INFINIT・D・STRATS~進化の価値は 作:カオスサイン
EPⅠ「蛇が告げた始まり」
Side一夏
「糞ッ!糞兄貴の取り巻きに絡まれたおかげですっかり遅くなっちまった…」
放課後数馬の家に向かおうとしたがそこで俺の実の兄貴ではあるがはっきりいって大嫌いな織斑 偉樹の取り巻き達に絡まれてしまい無駄に時間を食ってしまい辺りはすっかり暗くなってしまっていた。
「仕方無い…話は明日にしてもらう事にするか…」
そう思い数馬にメールでそう断わりを入れて帰路に着こうとした瞬間だった。
PiPiPi!PiPiPi!
「早いな」
二、三分経ってスマホが鳴ったので返信が来たのかと思い画面を開いた。
すると…
「い!?なんで!?…」
あのダーウィンズゲームとかいうゲームアプリが何故か勝手に起動してある画面になっていた。
「『エンカウントバトル』?…!」
そう表示された画面を呆然と眺めていると不意に頭上から殺気を感じたので思わず飛び退いた。
「なんっ!?…」
「…」
俺の目の前には画面に表示されているアバターと同じ姿をした野球コスチュームである「コンちゃん」を着込んだ不気味極まりない不審者が無言で立っていた。
その手には所々に血痕の様なものが染み付いているデカイ鉈が握り絞められている。
危ねえ!あんなモノ直撃したらたまったものじゃないぞ!?
「あんた一体何が目的…」
「…」
不審者改めコンちゃんは此方の問いには一切答えずお構い無しとばかりに鉈を振るってくる。
「チッ!…そんな見え見えの攻撃に当たるかよ!」
俺は即座に回避して鉄拳を叩き込もうとするが…
「んなっ!?…」
突然振るわれてた鉈だけがその姿を消したのだ。
俺は当然それに困惑し咄嗟に片腕を出してしまった。
「ぐああああー!?」
姿の見えない鉈に腕を切られ痛みに悶える。
「う、糞が!」
「!?」
コンちゃんは反撃してくると思わなかったのか俺が咄嗟に繰り出したキックで吹っ飛ばされる。
チャンスだ!早い所逃げなくては…あんな不審者の餌食になるなんて御免だ。
俺は必死にその場から急いで走り去る。
「はあはあ…!」
なんとか不審者の魔の手から逃れ少し先の駐車場へと隠れた。
其処に
「やっぱり此処に居たか!無事か一夏?!」
「数…馬!?」
「怪我しているじゃねえか!待ってろ応急処置してやる」
数馬が現れ俺の傷を見た彼は慌てて治療してくれる。
「すまん助かった!」
「謝るのはこっちだ…真逆初心者狩りの屑プレイヤーにこんな連日でエンカウントバトルを申し込まれるとは予想外だった…GPが勿体無いとはいえ対抗策を講じさせなかった俺のせいだ!」
「真逆!?…」
俺は数馬の話を聞いて教室での話を思い出してはっとなった。
「ああ…虎次郎は殺されたんだ!恐らく今一夏のGPを狙ってきてる屑野郎にな!…」
「そうだったのか…」
数馬から真実を聞いて俺は絶句する。
「虎次郎の仇もある…一夏、奴の異能<シギル>は分かるか?」
「し、シギル?」
「ゲームを初回起動した時蛇に噛み付かれただろう。
アレは幻じゃない…そしてソイツに噛まれた俺達プレイヤーは不思議な能力に目覚める」
「それってどう使えば?」
「お前のスマホの画面を見せてみ…避けろ一夏!」
「!?」
数馬と話しこんでいるとさっきの不審者が現れ鉈を振り下ろしてくる。
「ちっ!?もう追いついて来やがったのか!」
「数馬!?」
「一夏!今は兎に角タイムアップまで逃げ続ければいい!コイツは俺が抑えるから早く!」
「で、でも!?…」
「お前を判定勝利にもっていくくらいにはやってやるさ!」
「す、すまん!」
俺は数馬の言葉を聞いてその場を離れてしまった。
Side数馬
「行ったか!…さてと…」
「…」
一夏を逃がし俺は初心者狩りの屑プレイヤーと対峙する。
己の初歩的ミスでこの状況に陥ってしまった事を後悔しながら奴を探る。
どうみても一夏に振り下ろそうとしていたのは明らかに只の鉄拳じゃねえな…となると物を隠す類のシギルか?厄介だな…
「だったら手数で攻めてやるよ!」
俺も自身のシギルを発動する。
「おらよォっ!」
俺は駐車場の地面を抉り屑野郎に投げつける。
「…」
それに対し屑野郎は持っているであろう隠し武器を構える。
だけどそいつは無駄な事だ!
「喰らいやがれ!【岩山波状嵐帝<ロックドストームカイザー>】!」
投擲したコンクリートをシギルで細かく分裂させ嵐の如く波状攻撃を繰り出す。
「どうだあ!その武器だけじゃこのコンクリートの嵐は…」
多少でもダメージを与えられたと確信し油断してしまったが尽きだった。
「ぐっ!?…」
己の腹部に激痛を感じ俺は恐る恐る見た。
「こ、これは真逆!?…あ、IS【インフィニット・ストラトス】の武装!?…」
「…」
激痛に悶える俺の問いに屑野郎は答えない。
コイツがISの武装を隠し持っていたという事に俺は驚愕した。
やべえ…意識が…すまねえ俺は此処迄みたいだ…一夏、お前等はどうにかこのゲームを生き残って…くれ…そう祈り俺の意識は完全に途絶えてしまった。
Side一夏
「いくらなんでも此処までは…」
俺は初心者狩りだという不審者から逃げ切ったと思った。
だが…PiPi!
「非通知?…なんだって!?」
非通知のメッセージが届き開いてみると俺は驚いた。
「『貴方、逃げていても無駄だよ?その辺りはもう敵に知られているようだから』」
「『き、君は一体?…』」
謎のメッセージを送ってきたのは「KR」と名乗るプレイヤーからだった。
KR曰くスマホで探知されるらしく敵も土地勘があるようなので逃げてもあまり意味は無いのだとか。
「『た、助けに来てくれた友人から聞いたんだがシギルってのはどう使えば良いんだ?』」
「『シギルは誰に教えられるともなく自然に使えるようになるの…手っ取り早いのはゲーム画面で確認すればいいけど…後ろ!…』」
まるで見えているかのようにKRの警告を聞いて俺は咄嗟に横に回避する。
「数馬は!?…」
そういえば虎次郎が死んだ時もログが流れてきたと言っていたのを思い出し見る。
死亡通知は来ていない…ならこのイカレ野郎の狙いは俺だけであり数馬は眼中に無いって事か。
「…」
相変わらず無言のまま鉈を振り下ろしてくる不審者に対し俺は武器を蹴落としてやろうと試みる。
タイミングさえ測れれば喩え物体が見えなくても…そう思ったが…
「!…」
「!?」
何故か奴は武器を持っていない筈の空いている手を振り直してきた。
「フェイント!?」
よもや隠し武器が他にもあると気が付いた時には俺の頭上に迫ってきていた。
糞!?こんな所で訳も分からずに殺られてたまるかあああああー!!!
その刹那の瞬間、俺の思考は驚く程にクリアになっていき片手を握り絞めて奴の隠し武器を殴り付けていた。
「!?」
不審者はそれに驚き飛び退く。
ガランガラン!
「に、日本刀?…」
姿をかき消されていた隠し武器の正体が日本刀らしき物だと判明する。
「な、何をしたあー!?」
それまで喋らなかった不審者が怒号を上げる。
「さあね?俺はまるっきり初心者なんでね…」
「ふ、ふざけるなあー!」
驚く程に冷静な俺は再び奴の鉈に叩き付ける。
「馬鹿な!?」
「歯ぁ食いしばれえー!」
「がっはっ!?…」
俺は自身のシギルを使っていない状態で奴を殴りつけた。
奴は付近の壁に叩きつけられて意識を失いかけていた。
そこに
『【BATTLERISALT...WINER、ICHICA!】』
スマホからそんなゲーム通知が届く。
「あはは…よもやいろはすら未熟なボウヤなんかに負けちゃうなんてね…はは…私はもう終わり…」
「!」
ここにきて不審者のコスチュームが僅かに破れ正体が明らかになる。
なんと相手は女性だった。
だがどう見ても顔のバランスが可笑しい…
「欠陥品の私がこんな欠陥品に頼った所で末路は分かりきっているわよね…あの世ってどんな所なのかし…ら?…まあ地獄行はかくて…」
「!?」
突如彼女の体に亀裂の様な物が走りまるでオブジェクトの様な形になって消えていった。
同時にその異常な光景に追い打ちをかける通知が届く。
「【フレンドプレイヤーカズマが死亡しました】」
「うわあああああー!?」
俺は信じられない出来事のダブルパンチで絶叫するしかなかった。