皆の笑顔のために頑張るので初投稿です。
「えっ……そんなことがあったの?」
《ああ、早速修行漬けだぜ……!》
今日の学校でクラスメイトかつ友人であり、眷属ぐるみでの付き合いも最近するようになった兵藤一誠。そして、彼と同じグレモリー眷属のアーシア・アルジェントが公欠になっていたため、自宅に帰ってから自室でイッセーに電話掛けた立香は驚いた。
イッセーから聞いた話をまとめると、どうやらリアス・グレモリーと、フェニックス家の三男のライザー・フェニックスとの非公式のレーティングゲームがあるらしい。そして、10日間の猶予を使い、山籠りの修行に来ているとのことである。
その経緯はフェニックス家の三男の方が、本来大学卒業後の予定だったリアス・グレモリーとの結婚を踏み倒して来たことがそもそもの原因であり、それを解決するためにレーティングゲームを行うとのことだ。
また、その過程でイッセーは自分の力の無さを痛感し、もっと強くなりたいと暗い声で述べており、オカルト研究部にライザー・フェニックスが来たときにあった何らかが尾をひいているように立香には思えた。
ちなみにレーティングゲームとは、勢力を大きく減退させた悪魔が、転生により強力な眷属を増やし、かつ仲間を減らすことなく実戦経験を積むために行われる悪魔独自の競技のことである。
爵位持ちの上級悪魔達が自身を"王"、下僕を文字通りチェスの駒として、あらゆるルールのもと、相手の悪魔眷属たちと競い合う。異空間に使い捨ての戦闘フィールドを創り出し、そこへ両チームが転移して行い、"王"自身が戦闘不能になるか降参を宣言した場合に敗北となるのだ。
現政権で優遇されているため、実力主義の冥界ではゲーム成績が爵位や地位にまで大きく影響する最新の由緒あるスポーツといったところであろう。
「そっか……なら何か協力出来ることはないかな? 俺は悲しいことに全然戦えないけどさ」
《えっ、そうなのか? 部長からはライザーなんか一瞬で倒せるぐらいとんでもなく強いって聞いてたんだけど?》
「いやいやいや、それを出来るのはカーマだよ。すっごく頼りになる俺の大切な家族だ。俺はただの足手まといだからね」
「……………………」
カーマと立香は言わば、二心同体に等しいため、イッセーとの会話を全て立香の部屋のベッドに寝転がっているカーマも聞いていた。
そして、立香が何気なく放った言葉を聞いた彼女は、無言のまま顔を背けて髪を指で弄り、少し居心地が悪そうにしていたが、その表情はいつもより明るく見え、ふとした瞬間に立香の枕に顔を埋める。
ちなみに立香自身が思っている戦闘時に自身が出来ることは、カーマが戦っている間に魔術で自分を強化して足手まといにならないように立ち回り、そのときに魔術で自身を強化すれば、俺の体の一部でもあるカーマも強化されるために間接的に支援出来る事。ガンドで敵の足止めをする等の直接的でないことのみである。
ただの人間である立香が、戦闘において全く役に立たないことは、彼自身が一番理解している故の割り切りといったところであろう。また、少しでもマシになるように日頃から体を鍛えてはいるが、それを実感できることは未だにほとんどない。
《…………立香は立香で大変なんだな》
「あはは、悩みは十人十色だからね。イッセーだってそうだろう?」
立香はイッセーのことを心配しつつ、自分がいつもカーマがお世話になっているグレモリー眷属と、友人のイッセーのために出来ることを改めて考えた。
ちなみに立香が時々オカルト研究部に通っている理由及びカーマがお世話になっている訳は、そこに向かうと食べれる最高級菓子をカーマが気に入っており、非常に遠回しな表現で訴えてたまに行きたがるためである。
すると、ある疑問が浮かんだため、イッセーに質問することにした。
「レーティングゲームのために山籠りで修行しているってことは、とりあえず戦闘力的な面で強くなれればいいのか?」
《ええ? ああ、そうだと思うけど……》
「だったら――――俺の友達に声を掛けてみるよ。"先生"がいた方が捗るんじゃないかな? 今は旅をしてる"2人"だし、1週間ぐらいなら協力してくれるよ」
立香の中では既に誰に声を掛けるか決まっていた。
◇◆◇◆◇◆
「こんばんわー!」
リアス・グレモリー眷属とライザー・フェニックス眷属とのレーティングゲームまで、後7日となった日の晩。彼らが修行のために来た山奥の別荘にて。
雲ひとつない快晴の夜空に浮かぶ、大きな満月を背にしてふわりと舞い降りるようにそれは現れ、これから肉体強化の修行に入ろうとしていたグレモリー眷属の面々は等しく、視線が釘付けになった。
「………………お月見おっぱい」
そして、何を思ったか、錯乱したのか、イッセーは唖然とした様子でそんな言葉を呟いている。
グレモリー眷属の目の前に降り立ったそれは、より白に近い白銀の髪に、いっそ人間味が感じられないほど色白の肌をし、怖いほど澄んだ青白い瞳をした女性であった。
また、柔らかな月光を糸に編んだような絢爛豪華ではないが、地味でもないドレスを纏い、白木を半月状にして作ったような弓に座るような姿勢で女性は宙に浮いており、何故かあまり可愛いデザインではない"熊"のぬいぐるみが女性の頭に乗っている。
「はいはーい☆ 月と狩猟の女神、アルテミスでーす!」
「今はぬいぐるみとかのオリべえでーす。よーろーしーくー」
そして、女性の方は――女神アルテミスと名乗り、熊のぬいぐるみの方はその永遠のパートナーとして知られるオリオンと名乗った。
アルテミスの全身から溢れる神性は明らかに嘘ではないことを示している。また、立香が可能なら先生を送りたいということはイッセーから王のリアスにも話が通っており、折角の申し出を無下には出来なかった上、願ってもない事だったため、イッセーを除くグレモリー眷属は完全に固まっている。
最高でもエレシュキガルか、カーマが出向いてくるという心構えで待っていたのであろう。しかし、立香が寄越した存在は、その想像を遥かに超えていた。一体、どのような交友を持てば、このような異次元の事態が生まれるのかという話であろう。
「え……ええ……。あなた方が立香が言っていた先生……という事でいいのかしら?」
「うん! 立香から"
「あらゆる魔獣、幻獣を狩猟した俺らはフェニックスを射った経験も勿論ある。まあ、
「ええと……失礼かもしれませんけれど、あなた方と立香との関係は?」
また、信じられない様子のリアスが応対すると、アルテミスはポカンとした様子で首を傾げ、懐からスマートフォンを取り出す。
そして、電話帳の中から"立香"という名前をグレモリー眷属らへと見せてから口を開いた。
「ただの友達よ?」
「め、女神アルテミスと友達……彼は一体!?」
「まあ、アイツは色々あってギリシャ神話の神々のメアドならかなり持ってるし、何よりニュクスさんがお熱だからなぁ……」
「えっ……ニュクスさんって私の領地に滞在している方よね?」
ちなみにニュクスはしっかりと、リアス・グレモリーへ申請をした上で駒王町に滞在している。尤も他の事について、リアスは知らなかったようだ。まあ、立香に関しては当然事であり、特に聞かれなかったため、リアスには伝わっていなかったのであろう。
「あの方は本当にヤバいんだぜ……アルテミスが目じゃないレベルで……」
「私もニュクスさんは苦手だしねー。兎に角! みんなよろしくねー!」
明るく間の抜けた様子のアルテミスにグレモリー眷属は困惑しつつも、次第に毒気が抜かれていき、2人が来た目的の修行の方に取り組むことになった。
少なくとも、アルテミスはライザー・フェニックスが比べ物にならないほどの実力者のため、グレモリー眷属らは力強い先生が出来たと好意的に考えていると、思い出したような様子で手を叩く。
「あっ! でもレーティングゲームでフェニックスを落とせなかったら、鹿に変えて殺しちゃうから頑張ってね!」
『え……?』
ふんわりとした印象のアルテミスから、その雰囲気のまま唐突に放たれた言葉と、唐突に設けられた背水の陣にグレモリー眷属は似たような困惑の声を上げる。
「もう、私は神話に名高き狩りの女神だよー? そのところはプライドもってまーす!」
そう言って、屈託のない笑みを浮かべるアルテミス。到底、彼らの背後に死を突き付けた者の様子ではない。これこそが女神――取り分けギリシャ神話の神々の恐ろしさなのだ。
しかし、アルテミスはこれでまだマシな部類なのだから始末に負えないところであろう。
「みんな、死ぬ気でかんばってね?」
「…………ま、気の毒だがこいつは強いぞー。頑張れよ」
かなり含みのある言い方であるが、オリオンはアルテミスを嗜めなかった。というのも、オリオンに言わせれば、これでもアルテミス的には非常に優しくしてくれている方である。
アルテミスから"あははははっ! 立香も面白いね~。オリオンは愛してるけどぉ、貴方もちょっぴり好きよ?"等と評価されている立香の友人が相手という事で甘めなのであろう。
「だいじょうぶ、ダーリンならフェニックスぐらい素手でも朝飯前だから!」
「いや、流石に素手は無茶苦茶アツいって」
しかし、出来ないとは言わない辺りと、アルテミスの一切曇りない信用から、オリオンという狩人の実力が伺える。
そして、その期待はグレモリー眷属らにも向けられ、アルテミスは大きく腕を掲げた。
「自分を信じて! エイ、エイ、オー!」
尚、上級悪魔でも今は高く見積もっても中堅止まりのグレモリー眷属らが、ギリシャ神話でも何番目かに名前が上がる戦闘向きの女神とマトモな戦闘になるわけがない。
とりあえず、実力を見るということで、アルテミスとの戦闘になったところ、全くなっていない奇妙な構えから百発百中の矢を放たれたり、とてつもない威力と非常に鈍い音のタックルで戦車の塔城小猫が車に跳ねられたように吹き飛ばされたりした結果、30秒と掛からずにグレモリー眷属全員がノックアウトされた。
ネアカゆるふわスイーツ女神鬼教官による打倒フェニックスの1週間が幕を開けたのであった。
◆◇◆◇◆◇
「"
「うんそうなの! それがあればダーリンを生き返らせて元の姿に戻せるから!」
土下座せんばかりのグレモリー眷属の懇願により、元々昼間にしていた知識の勉強をすることをゴリ押し、どうにか肉体を休める時間を確保した彼らは、稀な機会のため、勉強のついでにアルテミスとオリオンから話を聞いていた。勉強会もアルテミスの恋ばなにシフトしているが、それを咎める者はいない。
"
それは聖遺物の一つである聖杯が由来になっている
その能力は言ってしまえば強力な治癒能力と生命体の強化なのだが、回復系神器としては桁違いであり、アーシア・アルジェントの保有する
だが、それもまた余技といっても過言ではなく、魂さえサルベージすることができれば、死者の蘇生すら可能とするという桁違いの力を保有している。
アポロンに嵌められ、アルテミス自身に誤って射殺されたオリオン。それをなんとかアルテミスが魂を繋ぎ止めたため、このように"ゆるキャラ"と化したオリオンを
しかし、どういうわけかさっぱり手懸かりさえ見つからないため、探すための旅というよりも半ば長期旅行と化している。だが、本人たちは幸せそうなので誰が口を出せる訳でもないであろう。
「あれ……私たち最新の神話のページを本人たちから直接聞いてないかしら……?」
「まあ、オイノピオーンに謀られて、両目を抉られて盲目になったときは、オケアノスの果てまで治療しに旅するハメになったからな。今回は体を失っただけと思えば……思えば……うーん、キツい」
「その姿のダーリンもとってもキュートよ!」
その上、熊のぬいぐるみなオリオンは兎も角、アルテミスは処女を司る女神であり、万人がおよそ思い浮かべるようなアルテミス像から掛け離れたスイーツ脳をしている。
正直、対応していて疲れるというのが本音であり、立香は嫌がらせか何かで派遣したのかという考えも過ったが、翌々考えればたった10日で不死身のライザー・フェニックスに勝たなければならない彼らは、これぐらい色々と壮烈な方が励みになるということも間違ってはいない。
スイーツ女神でも実力は間違いなくアルテミスであり、フェニックスを狩猟した者から直接思ってもいなかった"秘策"を聞き出せたため、相対的には完全にプラスなのである。
(いや、それにしてもさイッセーくんさぁ?)
「はい?」
イッセーの肩に登ってきたオリオンは、グレモリー眷属の女性の面々を一望し、嬉々とした息を漏らしてから彼に小さく耳打ちする。
(いやー、本当にグレモリー眷属の可愛い子ちゃんたちのレベル高いよなぁ……)
(――!? そうですよねオリオンさん! 特におっぱいが最高ですっ!)
(ほほう、やっぱり思った通りだ。さん付けなんていいってことよ。だって俺たちほら――)
オリオンはニヤリと口元を歪めつつ、怪しい眼光になる。
(似た者同士だろう? ところで女湯に興味ない?)
(――――!!!? いえ、オリオンさんと呼ばせてくださ――)
「だぁりん……?」
「ふぎゅるっ!」
するとか何かを感じたのか、聞こえていたのかは不明だが、イッセーの肩にいたオリオンをアルテミスが掴み取った。その表情は笑みを浮かべつつ、ドスの効いた黒い何かを纏っている。
そんな様子のアルテミスにオリオンは滝のような汗を流しつつ、イッセーへと1度目を向けてからアルテミスに向き合って口を開く。
「いやいやいや、誤解! 誤解だって! 男なら誰だってある性だから仕方な――らめえええ中身でちゃうぅぅぅぅぅ!!」
「オリオンさぁぁぁん!!!?」
しかし、既に弁明を受け付ける様子がないアルテミスは、問答無用でオリオンを掴む力を徐々に強めた。まあ、ここで開き直ろうとしたオリオンの根性は凄まじいものと言えよう。
イッセーとしては、歳の離れた新たな友人が生まれ、オリオンから見ても同様であった。
※原作に関わる(立香が直接関わるとは言っていない)
まあ、このままだと読者の方々に――。
読者「エレちゃんが入ってないやん。どうしてくれんのこれ(憤怒)」
作者「や、すいません」
読者「感想欄見てないの?あんたんところの店(作者ページ)」
作者「そげなことはないですけど」
読者「だけどないじゃんエレちゃんが。エレちゃんを読みたかったから開いたの!何でないの?」
――と怒られてしまいそうなのでエレちゃんたちは関係なくともほのぼの日常パートとして出ると思います。
後、アルテミスさんをFGO基準にすると、ギリシャ神話の神々の多くがアバター持ちの巨大ロボット(or巨大戦艦)になるので、どうしようか考え中です。その設定自体がハイスクールD×D向けですし、そうなると逆にニュクスさんも本体が巨大ロボットになるのでそれが大変捨てがたい(男の子の夢)