」

 

 黒猫の背中を撫でつつ染々と呟く立香。そんな彼を見て、いつ見なく業を煮やした様子のエレシュキガルは、意を決した様子で彼に近寄ると口を開く。

 

「それどころじゃないのだわ!」

 

「え……?」

 

「なー……?」

 

 黒猫の首から眉間に掛けてをうりうりと呟きながら撫でていた立香と黒猫がそんな呟きを上げる。立香からすれば、エレシュキガルの様子はとても珍しいであろう。黒猫は途中で撫でるのが止まったため不満げである。

 

「ティアマトよ、ティアマト神! どうしてあんなことになっているのだわ!? いったい何を仕出かしたらああなるのか言いなさい!?」

 

「……? えっと……何のことだろう?」

 

「あの後、大変だったのよ!? ティアマト神とテキサスホールデムとか、大富豪とか、セブンブリッジとか、ツーテンジャックとか、ページワンとか、神経衰弱とか、ババ抜きとか……と、トランプ遊びは楽しかったけれど……それどころじゃないのだわ!?」

 

「そ、そうだったんだ……?」

 

 切羽詰まった様子で詰め寄るエレシュキガルに対して、立香は頭にハテナを浮かべている。

 

 ちなみに夢でおやつを賭けたトランプ大会は、幸運値の関係でティアマトとエレシュキガルが並び、それにイングヴィルドが続き、立香はドベであった。

 

 そのままエレシュキガルが立香の肩をガクガクと揺すっていると、棒アイスを加えたまま通り掛かった寝間着と大差ないラフな格好のカーマが、棒アイスを口から外して半眼で2人を見つめる。

 

「ダメですよ。この人は夢の事はほとんど覚えていませんから」

 

「えっ……? そうなの?」

 

「そうです。寝るとたまに他者の夢や異世界にお邪魔するんですよこの妙ちくりんなマスターは。その癖、しっかりと夢なのでほとんど覚えてないんです。ホンっとイチイチ付き合わされて迷惑してるんですから」

 

「あはは、ごめん……。うん、それで今回はどんなことがあったの? カーマは教えてくれないからさ」

 

「それは――」

 

 エレシュキガルはメソポタミア神話の原初の女神ティアマトについて立香に語る。主に彼女がどれほど桁外れの存在であり、また極めて危険な存在であるという内容だ。

 

 そして、全てを聞き終えた立香は、珍しくどこか怪訝な様子で眉を潜めていた。

 

「そうなんだ……。でも本当にそうなのかな?」

 

「えっ……?」 

 

「だってほら、一緒に皆でトランプしてるみたいだしさ。それにそもそも最初から殺す気なら俺、1度目の夢で死んでいると思うんだ。まあ、カーマが助けてくれたのかも知れないけれど、少なくとも何度もその……虚数空間?――には行っているみたいだから……」

 

 立香は少し間を開け、その間に少し迷う様子を見せたが、やがて確信したような表情に変わる。ティアマト神の危険性を知って尚、彼は希望と願いに満ちた表情を浮かべる。

 

「それに……なんだか、寂しそうだった気がするんだ。とてもとても寂しそうに……さ。きっとその人をずっとそのままにしておくのはよくないよ。嫌なモノを、見たくないものに蓋をし続けて……それで本当に皆幸せになれた? ずっといつまでも幸せかな? その人は今も生きているのに……」

 

「それは……そうだけど……」

 

 独り善がりの独善と言ってしまえばそれまでだが、彼はティアマト神に対して誰も善意を向けなかったことこそ彼は疑う。誰が言ったか、"悪が蔓延るのは善がなにもしなかったとき"という格言がある。要するに彼は愚かで呆れるほどに善人なのだ。

 

 彼の真っ直ぐ澄んで確かな意思を宿した瞳に見つめられ、エレシュキガルは言葉に詰まる。

 

 そして、そんな彼女の様子を眺めるカーマは小さく溜め息を吐くと、大袈裟におどけるようにわざわざ彼女の目の前に出て見せた。

 

「あーあー、こうなるから私の口から伝えたくなかったんですよーだ」

「えっ……?」

 

「だって別に私が教えたんじゃないですから、あなたの責任ですもの。どうしてくれるんですかこれ? 知っちゃったらマスターは、ティアマト神とやらをお日様の下に連れてくるまで絶対に止まらないですもの」

 

「そ、そんなこと――っていない!? どこにいったの!?」

 

 エレシュキガルが気づくと、いつの間にか立香の姿は忽然と消えていた。彼は考えると既に行動しているタイプのため、このようになるのはある種当然と言える。

 

 彼女の焦る姿をカーマは面白可笑しそうに見つめるばかりで、状況はどんどん彼を中心に進んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もちろん、ティアマト神を表の世界に連れ出す方法ならあるわよ?」

 

 エレシュキガルから話を聞いた立香は、自身がいざというときに一番頼りになるパイプを持った存在――ニュクスの元に来ていた。

 

「そうなのか?」

 

「なー」

 

 そして、相談に乗ったニュクスは事も無げにそう言い、立香は拍子抜けな表情になり、思わず抱えてきていた黒猫と顔を見合わせる。

 

 ちなみに今いる場所は藤丸家ではなく、はす向かいに立つ城のようなニュクスの屋敷であるため、

 

「そっ、虚数空間に落とされているだけだから梯子を取り付けてやるだけで勝手に這い上がってくるわよ? 立香が思ってるほどアレは柔じゃないわ」

 

 しかし、ニュクスはそう言いつつ何が面白いのかニヤケた表情になると"でも"と言葉を区切る。

 

「"生命の海(ケイオスタイド)"。あんなものを出してしまえば、そこにあるだけで勝手に世界を塗り潰そうとして、未曾有の大災害になることは貴方も理解しているでしょう? アレはそういう生き物なのよ。そういう風にしか生きれない生き物なの。人間はやろうと思えば、なんにでもなれるかもしれないけれど、神は与えられた形以上には決してなれないのよ?」

 

「それは……」

 

「にゃー……」

 

 それまで意思に溢れた目をしていた立香に僅かな影が浮かぶ。そんな彼を眺めて、ニュクスはどこか加虐的な笑みを口許に浮かべており、愛するからこそ虐めたいという神らしい意識が伺えるであろう。

 

「いや、そうだね。俺もそれはわかってた……わかっていた筈なんだ。それでも……それでも誰かひとりぐらい手を差し伸べたものがいてもいいと思うんだ」

 

「まだ今は、顔も記憶もほとんど覚えていない相手によくそこまで献身的になれるわねぇ……」

 

「だって寂しそうだったから、きっと泣いていたから」

 

 しかし、立香は折れることなく、直ぐに再び更に強い意思を瞳に宿す。そんな様子そのものを見ながらニュクスは加虐的な笑みを浮かべていたとき以上にどこか嬉しげに見えた。

 

「うふふ……! ならどうするの? ちなみにだけれど、幾つか方法は用意してあるわよ? さあ、一番私の喜ぶ答えを当てて見せて?」

 

「与えられた形以上になれないのなら……与えられた以下の形にはなれるんだよね?」

 

 その問いにニュクスは答えずに笑みを強めながら彼との距離を詰め、絡むようにそっと触れる。しかし、立香は絶世の少女の身体をしている彼女を前にしても、その頭にあるのはティアマト神のことのみのようで、波のない水面のように一切揺らぐことはない。

 

 しかし、その目には確かにニュクスを映しており、彼女にはそれが堪らなく嬉しかった。

 

「それなら私にどうして欲しい? というよりも最初から私に何かを頼むためにここに来たのでしょう? だってあなたはそういうヒトだもの」

 

「なら――――――」

 

 その問いに立香は答え、ニュクスはそれまで最も嬉しげな笑みを浮かべると彼を抱擁し、それから行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……………………』

 

 虚数空間にポツンと佇む女神ティアマトの頭脳体は、どこかそわそわとした様子をしていた。そして、チラリと自身の左腕を眺めると、賭けの勝負の担保に彼から貰った腕時計があった。蛍光文字盤や日にちの表示機能などが付いているアナログ時計であり、名前ぐらいは多くが知るようなメーカーのモノのため、10万以上はすると思われる。

 

 そして、深夜に差し掛かる時刻を指し示していることに気づいたティアマトは、真顔のまま両手で小さくガッツポーズをした。

 

 

Aaa――(お菓子)Aaaaa――(今日も巻き上げる)

 

 

 その様はまるで彼女の(ここからは特別翻訳を)心の有り様が映し出されているようであった(交えてご覧いただく)

 

 そのまま、彼女は表情を変えずに唇を震わせ、透き通るような歌声が虚数空間に響き渡る。

Aaa――(おっ菓子♪)Aaa――(おっ菓子♪)Aaaa――(メロンパン~♪)

 

 どことなくそのリズムが、鬼のパンツの歌で有名なフニクリ・フニクラに酷似しているように思えなくもないが、恐らくは気のせいであろう。たまに立香がハンドカラオケを持ってきて歌わせたりもしているが、恐らく気のせいである。ちなみにティアマトはマイクを握るとまるで離さなくなる。

 

 ちなみにこの世界線のティアマトは、神々の中身がD×D基準のため、まだ精神的に余裕があったりする。具体的に言えば、後約2000~3000年は本気で"回帰"を始めない程度には余裕があった。

 

 とは言え、神々からすればあっという間の時間であり、立香が定期的にレクリエーションや差し入れをしていなければ、今すぐにでも"回帰"を始め兼ねないほどの精神状態だったことは記しておこう。

 

Aaa――(誰もが食べる)Aaaa――(メロンパ――)

 

「…………立香の話に聞いていたよりも随分元気ね……」

 

Aa――(ン゛!?)

 

 するとティアマトの隣に突然、絶妙な半笑いを浮かべたニュクスが出現し、ティアマトの唄が止まる。そして、訝しげに睨み付けていた。

 

「うふふ、こんばんは。私はニュクス。気に入らないなら別にこのアバターを壊してもいいわよ? どうせ使い捨ての予定だもの。また別のを寄越すわ」

 

 ニュクスの言葉は宛にせず、じりじりと離れると、徐々にケイオスタイドの中に沈み始め、口元まで沈み込んだ辺りでニュクスから声が掛かる。

 

「門前払いねぇ。彼――藤丸立香からの使者として来たのよ?」

 

Aaa……(本当かわからない)

 

 口元まで沈んでいたティアマトは、僅かに反応するとケイオスタイドから首まで出して半眼でニュクスを見る。これでもさっきよりはマシな対応に見えた。

 

「ほら、メロンパン」

 

Aaaa――(先に出せ)

 

 ニュクスがどこからともなくメロンパンを取り出すと、ティアマトは直ぐに再びケイオスタイドから浮上し、足先で水面に立つとニュクスからメロンパンを引ったくった。メロンパンにパクついている彼女を見るに信用を多少得ることには成功したのかも知れない。

 

Aa――(ドラゴンでも)Aaaa――?(ないのに私の言葉わかるの?)

 

「わかるわよ。だって私も貴女と同じで、原初の女神だもの」

 

Aaa――(異星からの)Aaa――(難民もどきの)Aaaaaaa――(分際で嗤わせる)

 

「まあ、貴女からすれば私はアメリカザリガニみたいなものだものねぇ。実際、私から見ると貴女は不憫な在来種なんですけれど」

 

『……Aa――(それで)? Aaaa――(ネジ巻き仕掛けの)Aaaaaa――(女神もどきが全てに捨てられた私に何の用)?』

 

「うーん……カーマちゃんと似たようなスレ方してるわねぇ」

 

 そう言って少しだけ困り顔を浮かべたニュクスは、自らの掌に赤黒く鈍い光を帯びる球体を出現させてみせる。

 

「これ、彼からのプレゼントよ」

 

Aaaa――?(なにそれ?)

 

「機能的には"聖杯"――けれど実態は神性に対しての細やかな改造パーツってところかしら? まあ、私もこんなの滅多に造らないから効果の程は保証できないけれど」

 

 聖杯――この場合の意味としては、純粋に巨大な魔力リソースかつ特定のことしか出来ないようにしてあるアートグラフという意味合いであろう。

 

Aaaaaa――(そんな得体の知れないものを)Aaaa――?(私が受け取ると思う?)

 

「いいえ、貴女は受け取るわ。私のこの身体はアバターで、本機の真体は別にあるということぐらいは知っているわよね?」

 

Aaaaaa――(あなたたちは神ですらない)

 

 実際のところ、多くの名のあるギリシャ神話の神々は、異星から来た機動兵器――ロボットの類いというのがこの世界の真実であり、ティアマトのような神々とは根本から異なるものである。人間で例えるならば、アンドロイドは人間足り得るかということだ。

 

 もっともそんな問題ぐらい実力で捩じ伏せる程度には、この星に来たギリシャ神話の神々は強く、世界では神と認められている。そのため、余ほどに古い神々でなければさして問題にしないことでもあろう。

 

 するとニュクスは口を大きめに開いて見せる。その直後、室内のほんの僅かな環境音と共に音声が流れ始めた。

 

 

《――"真体とアバター"を……ティアマト神に適応することは出来るかな?》

 

 

 それは紛れもなく藤丸立香の肉声そのままであり、開いたままの彼女の口の中からカセットテープか何かのように発声していたということが理解できただろう。

 

「うふふ……私の立香肉声コレクション。彼が発話した言葉は一字一句残さず常に録音しているのよ」

 

 ストーカーも真っ青なことを言いつつ、頬を少し朱に染めてクネクネと身体をくねらせているニュクス。そんな彼女を見たティアマトは少しだけメロンパンやお菓子をよくくれに来る青年に同情する。

 

 しかし、原初の女神としてギリシャ神の仕組みをしるティアマトは戯言だとは否定仕切れず、少しだけ彼の言葉に後ろ髪を引かれていた。

 

『……Aaaa――?(できるの?)

 

「あらあら、この私を誰だと思っているのかしら? そんなの余裕よ。何せ私の真体は艦隊の"造船兼工廠母艦"だもの。だから私に他の子たちは誰も頭が上がらない」

 

 そう言って何処か嫌らしい笑みを見せるニュクス。それが常に余裕を持ち、確固足る地位を持ちながらも好き勝手にしている理由らしい。

 

 最初のギリシャ陣営がこの星に飛来してくる以前に、ニュクス以外にも存在した工作艦や工廠艦は宇宙航海の途中で下落し、ニュクスの真体に併合されている。すなわち、真体の製造に加え、真体持ちの修理や改造が可能なモノはニュクスの真体1隻を除いて存在しないということだ。

 

 旅立った惑星のロストテクノロジーの全てを詰め込んでいるニュクス。逆に言えば、極論彼女さえ残っていれば、ギリシャ陣営は幾らでも再生出来るということに他ならない。故に仮に彼女の真体を襲うような世紀末的馬鹿が存在するのならば、その行動は名のあるギリシャ神全てを敵に回すことになるだろう。

 

「貴女が思っている以上にギリシャ陣営(我々)の技術ってオーパーツなんですもの。アザゼルとかの坊やたちが欲しがる程度にはね」

 

 "まあ、彼らが欲しいのは単純にロボット技術でしょうけど……"と口をへの字に曲げて呟いてから、ニュクスは表情と話を戻す。

 

「実はね。貴女の頭脳体を模したアバターはもう造ってあるのよ。彼の家で寝せてるわ。後は貴女がその聖杯を受け入れるだけ。まっ、仮初めの体だから気分転換ぐらいにしかならないと思うけれど、それぐらいなら誰にも何も文句は言われないし、なんなら私が言わせないわ」

 

『……………………』

 

 その言葉にティアマトは口を閉じて目を泳がせる。どうあれ限定的にでも長年求め続けた再び外へ出る方法を目の前にぶら下げられ、孤独と寂しさに飢えていた彼女に取っては得難く喉から手が出るほど欲しいものだっただろう。

 

 故にニュクスは必ず彼女が受け取ると踏んでいたのだ。

 

『……Aaaaa――?(どうして私なんかに?)

 

「"貴女が寂しそうだったから"……たったそれだけでここまで行動しちゃうような子なのよ彼は。全部知った上で、貴女と会うのは夢だから現実では記憶もろくに無いにも関わらずね」

 

Aaa――(馬鹿な人間)Aaaaa……(私は不要なものなのに……)

 

 ティアマトがふと思い返すと、記憶の中の立香はいつも笑っていた。彼女が何か食べる姿を見て微笑み、ゲームで酷い負け方をしても苦笑しながらも何処か楽し気で、彼女が何かして見せる度に少し大袈裟にも見えるほど自分のことのように喜んでいた。

 

 女神エレシュキガルですら明らかに怯えていたというのに、彼自身は何の力もないにも関わらず、ただいつもそこにあるかのように普通だったのだ。

 

『……Aaaaa――(彼に免じて受け取ってあげる)

 

「うふふ……はい、どうぞ」

 

 その言葉を聞いたニュクスは赤黒い玉のような聖杯をティアマトへと手渡す。直ぐにそれを彼女は自身の胸に押し当てると、少し粘りけのある水に落ちるように沈み込んでいった。

 

 

『――――――――――』

 

 

 その直後、ティアマトの頭脳体が淡く輝くと共に彼女の意識は溶けるように薄れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――――」

 

 意識が覚醒したティアマトはそっと目を開ける。するとそこには彼女の顔を笑顔で覗き込んでいる立香の姿があった。どうやら彼女は布団に寝かされており、彼が隣で座っているらしい。

 

 寝起きの感覚により何をするわけでもぼーっと眺めている彼女に対して彼は口を開く。

 

「現実では初めましてだね。ティアマトさん」

 

 能天気にしか見えないその様子は、夢の中と相変わらずであり、神をも恐れぬ天然っぷりにティアマトはなんとなくムッとして口を尖らせると、彼の額に軽くデコピンを放った。

 

「いっっってぇぇ――!!!?」

 

「立香!?」

 

「ほらみたことですか、他神のトラブルにすぐ首を突っ込むのがいけないんですよーだ」

 

 すると彼の斜め後ろに1度遊びに来た女神エレシュキガルと、いつも足場になっているカーマが座り込んでおり、その更に後ろにはさっきまで虚数空間に居た筈のニュクスと、よく遊びに来ていたイングヴァルドとヒュプノスの分霊のセットも座っていた。

 

 ティアマトにとっては一応、全員知り合いである。

 

「ティアマトさん、おはよう」

 

『――――ッ!』

 

「Aaaa――」

 

 嬉しそうに寄ってきたイングヴァルドの頭をティアマトは撫で、何故か敬礼しているヒュプノスの分霊は気にしないでおいた。水竜の因子を持ち、目を細めて気持ち良さそうにしている彼女を見ているだけでもティアマトは来てよかったと密かに思い始めていた。

 

 そして、ふと彼女が窓の外を見る。

 

 そこにはよく手入れされた緑と細やかな季節の花で彩られた庭が広がっていた。日本庭園と言うほどの細やかさはなく、どちらかと言えば西洋被れもしている所謂、お屋敷の綺麗な庭先程度のものだっただろう。

 

 また、所々に立っている大小様々な神々の石像が絶妙に景観を破壊しているが、生命が溢れる光景そのものを見て、目の端から細く涙を流している彼女にとっては些細なことだった。

 

(ああ、やっぱりよかったな……)

 

 いつの間にか復活した立香はそんな彼女を見て、誰に何を言うわけでもなくそう思っていた。

 

 








『ティアマト』
・キャラクター詳細
頭脳体そっくりのアバターを貰って密かにメカ属性を取得した原初の女神ティアマト。それ故に陸地も難なく移動可能。アバター自体の出力は精々、魔王クラス程度だが、女神ティアマトの持つ権能はほぼ据え置きのため、ケイオスタイドさえ出してしまえば数十mの巨体になることも可能。

・パラメーター
筋力:A+ 耐久:EX
敏捷:C 魔力:A++
幸運:EX 宝具:―

・プロフィール1
身長/体重:160cm~7400万km2(インド洋の面積)/体重??kg(虚数なので計量不可、体積は無限)
出典:メソポタミア神話
地域:中東
属性:混沌・悪
自己封印を行う以前、自身のことが不要な存在だということは誰より己が最も理解している頃のティアマト。

第一再臨
黒のたてセタにロング丈のジーパンを着た頭脳体(メガネ差分の霊衣あり)。



『ニュクス』
・キャラクター詳細
ゼウスでさえ恐れたという夜の女神。その正体は遥か遠くの死した惑星から長旅の果てに飛来した機甲師団の一体。その中でも造船、工廠、解体などの全権を掌握している神性。清楚かつたおやかな少女の姿をしているが、それは原生生物向けに調整されたまやかしである。

・パラメーター
筋力:A+ 耐久:A+
敏捷:D+ 魔力:A+
幸運:EX 宝具:EX

・プロフィール1
身長/体重:?/?
出典:ギリシャ神話
地域:欧州
属性:混沌・悪 性別:女
アバターのさじ加減で容姿が変わるため、ニュクスのその日の気分によって身長体重が少し異なる。

第一再臨
童貞を殺す神衣を着たニュクス

Q:ギリシャ異聞帯とこの世界の差は?

A:惑星に辿り着いた瞬間のこのニュクスの有無。



黒歌(クロカ)
・キャラクター詳細
藤丸家や学校の周辺で時々見掛け、立香が暫く粘った末にペットになった黒い雌猫。買って貰った赤い首輪と金の鈴を付ける様は既に野良猫の面影はない。彼女を飼う前から時々黒髪の着物姿の女性が夢に出るようになり、最近は同じデザインの首輪をして夢に出てくる。

・パラメーター
筋力:B 耐久:B
敏捷:A 魔力:A+
幸運:E 宝具:C

・プロフィール1
身長/体重:?/?
出典:日本神話
地域:日本
属性:混沌・善 性別:女
下手な天使や悪魔を片手間に叩き返せる程度のステータスを持つ。明らかに猫ではない。いや猫だ。ねこですよろしくおねがいします。

第一再臨
黒い猫の姿



~藤丸家腕相撲ランキング~

1 ティアマト(筋力A+かつ怪力EX)
2 ニュクス(アバター)
3 エレシュキガル(筋力A)
4 ヒュプノス分霊(筋力C+)
5 黒猫(筋力B)
6 カーマ(筋力D)
7 イングヴァルド(旧魔王家の血)
8 藤丸立香(一般人)



~藤丸家常識度ランキング~

1 ヒュプノス分霊
2 エレシュキガル
3 黒猫
4 イングヴァルド
5 カーマ
6 立香 ニュクス ティアマト(横並び)



~適当人物紹介~

エレシュキガル
常識神だが、押しに弱い一面がある。絆Lv4

ニュクス
ゼウスやらポセイドンやらネアカ衛星兵器やらメロンパンやらタバコ髑髏などを製造しようと思えば出来ちゃうタイプの真体持ちの困ったちゃん。真体持ちは誰も頭が上がらない。絆Lv6→7
※アーツ多段ヒットの全体宝具持ち

カーマ
普通に超大盛りとかデカ盛りとかを頼んで食べるタイプの大食い。絆Lv8

ティアマト
平然とご飯茶碗で死ぬほどおかわりし続けるタイプの大食い。絆Lv0→絆Lv1
※アーツ多段ヒットの全体宝具持ち

黒猫
去勢日になると何故か忽然と姿を消すぬこ。最近、慣れたのかよく女神の膝の上で丸まっている。魚っぽいのかティアマトのお膝がお気に入り。絆Lv4→5

イングヴァルド
天然なので藤丸家に適応しているスゴい娘。歌うと何故かティアマトが寝る。

ヒュプノス分霊
イングヴァルドとそのものと、神器に興味を引かれ、どちらかと言えば父心によって分霊を授けている。まだ変身を2回残している。

立香
カーマとか、黒猫とか、ティアマトとか飼った生き物はちゃんと最後まで面倒を見る飼い主。ペットのご飯代は自分の足で稼ぐ。

メロンパン
ティアマトの好物。ないとご機嫌斜めになるので、常に幾つかストックしている。何故かメロンパンの保管場所にひとつだけやたら色鮮やかでふわふわ浮いている奴があるが食べられない。一回、ティアマトが歯を立てたせいで少し欠けた。





~後日談~



「Aaaa――(スッ)」

「あっ、あはは……ティアマトさんまたおかわり?」

「よ、よく食べるのだわ……」

「アバター基準に胃袋は作った筈なんだけれど……」

「あれでご飯茶碗19杯目ですよ。あー、あー、とんでもない拾い物してしまいましたねー(もっもっ)」

「はははは……バイト増やさないとな……」

「なー」

「ならこのおかずをティアマトさんに……(そー)」

『――――ッ!』

「うっ……そうねヒュプノスさん。嫌いなものも自分で食べなきゃ」





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