それでいて純真なめちゃくちゃ美少女らしいよねw
あと、キャスターって少女趣味じゃなくて、少女“が”趣味なんだよねw
「宗一郎様、おやすみなさいませ・・・」
一人の妙齢の美女が、老人の眠る布団の横で挨拶をする。
彼女は彼の妻であり、破滅の魔女だった。
だが、彼女にとって『ただ夫と添い遂げる』事が願いだった。
誰も殺す事なく、誰も陥れる事もない。
魔女にしてはあまりにつつましい生活だったが、
それが彼女の願いなのだ。
もう十分だった。
満足したのだ。
そして、男は最後の挨拶とともに目をあけることは無い。
魔女の夫としてはあまりに普通だが、
彼の死因は老衰、寿命だった。
年齢は83、彼は妻に何も求めず、妻も彼に何も求めなかった。
不思議な夫婦だったかも知れないが、二人はそれで十分だったのだろう。
現に彼の妻はまだ生きることが出来るが、
寄り代となる相手を求めるどころか夫の傍を離れず、
共に眠る様に隣へ体を倒れさせる。
全身を横たえた時、チィンと鳴って指輪だけが残り、彼女の姿は跡形も無く消えていた。
幻想の様な日々が終わりを告げ、最愛の人は穏やかに寿命で亡くなった。
数奇な運命でその日常を英霊の身で謳歌し、
最愛の人が亡くなって現世のよりしろを無くし、また新たに得ようとはしなかった。
そこから意識が無くなってどれほどの時間がたったのかはわからない。
まるで自分は深海に居る様にたゆたっていた。
まどろみの中で思考は曖昧、水に溶け込む様に拡散してしまっている。
ただ幸せだったと言う感情は残っている。
―――そう、それは生前の願いが叶っていたからだ。
そこに思いが至れば、拡散した意識は集合し始め、彼女は形を成して行く。
―――願いが叶った今、英霊である事に意味は無い。
形を成した彼女は手を前に出し、そこで虚空を掴む。
―――逆に英霊として時間軸から外されて存在すること自体が、苦しい。
虚空で掴んだのは一振りの歪な短剣。
―――ならば、何を躊躇するものがあろうか!
彼女はその歪な短剣を虚空に振り下ろす。
今この瞬間こそは一番の好機。
この瞬間だからこそ破戒出来る理が存在し、それが自分を解放する。
意識は薄れ、次第に落ちていくのがわかる。
落ちる先がどこに繋がっているのか、魔術師の彼女にはわかっていた。
<生まれ変わる>
この記憶が消えるのはとても悔しい。
だが、英霊として座に戻れば記憶は情報になり、
幸福と感じた感情はまるで他人事のような資料になってしまうのだ。
――――その思いは私のものだ。
そう思った。
その感情は激情となり、怒りをあらわにした。
なぜなら幸福を感じたのに、いつの間にか他人の伝記の様になったのならば、
それは自分の感情でも、自分の幸福でもなくなってしまうのだ。
だから彼女は、あらゆる理を破戒する自らの短剣を突き立てたのだ。
だが、それでも悔しい。
<もし叶うならば、あなたと過ごした私の記憶を、
どうか・・・、どうか新たな旅路への手向けに、
頂いて行くことは出来ないでしょうか?>
――――そこで、彼女の記憶は途絶えた。
よければ、プロローグはあらすじ込みで読んでくれるとうれしい。