今回は長い説明会の前編となります。
思ったより長くなりましたので2つに分けたいと思います。
なお、今回も捏造、改変多数ですのでご注意ください。
「それじゃあ、またおいで」
「今度は誠君たちも一緒にね」
「はい。次は兄貴たちと一緒に来ますんで」
祝勝会も終わり、店長夫妻への挨拶をしっかりする。でないと兄貴にばれたら確実に怒られるからだ。兄貴は普段はマイペースだが、こういう礼儀はしっかりとするようにいつも言ってくる。はやても普段は関西弁交じりだけど、初対面の人とかにはかなり礼儀正しい。
そういうところを見ると兄貴たちが兄妹だとよくわかる。あと二人ともかなり家庭的だ。
……あれ? あまり家事しない俺って、家のヒエラルキー最下位じゃね?
≪今更ですね≫
「はぁ……【うっさい。急に話しだすな“リベリオン”】」
呟きが聞こえたのか、急に話し始めた俺のデバイスであるリベリオンに思念通話――念話でそう返す。
このリベリオンというデバイスは亡くなった俺の本当の両親が持っていたものだ。
何で親が持っていたかというと、こいつの待機状態が黒い宝石の付いた指輪だ。そのため父さんが母さんへのプレゼントに偶然手に入れたものと、その当時を覚えていたこいつが言っていた。
幸いというか、父さんたちには魔導師の適性がなかった。そしてこいつの声が聞こえたのが俺だけであった。だから両親がいない時はよくこいつの話し相手をしていた。今思えばあの時相手をしてやらなければよかったかもしれないと少し後悔している。それは――
≪それにしても、高町なのははどこへいったんでしょうね?≫
【お前、わかって言ってるだろ……】
≪いえいえ。今日になってようやく気付くような鈍いマスターですから、言っておかないと忘れてそうで≫
【悪かったな鈍くて。お前しばらく黙ってろ!!】
こいつはとんでもなくお喋りで、マスターである俺をよく弄るからだ。他のデバイスを見たことがないからわからんが、こいつは絶対変なデバイスだろう。
≪ですが本当のことですよ? マスターが早期に気付いていれば何か対策が取れたかもしれなかったのですから≫
「だよなぁ……」
尤もなリベリオンの言葉に肩を落とす。
今日になって気づいたこと。それは友達のなのはが何か魔法がらみの事件に首を突っ込んでいることだ。
あれは少し前の夜だった。どこからか助けを求める念話があった。何となく気になり、その声が聞こえる場所へと向かったわけだが、そこで見たのはなのはとフェレットが化け物に襲われているところだった。
即座に助けようとしたのだが、そこでなのはがフェレットから渡されたデバイスによって魔導師に覚醒。俺の出る間もなく、その化け物を封印した。
しかも事情を聞くために出て行こうとした時に、結界を張ってなかったから騒ぎを聞きつけて来た警察のせいで、そのままなのはたちとは違う方向に逃げてしまった。
その時は怪我をしているわけでもないし、あのフェレットが事情説明してそれで終わりだろうと思い、態々首を突っ込むまでもなくなったなと思ったわけだが、俺はミスをしていた。
それは事件がそれで終わりだと勘違いしてしまったことだ。
それのせいでまだ関わっていたことに気付くのが遅れてしまった。というか、リベリオンはサーチ系の魔法がないから記録しても特定すら出来ない大雑把なものだ。
たまにどっかで魔力反応があってもすぐに消えていたから、あのフェレットが自衛のためとかで魔法でも教えてるんだなと思っていた。
気付いたのは今日のサッカーの試合中に聞こえてきた念話。
言っておくが傍受したわけではない。なのはとフェレットの念話のチャンネルがたまたま合ってそれで聞こえただけだ。
それを聞いてまだ事件に関わっていることに気付いた。だけど俺は何も出来ない。というのも、俺は封印魔法を使えないからだ。俺が使えるのはリベリオンが記録していた魔法とそれを応用して組んだものだけ。
その中に封印に関するものはなかった。ってか、簡単なシールドとか結界、サーチャーを除くと記録されていたのは攻撃系ばかり。リベリオンの前所有者は一体何を考えていたのか。
しょうがないので、祝勝会の後になのはたちがこっそり出て行った時に、サーチャーを飛ばしておいた。
それからしばらくして何か馬鹿でかい魔力反応があり、事件が起きたのを悟った。サーチャーを通して見ていたけど、なのはが収束魔法を放って、巨木が消えたし大丈夫だろ。
しかしまあ、なのはのやつかなり怖い技を覚えてたな……。
あのクラスの収束魔法が使えるようになるまで本来ならかなり修行しなきゃならんぞ。
≪しかし物騒ですね。あれから暫く経ちますが管理局も来ていませんし≫
【だな。だけど管理局への連絡手段なんてないからどうしようもねえだろ】
管理局というのはリベリオン曰く次元世界を守る法の組織。簡単に言うと警察とか裁判所とかが一緒になった組織だそうだ。
で、こういった魔法絡みの事件とかが起きた時に解決のために動く……らしい。
と言っても現状連絡つかんし、管理局には期待しないでおくか。
それにしても本当にいつまでこの事件は続くのか……。
あの青い宝石、たしかジュエルシードだったか? それが全部で幾つあるかもわからんからまだまだ気は抜けないな……
というか俺は何してんだろ……。
気付いたなら協力を持ちかければすぐさま承諾してくれるはずなのに……。
だが、俺が出来ることはあいつらの壁になるぐらいしか出来ないだろうし、もし無茶でもしたら兄貴たちに迷惑をかけてしまう。
それに今更のこのことなのはたちの前に出て行くのも気が引けるよなあ……。
くそっ! こんなことなら事件のあった次の日に聞いておくべきだった!!
……はあ、今更こんなこと愚痴ってもしょうがないか。
それに家族に心配されるわけにもいかないから、心苦しいがしばらくは傍観だな。でも一応それとなく相談してみるか。
……そういえば兄貴たちは大丈夫だろうか。そう思ったが余計な心配だったなと苦笑した。
兄貴たちは図書館に行くとか言ってたし、巻き込まれてることはないだろ。
だけど俺の勘は間違っていた。すでに兄貴たちは今回の事件に巻き込まれていたということを。
◆ ◇ ◆
「ただい……ま?」
家に着いた冬至はそう言って玄関を開け、目の前にいた存在を見て固まった。
「漸く帰ってきたか」
そう冬至を出迎えたのはマントに鎧を身に纏った骸――誠のエースであるスカルであった。
当然今帰ってきたはずの冬至が誠の事情を知っているはずもなく、ありえないものを見るような眼でスカルを見る。スカルはそんな冬至を品定めするように一瞥すると、感嘆の声を上げた。
「ほう、中々の力を持っているな。鍛え上げれば――むっ、どうした?」
カタカタと音を鳴らしながらそう賞賛するが、今だ呆然としている冬至には聞こえていない。
玄関のドアを開けたらいきなり目の前に骸骨がいる。魔法という非常識を知っている冬至といえど固まってしまうのも無理もない。
固まったまま微動だにしない冬至にスカルは訝しげな表情? をしながらも返事をしないのでは仕方ないと諦め、冬至が帰ってきたことを誠に伝えに戻ろうと冬至に背を向けた。
「――っ!! 行かせるか!! リベリオン、セットアップだ!!」
それを見た冬至はようやく再起動すると、このままでは誠たちが危ないと思い、家の中にいた正体不明の敵を排除すべくデバイスを起動させる。
≪了解!! Set up!!≫
「なに!? これは――」
突然背後から感じられた魔力の奔流に驚き、振り向くスカル。そして冬至に起こっていることにさらに驚いた。
冬至自身の魔力光である灰色の光が溢れ、収まると、そこには
冬至のBJは黒を基調にし赤きラインの入った動きやすそうな服。その上に身体の要所を守る程度の防具が備わっており、身軽そうな印象を受ける。
特徴的なのは両腕に装着されたガントレットだ。銀が基調となっており、何らかのギミックが付いていることが一目でわかる外見をしていた。
また身を守るためなのか、左腕にはベルトで固定され、自身の使うベルカ式の魔法陣が黒で描かれた白銀の盾が備わっていた。
冬至は気合を入れるために拳を握り締めると、そのまま戦闘態勢に入る。
「クカッ、面白い。その力、見せてみろ」
流れるような一連の動作を見て、何かに触れたのか面白いとばかりにスカルも身構えた。
お互いの敵意がぶつかり合い、場が言いようもない緊張感に包まれる。そして先手必勝とばかりに冬至が動こうとしたとき――
「二人とも何やってるのさ」
その一触即発の空気を壊したのは、奥からやってきたどこか呆れた表情をした誠であった。
誠の姿を視認した冬至は、結界を張り忘れていたことに内心しまったと後悔したが、ここから逃がす方を優先すべきだと逃げるよう呼びかける。
「兄貴!! はやてを連れて早く逃げろ!!」
「え……どういうこと? というかなにその格好? それに何でスカルも武器出してるの?」
「すまぬな、マコトの弟がよい闘気を発しておったのでついな」
現状を把握できていない誠は首を傾げて問いかける。
それにスカルはカラカラと笑うと武器をしまい、誠とスカルの親しげなやり取りをポカンと見ている冬至に頭を下げた。
「冬至といったか……? 敵意を向けてすまなかったな」
「はあっ!?」
≪これは一体どういうことなのでしょうか?≫
冬至からしてみれば敵だと思った骸骨が自分の兄と親しげにしており、いきなり謝られるなど訳が分からなかった。
誠はそんな混乱する冬至を見て、ようやく何があったのか把握すると、冬至を落ち着かせる。
そして事情を説明すべく、リビングへと引っ張っていった。
◆ ◆ ◆
人数分の茶を入れ、何故スカルが玄関で待っていたのか誠が問いただすと、はやてが冬至を驚かせようと思ってスカルに頼んだ悪戯だった事が判明した。
それを知った冬至は容赦なくはやてに拳骨を落とした。なお誠もスカルが戦闘しようとしたことに対して注意をした。
「しくしく、冬至に傷物にされてもうた……」
「アホか、どう考えてもお前が悪いだろ――で、兄貴。玄関で出迎えた骸骨とか、その周囲にいるのはなんだ?」
頬杖をつきながら呆れ気味に頭を抑え、泣き真似をするはやての戯言をばっさり切り捨てると、誠に尋ねた。
そのどうでもよさげな態度にはやてはむくれるが、はやてにしてもいい加減聞きたかったため、誠の方に顔を向ける。
「僕としては冬至の方も気になるけど、まあいいか。はやてに冬至が帰ってきたら話す約束したしね。まずこの子たちはモンスター、一般的に魔物と呼ばれてる存在だね」
「魔物? それってゲームとかでよく出てくるあの魔物か?」
「そうだよ。僕がこの子たちと共にいるのは、僕がモンスターマスターだからなんだ」
「そのモンスターマスターって何なん? 見たとこ魔物使いとかテイマーっぽいんやけど」
「まあそれで大体あってるかな。モンスターマスターってのはね、モンスターと共に戦い学び、
その固い絆で一つの力を成す。……それがモンスターマスター。勇者よりもかっこいい職業なんだ!!」
そう答えた誠の表情はどこか誇らしげであった。
そんないつもよりも高いテンションの誠に、若干引く二人。
「……あ、うん。兄ちゃんがモンスターマスターってのにめっちゃ情熱もっとるのは、よお分かったわ。やけど私らが気になっとるんはそれやない」
「そうだぜ。俺たちが知りたいのは、兄貴が何時、何でモンスターマスターっていうのになったんだってことだよ」
「……それじゃあ、僕がモンスターマスターに何故なったかを話すよ。それは今から数ヶ月前のある夜――」
そして誠は語り始めた。
自身がカレキの国の精霊によってカレキの国を復興させるために招かれたこと。はやての足を治すためにモンスターマスターになったこと。様々な異世界を冒険したこと。沢山の出逢いと別れがあったこと。星降りの大会に出場したこと。カレキの国がそれなりに有名になったため帰ってこれたこと。これまで自分にあったことを話した。
「あー、前に兄貴の様子がおかしかったのはそれでか」
「うん。迷惑かけたね。それにごめん、はやて……。優勝できていればはやての足を治せたかもしれなかったのに……」
「ええよ、私は兄ちゃんが無事に帰ってきてくれればそれでええんや」
誠の事情を聞いたはやては、自分のためにそれだけの危険を冒してくれたのだから何も言うつもりはなかった。
むしろこれまで自身の事を我慢して、面倒を一心に見てきてくれた誠があんなに楽しそうに話す姿を見て、安心するくらいであった。しかし――
「……せやけど、その王様と精霊には勝手に人様の家族誘拐したこと文句言わなあかんな」
家族を人一倍大事にするはやてが、承諾したとはいえ誠を誘拐したカレキ王や精霊に対して怒りを覚えないわけがなかった。仮に誠が国を復興させられなければ、帰ってこれなかったかもしれないのだから。
そのあまりの迫力に誠と冬至は思わず震える。そして、その怒りを一旦飲み込むと、何故帰ってきてからも黙っていたのかと誠を問い詰めた。
「……それに、なんで兄ちゃんはそれを今まで黙っとったん?」
「…………いや、心配かけたくなかったし。話したら治療方法探しにいけそうになかったから……」
少しの沈黙の後、そう尤もらしい言い訳をする誠であったが、はやては見透かしていたのか大きくため息を吐くと、誠の顔をじっと見つめて言葉を発した。
「心配かけとうないのはわかるよ。やけど私ら家族やん。せめて話してほしかったな……」
「……ごめんなさい」
隠し事をしていた時点でこうなるだろうなとわかっていた誠は、怒りながらも泣きそうな表情をするはやての説教を素直に受けるのであった。
◆ ◆ ◆
はやての説教も終わり、魔物のことをもっと知りたくなった二人は誠に次々に質問をすることにした。誠はカレキの世界で知った魔物のことを二人に分かりやすく説明する。
魔物とはとても純粋な存在であり、周囲の環境に染まりやすいこと。
そして魔物の系統から始まり、どのような魔物がいるのかや、どのように魔物が現れるのかを分かりやすく説明する。その中で特にはやてたちを驚かせたのは配合で誕生する魔物についてだった。
「いやいや、いくらなんでもそれはありえへんやろ」
「タマゴから機械が生まれるって、魔物ってなんでもありかよ……」
「あはは、事実なんだけどね……」
誠からしてみればそういうものだからとしか言いようがない。
そもそもマ素さえあれば魔物はどこからでも生まれてくるのだ。タマゴから生まれてきても何ら問題はないのであるが、それを知らない二人からしてみれば生物学的に喧嘩を売ってるのかと言いたくなる魔物の生態に呆れるしかない。
「うーん。けどシャディやスカルとかは魔物やーっていうんは分かるけど、トーポとかはそうは見えへんな~」
「ちゅ~」
「……zzz」「起きろよー」「代われよー」
ある程度理解したはやては、目の前のトーポの頭を撫でながら言う。
その膝の上には、トリーズのうちの一体が眠っており、残りの2体は騒ぎながらはやての足元に擦り寄っていた。
「ずいぶん懐かれてるな……」
「うん、なんや気付いたらこうなっとった」
「それはそうでしょ。はやても才能あるんだから」
「え……? それどういうこと?」
意味が分からないと首をかしげるはやてに、誠はトーポを貸すように言う。はやてからトーポを受け取ると、二人の目の前に見えるように配置する。
「それじゃあトーポ、何でもいいから話してみて」
「……ちゅー」
「あー、うん。もう少し待ってね」
誠はその声に苦笑すると、トーポの頭を撫で、定位置の肩に乗せる。そして二人に向き直ると尋ねた。
「さて、今トーポはなんて言ったでしょうか?」
「……なんて言ったって、ただちゅーって鳴いただけだろ?」
「え、冬至はわからんかったん? 私には普通にお腹空いたって聞こえたで?」
ただ鳴き声を上げただけだと答える冬至に対し、はやては正確にトーポが何と言ったか答える。あれ? と思い、一体どういうことなのだろうかと二人は顔を見合わせた。
「これが才能があるってことなんだよ。僕もはやてもはじめからモンスターたちが何て言っているのか理解できるんだ」
「それが才能だっていわれてもな……。魔物を使役出来るんだから、誰でもそういう能力持ってるんじゃないのか?」
「確かに冬至の言うとおりモンスターマスターを長く続けていれば理解できるようになるよ。まあ、才能があるっていうのにも色々あるんだよ。指揮がうまいとか、勘や運で異世界を簡単に攻略するとかね。それで僕の場合は言葉だけじゃなくて、そのモンスターが何を考えているのかとかなんとなく理解できるから仲良くなりやすいし、スカウトもしやすいんだよ」
才能といえるほどなのかと疑問に思った二人だったが、誠の説明になるほどと頷く二人。
つまり普通のモンスターマスターよりも、誠は魔物のスカウト率が高くなるというわけである。
「あと、モンスターマスターになってないのに、トーポの言葉を理解できたはやても多分同じだと思うよ。普通は理解できないから」
「へー、そうなんや」
「それじゃあ俺には才能はないってことか……」
「別に才能がなくてもモンスターマスターにはなれるけどね。……あっ、もうこんな時間だ」
「ホンマや。じゃあ一旦休憩にしてご飯にしよか」
話がある程度終わったときには、結構な時間が経っており、ここで一度休憩しようと夕食の流れとなった。無論誠の仲間たちも交えて。
その時に誠が骨付き肉や霜降り肉を鞄から取り出したり、それを見たはやてたちとまた一悶着あったり、トリーズやトーポが肉を奪おうとしたり、スカルやシャディが止めたりと、普段よりも騒がしい夕食となったのであった。
いかがだったでしょうか?
今回はモンスターマスターと魔物について、誠がモンスターマスターに選ばれた理由が説明されました。そして何気に冬至が魔導師であることが判明。
なお、誠の才能はゲームで言うと、スカウト率10%UPとモンスターの種族特性発動率UPとなっています。
ちなみにテリーは種族特性発動率UP、バーン系発動率UP、レアモンスター遭遇率UPなどです。
次回はまた少し遅くなります。それでは、次回でまたお会いしましょう。