ああっ女神さまっ(黒)   作:ちゅーに菌

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 ハイスクールD×Dらしさを提供するために勉強中なので初投稿です。

 後、いつも私は一話で八千~一万字ぐらい書かないとなんとなく落ち着かないタイプなので、そのリハビリも兼ねて五千字ぐらいで緩く続けていけたらなと思います。頂いた感想はポリシーとして、全て次話投稿後に返信いたしますのでお待ち下さい。





藤丸家

 

 

 

「あれ? プリンターが……インク切れかな?」

 

 突然だが、藤丸立香がどの勢力に属しているのかと問われれば、どこにも属していないということが、彼が言った訳ではないが、彼という非常にフワフワとした存在の事実である。

 

 確かに"愛もてかれるは恋無きなり(カーマ・サンモーハナ)"という最高ランクの神器を持ち、聖書の神の神話体系である三大勢力の堕天使の総本山といえる神の子を見張る者(グリゴリ)に、時々実験や研究をされてはいる。

 

 しかし、それはどちらかと言えば、グリゴリの総督であるアザゼルや副総督のシェムハザなどの割りとフットワークの軽い幹部による個人的なものであり、また"愛もてかれるは恋無きなり(カーマ・サンモーハナ)"が極めて護衛向きで強力なセイクリッド・ギアのため、特に保護などを必要としないという面が強いからだ。そのため、別に堕天使陣営に属しているわけではない。

 

「あっ……パルムアイス切らしてる……。カーマ、食後にアレがないとちょっと不機嫌になるんだよなぁ……」

 

 コピー機のインクがないことに気づいたためか、立香は冷蔵庫の冷凍庫を見ると、いつもは大量にストックしてあったアイスを切らしていることに気付き、少しだけ困ったような顔になり、指で額を掻く。

 

「~♪ ~♪」

 

 そして、チラリと居間にいるエレシュキガルを見る。彼女は鼻唄混じりの様子で、せっせとガラス障子のガラスを拭いている姿があった。

 

 普通は仕事が一周しても中々手を出さないような部分の掃除すら楽しげに行っている辺り、エレシュキガルのワーカーホリックっぷりは相当なものと言えよう。

 

「うーん……」

 

 近くのコンビニかスーパーと、電気屋は真逆の位置にあるため、とても時間が掛かる。しかし、今日両親は家におらず、自身を除けば、お使いはしたがらないカーマと、ひとりでお使いをさせるにはまだ不安なエレシュキガルしか家にはいない。

 

 そもそもアイスなら兎も角、自宅のプリンターの正しいインクを購入してくることは、機械音痴の立香の母には出来ず、立香の父親か、立香がしてきたことのため、2人の女神に任せるのはお門違いであろう。

 

 だが、2ヶ所の店にこれから立香が赴くと、今日の夕飯を用意するのも立香なので夕飯の時間がずれ込み、結果的に神器にも関わらず、腹を空かせたカーマが不機嫌になるのである。まさに八方塞がりと言える。

 

 そのため、立香は何を思い立ったのか、居間にいる箪笥を開けると何かを探し始めた。

 

 話を三大勢力に戻すと、天界陣営はどうかと言えば、こちらに関しては全く繋がりがない。というのもカーマはキラキラした人間だけでなく、敬虔な信徒やそれに連なる天使のような存在も基本的に好きではない――というよりも、堕落させてしまいたいという本能が疼くらしく、滅多なことでは向こうから近付いてくることがあまりないのだ。

 

 そして、残った悪魔陣営。ある意味、これが一番密接な繋がりなのかもしれない。

 

 

「えーと……あったあった。グレモリーさんのとこの召喚チラシっと」

 

 

 何せ、普通に客として、生活の一部に悪魔召喚のチラシを使用しているのである。インスタント感覚で使って貰うために、駅前で配布等を日常的にされている物のため、使い方としては一切間違っていない。

 

 しかし、高位の女神を二柱も抱えている人間が、このような使い方で使用するのは、極めて異例と言えるが、立香としては"悪魔が経営している駒王学園に通っているし、グレモリーさんとシトリーさんの契約の助けになればいいかな?"ぐらいの善意で行っているため、誰に咎められる事でもないであろう。

 

「エレシュキガル。ちょっとだけ買い物に行ってくるけど、悪魔の人がアイスを持ってくると思うから受け取って、俺が戻るまで居間で待つように言って貰えるかな?」

 

「えっ、ええ……? あ、悪魔にアイス……? なんだかわからないけどわかったわ」

 

 それにしても現代の悪魔の使い方として、これが正しい形ではあるのだが、いざ言葉にしてみると如何なものであろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが立香の家か……」

 

 グレモリー眷属の新米悪魔であり、駒王学園に入って以来の藤丸立香の友人でもある青年――兵藤一誠ことイッセーは、彼の自宅の前で自転車のハンドルを握りながら立ち尽くし、そのやや古ぼけた広い武家屋敷の門構えを眺めていた。

 

 立香とは1年生と現在の2年生でも同じクラスメイトであり、彼の人当たりが良く、誰にでも分け隔てなく接する性格によって、イッセーも現在進行形で交友を深めており、たまに一緒に遊ぶようなことも多々ある。

 

 しかし、高校生にもなると、行動範囲の増加と、自宅から若干離れた場所から通うということもあるため、専ら駒王学園に近い場所の遊戯施設などで遊んでおり、立香の家に来るというのは今日が初めてであった。

 

 また、駒王学園での藤丸立香という男子生徒の評価は、イッセーが一切負の感情を抱かず、好意的な印象を抱いていることが全てと言えよう。かなり整った顔立ちをしてはいるが、自身の仲間かつ学園ではイケメン王子として有名な木場祐斗と比べれば遠く及ばない。しかし、それを余りある人柄の良さと、いっそ異常なほどのコミュニケーション能力の高さで、本当にどんな人間であろうと友好を結べ、いつでも気楽に話せるような存在が彼なのである。

 

 要は"誰にでも優しい友達"。それぐらいの評価をされていた。そのため、少なからずイッセーは、そんな立香が裏の世界と関わりのある人間だったということに驚いていた。

 

 そして、そういったことも出来るらしく、部室で起動した簡易召喚の術式に"パルムアイスを5箱買ってきてください"と書いてあったため、魔力不足によって魔方陣で跳ぶことが出来ず、自転車で契約者の元まで移動するイッセーに白羽の矢が立ったのである。

 

 

『いいイッセー? 彼はあなたにとっても友人かもしれないけど、私たち眷属にとっても似たようなもので、お得意様だから粗相のないようにね?』

 

 

 そして、途中のスーパーで購入し、確りとドライアイスで冷やしてあるパルムアイスを、イッセーは自転車のカゴから取り出すと、意を決してインターホンを押した。

 

(ありがとう……立香! 俺は本当にいい友達を持っ――――)

 

 これで良いのかとイッセー自身で思わなくもないが、既に悪魔の役目はこなしたようなもののため、ほとんど初めてマトモに悪魔としての依頼を達成できることにイッセーは内心で、感涙に咽び泣きつつ、立香への感謝を述べ――――。

 

 

 

「はーい、ご苦労様なのだわ!」

 

 

(――――は……?)

 

 

 

 ――イッセーが抱いていた立香への感謝と誠意は、愛憎のようにそのまま嫉妬と憎しみへと反転した。

 

 イッセーを出迎えたのは、金髪で赤い瞳をした女神のような美女の外国人であり、その上、武家屋敷に合わせてなのか、郷に入っては郷に従えということなのか、"割烹着"を着用している。

 

 正に神話の和洋折衷とでも形容すべき美女がそこにおり、その破壊力はイッセーを一撃でノックアウトして余りある程であった。

 

 しかもイッセーにとって重要なバストも割烹着越しにしっかりわかる程度にはある。むしろ、その着エロとでも呼ぶべき有り(よう)が、非常にイッセー的には好感度であり、いつもならば"ナイスおっぱい!"等と人目も気にせずに声を張り上げていた事であろう。

 

 しかし、今はそれ以上に重要で、重大な事柄がある。イッセーは比較的朗らかな笑みを浮かべ、割烹着姿の金髪の女性に不躾な質問を投げ掛ける。

 

「こんばんは。いきなりで申し訳ありませんが、立香とはどのような関係なんですか?」

 

「えっ? 立香との関係? えっと……」

 

 そう呟いた彼女は、頬をほんのりと染めて、どこか嬉しくも語るのが恥ずかしそうな様子で口を開いた。そのときにイッセーが真っ先に抱いた感想は、"若奥様みたい"である。

 

「一生を共にする大切な人……かしら?」

 

 その瞬間、イッセーの中で何かが弾け飛んだ。

 

 

「お……オオオオォォォォオォォ!!!!」

 

「ど、どど、どうしたのだわ!?」

 

 

  イッセーは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の藤丸立香を除かなければならぬと決意した。イッセーには政治がわからぬ。イッセーは、新米兵士の悪魔である。魔方陣を使えず、チャリに乗り地図を片手に来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 エレシュキガルは何が何やらわからず、そんな中でも自身が何か仕出かしてしまったのではないかと思っていると、イッセーと彼女の間にひょこりと小さな影が割って入る。

 

「はいはい、その変態さんは放って置いていいですよ。いつもの発作みたいなものなので」

 

「こ、小猫ちゃんより小さな幼女まで!?」

 

 それは幼い少女の形態を取っているカーマであった。相変わらず、Quickと文字の入ったやや風変わりなTシャツを着ている。

 

 そんなカーマは少女にあるまじき怪力でイッセーからパルムアイスの詰まったスーパーの袋を引ったくると、その内のひとつの箱を開け、一本取り出して包装を開けてから口に咥えた。

 

 そして、そのままパルムアイスを上下に動かしつつ半眼で喋る。

 

私はアイスを仕舞うので(ははひははひふをひはふほへ)一応(ひひほう)変態さんを居間に上げておいてください(へんはいはんほひはにはへへほひへふははひ)

 

「…………全然聞き取れないけど言いたいことはなんとなく伝わったわ……」

 

 とりあえずはカーマの指示により、立香からも同じ事を言われていたことを思い出したエレシュキガルはイッセーを藤丸家へと招き入れるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただい――」

 

「お帰りなさ――」

 

「おらァ! 立香ァ!?」

 

「――まぁっ!?」

 

「――ええっ……!?」

 

 電気屋でプリンターの代えインクを購入し、自宅に戻ってきた立香は、居間に入った瞬間、血涙を流したイッセーからラリアットを貰い、後方に激しく転倒する。危ないので良い子は真似しないように。

 

 まあ、これぐらいのことが出来る程度に気の置けない関係の間柄なのであろう。高校生ならば珍しくもない話である。とは言え、イッセーが完全に我を失っていることは問題だが。

 

「いてて……あれ? なんでイッセーが家に来てるんだ?」

 

「なんでもクソもあるか!?」

 

 イッセーが悪魔になったことを知らず、人間と悪魔などの別種族との区別が見た目や力量だけで把握出来ない立香は、身体を起こしながら学友に攻撃されたことには言及せず、そちらに疑問を向ける。

 

 しかし、イッセーは一切それには答えず、心底濁り切りつつ、嫉妬に満ち溢れた表情で、居間にいる2人の女性を手で示す。

 

 片方は立香を居間で出迎えようと駆け寄ってきた体勢で固まって驚いているエレシュキガル。もう片方はこちらには目すら向けずにテレビを見て、バランスボールに腹を表にして乗りながら、パルムアイスを咥えつつ既に一箱開けている様子のカーマであった。

 

「お前……いつからだ!? いつからこんな羨ましい生活を送ってたんだ!?」

 

「羨ましい生活……?」

 

「エレシュキガルさんと、カーマちゃんとの生活だよ!」

 

「ああ、エレシュキガルが家に来たのは明日で3週目だからもう少しで1ヶ月ぐらいだ。カーマは……10年来の付き合いになるかな?」

 

「チクショウ!? どうり(道理)で仙人みたいにエロDVDに全く興味を示さないわけ……えっ、10年? カーマちゃんって何歳なの?」

 

「えーと……ああ見えても俺やイッセーよりも歳上だよ」

 

「ご、合法幼女だとッ!!!?」

 

 そこで何千歳やら何万歳やらと言わない辺りが、立香が他人に気遣いが出来る由縁と言えよう。ついでに彼は見ての通り、全く他者を恨まず、自身に纏わることでは怒ることもほとんどしないのである。

 

 しかし、今に関しては、その飄々とした態度が、イッセーの嫉妬心を煽る結果にしかならないため、珍しく逆効果に働いている。ちなみにエロDVDなるものに特に興味を示さない最大の理由は、やや特殊な立香の家庭環境にあったりするが、それを語るのはまた別の機会としよう。

 

 そして、これはイッセーを含む女性に恵まれない全俺たちの代弁者として、何かしなければならないと彼が考えた次の瞬間――。

 

 

「あなたの学園での変態っぷりは立香(マスター)と二心同体な私も、嫌々ながら周知しているところですけど、家にまで持ち込まないでくれます? というか、契約悪魔なのに契約者を攻撃するとかクレーム案件なんですけど?」

 

 

 普通にカーマにとても妥当な内容で怒られ、イッセーは我に返って、これまで膨らんでいた気持ちが風船が縮んだようにシュンとした。

 

 そして、部長にして自身の王のリアス・グレモリーや、眷属の皆の顔を思い出しつつ、流れるような動作で正座になり、三つ指をつくと勢いよく頭を下げる。

 

「申し訳ありませんでしたッ!!!」

 

「えっ……? いや、別にアイス買ってきてくれたみたいだし、全然いいよ。それより材料は余ってるし、よかったら夕飯食べていく? 今日は親がいないから俺が作るけどさ」

 

 それからイッセーは藤丸家の夕飯を馳走になった。

 

 味に関しては、流石は駒王学園女子生徒が選ぶ、嫁にしたい男ランキング2年連続1位の実力は伊達ではないと言ったところだ。

 

 これで本人になぜ美味しいのか聞くと"父親が料理するのをいつも手伝っているだけで、見様見真似(みようみまね)だよ"等と謙遜してくる。駒王学園男子生徒が選ぶ、女だったらよかった男ランキング1位に輝いているのも頷けるというものであろう。

 

 

「ああ、契約の対価は……あっ、カーマが昨日作ってたレモネードとかどう? 普段しないだけで料理上手だから美味しいと思うよ」

 

「………………」

 

「ん? どうしたのカーマ? なんかニヤニヤして?」

 

「いえいえ、どうぞどうぞ。そんなもので良ければ幾らでも持っていってください。なう」

 

 

 ちなみに今回の仕事の一部始終は、魔法によって王のリアス・グレモリーを含むグレモリー眷属全員に見られていたため、帰った後にイッセーはリアス・グレモリーからお叱りとお仕置きを受けることになり、仕事は失敗。

 

 そして、カーマのレモネードなるものの味が気に入り、ほとんどひとりで飲んだグレモリー眷属の戦車――塔城小猫が主に悲鳴を上げることになるのだが、それはまた別のお話である。

 

 

 

 

 







※イッセーくんはああっ女神さまっ名物変な友人枠も兼ねております。

 次回は立香と二柱の状況説明などのためにグレモリー眷属と関わったりすると思います。本格的に原作に関わるのは予定では2~3巻からになります。

 あっ、そうだ(唐突) 沢山の感想と評価が無茶苦茶嬉しかったから連載するゾ(ホモは現金)



~QAコーナー~

Q:駒王学園女子生徒が選ぶ、嫁にしたい男ランキング2年連続1位……?

A:父親の遺伝



~簡易当時人物紹介~

兵藤一誠
 イッセーくん。ハイスクールD×Dの主人公にしておっぱい星人。立香とはクラスメイトで友人。今回はまだ無印1巻ぐらいの時系列にで俺らの代弁者になって貰った。カーマは煩悩の化身のようなイッセーへの特効持ちなので、彼ではどんなに強くなっても根本的に勝つのは非常に難しいと思われる。



~用語~

・カーマのレモネード
 世の女性がぶちギレるレベルの超カロリーレモネード(パールヴァティー幕間参照)。立香はその事を知らずに渡しており、カーマは吐き気を催す邪悪(女性視点)。



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